映画『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ』の概要:かつて大きな争いが起きた地を救った者がいた。その名はアーロンという。後に波導の勇者と称えられる青年だ。彼は従者だったルカリオを突然杖の中に封印し、単身で世界を救った。ルカリオは彼に捨てられたのだと杖の中で何年もの時を過ごしていたのだが……。
映画『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:アニメ、ファンタジー、アドベンチャー
監督:湯山邦彦
キャスト:松本梨香、大谷育江、うえだゆうじ、KAORI. etc
映画『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ』の登場人物(キャスト)
- サトシ(松本梨香)
- シリーズ通してのレギュラー主人公。相棒でお馴染みのピカチュウと共に、ポケモンマスターとなるため旅を続ける少年。
- タケシ(うえだゆうじ)
- シリーズを通して登場するメインメンバー。ポケモンブリーダーを目指している。お姉さんが大好き。
- ハルカ(KAORI)
- シリーズ2作目のヒロイン。ジムリーダーと呼ばれるポケモン事務の責任者の娘でもあり、ポケモンコーディネーター。口癖は語尾の「~かも」。
- マサト(山田ふしぎ)
- 眼鏡がトレードマークのハルカの弟。無邪気で心優しい少年。最初は心を開かないルカリオにもチョコレートを分けてあげるなどの姿を見せた。
- ムサシ(林原めぐみ)
- サトシのピカチュウを狙うロケット団の女性。ややドジで憎めない悪役ぶりは健在。今回も沢山のポケモンをゲットしようと目論む。
- コジロウ(三木眞一郎)
- 同じくロケット団で、ムサシの相棒。端正な顔立ちだが、間の抜けたところも多い。
- ピカチュウ(大谷育江)
- もはやお馴染みの電気ネズミのポケモン。サトシの良き相棒で、同時に友達でもある。頬袋から電気を発して攻撃する。人語は話せないが、彼の言う「ピカピ」は「サトシ」と言っているようで、本作でも口にする場面が多く見られる。
- ニャース(犬山イヌコ)
- ロケット団でムサシ、コジロウと組むポケモン。人間語を話す唯一のポケモンで、ポケモンの話している言葉も人間の話している言葉もどちらも理解できる。
- アーロン(山寺宏一)
- 数百年前、女王リーンに仕えていたという波導の勇者。国を揺るがす戦争を止めた伝説の人物とされている。従者のポケモン、ルカリオに絶対の信頼を寄せており、ルカリオもまた彼に忠誠を尽くしていたが、戦いを止めに行く前に彼はルカリオを自身の持っていた杖の中へと封印してしまう。
- ルカリオ(浪川大輔)
- アーロンに仕えるポケモン。波導の力を使いこなし、視界が見えなくても敵を察知することができる。アーロンに忠誠を誓っていたが、突如封印されたことから「自分は彼に捨てられた」のだと傷心する。杖の中で何百年もの間封印され続けていたのだが……。ちなみにテレパシーを通じてサトシ達人間とは会話が可能。
- ミュウ(こおろぎさとみ)
- 既に絶滅したポケモンとされていた種族。無邪気な性格で、様々なポケモンに姿を変えられる。ピカチュウ達と遊びたかったために、彼らを自分の住処へ連れていってしまう。
- キッドサマーズ(ベッキー)
- 大胆な行動が目立つ、女性冒険家。世界規模で有名らしい。お嬢様育ちのようだが、その行動は豪快で活発。彼女の執事であるバンクスは相棒であり、通信機を通じて情報を提供してくれる。
- アイリーン(菊池桃子)
- サトシらの訪れる王国の王女で、オルドラン城の城主。慈愛に満ちた優しい性格から国民からも好かれている。かつてアーロンが仕えていた王女、リーンの子孫であり顔もほとんど同じのためかルカリオにリーンと間違われる。
映画『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ』のあらすじ【起】
はるか昔、モンスターボールが存在しなかった時代……荒野の中を二足で駆けるポケモンがいた。その名はルカリオ。「波導」という力を使い、視界に頼らなくとも敵の動きを察知することができる。ルカリオは多くの敵の軍勢が近づいてくるのを波導で察知しオルドラン城にいる主人、アーロンにクリスタルを通じて大量の敵勢が接近してきていることを知らせる。ルカリオも城へ向かうまでピンチに陥る。ルカリオを待っていたのはヘルガーという名の番犬にも似たポケモン3匹。砂をかけられ視界を奪われたルカリオだったが、波導の力により難なくそれをかわす。
一方、オルドラン城では王女のリーンが「私はここを離れるわけには行けません。城と運命を共にします」と呟き、アーロンは鳥ポケモンのピジョットを呼びつけそれに飛び乗った。敵軍の攻撃を避けながらアーロンはやがて辿り着いた先でルカリオと合流する。ルカリオはアーロンの元へ近づこうとするがすかさずアーロンがそれを止めた――「自分は城を捨てた人間だ。2度とあの城に戻ることはない」。そう言って立ち去ろうとするアーロンを追いかけるルカリオだったが、アーロンの投げた杖の中、嵌まっていたクリスタルの中にルカリオの身体は吸収される。「何故ですか」とルカリオの疑問に答えることはなく、彼の魂は杖の中に封じられることとなった。城を目指して向かって来る大勢のポケモン達の戦いが地上で始まっていた。アーロンを乗せて行ったピジョットはルカリオの魂の入った杖を咥えたままリーンの元へと戻りそれを手渡した。地上では人間同士、そしてポケモン同士による争いが熾烈さを増していたがリーンは戦場に差す緑の光を目にする。それはアーロンが伝説のポケモンである、ミュウが住むという「世界の始まりの樹」の力を使ったんだろうと――。「それから?」と急かす子供の声に、絵本のページを捲りながら「地上を覆っていた憎しみと怒りは静まりました。ポケモン達はそれぞれの場所へと帰って行きました。そして再び、この地には平和が訪れたのです。そしてアーロンは波導の勇者と呼ばれるようになりました……」。
そんな伝説のあるオルドラン城へとやってきたのはポケモンマスターを目指して旅をしているサトシとその相棒ピカチュウ。仲間で同じくポケモントレーナーのハルカ、マサト、タケシ。この城で開かれる波導の勇者アーロンを称える祭りに参加しに来たのだった。城内にて行われるポケモンバトルに優勝すればその年の波導の勇者として称えられるそうだ。一行は、城内で貸し出ししてくれるドレスで仮装し早速バトルへ向かうが、その裏ではロケット団がちゃっかりと城内に侵入していた。
映画『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ』のあらすじ【承】
城では王女のアイリーンが開催の言葉を捧げ、ポケモンバトルが始まった。優勝したのはサトシとピカチュウのタッグ。そんな2人を素直に褒め称えるのは、最後のバトルの相手となったキッドサマーズという女性だった。そして、先程から何故かころころとその場によって姿を自在に変えるポケモンがおり、ピカチュウの元へとやってくると一緒に喜ぶのだった。ちなみに現在はエイパムという名のポケモンの姿をしている。
かくして優勝したサトシに贈られたのは、波導の勇者としての証である杖だった。アイリーンから杖を受け取った瞬間、サトシは謎の声を聞くが周囲にその声の主はいない。その後、ディナーと共にダンスパーティーが始まった。ピカチュウ含むサトシの手持ちポケモンと、ハルカの手持ちポケモンらは先程のエイパムに連れられ会場を抜け出しどこかへ遊びに行ってしまう。更にはタケシとダンスを踊っていたキッドも、こっそりと誰かと通信で会話している。城内の見取り図を通信相手に送ってもらうなり、キッドはドレスを脱ぎ捨て諜報員のような姿のまま城を飛び出していった。ピカチュウらの後を追いかけていたロケット団のニャースはそんなキッドを怪しみ後を追いかけていくが、勢い余って窓から滑り落ちてしまう。ピカチュウ達はエイパムに連れられ屋根裏まで来ると、そこにあった玩具で遊び始める。エイパムはまた姿を変え、次はピカチュウに変化してピカチュウを驚かせる。そんな中、先程滑ったニャースがピカチュウ達の前に落下してくる。驚きのあまり、ピカチュウの姿をしていたモンスターはとうとう真の姿である「ミュウ」に変化した。キッドは屋根を伝い何かを探しているようで、その目的はどうやらミュウ探しのようだ。屋根から様子を伺っていたキッドだったが、手持ちポケモンであるマニューラ2匹をぶつけミュウ捕獲に乗り出そうとする。突如襲ってきたマニューラ達の手によりそこにいたポケモン達のほとんどが氷漬けにされ、残されたピカチュウが何とかミュウを守り抜こうとする。こっそりと後をつけてきていたマサトとそれから戦いの行き先を見守っていたキッドは、ミュウがピカチュウらと瞬間移動するのを目撃してしまう。ニャースとピカチュウを乗せ、ミュウは鳥型ポケモンのピジョットに変化すると2匹を乗せ飛び立ってしまった。マサトが慌てて室内へと飛び込み、凍らされているポケモン達と合流するのだった。
サトシがダンスの会場で例の杖を持っていると、再び杖の中から声がした。最初こそ聞き間違いかと思ったがやはり杖の宝石から何かの気配を感じる。パーティーも終盤になり、サトシは波導の勇者のポーズで杖を掲げると、宝石が激しく輝き出し中からかつて封印されていたルカリオが召喚された。ルカリオは波導の赴くままサトシをアーロンだと思い込み、テレパシーで「何故、城を捨てたんですか!?」と呼びかける。サトシがどういう意味なのか聞き返すと目を開いたルカリオは彼がアーロンではない事実に驚愕する。そしてそのままどこかへと姿を消してしまう。あれは何だ、と驚くサトシにアイリーンは「ルカリオ……アーロンの従者だったポケモンです」と説明する。ルカリオは事態を飲み込み切れないまま城の外を歩き回り、かつてアーロンと共に修行をしたという塔の中へと進んでいく。中は当時とすっかり変わっており、ルカリオはまだ驚きを隠しきれない。そこへやってきたのはアイリーンとサトシ達だった。ルカリオはアイリーンを見るなり「リーン様!」と喜ぶがアイリーンは「わたくしはリーンではありません。私はアイリーン、リーン様は私の先祖なのです。あなたは長い間ずっと眠りに就いていたのですよ」と告げ、ルカリオは信じがたいものでも見るような目つきで只立ち尽くすのだった。
映画『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ』のあらすじ【転】
玉座のある部屋で全てを話すようアイリーンに説明を求められるルカリオ。ルカリオ曰く、2つの軍勢が城目掛けて襲い掛かってきており、ルカリオは戦場に偵察へ向かったが戦いを止める術はもうなかったのだという。伝説ではその後、アーロンが戦いと止めたとなっているが、ルカリオが見たのは彼が「城を捨てた」という発言と共にルカリオを杖の中に封印したという姿だ。今となっては真実は分からないが、ルカリオ曰くサトシの波導はアーロンのものと同じだったらしい。そんな中、こっそりとその様子を覗き込んでいたロケット団のムサシとコジロウはルカリオをゲットしたいと目を輝かせるが、続けざま飛び込んできたマサトの報告に驚いてしまう。マサトが大慌てで「ミュウが現れてピカチュウとニャースを連れて行った」と言えば、この城でミュウに出会えるのは幸運なことらしい。更には先程のキッドも目撃者として加わり、マサトの言葉が真実だということが判明する。サトシがピカチュウを探しに行くためにミュウの居場所をアイリーンに尋ねる。ミュウが住んでいるのは城から見える巨大な岩山、「世界の始まりの樹」という場所らしい。ただしミュウは姿をころころ変えるために探し出すのは困難だそう。しかし波導の力を持つルカリオなら真実の姿を見極められるだろう、とアイリーンはサトシの援助を命じる。更にキッドもメンバーとして加わり、ミュウを追うことが決定する。早速、霧深い岩山の中をキッドの車に乗りながらルカリオの波導で案内してもらうことになった。
一方、世界の始まりの樹の内部ではミュウが心配そうにピカチュウの周囲を飛び回っている。ニャースが「そのうち目を覚ますニャ」とミュウが盗んできた玩具の山に目を通しているうちに本当に目を覚ますピカチュウ。ミュウは嬉しそうにまた遊びたがるが、ニャースが突如背後にあった樹の中に吸い込まれてしまう。それを追いかけてピカチュウもミュウも樹の内部に飛び込むと、シャボン玉のような物体に乗ってそのまま上昇してしまう。樹を抜けると樹のてっぺんにまでやってきたようで「絶景なのニャ」と感激するニャースとピカチュウとミュウ。
その頃サトシ達は途中で見つけた温泉に立ち寄っていた。飽くまでもこれはアイリーンからの命令だから、とその場に馴染もうとしないルカリオに一緒に入るよう呼びかけるサトシだがルカリオは無視して背を向けてしまう。そんな中、ハルカが不思議な花を見つけサトシがそれを摘んでくる。サトシがそれを持つと、事前の行動がその場に映像となって再生され、一同は驚く。キッド曰くこの花は「時間の花」と言い、波導使いに時の奇跡を見せてくれるのだと言う。サトシの持っていた波導の力によりその奇跡が起きたのだろうとキッドは話す。
その晩、キャンプをしている時にサトシはピカチュウとの初めての出会いについて皆に話し、それ以来ピカチュウのことを信じていると言う。その場から少し離れて聞いていたルカリオは「信じている」の言葉に、自分とアーロンの関係を重ね卑屈になったように「何が信じている、だ。お前も都合が悪くなったらピカチュウを捨てるかもしれない」と吐き捨てる。怒ったサトシが「大体勇者と呼ばれる人が自分のポケモンを捨てたりしない。お前が嘘をついているんじゃないのか」と反論すると、ルカリオは更に「ピカチュウの方がお前のような愚かな主人に嫌気が差して逃げ出したのかもしれない」と言い捨てる。遂には、その言葉に激高したサトシと取っ組み合いの喧嘩にまで発展してしまう。
その頃ピカチュウ達は相変わらずミュウ達と遊んでいたが、そろそろサトシ達の元へ帰りたそうにしているピカチュウ。ミュウはもっと遊びたそうに玩具を更に持ってくるが、ピカチュウは心配そうだ。ニャースは「朝まで待てばいいのニャ」と呑気にあくびをする。
映画『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ』の結末・ラスト(ネタバレ)
翌日、ピカチュウを探しに再び出発する一行だがルカリオは途中で進行を止めてしまった。降りて何があったのか尋ねるサトシだったが、ルカリオは「私はここで封印された」と過去を思い出し悲しみに暮れているのだった。悲しそうにその場に崩れるルカリオの波導に反応し、時の花が過去の映像を映し出す。杖の中に封印されたルカリオの姿を見て、彼の言葉に嘘がなかった事実と、昨晩彼と口論になった際に自分が吐いた言葉を思い出し打ちのめされるサトシ。過去の回想はまだ続き、ルカリオが杖に封印された直後に大量のポケモンの軍勢が押し寄せて来る。それは全て幻であったがあまりのその脅威に怯えてハルカにしがみつくマサト。映像が途切れた後、マサトは「もしかしたらアーロンはルカリオを今の軍勢から守るために封印したのかもしれない」と言い、一同もそれに肩を竦める。一方、サトシはルカリオに昨晩ぶつけてしまった言葉を詫びに行き、静かに涙する。ルカリオは「サトシ、お前は絶対にピカチュウを捨てるなよ」と強く言い放った。直後、ルカリオが何かの気配を感じ取りサトシを掴みその場から飛び下がった。上空から降ってきたのは巨大な岩のような形をしたポケモン・レジロックだった。世界の始まりの樹の番人をしているレジロックはサトシ達を侵入者だと見なしているようだ。すかさずルカリオが攻撃を放ちその場を凌ぎ、逃げ道へと一同を導く。レジロックは穴を掘りサトシ達を追いかける。キッドの車に乗ってこっそりついてきていたムサシとコジロウも思わずトランクから飛び出してしまう。
逃げ出した一同は何とか世界の始まりの樹の真下に入ることができ、サトシは上にいるのであろうピカチュウを探して走り出す。一同もそれについていくが、遅れてついてきたムサシとコジロウの前に先程のレジロックが姿を現した。キッドは通信相手で相棒のバンクスにデータを流し、世界の始まりの樹についての情報を得る。岩山自体が生きているというこの樹の内部は、自然が創り出した鉱物の生命体らしい。そして光をエネルギーとして何万年も生き続けてきたそうだ。一足先に洞窟の外へと飛び出したサトシとルカリオだったが、サトシはピカチュウの声を聞いて思わず駆けだした。するとそこへ姿を見せたのは先程のレジロックの別タイプのポケモン・レジアイスだった。レジアイスは冷気による攻撃を放ちサトシ達に襲い掛かってくる。引き返すより他なくなり、ルカリオの探し出した逃げ道に何とか駆け込む一同。その先で同じくレジロックから逃げていたムサシとコジロウに遭遇し、更には仲間のレジスチルまで加わっていることを知り慌てて逃げ出す一同。ルカリオの波導による攻撃のお陰で、何とか無事逃げ出すことができたものの、また別の脅威が樹全体を覆い始めていた。先に逃げていたムサシとコジロウだったが、洞窟内に溢れ出したアメーバ状の物体が突如出現し、ムサシが飲み込まれてしまう。彼女を助けようとしたコジロウもアメーバに包まれ、コジロウは手持ちのポケモンだけでも何とか逃がそうとし、そのまま吸い込まれてしまう。キッドがバンクスにこれは何なのかと尋ねると、樹を守る白血球のような存在だという。体内に入り込んだ菌だと見なし、サトシ達を排除しようとしているらしい。すなわち、この樹そのものが生きているという証拠でもあった。番人のレジロック達も追いついてきてしまい、再び逃走する一行だったがルカリオがキッドを庇いアメーバに飲み込まれそうになる。しかいし、ポケモンは菌ではないようでルカリオは無事に解放される。やがて拓けた場所に出ると、サトシはここでレジポケモン達を引き付けると言う。残りのメンバーはキッドに任せ、別の道から逃亡してもらうことにする。ルカリオは「お前がピカチュウと会えるまで一緒にいる」と言い共にサトシと戦うことを決意する。ピカチュウ、ミュウ、ニャースもサトシ達の気配を察知したのか彼らの元へと動き始めていた。
一方、キッド達は追ってきたアメーバに囲まれてしまいマサト、ハルカ、タケシが次々飲み込まれていく。手持ちのポケモンだけでも何とか逃がすものの残されたのはキッドだけになってしまった。ピカチュウとサトシは無事に再会を果たし、ミュウとニャースもその後を追ってくる。キッドも追いついたが、ハルカらは既にアメーバに飲まれてしまったことを報告し、逃避行を再開する。キッドがバンクスからの情報で脱出口を見つけ出したものの、レジポケモン達が先回りしており、遂にキッドもサトシも例のアメーバによって飲み込まれてしまうのであった。ピカチュウが涙を流しながらサトシのいなくなった地を見つめていると、ミュウがやってくる。ミュウは不思議な力を使い、樹に吸い込まれてしまったハルカ達を再び蘇らせた。サトシとキッドも無事戻ってくることができ、ピカチュウと抱き合う。ニャース曰く、「ミュウがサトシ達は菌じゃないと樹に教えてくれたみたいニャ」と解説するとキッドは「この樹とミュウは共生関係にあるみたいね」と納得する。レジポケモンらもそれを受け入れたのか引き下がっていく。しかし喜び合っているのも束の間、ミュウがその場にぐったりと倒れてしまう。やがて樹が崩壊を始め、何があったのかとキッドがバンクスに尋ねる。バンクス曰く、急激な免疫活動により何らかのダメージを受けたのかもしれないとのこと。このままエネルギーの流れが止まれば樹そのものが滅びてしまう。その時、ミュウがよろよろと起き上がり、サトシ達を先にある場所へと案内する。そこに落ちていたのはアーロンの手袋で、ルカリオはそれを見つけ駆け寄った。ルカリオがその場で手をかざすと、アーロンのエネルギーを感じ取る。キッドはそれを見て推測する。彼はルカリオを封印した後、単身でここへ来たのだろう、そしてここは樹の心臓部分に違いないと。サトシは時間の花を見つけ、過去の映像を再生する。そこには全ての真実が残されていた。アーロンはこの部屋でミュウに出会い、自分の命と波導の力と引き換えにしてミュウに全てを捧げた。そのエネルギーによって戦いを鎮めることができたのだった。真実を知り、今まで自分が捨てられていたと思っていたルカリオは思わず目を伏せる。ミュウがそんなルカリオの元へと飛んでくると、波導の力を自分に与えるように訴える。ルカリオは迷いなくその力を捧げようとするが、すなわちそれはアーロンと同じ運命を辿るということであった。それでも構わないとルカリオは波導の力を差し出そうとする。しかし、ルカリオの力だけでは足りない。アーロンの波導と同じだというサトシが駆けてきて、アーロンの手袋を拾い自分も力を貸すと言う。キッドが止めに入るが、サトシは「今俺がやらなきゃ、樹が崩壊して多くのポケモンが死んでしまう」とルカリオと共に力を捧げる。やがてミュウが生命力を取り戻し始めた矢先、ルカリオはサトシを突き飛ばし「後は私がやる」と残りの波導を全てミュウへと与える。エネルギーを取り戻したミュウは、再び樹を蘇らせ崩壊を止めてみせた。バンクスから「樹に生体反応が戻り始めた」と報告を受けたキッドだったが「ここで見たことは全部公開しないようにするわ」と微笑む。しかし、力を使い果たしたルカリオはその場に倒れ込む。駆け寄るサトシ達だったが、傍に咲いていた時間の花が過去の映像を映し始める。同じようにアーロンは力を使い果たし倒れ、そしてルカリオへ詫びの言葉を述べた――「あの時封印しなければお前は私についてきて、一緒に運命を共にしようとするだろう。無益な戦いで命を失うのは私だけでいいんだ。だが悔いはない、あの城でお前やリーン様と過ごせた日々があったのだから……最後にもう一度お前に会いたい、ルカリオ。我が友よ」。そしてルカリオはアーロンに対して抱いていた誤解を改めて知り、涙を流す。自分は愚かだったというルカリオにサトシは「そんなことはない。お前は立派な波導の勇者だ」とその手を握るが、ルカリオに残された命はもう残り少なかった。アーロンと同じようにその力が尽きていくルカリオだったが、「自分はアーロン様の元に戻るだけだ」と最後に言葉を残し、微笑みながら消えてゆき、その魂は樹の上空へと消えてゆくのだった。
樹から無事脱出したサトシ達はハルカらと再会する。ルカリオがいないことを尋ねられ、サトシは「友達のいる場所に帰ったよ」と微笑み、空を見上げるのだった。
映画『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ』の感想・評価・レビュー
小学生時代に夢中になるもいつの間にか離れ、そして大人になってから再び手に取ったポケモン映画であった。子供向けだと侮るなかれ、主人に裏切られたとばかり思いこんでいたルカリオの揺れ動く葛藤や孤独が向かう先にある真実には、王道な展開だけどやはり涙してしまう。むしろ大人になってから鑑賞した方が、ルカリオの背負っている業に痺れてしまい、一層グッとくるかもしれない。気付くと鑑賞後、ゲームをついやり直してしまう自分がいるのであった。(MIHOシネマ編集部)
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