映画『女と男の観覧車』の概要:コニーアイランドで働きながら暮らすジニーとハンプティの元に、ハンプティの娘・キャロライナがやってきた。ギャングに追われているという彼女をかくまうことになったのだが、それはとんでもない結末の始まりだった。
映画『女と男の観覧車』の作品情報
上映時間:101分
ジャンル:サスペンス
監督:ウディ・アレン
キャスト:ジム・ベルーシ、ジュノー・テンプル、ジャスティン・ティンバーレイク、ケイト・ウィンスレット etc
映画『女と男の観覧車』の登場人物(キャスト)
- ジニー(ケイト・ウィンスレット)
- コニーアイランドでウェイトレスの仕事をするハンプティの妻。前夫との間の連れ子リッチーがいる。うるさくて安っぽいコニーアイランドから出ていきたくてしょうがない。若い時は女優をしていたことから、自分はこんなところにいてはいけない人間なんだと考えている。ミッキーと不倫しており、彼に連れだしてもらいたいと思っている。
- ミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)
- 劇作家を目指しているプールの監視員。ジニーと出会い不倫を始める。だが、キャロライナが現れたことで彼女に一目惚れし、気持ちがぐらついてしまう。
- キャロライナ(ジュノー・テンプル)
- ハンプティの娘。絶縁状態だったが、ギャングの夫の情報を警察に喋ったため、手下に追われて仕方なくハンプティを訪ねてきた。若く、可愛らしい容姿から、男たちからよく声をかけられる。ミッキーに気がある。
- ハンプティ(ジム・ベルーシ)
- ジニーの夫でキャロライナの父。酔うと暴力的になるが、ジニーのために禁酒している。キャロライナとは絶縁していたが、一緒に暮らすうちに大事に思い始め、真っ当な生活をさせてやりたいと考え始める。
映画『女と男の観覧車』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『女と男の観覧車』のあらすじ【起】
1950年代のコニーアイランドは、開園当時の輝きは消え失せ、古臭いばかりの遊園地になっていた。そこで働くハンプティと妻のジニーのところに、ハンプティが前妻との間に作った娘・キャロライナが突然に姿を現す。
キャロライナは若くしてギャングの男・フランクと結婚したため、ハンプティは怒り、絶縁していた。キャロライナはFBIにフランクの組織の情報を話してしまったという。そのせいで、彼女はギャングに追われ、命を狙われていた。ハンプティと仲が悪いことはフランクも知っているので、ここまでは追ってこないはず。彼女はそう言うと、しばらくかくまってくれないかと頼ってくる。面倒はごめんだったが、絶縁したとは言え娘だ。ハンプティは仕方なく家に置くことにした。
ジニーは若い時は女優だったが、成功することはできなかった。騒がしく安っぽいコニーアイランドから早く出ていきたいと思っていた。ビーチの監視員のミッキーと不倫していたが、これが初めてという訳でもなかった。最初の夫の時も不倫しており、それが原因で夫は自殺した。ジニーは夫が亡くなった後、初めて真実の愛だったことに気がついたという。酒に溺れて、女優業も失業となった時、ハンプティと出会い立ち直ることができたのだが、ハンプティには愛を感じられず、心から愛せる人が現れるのを待ち望んでいたのだった。そんな時にミッキーと出会ったのだから、夢中にならないはずがない。
映画『女と男の観覧車』のあらすじ【承】
来ないと言っていたのに、キャロライナを探してギャングたちがやってきた。だが、ハンプティもジニーも上手くごまかして事なきを得る。ハンプティは娘を真っ当な仕事につけてやりたくて、夜学に通わせだした。自分たちにはほとんど金を使わないのに、娘は特別なのかと感じてジニーは面白くない。
ジニーはミッキーと新しい生活を始めたかった。だが、ミッキーは次第にキャロライナと親しくなっていく。ジニーは片頭痛持ちだったが、ミッキーといる時はそれを感じていなかった。だが、片頭痛は再発し、以前よりも痛み出してきた。
40歳となったジニーは、ハンプティたちからお祝いされる。ミッキーと過ごせないことを残念に思っていたが、そこへキャロライナが相談したいと言ってきた。それは、ミッキーが私を好きなようなので、どうしたらいいかというものだった。ジニーは仰天する。真実は当然言えないし、かと言って取られたくもない。ジニーはミッキーの悪口を言うと、婚約者がいるので諦めたほうがいいと嘘をついた。
映画『女と男の観覧車』のあらすじ【転】
ジニーにはリッチーという前夫との男の子がいたが、放火癖があった。そのせいで、分析医に通わなくてはならなくなる。お金が出してほしいとハンプティに言うが、キャロライナに使いたいのでダメだと言われ、二人の仲は険悪になっていく。
ミッキーに誕生日プレゼントをもらって喜ぶが、キャロライナとの仲を怪しんで、すぐに機嫌を悪くし、ムードを壊してしまうジニー。ミッキーはジニーとキャロライナ、どちらを選ぶか迷い、頭の良い友人に相談。詳細を話すと、彼はジニーの方が合っていると答えを出した。迷いが吹っ切れたミッキーだったが、そこにキャロライナが現れ、ピザを食べに行こうと誘いをかけてきた。
ジニーはハンプティか隠していた金を盗むと、その金でミッキーの誕生日プレゼントに高価な時計を買った。時計を見たミッキーは驚き、そんな高価な物は受け取れないと断る。どうしてだと喚くジニーに、今の君は愛せないと告げるミッキー。キャロライナのせいだと怒りだしたジニーは時計を投げ捨てると、足早に去って行ってしまった。
家に戻ると、ハンプティがリッチーを捕まえ、金を盗んだなと責めていた。ジニーは金を盗んだのは自分だと告白。リッチーの治療費を払いたかったのだと嘘をついた。そこにキャロライナが財布を取りに戻ってきた。これからミッキーとピザを食べに行くと知り、ジニーは愕然とする。
映画『女と男の観覧車』の結末・ラスト(ネタバレ)
憂鬱な気持ちを抱えながら、仕事場へと向かったジニーは、いつぞやのギャングたちを見かけて驚く。彼らと何の話をしたのかと従業員に尋ねると、キャロライナを探していたから、デートでピザを食べに行ったと教えたという。キャロライナの身に危険が迫っていた。ジニーは大急ぎで公衆電話からピザ屋に電話するが、ふと恐ろしい考えが頭に浮かんでしまった。電話は、危険を伝える前に切れてしまった。
ピザを食べ終わったキャロライナに、ミッキーは告白した。キャロライナに一目惚れしたことと、ジニーと不倫していることをだ。それを聞いたキャロライナはいろいろとショックを受けてしまう。店を出た彼女は、少し一人で歩いて考えを整理したいと言う。店の前で二人は別れたが、キャロライナの後をギャングの車が静かについていった。
翌朝になってもキャロライナは戻らなかった。心配したハンプティはミッキーに事情を聴きに行くが、彼は何も知らなかった。ハンプティは長いこと禁酒していたが、不安に勝てず、思わず酒を煽り、酒場へと向かっていく。
一人残されたジニーの所に、ミッキーがやってきた。ミッキーは方々で情報収集した結果、ジニーが仕出かしたことに気がついていた。君のせいで彼女は死んだ、何も感じないのかと問いつめるミッキー。ジニーはナイフを持ってくると、だったらギリシア神話のように私を殺してみる? と、ミッキーに突き出した。彼は何も言わず去っていった。
最悪の結末になり、ジニーは今まで以上に無気力になってしまった。それを見たハンプティは心配になり、俺を捨てて出ていかないよな、今までのように支えてくれと彼女に囁いた。ジニーは何も答えなかったが、今まで通りコニーアイランドからは出られず、これからも同じ生活が続いていくことだけは分かっていた。
映画『女と男の観覧車』の感想・評価・レビュー
ケイト・ウィンスレットのものすごい演技力が堪能できる作品。観覧車になぞらえたストーリー展開も面白い。ジニーはミッキーと浮気して、今までとは違う景色に夢中になる。まるで観覧車がてっぺんまで回ったように。しかし、映画が終わってみれば、彼女は以前と何も変わらない日常に戻っており、コニーアイランドからも抜け出せない。同じ場所をグルグルと回る観覧車のように。ジニーが幸せになれないのが浮気の戒めのようで興味深いが、彼女は懲りずに再び浮気し、観覧車のように堂々巡りするのかも。人生なんて、女と男なんてそんなものかもしれない。(MIHOシネマ編集部)
中年女性ジニーの必死のあがきが痛々しく、凄まじいです。しかし、過去の栄光に縋ったり、若い男と恋するさまはいかにも人間らしくて憎めませんでした。ケイト・ウィンスレットの演技に迫力を感じました。ビーチに隣接する遊園地、遊歩道、海などロケーションが余りにも美しすぎるのに対して、人間関係が複雑で醜いところがギャップとなり魅了されます。ノスタルジックな音楽や光の加減が、独自の世界観を確立しているように思いました。(女性 30代)
とても複雑な親子の関係を描いた今作。親子であり母娘ではありながらも、「女」という事に変わりは無くそのせいで「幸せ」になれなかった人達のストーリーはとても悲しく、切ないものでした。
娘と不倫相手どちらを選ぶかと聞かれたら、ほとんどの人が「娘」を選ぶでしょう。しかし、「女」であるが故に間違った決断も「正しい」と思ってしまい、誰も幸せになれない展開は胸が苦しくなりました。(女性 30代)
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