映画『コンプライアンス 服従の心理』の概要:2012年に公開されたアメリカ映画で、2004年に起こった「ストリップサーチいたずら電話詐欺事件」をモデルにした作品。監督はクレイグ・ゾベル、主演はアン・ダウド。
映画『コンプライアンス 服従の心理』 作品情報
- 製作年:2012年
- 上映時間:90分
- ジャンル:サスペンス
- 監督:クレイグ・ゾベル
- キャスト:アン・ダウド、ドリーマ・ウォーカー、パット・ヒーリー、ビル・キャンプ etc
映画『コンプライアンス 服従の心理』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『コンプライアンス 服従の心理』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『コンプライアンス 服従の心理』のあらすじを紹介します。
実際にあった事件に基づいて作られた作品。
ファーストフード店の金曜の夜。
前日、冷蔵庫を閉め忘れたことから食材が品薄なのに加え、本社からの視察の可能性もあって、店長のサンドラはピリピリしていた。
そんな時、警察から1本の電話がかかってくる。
電話をしてきたダニエルズと名乗る警官が言うには、バイトのベッキーが、客の財布からお金を盗んだという。
彼女は無実の罪に困惑し、否定するが聞き入れられない。
お店に警察が向かうのでの間、ダニエルズが電話で指示すると言い、サンドラは承諾する。
そしてベッキーの身体検査を要求するダニエルズ。
電話で上手く丸め込まれ、サンドラとロジャー立会いの下、携帯やバッグを没収され、着衣を脱いでお金を隠していないか調べられるベッキー。
だが、下着まで脱いで調べるように命令される。
ベッキーは嫌がりながらも、留置所で一晩過ごすよりはマシだと我慢する。
ダニエルズはベッキーの兄が大きな事件に関わっていると言い、ベッキーにも関与の疑いがあるために、服を没収したまま監視しろと言う。
男性のケヴィンを見張り役にしたサンドラだったが、電話の内容から、彼は不当捜査だと反発。
他の見張り役が必要だが店員は手が離せなく、サンドラは婚約者のヴァンに任せる。
ダニエルズはヴァンに対し、警官とは思えない要求を始め、ベッキーは辱めを受ける。
いつまでたっても到着しない警察、捜査とは思えない要求、言いなりになったサンドラ。
そんな悪夢にも、終止符が打たれようとしていた。
本当の警察の捜査によって、連続して起こっていた1本の電話からの性的犯罪が明らかになった。
だが、サンドラが自分の非を認めることは無かった。
映画『コンプライアンス 服従の心理』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『コンプライアンス 服従の心理』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
本当にあった事件と銘打った映画の中でも良質な作品
実際にあった事件、事柄をモチーフにした映画は数多く作られているため、この作品も「実際にあった事件がモデル」という言葉に埋もれがち。
ストーリーや演出が良質なので惜しい。
同じような映画に「スタンフォード監獄実験」をモチーフにした作品があるが、本作は人間の心理状態を操った犯罪「ストリップサーチいたずら電話詐欺事件」がモチーフ。
警察と名乗った電話1本で、ファーストフード店の店員たちをコントロールし、店長としての責任や部下の管理に悩むサンドラを操るストーリーは引き込まれる。
前半部分ではダニエルズの姿を映さず、ベッキー(レベッカ)が本当に窃盗を行ったのではないかという可能性を見せておきながら、中盤から徐々に家宅捜索などしていない犯人の様子、そして完全に濡れ衣だという事が判明する演出には目を見張る。
効果音などを使わないことで、リアルな印象を与えることにも成功している。
また、ベッキーがレイプまがいのことをされるシーンを、あえて映像にしていないのも、気持ち悪さを増すことには成功している。
コントロールされたサンドラの怖さ
監視役を男性のケヴィンにしたとたん、ベッキーに対して性的行動を促すのには無理やりな印象を与え、電話の相手は警官ではないとバレバレ。
ストーリー展開として勿体無い。
また、何故ケヴィンがおかしいと発言しても取り合わなかったのに、年配者のハロルドが矛盾点を言ったとたん、サンドラたちが確認にまわる姿には無理がある。
ベッキーが監視カメラを見つめるシーンは意味深なのだが、結局何も無いというツッコミどころになっている。
また、いくら犯人にコントロールされているとはいえ、おだてられて笑い声を上げるサンドラの姿には嫌悪感を抱く。
ラストまで、自分は正しいと発言するサンドラの姿には、ゾッとさせられる。
ファーストフード店の控え室がメインになっていて、場面があまり変わらないのは飽きる。
代わりにレベッカの監視役と称された人物の入れ替わりで、飽きないように工夫してはいるものの、急に婚約者を監視役にするというサンドラの発想はツッコミどころになっている。
また、車に入れられたベッキーの服と荷物の行方、本社の監査を忘れたようなサンドラの振る舞いも謎だ。
見ず知らずの人間からかかってきた電話の声だけでこんなにも、洗脳されてしまうのかと驚いた今作。そもそも犯人の目的が何なのかよく分からないのですが、実話に基づくストーリーということで全てのシーンに気持ち悪さを感じました。
ベッキーとサンドラの元々の関係にも問題があったのかもしれませんが、最後まで非を認めないサンドラには呆れます。
モヤモヤした気持ちになりますが、リアリティを感じられて最後まで楽しめました。(女性 30代)
映画『コンプライアンス 服従の心理』 まとめ
かつて起こった犯罪を追及するテレビ番組などに登場しそうな、実際にあった事件の中でも特殊なケースをモデルにした作品。
1度はただの映画として楽しんで、どんな事件だったのか、どういった根拠があってこういったことになったかを知って、もう1度見たくなる映画。
セックス・アンド・ザ・シティなどに出演したベッキー役のドリーマ・ウォーカーの演技に加え、この作品で多くの賞を受賞したサンドラ役のアン・ダウドの演技はリアリティがあり、緊張感あるシーンで屈託無く笑う演技には驚いてしまう。
ラストシーンで「マインドコントロールされていたんだと思う。私は悪くない。」と、時折笑顔を見せつつ語るサンドラの姿には恐怖を覚える。
スタンフォード監獄実験をモチーフにしたドイツ映画「es」、そのハリウッドリメイク版「エクスペリメント」などが好きな場合は、特に世界観にのめり込んでしまう映画だ。
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