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映画『しゃべれども しゃべれども』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『しゃべれども しゃべれども』の概要:売れない落語家が開いた落語教室に集まった個性豊かな生徒たち。彼らとの交流を通して落語家自身も成長し、一皮むけた芸を身につけるまでを浅草界隈や寄席、ほおづき市といった下町情緒のなかに描き出す。国分太一が二つ目の噺家という難役に挑んだ意欲作。

映画『しゃべれども しゃべれども』の作品情報

しゃべれども しゃべれども

製作年:2007年
上映時間:109分
ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ
監督:平山秀幸
キャスト:国分太一、香里奈、森永悠希、松重豊 etc

映画『しゃべれども しゃべれども』の登場人物(キャスト)

今昔亭三つ葉 / 外山達也(国分太一)
うだつの上がらない二つ目落語家。喧嘩早く、古典落語だけにこだわる頑固者。幼いころに両親を亡くし、茶道を教える祖母と二人暮らし。
十河五月(香里奈)
美人だが口下手で不愛想な娘。自分の気持ちを言葉にできないことがコンプレックスで、三つ葉の落語教室に通い始める。実家のクリーニング店を手伝っている。
湯河原太一(松重豊)
元プロ野球選手。口は悪いが極度のあがり症。そのためテレビの野球解説ではすべりまくり、三つ葉の落語教室を訪れる。
村林優(森永悠希)
関西から引っ越してきた小学生。勝気な上、クラスメイトから関西弁をからかわれ孤立している。心配した叔母に連れられ、三つ葉の落語教室を訪れる。
外山春子(八千草薫)
三つ葉の祖母。茶道の先生をしながら、早くに両親を亡くした三つ葉を育ててきた。
実川郁子(占部房子)
春子の茶道教室に通う生徒。大学院で国文学の研究をしている独身女性。クラスになじめない甥の優を心配している。
今昔亭小三文(伊東四朗)
三つ葉の師匠。三人の弟子を持つ。十八番のひとつは「火焔太鼓」。厳しくも温かく三つ葉を導く。

映画『しゃべれども しゃべれども』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『しゃべれども しゃべれども』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『しゃべれども しゃべれども』のあらすじ【起】

噺家の今昔亭三つ葉は根っからの落語好きだ。18歳で今の師匠、今昔亭小三文の内弟子になった。しかし、古典落語しかやらない頑固者で喧嘩早い性格ゆえ、未だ二つ目に甘んじている。師匠からもお前の落語には工夫が足りない、と諫められる。

ある日、三つ葉は師匠がゲストを務めるカルチャー講座にお伴した。そこには熱心な受講生に混じり、ひとり不機嫌な十河五月の姿があった。講座の途中で退席した十河に腹を立てた三つ葉は彼女の無礼を咎め、勢いに任せて自分の落語を聞きにこい、と言い放つ。

帰宅した三つ葉は、祖母の茶道教室に通う郁子から、甥の優に落語を教えてほしいと頼まれる。最近越してきたばかりの優は関西弁をからかわれ、クラスの中で孤立しているらしい。郁子に淡い思いを寄せる三つ葉は渋々ながらも引き受ける。

落語会の当日、客席に十河の姿を認めた三つ葉は緊張のあまり散々な出来で高座を下りる。三つ葉を待っていた十河は相変わらず無愛想のまま、口の利き方を教えてほしい、と頼み込んできた。

こうして十河と優、二人の生徒を相手に三つ葉の落語教室が始まった。

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映画『しゃべれども しゃべれども』のあらすじ【承】

教室は決して順調ではなかったが、十河は記憶力に優れており、優も上方落語に興味を持ち始めていた。そこへ元プロ野球選手の湯河原が三人目の生徒として加わった。引退後に始めた解説者の仕事が極度のあがり症のためにすべってばかりで悩んでいたのだ。

7月。三つ葉と十河は二人で浴衣を着てほおづき市に出かけた。ほおづきを買ってあげようとする三つ葉の好意を素直に受け入れられない十河は激しく拒絶してしまう。仲直りにと入った蕎麦屋も、去年十河が元カレにフラれた店だった。ついに泣き出す十河。自分の気持ちを素直に言葉にできない十河の苦しい胸の内が垣間見える出来事だった。

ほおづきを買いに戻った三つ葉は、十河の実家のクリーニング屋の軒下にそっと置いておく。

郁子とのデートにこぎつけた三つ葉だったが、まさかの結婚話を聞かされ、落ち込みながら師匠の高座に出向いた。師匠の十八番「火焔太鼓」に魅せられた三つ葉は、師匠に思いのたけを伝えるが、やけ食いした郁子の弁当にあたって病院に担ぎ込まれてしまう。病床の三つ葉は、近く開かれる一門会で「火焔太鼓」をやりたいと心に決めるのだった。

映画『しゃべれども しゃべれども』のあらすじ【転】

「火焔太鼓」の稽古に励む三つ葉。十河もまた落語の練習に励んでいた。優は上方版「まんじゅうこわい」を完璧に暗唱できるまでになっており、湯河原にその成果を見せたいと言い出した。三つ葉は湯河原が働く居酒屋を訪ねた。店のテレビの野球中継に毒づきながらも自分流の解説を試みる湯河原。彼もまた、懸命に自分の言葉を探していた。

優がクラスのガキ大将、宮田と野球で対決することになり、湯河原と三つ葉による特訓が始まった。野球対決に自信をつけた優は、十河と自分の落語発表会をやろうと提案する。

三つ葉は未だ自分自身の「火焔太鼓」を見出せず焦っていた。師匠に駄目を出され、うろたえた三つ葉は、稽古に専念するためしばらく落語教室を休みたいと伝えて十河と口論になる。

そんな中、特訓の甲斐なく宮田との野球対決に負けた優が姿を消した。必死で探し回った三つ葉たちの心配をよそに、三つ葉の部屋の押し入れに隠れていた優を三つ葉は叩いてしまう。

落ち込んだ三つ葉は酒の席でまたもや十河と口論になり、けんか別れをする。

映画『しゃべれども しゃべれども』の結末・ラスト(ネタバレ)

一門会の当日。昨夜の深酒で寝坊した三つ葉は、師匠の迎え酒で舞台に送り出された。「火焔太鼓」を演じながら、三つ葉はいつもと違う手ごたえを感じる。三つ葉は「火焔太鼓」を自分のものにしていた。笑いに包まれる客席。その中には十河の姿もあった。舞台を降りる三つ葉を迎えたのは意外にも師匠の褒め言葉だった。

野球対決のリベンジに宮田を笑わせてやれ、という三つ葉の提案で、優の発表会にクラスメイトたちが集まった。大好きな「まんじゅうこわい」を一心に演じる優に客席はどっと沸き、とうとう宮田も笑い出した。

続いて、遅れてきた十河が高座に上がった。十河の口から出たのは、一門会で三つ葉が披露したばかりの「火焔太鼓」だった。十河は一度見た三つ葉の「火焔太鼓」を完璧に自分の言葉で話していた。

発表会が終り、三人の生徒を送り出した三つ葉は、前よりもっと落語が好きになっていた。

気晴らしに墨田川の遊覧船に乗った三つ葉の傍らに十河の姿があった。互いがようやく素直に自分の言葉をぶつけ合えるようになり、二人の心がそっと寄り添った。

映画『しゃべれども しゃべれども』の感想・評価・レビュー

SNS上で日々簡単に言葉が発信できる時代になった。その一方で、リアル社会では言葉を素直に伝えられないことで苦しむ人も少なくないだろう。そんな時代だからこそ、この映画の登場人物がしゃべることで自分を変えていこうとする必死な姿に心を動かされる。

物語の中盤、自信を無くした三つ葉が救われたのは、十河や優、湯河原たちと本音でぶつかり合ったからに違いない。

落語家を演じきった国分太一の「火焔太鼓」を見て、寄席に行ってみたいと思う人も多いはずだ。(MIHOシネマ編集部)


全体にほのぼのとしていて、だらーんと観るには最適な1本。
実際に落語を聴きに行く人にしてみたら突っ込みどころはあるだろう。それでも東京の下町に暮らす「真打ち」ではない「二つ目」の落語家に、あんな感じの人がいても特段の違和感は感じない。(「火焔太鼓」を選ぶくらいならもう少し安定したうまさがあるはずとは思うけど)
話としては特段何があるわけではない。何気ない日常と言えるかもしれない。そんな中での諸々のもどかしさのようなものが、なんとなくほどけていく感じにほっとする。(男性 40代)


「しゃべる」って素敵な事だなと感じさせてくれた今作。思っていることを上手く言葉に出来なかったり、マニュアルの無い会話が苦手だったり、人と会話することに緊張してしまったり、そういった悩みを持つ人って少なくないと思うんです。そんな人が今作を見ると、ありのままで自然体でいいんだなと安心させてくれるし、緊張したって失敗したっていいんだと勇気づけられるのではないでしょうか。
全体的にとても優しくてほっこりできる作品です。ゆずの音楽がとてもマッチしていました。(女性 30代)

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