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映画『ファントム・スレッド』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ファントム・スレッド』の概要:超一流のドレス職人のレイノルズは、理想の身体を持つ女性アルマと出会う。レイノルズは彼女をモデルに、いくつものドレスを作っていく。アルマは彼に惹かれていくが、彼が愛しているのはドレスだけだった。

映画『ファントム・スレッド』の作品情報

ファントム・スレッド

製作年:2017年
上映時間:130分
ジャンル:サスペンス
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
キャスト:ダニエル・デイ=ルイス、レスリー・マンヴィル、ヴィッキー・クリープス、カミーラ・ラザフォード etc

映画『ファントム・スレッド』の登場人物(キャスト)

レイノルズ(ダニエル・デイ・ルイス)
ドレスの仕立てに人生をかける男。自分のドレスのために、理想の身体を持つ女性を探し出し、モデルにしている。だが、体形が変わった場合、モデルは品物のようにすぐに捨てられた。ドレスのことだけを考えられるよう結婚はしないと決めていたが、アルマと出会ったことで、様々なことが変化していく。
アルマ(ヴィッキー・クリープス)
ウェイトレスをしていたところ、レイノルズに気に入られ、彼の工房でモデルとして働きだす。レイノルズの気難しさに最初は戸惑ったが、次第に彼に夢中になっていく。自分自身のやり方にこだわるところがあり、そういった部分はレイノルズと似ている。

映画『ファントム・スレッド』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ファントム・スレッド』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ファントム・スレッド』のあらすじ【起】

ドレス職人のレイノルズは、ドレスのことしか頭にない男だった。独身主義者のため、高齢となっても独り身を貫いていた。結婚しない理由は、余計な心配や、気づかいに思考を奪われ、ドレス作りに影響を出さないためだった。

レイノルズの仕立てるオートクチュールは、どれも一級品だった。完成まで時間もかかるが、顧客は皆、満足していた。顧客はもっぱら金持ちの婦人たちだった。

ドレスを仕立てるには、専用のモデルが必要だった。レイノルズが理想とするスタイルを持ったモデルだ。人型のマネキンではなく、生身の人間に着せなければ、細かい調整はできない。

今まで専属だったモデルは、体型が変わってきてしまい、使い物にならなくなった。レイノルズは新しいモデルを探さなくてはならなくなる。だが、ふらりと入ったレストランで、レイノルズはアルマというウェイトレスに目を奪われた。

アルマは決して美人とは言えない、控えめで純朴な顔立ちだったが、体型はレイノルズが理想とするものだった。彼女を自宅に招いたレイノルズは、アルマの身体を隅々まで採寸した。彼女の身体を気に入ったレイノルズは、自分の屋敷に住まわせ、昼夜を問わず、いつでもモデルができるよう、そばに置いた。

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映画『ファントム・スレッド』のあらすじ【承】

今まで自分の容姿に自信がなかったアルマは、レイノルズの服を身に纏うことで、自信をつけていった。次第に、アルマは自分の意見を言うようになってくる。レイノルズに惹かれていたアルマは、彼を誘惑し、肉体関係を持った。それにより、ますます夢中になっていく。

だが、レイノルズはアルマ自身に興味があるわけではなかったし、性格もとても気難しかった。朝食は静かに過ごしたいと言い、パンにバターを塗る音でさえ不快感を露にした。レイノルズが愛しているのは、ドレス作り以外ないのだった。

愛するがゆえに、疲弊しきってしまうレイノルズ。品評会などの大きな仕事の後は、二、三日寝込んでしまうほど体力を消耗した。だが、アルマはその姿が好きだった。普段は気難しいが、この時ばかりは赤ん坊のように優しく、従順になるのが愛おしかった。

お得意様の夫人が結婚することになり、ドレスを仕立てる。だが、そのドレスはひどい扱われ方をされていた。アルマは、ドレスがかわいそうだと怒りを滲ませる。その姿に感化されたレイノルズは夫人の元へ行き、ドレスを引き剥がして持ち帰ってしまった。アルマの気持ちに嬉しくなり、思わずキスをしたレイノルズ。アルマは愛していると囁いた。だが、彼はその言葉には返事を返さなかった。

映画『ファントム・スレッド』のあらすじ【転】

ある時、アルマはレイノルズにサプライズを仕掛けたいと考える。レイノルズの姉シリルに相談すると、やめたほうがいいと忠告される。だが、自分のやり方で彼を愛したい、彼を知りたいと言い、どうしてもやりたいという。シリルの計らいで、二人だけのディナーがサプライズされることになった。

だが、結果はシリルの言った通りになってしまう。レイノルズはあからさまに不機嫌になり、アルマが作った料理にも満足していなかった。アルマの真意が分からず、苛立つレイノルズ。だが、気持ちが分からないのはアルマも同じだった。二人は口論になり、全てあなたのゲームのようで、うんざりだと叫んだ。レイノルズは、そんなに不快ならば元居た場所へ帰れと冷たく言い放った。

怒りに理性を亡くしたアルマは、森でひろった毒キノコを粉末にしてお茶に混ぜた。何も知らないレイノルズは、朝食でそのお茶を飲んでしまう。毒で体調を崩したレイノルズは何度も吐いて倒れこんでしまった。アルマは彼のそばを離れず、看病に勤しんだ。

翌日、元気を取り戻したレイノルズは、死を意識したことで人生が有限であることに気がつき、今まで多くのことを犠牲にしてきたと痛感する。彼は、アルマをそばに呼ぶとプロポーズした。アルマは喜んで申し出を受けた。

映画『ファントム・スレッド』の結末・ラスト(ネタバレ)

結婚は心から願ったものに違いなかったが、お互いに我慢しなくてはならないことも増え、続けていくには忍耐が必要だった。

大晦日の夜、アルマは舞踏会に行きたいと言いだす。レイノルズは家で仕事をすると告げたが、不満を溜めていたアルマは、勝手にドレスに着替えて出かけて行ってしまった。しばし考えたレイノルズは、仕方なく後を追いかけた。バカ騒ぎする会場からアルマを見つけ出すと、家へと引っ張っていった。

レイノルズは限界を感じていた。彼はシリルのところへ行くと、仕事に集中できない、全てはアルマのせいだと言った。この家に招き入れたのは失敗だった、今すぐ彼女にどこかへいってほしいと喚いたが、その言葉をアルマは後ろで静かに聞いていた。

アルマは森に毒キノコを採りに行った。その日のディナーで、アルマは毒キノコを大量に料理に混ぜ、レイノルズに差し出した。レイノルズは慎重に口に運んでいった。アルマは、あなたには弱々しく倒れこんでいてほしい。そして、それを私が介抱したいと呟いた。レイノルズは料理に毒が入っていることに気がついたが、それを飲み込んだ。そして言った。倒れこむ前に、キスさせてくれ、と。

レイノルズは毒でぐったりし、吐き気もすごかった。そんな彼を、アルマはとても嬉しそうに看病した。二人の関係は、とても歪んでおかしなものに見えるかもしれない。だが、二人の間には確かな愛があるようだった。レイノルズは苦しみの中にいたが、アルマに膝枕されたその顔は、幸福に満ちていた。

映画『ファントム・スレッド』の感想・評価・レビュー

男女の関係が逆転することは、恋愛を経験した全ての人が理解できるだろう。この作品では突飛な表現でそれが描かれているが、テーマは誰にでも理解でき、ごく身近なものだ。ある意味では、恋人同士や夫婦の関係というのは、どれも世界にひとつのオートクチュールと考えることもできる。作る者と着る者という関係性を当てはめてみても面白い。作中のふたりの着地点に驚く人もいるかもしれないが、この境地に辿り着けるのは、まさに似た者夫婦だからこそかもしれない。(MIHOシネマ編集部)


ドレスを仕立てる天才職人の男性が主人公です。彼の手掛けるドレスはイギリス貴族が袖を通す物で、映像から上流階級の雰囲気が漂ってきます。細かい部分まで丁寧にセットが施され、どのシーンを切り取ってもとても上品で絵になります。物語は男女の少し怖い愛情が描かれています。支配欲の強い主人公は女性も支配の対象でしたが、初めて愛を感じる女性と出会い惹かれていきます。ですが、二人の付き合い方は観ていて背徳感を感じるほど癖が強いです。依存的な愛とはこういうことなのか…(男性 20代)

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