映画『本当はエログロいイソップ寓話 シザーチンP』の概要:覗きが趣味の童貞、出刃亀(カメ)と、男そのものを憎む謎めいた二刀流のバニーガール(ウサギ)による壮絶なる男と女の意地を賭けた闘いが始まる!果たして本当の『愛』とは一体何なのか!?
映画『本当はエログロいイソップ寓話 シザーチンP』の作品情報
上映時間:87分
ジャンル:アクション
監督:友松直之
キャスト:はやしれん、範田紗々、八ッ橋さい子、しじみ etc
映画『本当はエログロいイソップ寓話 シザーチンP』の登場人物(キャスト)
- 出刃亀太郎 / シザーチンP(はやしれん)
- とにかく誰かとヤリたい男。結婚すればそれが叶うと思っていたが、相手選びを間違えたのか金目的の性悪女であり結婚初夜から拒絶。その上不倫までされ、怒りのあまり妻を惨殺してしまう。それ以来股間からは3本の刃物が生えた怪物、『シザーチンP』になってしまう。
- バニーガール(範田紗々)
- シザーチンPと戦う、二刀流のバニーガール。果たしてその正体は……?
映画『本当はエログロいイソップ寓話 シザーチンP』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『本当はエログロいイソップ寓話 シザーチンP』のあらすじ【起】
とある山の中を歩いているのはオタサーの姫と、それの囲いで冴えないUMA研究部のオタク達。この山には股間が刃物でできた『シザーチンP(ピー)』なる怪物がいるそうな。そんな状態だったら一生性行為できない、と懸念するオタク達に向かい姫は「貴方達と同じね」と笑顔で辛辣な言葉を浴びせつける。姫はイケメン以外とは握手もしたくないと笑顔で言いきり更には1枚5000円もするDVDを売りつけてくる。姫は満足そうに歩き出し、「買わない奴って本当有り得ない。応援してますとかいいから金出せって感じですよ。応援ってお金なんですよ。お金払わなきゃ誰がお前らみたいなキモイおっさんに媚びなんか売るかっつーの。地下アイドルやってると勘違い馬鹿が多くて困るんです。金使わない奴は単なるストーカー。何でこんなことが分かんないんでしょうね?」そんな彼女の頭部に、突如空から飛んできた岩石。見事命中し、姫はその場に失神してしまう――そしてどこからともなく聞こえてくる謎の声と、金属の擦れ合う音。残されたオタク達が見上げた先にいたのは、そう、彼こそが股間に3本の刃物を持つシザーチンPであった!
とある公園ではシザーチンPと二刀流のバニーガールが戦いを繰り広げている。このシザーチンPは股間から金、銀、銅と刃物を生やしているが初めからこうだったわけではない。シザーチンPの本名は『出刃亀太郎』という本名がありその名の通り覗きが趣味の30歳のサラリーマン風の男である。出歯亀、とは元々銭湯に居た女性を追いかけ強姦し殺害した犯人の名前が由来となっており、犯人として名が挙がっていたのは池田亀太郎。出っ歯だと言う彼の身体的特徴から『出歯亀』というあだ名が定着し、更には覗き行為そのものを指すような言葉にまで発展するのであった。と、ここで現在の出刃亀は己の性欲を満たすためにラブホテルのバイトとして部屋にカメラを仕掛け鑑賞していた。出刃亀は女にとってのイケメン以外の男はATMくらいしかないことを理解していた。だから死ぬ気で勉強し、一流企業に就職した。ラブホテルは趣味と実益をかねた副職のアルバイトでしかない。しかし金を儲けた彼の元へやって来るのは金目的のビッチ達ばかりである。性悪な女達は彼から金を奪い、結局はイケメンへと使ってあげる。
出刃亀は言う、いつまでも童貞だった。機会さえなかったと。二刀流の剣を持ったバニーガール風の女は同時中継と思しきモニターで、シザーチンPと戦いを繰り広げながら「風俗行けよ!」と叫ぶ。しかしそんなことをしてもどうせ素人童貞だと馬鹿にされるだけだと頑なな出刃亀。それならいっそ完全童貞でいることを決めたと言う出刃亀だったが、彼はある日婚活パーティーへ行くことを決めた。その先で出刃亀は何故か自分と見知らぬバニーガールが戦っている姿をテレビに吸い寄せられるように見つめ、しばし言葉を失う。その矢先、戦っていた筈のバニーガールと同じ容姿をした女性が出刃亀の前に現れる。どことなく運命を感じながらも先程の戦っていた時の姿のせいか今一つおどおどしていると、バニーガールに酷似した女性は立ち去ってしまう。入れ替わるように現れたのは金目的の悪い女だった。出刃亀の高学歴・高収入に目を付けた彼女とすぐさま結婚が決まる。ついに出刃亀は30年間守り続けた童貞を捨てられるのかと思いきや結婚した途端、女の態度が激変。初夜早々に「キモイからヤリたくない」――そして出刃亀は気付く。女という存在の裏に潜む闇という闇を。聖母マリアが処女なわけないじゃん。アイドルが清楚なわけないじゃん。イケメンダンサーとお泊りしまくってるに決まってるじゃないか!しかしオタク達は彼女達の愛を信じる、それこそが純愛なのだ。
映画『本当はエログロいイソップ寓話 シザーチンP』のあらすじ【承】
ある日、アイドルの追っかけをやっていた男は推しの女の子に花をプレゼントするが「生ものは受け取らないんです。だって精液で育てたとかそういう実例あるんですよ~」と拒否され、挙句変質者扱いされる。遂にキレたファンはナイフを抜き出しアイドルを刺し殺してしまう。出刃亀は思う、教師が立場を利用して生徒にわいせつな行為を働くのも、イケメンが顔を利用して性行為を強要することの何が悪なのか、あるいは高学歴高収入の勝ち組が札びらで頬を叩いているのと何も変わらないではないか!「そこは職業倫理ってもんがあるでしょーよ」刀を構えるバニーガールに、出刃亀は言う、「はっきり言ってやる。恋に落ちればそんなもんはクソ食らえだ!」と。そして出刃亀は趣味の覗きの最中見つけてしまう、妻と浮気相手の情事を……。出刃亀は寝取られ男として泣きながら自慰行為に耽り、妻の痴態をおかずに耽る行為はさぞかし気持ち良かったが――ともかく。怒りは射精後にやって来たのである。
出刃亀は包丁を手に、浮気相手との痴態現場に乗り込んでいく。全ての性器に関する事件は哀しい。不倫妻の子宮や内臓を取り出しては捨て、その腕を切断し始める出刃亀。悲鳴を上げる妻。構わず出刃亀は妻の首に刃物を突き立て殺害する。ヤラせない女は罪であると言っていい、出刃亀は思う。すなわちお前との間に子孫を残したくないという殺人表明ではないのかとさえ思う。だからヤラセてもらえない男はヤラセない女を殺しても構わないのではないか?
ヤラせない女を敵とみなした出刃亀は手当たり次第そんな女を殺しては処分し、滝の中へと放り込む。凶器に使用したナイフを死体と共に滝に投げ捨てると、滝が輝き始め中から女の生首が現れる。恐れ戦く出刃亀に、生首は問う。「貴方が落としたのは金の包丁ですか?銀の包丁ですか?それとも普通の包丁ですか……?」怯える出刃亀は「普通の包丁です」と答えるがやがて正直者の彼の元には金の包丁と銀の包丁と普通の包丁が飛んでくる!悲鳴を上げた矢先、それが夢だったと気付く出刃亀。「夢か……」と安心したのも束の間、彼の股間からは夢で見た金、銀、そして普通の包丁が生えているではないか。慌てて股間をまさぐるとそれらは姿を消していた。何だ、と胸を撫でおろす出刃亀は結婚したい余りに再び婚活パーティーへ足を運ぶ。
映画『本当はエログロいイソップ寓話 シザーチンP』のあらすじ【転】
パーティーのテレビ画面ではまたあの『三本の刃を持つ男対二刀流のバニーガール』の映像が流れている。そして再び、あのバニーガールに酷似した女性も姿を見せる。しかし、出刃亀がいざ画面を差すとまるで関係のないアニメが流れ、まさか夢でも見ていたのかと慌てる出刃亀。女性の方は「夢に私が出てきたんですか?」と興味津々だ。しかし以前にも似たような光景を繰り返している出刃亀、夢の中ではこの女性と自分は戦っている――しかし、出刃亀はこの女性を呼び止める。話の流れのうち、「結婚しましょうか?」と問いかけてくる彼女に了承する。出刃亀は「僕童貞ですよ?」と言うが女性も「私も処女ですよ。仲間ですね」と微笑みかける。
女性の名は因幡宇佐子。やがて初々しくも新婚生活の始まった2人だったが、情事に励もうとした矢先に出刃亀が興奮し例の刃物が姿を現した!驚く妻・宇佐子に、これは夢だったと知り安堵する。再び、互いに童貞と処女のまま初めての経験に胸が高鳴り合う2人であったが幸福かに思えたその瞬間、出刃亀の股間の刃物が宇佐子の体内をブチ破った。吹き出す血、ばらばらになる宇佐子の肢体。悲鳴を上げながら出刃亀はやがてこれも夢だったのだと知るが、その日は何かが違った。横にいる筈の宇佐子は無く、むしろ妻がいたことさえも夢であり、テレビでは結婚式で花嫁が惨殺されたニュースを放映していた。
ある朝、通勤中のラッシュの中で出刃亀は前に立った女子高生にいけないと知りつつややムラムラとしてしまう。するとつい興奮してしまった出刃亀の股間から例の3本の刃物が飛び出し女子高生をめった刺しにしてしまう。出刃亀は股間からは物が飛び出した状態のまま逃亡。「誰かやらせてくれ~!」と情けない声を上げながらその場を逃亡し出刃亀は姿を眩ませた……。
映画『本当はエログロいイソップ寓話 シザーチンP』の結末・ラスト(ネタバレ)
10年後――冒頭に戻り、シザーチンPは実在したんだ!と喜ぶ例のオタク達。事件以来シザーチンPは山に籠っていたが、ある日カップルが刃物のようなもので惨殺される事件が発生する。連日ニュースではシザーチンPによる犯行を報道する。ある夜、公園でいちゃつくカップル達に刃物が迫り――それを止めたのは何とシザーチンPであった。カップルを殺して回っていたのは何とあのバニーガールの方であった。シザーチンPは己の冤罪を証明すべく山から下りてきたようだ。戦っている最中にバニーガールの仮面が外れ、正体はあの因幡宇佐子だったことが判明する。思わず動揺するシザーチンPに何故自分の名を知っているのかと問いかける宇佐子。自分達は夢の中で結婚していたと言うシザーチンPに宇佐子はストーカーかと怒り、同じように何度も夢を見たことはないかと問いかける。10年間覚めない夢の中にいると言うシザーチンPにならそれは現実だろうと言い放つ宇佐子であったが、だとしたら辻褄が合わない、とシザーチンPは答える。自分は妻を殺してこんなことになったのだから妻がいた筈なんだと。だとしたら生まれてきたこと自体が罪なんじゃないのかと無情にも言い放ち、股間にあるそいつこそが罪だと宇佐子は剣を構える。しかしシザーチンPはそんなことはない、と言いそれが男の罪だと言うならそういう社会こそ、この刃物でぶち抜いてやると言い放つ。
そしてシザーチンP、出刃亀は高校時代に宇佐子と実は同級生だったことが分かる。当時の思い出を振り返りながら、また社会人になってからも道端で通り過ぎ合っていたことを思い出しながら、2人はそれでも互いに退けない心情のままぶつかり合う。
シザーチンPは男が罪だと言うなら女にも罪はあり、そして男こそが悪を被り正義になるべきだと言う。世にはびこる性犯罪を全て更生してみせる、とシザーチンPの刃物が宇佐子の刀を弾き飛ばした。シザーチンPは宇佐子に何故カップルばかりを狙ったのかと問いかけると幸せそうな彼らが羨ましかったからだと話す。宇佐子のような美人ならすぐに相手が見つかるだろうと問うシザーチンPだったが、何と宇佐子は性器にギロチンを持つ女なのであった。その事実に驚愕しつつも、ひょっとすると自分達はお似合いなのではないかという結論に至るシザーチンP。そして自分達は、いや、男と女は憎み合うものではなく愛し合うべきだったと言いその手を取り合う――こうして和解した2人は人々の前から姿を消した。
それ以来、噂によればお互い性器に刃物を持つそのカップルはガッチャンガッチャンと言わせながらも愛し合い盛大に幸福な日々を送ったと語られている。生まれてきた子供は尻に7本の刀を持ち高速回転させ空を飛んだとも言うがそれはまた別の話……。
映画『本当はエログロいイソップ寓話 シザーチンP』の感想・評価・レビュー
股間に始まり股間に終わる!笑ったら負けな気がする下ネタ満載のイカれぶりは、同監督作品の『STACY ステーシー』による涙を見事に上書きしてくれた。男と女は別の生き物である事実を社会風刺たっぷりに描き、最後はお互い分かち合い真実の愛を見出すというラストは深いメッセージが込められて……いるのかどうかは謎であるが、無駄に力の入ったゴアシーンや惜しげもなく綺麗な女性達が裸を晒していくのは本当にR15指定で留めていいのだろうか?と思う程に景気が良い。(MIHOシネマ編集部)
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