映画『ブレンダンとケルズの秘密』の概要:9世紀・アイルランド。ケルズ修道院では院長の指示の下、バイキングの襲撃に備えて塀が建設されていた。そんな中、バイキングの襲撃から逃げてきた修道士・エイダンがやってくる。
映画『ブレンダンとケルズの秘密』の作品情報
上映時間:75分
ジャンル:アドベンチャー、アニメ
監督:トム・ムーア
キャスト:エヴァン・マクガイア、ブレンダン・グリーソン、クリステン・ムーニー、ミック・ラリー etc
#N/A
映画『ブレンダンとケルズの秘密』の登場人物(キャスト)
- ブレンダン(エヴァン・マクガイア)
- ケルズ修道院の修道士。少年。院長からは外は危険だと教えられており、外に出たことがない。
- アシュリン(クリステン・ムーニー)
- オオカミの妖精。白いオオカミの姿と、人間の少女のような姿に変身することができる。闇の住人クロム・クルアハに仲間と母を殺されている。
- エイダン(ミック・ラリー)
- アイオナ島に暮らす修道士。徳が高く賢明で最高の装飾師(写本師)。聖なる書「アイオナの書」の写生を行っている。
映画『ブレンダンとケルズの秘密』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブレンダンとケルズの秘密』のあらすじ【起】
9世紀・アイルランド。ブレンダンを始めとした仲間の修道士達は、写本用の羽を取るため逃げたガチョウを追いかけた。ガチョウから羽を数本毟ったとこで、院長が現れる。院長は明日砦の作業を行うよう指示した。バイキングの襲来に備え、ケルズ修道院の周囲には巨大な塀が建設されていた。修道士達は自分達が作業を行わなければならないことに不満を持っていたが、ブレンダンは皆を守ろうとしているのだと言って院長のことを庇った。
院長は砦の建設を手伝わない修道士に腹を立てていたが、修道士達は建設よりも写本の方が大事だと思っていた。本がなければ全ての知識は永遠に失われてしまうのだ。良い本を作るには、優れた師が必要だった。修道士達が優れた人物だと思っているのは、アイオナ島にいるエイダンだった。エイダンは徳が高く賢明で最高の装飾師(写本師)だった。
エイダンと猫のパンガ・ボンがケルズにやってきた。修道士達は喜ぶが、院長は厳しい表情でエイダンを別室に案内した。ブレンダはパンガを追いかけ、2人の会話を聞いてしまう。アイオナ島がバイキングに襲われ、エイダンは逃げてきたのだ。院長は砦を危機に晒したエイダンを責めた。エイダンは優れた装飾師だった院長が、砦の建設に心血を注いていることを嘆いた。そして、バイキングが襲撃して来れば、逃げるしか道がないことを教えた。だが、院長はエイダンの話に耳を貸さなかった。
映画『ブレンダンとケルズの秘密』のあらすじ【承】
砦の外に出たことがないブレンダンは、エイダンが写本した聖なる書「アイオナの書」に興味を示す。その本は天使が書いたのかと思うほど、美しかった。だが、写本は途中で終わっていた。エイダンは「アイオナの書」を完成させるため、インクの材料となる古いカシの木の実を集めるようブレンダンに頼んだ。
ブレンダンはエイダンに協力して書を完成させたいと思った。ブレンダンは木の実を採るため、院長の言いつけを破ってパンガと共に砦の外に出た。薄暗い森の中は怖く、カシの木がどれかも分からなかった。
ブレンダンはオオカミに襲われそうになるが、オオカミの妖精アシュリンに助けられる。ブレンダンは勝手に森の中に入ったことを謝罪し、木の実を探しに来たことを話した。アシュリンは木の実を探す代わりに、二度と森に来ないことを約束させた。
アシュリンは足が速く身軽だった。ブレンダンは必死に追いかけ、木を登った。だが、足を踏み外して落ちてしまう。アシュリンはブレンダンを助け、一緒に木を登った。その木にはチョウなどの多種多様な動物が生息していた。
ブレンダンは実を摘み取り、アシュリンの案内で帰ることになった。だが、アシュリンが目を離した隙に、闇の住人クロム・クルアハが暮らす嘆きの地に足を踏み入れてしまう。ブレンダンは子供を脅す作り話だと言ってアシュリンの忠告に耳を貸さなかった。だが、そこにクロム・クルアハが現れ、ブレンダンは襲われそうになる。アシュリンは近くにあった石像を倒してブレンダンを救った。
映画『ブレンダンとケルズの秘密』のあらすじ【転】
ブレンダンは砦の中に戻った。院長に出ていたことがバレてしまい、叱られてしまう。エイダンは作業室に連れて行かれるブレンダンを心配そうに見守った。その後、ブレンダンはエイダンに実を渡した。エイダンは早速実を使ってインクを作った。そして、ブレンダンに使わせた。
エイダンは目がよく見えなくなり、手が震えるようになっていた。書を完成させるのは無理だった。エイダンはブレンダンに装飾師としての素質を見出し、続きを書くよう頼んだ。ブレンダンは無理だと断るが、エイダンの意思は固かった。ブレンダンはその場を飛び出して逃げた。
塀に葉に包まれた木の実が置いてあった。置いたのはアシュリンだった。ブレンダンは森に行き、アシュリンと交流を深めた。その一方で、ブレンダンはエイダンの下に足繁く通った。エイダンは修道士コルンバの話をした。コルンバは300本以上の本を書いた人物で、優れた目を持っていた。コルンバは病床で、弟子にも同じ眼力が備わるよう祈った。すると、彼の遺体の手からクリスタルが落ちた。それがコルンバの「第3の目」だった。エイダンは細部を見るため、ブレンダンにクリスタルを渡そうとした。だが、紛失していた。
コルンバの目と呼ばれる前、クリスタルには別の名前があった。コルンバが倒した元の持ち主の名前だった。それは、クロム・クルアハだった。ブレンダンは森に行こうとするが、院長に見つかってしまう。院長はブレンダンを塔に閉じ込めた。
ブレンダンはアシュリンに助けられ、塔から逃げ出した。クリスタルを取りに行こうとしていることを話すと、アシュリンに止められる。アシュリンの仲間や母はクロム・クルアハに殺されていた。だが、ブレンダンは本を完成させるために成し遂げることを決意していた。アシュリンは闇の影響を受けて具合を悪くしながらも、ブレンダンに協力した。
映画『ブレンダンとケルズの秘密』の結末・ラスト(ネタバレ)
ブレンダンはクリスタルを手に入れ、エイダンの元に戻った。ブレンダンはクリスタルで細部を確認しながら、写生を行った。修道士達はそのことに気づき、院長にバレないようブレンダンに協力した。
逃げてきた人の情報により、バイキングが明日襲撃してくることが分かった。エイダンは逃げることを勧めるが、院長は門が持つと信じ立て籠もることを決定した。しかし、門は破壊され、バイキングの襲撃を受けてしまう。院長は人々を塔へと逃がすが、階段が持たずに壊れてしまう。院長はブレンダンの心配をするが、バイキングにやられてしまう。
エイダンはブレンダンを連れて逃げ出した。バイキングに襲われそうになるが、オオカミに助けられる。ブレンダンは白いオオカミの姿を目撃した。アシュリンの名を呼ぶが、白いオオカミは何も答えず去っていった。一方、塔にいた人達は、バイキングがいなくなった後外へと出た。院長は辛うじて生きていた。
ブレンダンは長い年月をかけ、エイダンと暮らしながら写生を行った。そして、エイダンが亡くなった後、「アイオナの書」を持ってケルズ修道院に戻った。ブレンダンは院長との再会を喜び、本を見せた。
映画『ブレンダンとケルズの秘密』の感想・評価・レビュー
妖精が出ていたり聖書が出ていたりするため、言い回しが少しややこしかったり表情やしぐさで話が進む場面があって理解するのが難しかった。その一方で、バイキングの襲撃はリアリティがあり、人々が恐怖を抱いて逃げ惑っている様子が伝わってきた。何とも言えない不思議な気持ちになる作品であった。作品のイラストは独特だったが、絵画を見たような感動を味わえるほど綺麗だったと思う。特に写生の場面は、絵がクルクルと動いて美しかった。(MIHOシネマ編集部)
フランス・ベルギー・アイルランドが合作で制作した長編アニメーション。独特な色彩と画法によって世界観を描き、各国の映画賞で多くの賞を受賞している。
アイルランド特有の描き方というか、文様や色彩が非常に豊かで引き込まれる。加えて演出やストーリー展開も面白く、少年とオオカミの妖精である少女が交流を深めていく様子が繊細に描かれ、加えて少年の周囲の大人達の心情をも描いている。さほど長くない作品ではあるが、魅力が満載で満足感はある。(女性 40代)
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