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映画『ヘヴンズ ストーリー』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『ヘヴンズ ストーリー』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ヘヴンズ ストーリー』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『ヘヴンズ ストーリー』の結末までのストーリー
  • 『ヘヴンズ ストーリー』を見た感想・レビュー
  • 『ヘヴンズ ストーリー』を見た人におすすめの映画5選

映画『ヘヴンズ ストーリー』の作品情報

ヘヴンズ ストーリー

製作年:2010年
上映時間:278分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー、ファンタジー
監督:瀬々敬久
キャスト:寉岡萌希、長谷川朝晴、忍成修吾、村上淳 etc

映画『ヘヴンズ ストーリー』の登場人物(キャスト)

サト(幼少時代:本多叶奈 / 大人:寉岡萌希)
8歳の頃、友達と遊んでいたときに家族を殺された女の子。おじいちゃんに引き取られ、町を離れることになった。テレビのニュースで妻と娘を殺害され、必ず犯人を殺しますと記者会見で話していたトモキに救われた。幼少時代は無口で何を考えているのか分からなく、大人になるにつれてトモキへの気持ちが深くなっていく。
トモキ(長谷川朝晴)
妻と娘を未成年のミツオに殺された男。次第に暗くなっていき地味な生活を送るようになるが、タエと結婚し娘のユウカと三人で暮らすことになる。サトと出会い、ミツオへの復讐心が強くなる。
ミツオ(忍成修吾)
母親が自殺し、父親との生活から逃げてきた少年。トモキの妻と娘を殺害し、刑務所に入っているときに恭子からの手紙が届く。恭子との生活で徐々に変わっていき、恭子を殺したトモキへの復讐心が湧く。
カイジマ(村上淳)
息子のハルキと二人暮らしをしている警察官。過去に強盗を殺害したことがあり、その家族に賠償金を払い続けている。副業で殺し屋をしている。
恭子(山崎ハコ)
若年性アルツハイマーと診断された女性。テレビのニュースでミツオが書いた言葉に心を動かされ、ミツオを養子として迎える。人形を作る仕事をしている。
タエ(菜葉菜)
5歳の頃に右耳を父親に蹴られ、聞こえなくなってしまったギタリスト。感情の起伏が激しかったが、トモキと結婚し娘が生まれて落ち着いた。壊れたトモキから離れ、娘と二人で暮らすことになる。
ハルキ(栗原堅一)
カイジマの息子。小さい頃はおちゃらけて可愛らしかったが、大きくなるにつれて盗みを行うようになる。言葉や態度は悪いが、心優しい少年。
カナ(江口のりこ)
父親をカイジマに殺害された女性。母親とは血が繋がっておらず、お金が好き。別れた男との子供ができる。

映画『ヘヴンズ ストーリー』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『ヘヴンズ ストーリー』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヘヴンズ ストーリー』のあらすじ【起】

小学生のサトは、女の子二人と男の子二人で遊んでいる姿を後ろから見ていた。男の子二人が海へ飛び込んだ後、サトも飛び込んでよと強引に海に突き落とされた。泳げないサトはなんとかもがきながら息継ぎをし、サトの姿を見た女の子の母親が駆け寄りサトを救い出した。その頃、サトのお父さん、お母さん、お姉ちゃんは殺害されていた。

サトはお父さん、お母さん、お姉ちゃんを失い、おじいちゃんと暮らすことになったため、町を引っ越すことになった。おじいちゃんはおばあちゃんを亡くし、サトとの距離は空いたままだった。サトは自宅のトイレでしかオシッコをしない少女だった。おじいちゃんが運転する車の後部座席に座り、横にお父さん、お母さん、お姉ちゃんの遺骨を並べて車の外の景色を眺めていた。昔家族で景色を見に行ったことを思い出していた。サトは急にお腹が痛いと嘆き、おじいちゃんに薬を買ってきてもらうことになった。しかしそれはサトの演技であり、車を降りて逃げ出すように走り去った。おじいちゃんはサトが居なくなったことに動揺し、サトを探し出すために息が切れるまで走った。サトはテレビの前に立ちニュースを見ていた。お父さん、お母さん、お姉ちゃんがテレビに映り耳を塞ぎながら目をつぶっていた。しかしテレビに映っていたのは妻と娘を亡くした被害者のトモキであり、殺人犯をこの手で殺してみせると言ったトモキにサトは釘付けになっていた。そのとき、サトはテレビを見ながらオシッコを漏らし涙を流した。おじいちゃんが息を切らし泣きながら膝から崩れ落ちたとき、サトがおじいちゃんの手を握り自分はこの先ずっと生きていくと伝えた。おじいちゃんはサトを強く抱きしめた。サトは水着に着替え小学校のプールへ行き、プールに飛び込んだ。

少年のミツオは帽子を深く被り、汚れた格好で車を眺めていた。後ろから母親とベビーカーに乗せた子供が通り、母親が子供に話しかけていた。その後ろを歩いたミツオは、川で涼んでいる母親を後ろから石で頭を殴った。そしてミツオは、泣き叫ぶ子供を抱き上げ窒息死させた。

妻と娘を殺害されたトモキは、殺害現場へ行き殺されている妻と娘を見つけて
泣き叫んだ。満開の桜の下を歩きながら帰宅したトモキは、ネットで復讐代行と調べ刑務所の中にいる男に復讐できるのか書き込みをしていた。

カイジマは高校の柔道部の仲間とお花見をしていた。そこに通りすがったトモキに声をかけたが、トモキは桜の木に登りナイフで木を切ろうとしていた。トモキは妻と娘を殺害したミツオのことを考えていた。妻は石で頭を18回殴られた後、馬乗りになられて首を締められた。娘は川に入れられ窒息させられた後、首を締められ殺されたのだ。トモキが木から落ちてしまったとき、カイジマが駆け寄り救急車を呼んだ。翌朝、カイジマは息子のハルキと家を出て会社に向かった。ハルキは幼稚園に向かって歩いて行った。

雪の降る日、カイジマは男を訪ねに来たが建物の上から石を落とされ遊ばれていた。テントの中にも仕掛けがあり、危うく石にぶつかりそうになった。カイジマはイライラしながらも男を探した。転んだカイジマに駆け寄った男はカイジマをパイプで殴った。しかし、男は心臓を抑えながら倒れてしまう。カイジマは持ってきたクーラーボックスの中から、楽に死ねる薬を飲まそうとしたが男はクーラーボックスを持ったまま逃げてしまった。建物の屋上にいたカイジマは、隣の建物の屋上にいる男に男の妻から早く安楽死させてほしいと頼まれたことを伝えた。男は過去に一度妻を裏切ってしまったことを話し、それが原因だとカイジマに伝えていた。男は最後に妻に電話した。カイジマは依頼通り男を殺した。そしてカイジマは車に戻り、男が自殺したかのように見せた証拠写真を撮り依頼人へ送った。

桜が咲く春の日、カイジマはお花見で一緒に居た女性とばったり出会った。カイジマは女性のお店に入り、無理矢理キスをした。女性はカイジマを拒んでいたが、次第に受け入れるようになった。

女性はカイジマに息子に会いたいと話した。カイジマは息子の3歳の誕生日の日、交番の警官の仕事をしていた。交代の人間を待っていたら男が入ってきて、急にナイフを突き出し拳銃をよこせと言った。カイジマは落ち着かせようとしていたが、男はカイジマに飛びかかり腰に入れていた拳銃を取ろうとした。必死に取らせないようにしていたカイジマだったが、揉み合っているうちに男はカイジマに撃たれてしまったのだ。男は撃たれた後ずっとカイジマに謝罪していたが、カイジマは何に謝罪をしているのか分からなかった。男が亡くなった後、家族に謝罪しに向かったカイジマは男が家族に対して謝罪していたことを知った。今でも、男の家族にお金を払い続けていることを女性に話した。女性は涙を流しながら話を聞いていた。

カイジマは息子のハルキとお花見をしていた。ハルキはクーラーボックスの中から、カイジマが雪の降る日に依頼通り殺した男が作った雪だるまを持ち上げた。カイジマはハルキに新しい学校での挨拶をできるかと聞き、ハルキは照れ臭そうに練習していた。

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映画『ヘヴンズ ストーリー』のあらすじ【承】

雨の降る日、タエは家の外の駐輪場でイヤフォンをかけ音楽を聴きながらおにぎりを食べていた。するとそこに、トモキが作業着を着て現れた。トモキはタエがなくしてしまった鍵を新たに作るため、仕事をしにタエの家までやって来たのだ。家に入ることができたタエは、元恋人の浮気現場を思い出しながらエアギターをした。

仕事を終えたトモキに上司から電話がかかってきた。トモキにレイプされたと、女性が会社に電話をしていたのだ。急いで女性がいるクラブハウスへ向かったトモキは、バンドのギターを弾いているタエを見つけた。電話をしていたのはタエだった。帰ろうとしていたトモキだったが、無我夢中に演奏しているバンドをじっと聞いていた。演奏を終えたタエは、仲間たちと共にトモキの手を引いてカラオケに来た。バンド仲間は演奏の話をしていたが、タエは一人で激しく歌を歌っていた。帰ろうとしたトモキをタエが引き止め、感動させられる場所に連れて行けと言った。

トモキはタエを連れて海の見える場所へ行った。タエは5歳のとき、酔っ払った父親に右耳を蹴られて音が聞こえなくなった。タエはトモキに自分の音が聞きたいとすがり、泣きながら右耳を叩いた。トモキが持っていたタオルをタエに渡そうとしたとき、タエはトモキにキスをした。だがトモキはタエを振り払い、全部自分のせいだと取り乱していたタエに優しくタオルを肩にかけてあげた。

中学生になったサトは小さな町に来た。船乗り場で出会った少年に道を尋ね、自転車を借りてトモキの住む家に向かった。サトが玄関の前まで行ったとき、トモキと一緒に住んでいるタエと子供のユウカが帰ってきた。サトは再び船乗り場に向かい、自転車を返しに少年に会いに行った。少年は蝉の抜け殻を見つめ、この町から出ていく人や帰ってくる人の顔を見ているんだとサトに話した。サトは船から降りたトモキを見つけ、少年の自転車をもう一度借りてトモキの後を追った。サトは玄関の扉からトモキの声を聞いていた。

サトに自転車を貸した少年は、船から降りた男女の後を追い男の鞄を奪い走り逃げた。だが男に捕まり、少年は殴られたり蹴られたりと散々な目に遭っていた。サトはベンチに横になり眠っていた。翌朝、サトはゴミ出しをしていたトモキの後を追い、トモキが捨てたゴミ袋を持ちトモキが吸ったであろうタバコを咥え仰向けに寝そべっていた。

夕方、船乗り場にいたサトは仕事から帰ってきたトモキに会った。サトが蝉の抜け殻を追いかけているときに、トモキが蝉の抜け殻を踏んでしまったことがきっかけで二人で話すチャンスがやって来た。サトは犯人を殺さないのかとトモキに質問したが、トモキは刑務所から出ていることすら知らなかった。サトはトモキのファンでありヒーローだとトモキに伝えたが、トモキはサトを疑っていた。トモキは家族を殺された人は幸せになってもいいのかとサトに聞いたが、サトはダメだと言い泣きながら去っていった。

同じ頃、カイジマは息子のハルキについて担任の先生と話していた。サトに自転車を貸し、男の鞄を奪った少年はハルキだったのだ。サトはハルキを見つけ、蝉の抜け殻と自転車を渡した。ハルキはお金を手に入れてすぐにこの町から出たいと言い、カイジマは涙を流しながらハルキを突き飛ばした。

サトが船に乗り帰ろうとしたとき、トモキが後ろから追いかけてきて船に乗った。

映画『ヘヴンズ ストーリー』のあらすじ【転】

恭子は病院で若年性アルツハイマーだと診断された。病院の待合室でテレビのニュースを見ていた恭子は、ミツオが手紙に書いた”これから生まれてくる人間にも僕のことを覚えていてほしい”という言葉に自分を重ねていた。家に帰った恭子は、人形作りの仕事をしていた。ふと予定があったことに気が付き、急いで約束の場所へと向かった。帰ろうと歩いていた恭子は突然座り込み、家の場所が分からなくなってしまった。そこへ駆けつけた警察官のカイジマは恭子の手助けをしていた。

恭子はミツオの弁護士に会いに行き、ミツオに手紙を渡したいと伝えた。弁護士はミツオの犯した犯罪について恭子に話したが、恭子の気持ちは変わることはなかった。寒さが募る冬の日から、恭子はミツオに日々の生活や自分のことを綴った手紙を、何度も何度も書いて送った。桜が舞う春の日、ミツオから恭子に手紙が届いた。恭子は弁護士と会い、ミツオについての話しを聞いていた。ミツオは中学一年生の頃に母親が自殺し、生活態度の悪かった父親と暮らしていた。もし無期懲役の刑がおりたとしてもミツオは自殺してしまうだろうと言い、それだけは食い止めたいと願っていた。

恭子はミツオのいる刑務所へ行き、ミツオと面会した。恭子はミツオを養子として迎え、死んでほしくないと伝えた。ミツオは涙を流しながら感謝の気持ちを伝えた。

時が経ち、自分の体を洗うことすらできなくなった恭子の体をミツオが洗っていた。恭子の病気はひどく進んでいた。ミツオは恭子を施設へと連れて行ったが、現実を受け止め切れないミツオは恭子を家に戻した。ミツオは社会復帰するために工場へ向かったが、過去の殺人事件を持ち出され帰ってしまう。帰宅したミツオは記憶が元に戻っていた恭子から、もうミツオに迷惑をかけられないから施設で暮らすと伝えられた。ミツオは介護をさせるために養子に入れたのかと恭子に尋ねたが、恭子は初めてミツオに会ったときの話をした。そして恭子は、自分が死んだ後も自分を忘れないでほしいとミツオに伝えた。ミツオは泣きながら、まだ大丈夫だと恭子と自分に言い聞かせていた。

クリスマスの日、カイジマは入院している女性に会いお金を渡していた。女性はもう渡さなくていいと伝えたが、横にいた娘のカナがお金を取り電話をしに外に出た。カイジマが帰ろうとしていたとき、後ろからカナがやって来た。カナはクリスマスプレゼントをカイジマに要求していた。カイジマはピーポー君と名付けられているボールペンをカナに渡した。

ミツオは工事現場で働いていた。仕事終わりに電車を待っていたミツオは、仕事の先輩に勧められ初めてビールを飲んだ。トモキとミツオは同じ電車に乗っていた。その頃ハルキは、昔と変わらず他人の鞄を奪い去り逃げていた。動物園で働いており足に怪我を負った男性を、カイジマは追いかけ殺そうとしていた。高校生のサトは女の子三人にいじめられていた。トモキはミツオの後を追っていた。人通りが少なくなったところでトモキは、何故電話や手紙をよこさなかったのかとミツオに詰め寄ったが、ミツオはトモキを振り払い走り去って行った。カイジマは急いで病院へ向かった。ハルキが重傷で運ばれていたのだ。

サトはトモキと会っていた。トモキは記者会見を開いていた頃に比べて味方が減ったことや、ミツオの無期懲役を覆すのは難しいことなどをサトに伝えた。また、家族を救えなかったことや何のために生きているのかわからないことも、泣きながらサトに話していた。サトはトモキが決心したことを嬉しそうにしていた。サトはトモキにクリスマスプレゼントを渡して帰っていった。ミツオは恭子がいる施設に来ていた。恭子のベッドの下に隠れ、人形劇を披露していた。ミツオは喜んでいる恭子に、これから遠くへ行くことを伝えた。夜中に家に帰ったトモキは、浮気していると勘違いしているタエと喧嘩していたが、娘の言葉で我に返っていた。目が覚めたハルキにカイジマは、クリスマスプレゼントと言って雪が降っている外の景色を見ながら笑っていた。

映画『ヘヴンズ ストーリー』の結末・ラスト(ネタバレ)

春が訪れ、ミツオは恭子を連れて恭子の育った町へやってきた。サトとトモキはミツオの後を追っていた。ミツオは廃墟ビルの屋上で、恭子と離れていた間に色々な場所へ行き色々な仕事をしてきた話や、死とは何なのか考えたり殺害したときの気持ちを恭子に話していた。ミツオが階段を降りて作業をしていたとき、恭子は無表情のまま涙を流していた。屋上で恭子だけが残されていることを確認したサトとトモキは、恭子の顔をビニール袋で隠し階段を降りていった。屋上へ戻ろうとするミツオの背後から、トモキが襲いかかった。なんとか振り切ったミツオは走り逃げ、トモキはミツオの後を追いかけ走った。ミツオに追いついたトモキは、ミツオの首を絞め殺そうとしていた。そのとき、サトが叫びながら恭子が息をしていないことを伝えた。ミツオは恭子の元へ駆け寄り、サトはトモキの手を引いて去っていった。

ある夜の日、男性二人が段ボールを運んで処分しようとしていた。男性一人が体勢を崩し倒れ込んでしまい、段ボールの中から人間の足がはみ出ていることに気がついた。段ボールを開けてみると、そこには殺されたカイジマが入っていた。カナは義理の母親が亡くなり、彼氏と別れてしまった。タエは娘のユウカを連れて、二人で住む家に向かっていた。お腹が大きくなったカナは家に戻り、ハルキにカイジマからお金が振り込まれてないことを伝えた。ハルキは亡くなったと言い遺骨を指差した。サトはトモキの家にいた。怯えているトモキにサトは好きだと伝えたが、無視されてしまった。トモキの家の近くに何日も車が止まっていた。運転席にはミツオがいた。ミツオは車で寝泊まりをしていた。

ミツオはトモキの家から見える位置でトモキに電話をし、トモキの妻と娘を殺害した方法や状況を言い、殺した理由は自分でも分からないと言った。ミツオは、恭子と出会っていなかったらまた殺害をしていたかもしれないと感じていた。恭子がトモキに殺されたことにより、トモキが今までミツオに対して恨んでいたことがミツオにも理解できたのだ。

カナはトイレにいき、隠していた拳銃を手に取った。トモキはサトが作ったおにぎりを食べ、ベランダからミツオを眺めておりミツオもトモキを見ていた。目が覚めたサトは、家を出たトモキの後を追いかけた。カナとハルキはミツオの車の中で金物があるか見ていた。そこにミツオが戻り、カナはミツオに拳銃を突きつけた。動揺せず近寄ってくるミツオに銃を放ったカナは、陣痛が始まっていた。ミツオとトモキは去ってしまい、トモキを追いかけて来たサトに助けを求めた。ミツオとトモキは場所を公園に移して殺し合いを始め、ミツオは亡くなった。追いかけて来たサトはトモキを抱え運ぼうとしたが、トモキも亡くなってしまった。その頃カナは、女の子を出産した。

ハルキは町を離れることになり、後ろからカイジマがハルキを見つめていた。タエはスーツを着て働き、女手ひとつで娘を育てていた。トモキは二人を見つめていた。サトは家族の遺品を整理しているときに見つけた、母親からの手紙に書かれていた住所に向かっていた。サトはバスの中で楽器を演奏する小学生の自分に、神様はいるのかと聞いた。何も答えず降りてしまった小学生の自分を追いかけ、サトはバスを降りた。そのバスの中には、ミツオと恭子が乗っていた。サトは亡くなったお父さん、お母さん、お姉ちゃんがいる場所へ着き、さよならをした。

映画『ヘヴンズ ストーリー』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

登場人物の一人一人が抱えている問題が現実的であり、様々な角度から見た当事者の気持ちと同じような気持ちになった。ミツオに妻と娘を殺されたトモキと、トモキに恭子を殺されたミツオの二人の恨み合いや、同じことを犯した二人の会話や行動が見ていて胸が苦しくなった。映画の途中で休憩と書かれ、少し間が空いて再び映画が始まる演出も面白かった。(MIHOシネマ編集部)


9時間近い長編にもかかわらず、最後まで一気に観てしまいました。それぞれの登場人物が抱える「喪失」と「復讐」というテーマが、丁寧に重なり合っていく構成は圧巻。特に、里子が殺人犯に復讐を果たしたあとも決して救われず、むしろ空虚さに飲まれていく姿が印象的でした。簡単なカタルシスでは終わらせない、園子温監督の徹底したリアリズムに打ちのめされました。(30代 男性)


復讐を果たせば心が晴れると思っていた。でもこの映画を観て、それは幻想なんだと痛感しました。幼い頃に家族を奪われた里子が復讐を遂げるまでの道のりは凄まじく、観ている側も精神を削られる感覚がありました。彼女が真に求めていたのは「赦し」や「理解」だったのかもしれません。長い作品ですが、その分登場人物たちの心情が深く描かれており、静かに胸に刺さる映画でした。(20代 女性)


この作品は“復讐”という行為そのものを、あくまで人間の弱さと哀しみの表れとして描いている点が素晴らしい。加害者も被害者も、それぞれに物語があり、それが連鎖してゆくことで社会全体の歪みが見えてきます。特に、殺人を繰り返す孤独な男・杉本の存在がとても印象に残りました。暴力に呑まれながらもどこかで誰かを求めている彼の姿に、涙が止まりませんでした。(50代 男性)


女性として、この映画に描かれた「喪失と孤独」にはとても共感できました。特に里子や若菜が自分の中の怒りと悲しみにどう向き合うのか、それを通して“命を奪う意味”を考えさせられます。暴力描写は決して刺激的ではなく、むしろリアルで静か。だからこそ心に残ります。途中に描かれる希望の光があるからこそ、最後の救いのない結末が余計に苦しい。そんな作品でした。(40代 女性)


途中で何度も「自分には耐えられないかもしれない」と思ったほど、感情を揺さぶられる映画でした。物語の終盤、加害者の少年を里子が許そうとした瞬間に、彼女自身が崩壊してしまう展開は衝撃的で、復讐とは何か、赦しとは何かを深く考えさせられました。9時間という長さは確かに重いですが、それに見合うだけの人間の“業”が詰まっている名作だと思います。(20代 男性)


復讐劇でありながら、ただの“復讐譚”で終わらせないところがこの映画のすごさです。特に、殺された者の家族だけでなく、加害者の家族にも焦点を当てることで、社会の複雑な構造が浮き彫りになります。暴力に暴力を重ねても癒えない傷があり、それでも人は前に進もうとする…その苦悩を丁寧に描いていて、観終わったあとはしばらく何も言葉にできませんでした。(30代 女性)


園子温作品の中でも、これは群を抜いて人間の本質を突いた作品だと思います。ストーリーは群像劇のように多層的で、それぞれの人生が偶然のように重なり、またすれ違っていく。最も印象的だったのは、里子が「命を奪うことの代償」に真正面から向き合う姿です。どんなに正当化しようとも、暴力は心を蝕むのだという真理が、静かに、でも確実に伝わってきました。(40代 男性)


いわゆる「娯楽映画」ではありません。けれど、これほど心に残る映画もなかなかないと思います。里子、杉本、若菜…すべての登場人物が復讐と喪失を背負いながら、それでも人を求め、愛を求めている。その姿が痛ましくも美しい。特に、ラストで里子が自らの過去と向き合うシーンには、思わず涙がこぼれました。時間をかけて観る価値のある作品です。(50代 女性)


暴力の連鎖はどこまで続くのか?その問いが映画全体を通して投げかけられているようでした。どの登場人物も“正しい”とは言えず、それでも皆が“正しさ”を求めて苦しんでいる。その姿に胸を打たれました。特に、杉本が抱える孤独と怒りには共感する部分が多く、ただの悪人として描かれないところに、この作品の深さがあります。社会派ドラマとしても優れています。(60代 男性)

映画『ヘヴンズ ストーリー』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ヘヴンズ ストーリー』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

告白

この映画を一言で表すと?

静かな語り口で放たれる、壮絶な復讐の物語。

どんな話?

中学教師の娘が教え子に殺されたことから始まる、計算された復讐劇。告白という形式で語られる物語が複数の視点で進行し、真相が徐々に明らかになる。ミステリーと心理サスペンスの融合が見事な一作です。

ここがおすすめ!

復讐の正義と虚しさを冷静に描き、『ヘヴンズ ストーリー』と同じく加害者と被害者の境界をあいまいにする作風が特徴。中島哲也監督ならではの映像美と音楽の融合も圧巻です。

復讐するは我にあり

この映画を一言で表すと?

実在の連続殺人鬼の半生を描いた、戦後犯罪映画の金字塔。

どんな話?

戦後の混乱期に詐欺と殺人を繰り返した実在の男・榎津巌をモデルに、冷酷な犯罪者とその周囲の人々の姿を描く。犯罪そのものよりも、人間の業や虚無感にフォーカスした群像劇です。

ここがおすすめ!

勧善懲悪では終わらない深いテーマ性と、緒形拳の鬼気迫る演技が印象的。『ヘヴンズ ストーリー』と同様、犯罪の向こうにある“人間の心”を静かに描き出す硬派な一本です。

誰も知らない

この映画を一言で表すと?

母に見捨てられた子どもたちの“静かなサバイバル”。

どんな話?

東京のアパートで、母に置き去りにされた4人の子どもたちが、誰にも知られずに暮らし続ける実話ベースの物語。日々の小さな出来事と喪失が積み重なり、観る者に強烈な余韻を残します。

ここがおすすめ!

是枝裕和監督による、痛ましくも温かい視点が胸を打ちます。『ヘヴンズ ストーリー』同様、“救いのなさ”の中にも人間の尊厳や希望のかけらを見出す繊細な作品です。

冷たい熱帯魚

この映画を一言で表すと?

日常に潜む狂気が爆発する、衝撃の実話ベースバイオレンス。

どんな話?

冴えない熱帯魚店主が、ある日出会った陽気な男に誘われ、やがて想像を絶する事件に巻き込まれていく。実際の連続殺人事件をモチーフに、人間の暗部を生々しく描いた問題作。

ここがおすすめ!

園子温監督による狂気とユーモアが交錯する異色作。『ヘヴンズ ストーリー』と同様に、“善良な人間”が社会のひずみに飲み込まれていく過程が描かれ、強烈な衝撃を残します。

母なる証明

この映画を一言で表すと?

息子を守るために真相を追う母親の、執念と狂気の物語。

どんな話?

知的障害を持つ息子が少女殺害の容疑で逮捕された母が、彼の無実を信じて真犯人を追い始める。やがて浮かび上がる真実と、母親自身の心の闇が明らかになっていく。

ここがおすすめ!

ポン・ジュノ監督が描く“愛ゆえの暴走”が圧巻。『ヘヴンズ ストーリー』のように、被害者でも加害者でもない人間の苦しみと狂気に寄り添った、深く重い人間ドラマです。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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