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映画『羊と鋼の森』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『羊と鋼の森』の概要:ピアノの音に魅せられ、調律師としての道を目指す青年の成長を描く物語。日々ひたむきに仕事に向き合う主人公の外村が、周りの先輩や様々な顧客たち、調律師としての恩師・板鳥達との交流を通して調律師として大事なことを学んでいく日々が描かれる。

映画『羊と鋼の森』の作品情報

羊と鋼の森

製作年:2017年
上映時間:134分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:橋本光二郎
キャスト:山崎賢人、鈴木亮平、上白石萌音、上白石萌歌 etc

映画『羊と鋼の森』の登場人物(キャスト)

外村直樹(山崎賢人)
本作の主人公。高校生時代にたまたま出会った調律師・板鳥のピアノの音色に魅せられ、自分も調律師になることを目指す。素直な性格で常に勉強熱心に仕事に打ち込むことから周囲の助けを得て成長していく。
板鳥宗一郎(三浦友和)
江藤楽器店に所属する調律師。世界的に有名なピアニストの指名を受けるほどの一流調律師で、外村が壁に突き当たり悩むたび静かに暖かく導いていく。
柳伸二(鈴木亮平)
楽器店の先輩で、外村の教育係として仕事のいろはを指導していく。兄貴肌の性格で、すぐに難しい例え話をする。
佐倉和音(上白石萌音)
外村たちの顧客。大人しい性格で、ピアノの演奏も繊細で美しい。度々外村に調律を依頼し、親交を深めていく。
佐倉由仁(上白石萌歌)
和音の妹。姉と違って活発で明るい音色で演奏する。あるきっかけでピアノが弾けなくなってしまう。

映画『羊と鋼の森』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『羊と鋼の森』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『羊と鋼の森』のあらすじ【起】

主人公の外村直樹は、夢や将来やりたいことが無く、無気力に毎日を過ごしていた。
そんなある日、教師から来客への案内を頼まれる。その来客を体育館のピアノまで案内すると、突如森の中の景色をイメージさせるような澄んだピアノの音色が聞こえた。その来客とは調律師の板鳥宗一郎だった。

板鳥は上質な羊毛で作られたフェルトが鋼のピアノ線を打ち、音が作られることを説明する。そんな板鳥が紡ぎ出す音に故郷である北海道の自然を感じた外村は、たちまちピアノのの音の世界に魅入られ、調律師になることを目指す。

外村は上京して調律師の専門学校に入った。ピアノの仕組みや調律の基本的な理論やテクニックを学んで専門学校を卒業したのち、外村は地元の江藤楽器店という楽器屋に就職した。その楽器店とはまさに外村を調律の世界に引き込んだ板鳥が所属する店である。

調律師としての道を歩み始めた外村だったが、まだまだ右も左もわからない状態である。
早く一人前になりたいと奮起する外村に、板鳥は「急いではいけない。何事もコツコツと。」とアドバイスする。

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映画『羊と鋼の森』のあらすじ【承】

外村はまずは見習いとしてメモを片手に先輩調律師の柳伸二に付いて回り、様々な顧客への対応を学んでいった。柳は顧客との対話の中で求める音を見極め、ピアノを調律していくというやり方や実際の現場での調律作業のこなし方を外村に教える。

そんな中、外村が柳と共に訪れた佐倉家で二人の姉妹と出会った。姉の和音は大人しい性格で、静かな美しいピアノを弾く反面、妹の由仁は自由で明るい性格を反映したような音色だった。二人はそれぞれのスタイルを持っているがゆえにピアノに求める音色も違っており、外村は単純な技術とは別のピアノ調律の難しさを知ることになる。

ある日、外村は外回り中に由仁から声をかけられ、緊急のピアノの修理を頼まれる。その時ちょうど柳が私用で外していたため、外村は勝手に一人で仕事を受けてしまう。
結果的に姉妹からの要望に応えることができず、初めての挫折を味わう外村だったが、板鳥から励ましの言葉をもらい、気持ちを新たに努力を続ける。

映画『羊と鋼の森』のあらすじ【転】

それから、外村は一人で顧客の元を回れるようになり、ジャズバーの店主や引きこもりと思わしき青年の家など様々な経験を積み重ね、調律師としての仕事の価値や難しさを更に深く学んでいく。

佐倉家も引き続き担当していたが、ある日コンクールに参加中の由仁がイップスに陥ってピアノを弾けなくなったという知らせが届いた。外村はそれを聞き自分の調律のせいで由仁が引けなくなってしまったのだと自分を強く責めた。外村は、調律をあえて和音に合わせていたのであった。
そんな外村を柳は一喝した。ピアノの調律師一人の仕事でピアニストを変えてしまったなどとはおこがましい考えだと。

調律師としての進むべき道がわからなくなってしまった外村の元に、祖母の訃報が届いた。久々に実家に帰った外村だったが、そこで祖母が自分を高く評価してくれていたことや、弟は飄々とする兄にずっと羨ましいと思っていたことを知る。また、故郷の森を散策して懐かしい自然に触れたことで、自分の原風景を思い出した。

映画『羊と鋼の森』の結末・ラスト(ネタバレ)

外村は、大物ピアニストのコンサートチューナーに指名された板鳥の仕事を見学しに来た。
板鳥の調律によって飛躍するピアニストの演奏に圧倒される外村だったが、仕事を終えた板鳥は何も言葉を発さず、ただ自分の使っていた道具を外村に託すのであった。

ある日、外村のところに由仁がやってきた。彼女がピアノを弾けなくなったのは、実は演奏中にミスをしてしまったことが原因だった。由仁自身は立ち直りつつあるが、問題は由仁が弾けないことで和音までもがピアノから遠ざかっていることだった。

柳は、自分の結婚式の余興のピアノ演奏に和音を、そして会場のピアノの調律師として外村を指名した。和音がまたピアニストとしての道を歩めるよう外村は奮起する。リハーサルで外村の調律したピアノを弾くうちに和音のピアノへの情熱も蘇り、プロになることを決意する。そして、由仁もまた和音のために調律師になることを胸に決めた。

そして本番直前、外村は披露宴会場に人が入ると音色が変わってしまうことに気付いた。しかし、板鳥の仕事を見学した時のテクニックを応用し、見事再調整に成功する。
板鳥たちに成長を認められた外村は、改めて一流の調律師であるコンサートチューナーになることを決意したのであった。

映画『羊と鋼の森』の感想・評価・レビュー

作中で板鳥が調律師として目指すものとして「明るく静かに澄んで懐しい文体、少しは甘えてゐるやうでありながら、きびしく深いものを湛へてゐる文体、夢のやうに美しいが現実のやうにたしかな文体」という原民喜の文章が引用されていたが、まさにこの作品そのもののように感じた。ピアノや北海道の自然の静かで美しい様子や、作中で語られる仕事論が調律師だけでなく普遍的に当てはまることなど見所の多い作品である。(MIHOシネマ編集部)

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