映画『es エス』の概要:1971年にアメリカの大学で実際に行われた、スタンフォード監獄実験をベースにしたドイツ映画。オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督、脚本には原作になった小説を執筆したマリオ・ジョルダーノも参加した。
映画『es エス』 作品情報
- 製作年:2001年
- 上映時間:119分
- ジャンル:サスペンス、ミステリー
- 監督:オリバー・ヒルシュビーゲル
- キャスト:モーリッツ・ブライブトロイ、クリスチャン・ベルケル、オリバー・ストコフスキー、ユストゥス・フォン・ドーナニー、ティモ・ディールケス etc…
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映画『es エス』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『es エス』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『es エス』のあらすじを紹介します。
「被験者求む」という新聞広告を見つけた、タクシー運転手のタレク。
報酬は高額で、実験内容は刑務所内での看守と囚人の深層心理を調べるもの。
タレクはタクシー運転手をしているが、休業中の記者でもあった。
高額な報酬に惹かれ、実験の内容を記事にするためにも実験に参加することにしたタレクは、超小型カメラを仕込んだメガネを持って大学へ向かう。
その前日、タレクは父親の死に落ち込む女性と出会い恋人同士になったのだが、何も告げずに実験に向かってしまっていた。
実験は看守役と囚人役にわけられ、楽しげに進んでいく。
だが、牛乳が飲めない囚人がきっかけで、看守と囚人の間に亀裂が入り始める。
看守は自分のプライドを守るために囚人に圧力をかけるようになり、やがて看守という立場に呑まれていく。
そして看守の反感を買っていたタレクは、監視カメラの無いところへいきなり連れて行かれ、暴力や屈辱的な行為を受ける。
他の囚人たちもストレスを与えられ、実験から逃げ出すものも出始めた。
助手と教授の間でも実験を中止するかしないかの話し合いがされたが、教授は実験を続けさせる。
やがて看守たちの暴動が始まる。
裏切り者とされた看守、実験の助手たちも囚人とされて拘束され、囚人のひとりは頭を強く殴られて縛られたまま、命を落としてしまう。
他の囚人たちも危険を感じ、脱走を開始。
やがて、実験は死者2名、重傷者3名という悲劇的な結末を迎えた。
出張中だった教授も怪我をし、責任問題を問われることになり、タレクを目の敵としていた看守役の一人は逮捕されるという、皮肉な結末だった。
映画『es エス』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『es エス』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
本当にあった実験を元にした気持ち悪さ
1971年、アメリカのスタンフォード大学で実際に行われた、スタンフォード大学実験。
その実験は人間性を否定するもので、開始からわずか6日で終了となりました。
そんな実験をベースにしたこの映画は、権力に溺れていく看守の心理が気持ち悪く描かれています。
主人公タレクは、ヒーローのような人物ではなく、騒動になれば面白い記事が書けると、わざと自分から問題を起こすトラブルメーカーです。
この実験が失敗したのは、タレクの責任なのでは?と思えるくらいです。
バリカンで頭を丸められたり、自分の服でトイレ掃除をさせられたり、最後は閉所恐怖症なのに真っ暗で狭い独房に入れられますが、それも自業自得としか言いようがありません。
ですが、看守役になった人たちが、規律を守らせるため、決まりを守らないから、と言いながら過激な行動を起こすのは、本当に後味が悪いです。
囚人役たちが、徐々に自分を失っていくのにもおぞましいものを感じ、その全てが表されているのが、被験者との面談を記録したテープです。
特にタレクを目の敵にしていたベルスは、逮捕されてパトカーに乗っているシーンでもまだ看守の目つきをしているので、いざ収監されて囚人になった時、どうなるかまで見たかったような思いもあります。
同室の囚人で、軍に報告するために潜入していたシュタインホフ少佐も、実験後は軍に戻ったのか、全員のその後を見たいと感じてしまいます。
おそらくは、全員カウンセリングを受けることになるのでしょうが、ラストシーンで海辺にたたずむタレクとドラ以外の、その後の生活などを、何らかの形で表現してほしかったです。
恋人ドラの謎のシーン
この映画ではタレクと恋人ドラとの謎のシーンが多々あります。
タレクの性格を明らかにするための伏線としての登場人物であり、実験施設での映像が続くだけでは変化に乏しいため、外の世界と監獄とを分けるための登場人物なのでしょう。
しかし、ドラのアップのみのシーンには全く意味がわからず、つまらなさも感じます。
タレクの夢や幻覚だとしても、見ている側は理解できません。
本作は、1971年にアメリカのスタンフォード大学で実施されたスタンフォード監獄実験を描いたドイツのサスペンスミステリー作品。
囚人役と監視側だけでなく、主催者側の視点からもストーリーを見ることができた。
そして、与えられた役割を全うしようとする登場人物それぞれの心理を感じることができ、恐ろしくも大変興味深かった。
集団心理や状況の力が人間の言動や思考に及ぼす影響が表現されていて、人間ほど怖いものはないのだと痛感した。(女性 20代)
「スタンフォード監獄実験」と言うあまりにも過激な実際に行われた実験をテーマにした今作。この実験の結果として「過激」と感じる内容になってしまいましたが、実験を始めた教授たちはどんな結果を望んでいたのでしょう。実験に参加した一般人を看守と囚人の2つのグループに分けただけなのに、看守役は看守らしく、囚人役は囚人らしく行動や性格まで変わってしまうのにはとても驚き、人間の浅はかさを感じました。
この実験について知ってはいましたが、この作品を見ると実際の出来事についてより深く知りたくなりました。(女性 30代)
映画『es エス』 まとめ
2001年にヨーロッパ映画賞の作品賞にノミネートされ、2010年にはアメリカでリメイクされた「es」。
リメイク版のタイトルは「エクスペリメント」です。
リメイク版にはほとんど登場しない、看守と囚人を観察する教授サイドの様子も、頻繁に出てくるのがこの作品です。
権力や立場を得た人間がどのような行動をし、どんな精神状態になるのかを観察するような実験なのですが、看守役と囚人役の演じ方がリアルすぎて、実験やってないよね?と確認したくなります。
メイキングを見れば演技なのがわかりますが。
なお、スタンフォード監獄実験は世間から大きな非難を浴びたことでも知られています。
実際に行われた実験では、怪我人や死者は出ていませんが、被験者全員が心に何らかの傷を負い、カウンセリングなどの治療が行われたといわれています。
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