映画『アジョシ』の概要:「アジョシ」は、2010年の韓国映画。題名は”おじさん”という意味だが、主演のウォンビンは若い元特殊部隊要員の役。韓国版「レオン」とも称され、リアルな銃撃戦が見どころ。主演のウオンビンは大鐘賞(主演男優賞)を受賞。
映画『アジョシ』 作品情報
- 製作年:2010年
- 上映時間:119分
- ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ
- 監督:イ・ジョンボム
- キャスト:ウォンビン、キム・セロン、キム・ヒウォン、キム・ソンオ etc
映画『アジョシ』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『アジョシ』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『アジョシ』のあらすじを紹介します。
質屋を営むチャ・テシク(ウォンビン)は、元特殊部隊要員だが、質屋に来る客と隣りに住む少女ソミ(キム・セロン)以外と交流はない。ソミとは、母親が留守の時に2人でご飯を食べたり、cdプレイヤーを交代で使う。
ソミは時に駄菓子屋でお菓子を盗んでしまう。駄菓子屋のおじさんに許されるが、そんなあやうさをテシクは気にかけていた。友達の鞄を盗んだことも。
ソミの母親はやくざの男と付き合っており、ある晩、楽屋で麻薬を盗んでしまう。その悪事にソミも巻き込まれ、マンソク兄弟の手下たちに母親と共に拘束されてしまう。
ソミの叫びを聞き、ソミを助けようとマンソク兄弟の組織を追うなかで、ソミの母親ヒョンジョンが目など臓器を抜かれた無残な死体となって、車から発見されます。その場にいたテシクは警察に捕まるが、わずか数秒で警察官たちを倒して逃亡。
後にテシクの素性が元特殊部隊要員であったことが判明。ソミの母親の死とは無関係であることも分かった。
テシクには悲しい過去があった。3年前、妻と生まれてくるはずだった子供を車の事故で突然亡くしたのだ。もう2度と愛する人を失いたくはない!テシクは髪をばっさり切ることで、ソミを救う決意を固めた。ソミは、孤児ばかりを集めた家で過ごし、麻薬製造工場兼臓器密売所で働かされていた。
子供を使えば、悪事はばれないであろうと違法な仕事が続けられていた。マンソク兄弟に繋がる人物を追うなかで、テシクはついにソミが働かされている麻薬製造兼臓器密売所をつきとめた。その工場で、オ社長や子供たちの遺体を発見。また何人もの子供の姿も見た。
マンソク兄弟の弟(キム・ソンオ)がその工場を仕切っていたが、テシクが殺した。”死んだ子供たちにお前はあやまるべきだった”と言って。この件で、マンソク兄弟の兄(キム・ヒオン)の怒りを買い、ソミの命と引き換えにアジトへ向かう。アジトに乗り込むと、ソミは死んだと言って、ソミのくり抜いた両目を投げられます。
怒りと悲しみに震えながら、テシクと奴らの壮絶な闘いが始まった。外国人の殺し屋が刃物での対決に挑んできます。組織を壊滅させたが、ソミを救えなかった絶望感で、テシクは銃で死のうとします。その時、テシクを呼ぶソミの声が!ソミは生きていた!
別れの日。ソミと共に駄菓子屋へ行く。たくさんの駄菓子を買った後、”1度だけ抱きしめたい”とソミを抱きしめます。”もう1人でも生きていけるな?”と。以前、ソミが友達の鞄を盗んだ時、知らんぷりしたことをあやまるテシク。こうして、2人の心の傷が癒されていく。
映画『アジョシ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『アジョシ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
本格的なアクションと少女ソミとの心の交流に涙が止まらない!
韓国版「レオン」との見方もありなのですが、「レオン」よりも大迫力のアクション・シーンは見ごたえがあります。ウォンビン演じる、元特殊部隊要員の鍛え抜かれた肉体と、まばたきする間に死体の山が築かれる激しいアクションの連続に心が揺れます。
まるで早送りで観ているかの様です。とにかく強い!血しぶきが上がるアクション・シーンが苦手な人は、少女ソミとの心の交流に注目して下さい。母親が留守の間にテシクと会う少女ソミの孤独感。誰かに気付いてほしくて、駄菓子や友達の鞄を盗んでしまう行為は、”助けて!私はここよ”と叫んでいるのではないでしょうか。
韓国には、今なお多くの孤児がたくさんいるそうです。また作品で描かれている臓器売買も深刻な社会問題になっています。韓国社会の問題点が浮き彫りされた映画でもあるのです。映画「レオン」との共通点としては、主人公が殺し屋である点と規則正しく生活をし、植物(本作ではサボテン)の世話をしている点、そしてなにより少女を守り抜こうと闘う物語だからです。
その背景には、孤独で誰かを愛したい気持ちがあります。暴力的だけど、愛おしい作品です。
演技派ウォンビンの魅力
ウォンビンは、韓流4天王の1人で韓流ブームの立役者だと言われています。代表作は、ポン・ジュノ監督の「母なる証明」(09)と「アジョシ」(10)です。本作以降、出演作がなく、わずかにCM出演のみだそう。次回作が決まることをファンは首を長くして待っています。
さて、本作では、ウオンビンの鍛え抜かれた肉体や女心を掴んで離さない涼しげな視線、クールな演技と魅力がいっぱい。本作について、「セリフを言う時も低いトーンではっきり言うようにした」と語っています。また、見事なアクションについては「東南アジアの3つの武術~シラット・カリ・アーニスを融合させて1つの形にし、すぐ敵を制圧できる技にした」との事。
早すぎて見えないですよね。ウォンビンの魅力は、実直で繊細な演技ができるところ。ウォンビンが演技を学んだ学校の先生が、ウォンビンの本作の演技をベタ褒めしていました。そして役者には瞳が大事。役に入っているかどうかは瞳で分かります。ウォンビンの存在感が際立っています。
私生活では、2015年5月に、3年間交際していた女優イ・ナヨンと極秘結婚をしました。とてもロマンチックな結婚式を挙げたらしい。これからの活動が楽しみです。
韓国映画って犯罪の描き方が物凄く過激ですよね。ヤクザも日本とは違い、カタギにも手を出すし子供を働かせるなどルールが無いのが怖いです。目玉をくり抜くってなんなの?と思ってしまいましたが、ソミの時もやられていたのでよくある手段なのでしょうか。とにかく、さすが韓国映画と言うべき過激な描写と派手なアクションは韓国版『レオン』なんて言われる所以がわかった気がします。しかし、本国ではどうなのか分かりませんが『アジョシ』というタイトルがダサすぎてせっかくの良作が台無しだなと思ってしまいました。(女性 30代)
映画『アジョシ』 まとめ
本格的なアクションと少女ソミとの心の交流が涙を誘う感動作です。もし、1つだけ指摘をするならば、題名がつまらない。おじさん、だなんて!ウォンビンが主演していなければ、この題名で観客は呼べないと思います。そこで、題名を「抱きしめたい」とするのはどうでしょうか?
テシクが少女ソミに言った言葉です。命を、希望を守るために闘う物語だからと提案します。本作の見どころは、なんといっても本格的なアクション。舞を舞うかのごとく優雅ですよね。また忘れられないシーンとして、ウォンビンが髪を切るシーンは韓国でも伝説になっているとか。
絵になる存在感を持つ俳優です。少女ソミ役を演じたキム・セロンも上手い。途中から放っておけない存在になります。駄菓子屋のおじさんが少し不思議というか、日本の感覚とはずれているような気がしたけど、韓国にはこんなおじさんもいるのかもしれない。子供の万引きを容認するなんて、と思うけども。
組織vs個人という構図が本作の大きな山としてあって、希望はなかなか見えない。だけど、大切な人を守ることで生まれる希望を抱きしめていたい。
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