映画『グッバイガール』の概要:役者と付き合い何度も捨てられてきたヒロイン。彼女は幼い娘を抱え、住居をも奪われそうになる。次の借主である男性の好意により、奇妙な同居生活が開始。傷心から反発してばかりいたヒロインだったが、男性のことを知る毎に恋心を募らせるようになる。
映画『グッバイガール』の作品情報
上映時間:110分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー
監督:ハーバート・ロス
キャスト:リチャード・ドレイファス、マーシャ・メイソン、クィン・カミングス、ポール・ベネディクト etc
映画『グッバイガール』の登場人物(キャスト)
- エリオット・ガーフィールド(リチャード・ドレイファス)
- 舞台役者。素晴らしい演技力を持ち、才能はあるものの泣かず飛ばず。ポーラに一目惚れするが、態度が悪いため反発してばかりいた。ルーシーの聡明さに打たれ、仲良しになる。情熱家で根気強くユーモアがある。
- ポーラ・マクファーデン(マーシャ・メイソン)
- 役者と恋人関係になるものの、いつも捨てられてばかりいる。何度も同じことを繰り返してきたため、同じ轍を踏みたくないあまりにひねくれている。素はとても可愛らしく優しい女性だが、ヒステリックで強気な面も持つ。30代の半ばのダンサー。
- ルーシー・マクファーデン(クィン・カミングス)
- ポーラの娘。聡明で賢く演劇や映画にとても詳しい。母とはまるで親友のような口を利き、時に大人びた言動をする時がある。
- ドナ・ダグラス(バーバラ・ローデス)
- ポーラのダンサー仲間。ポーラとは同年代で、励まし合う仲。短期の仕事を紹介してくれる。
映画『グッバイガール』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『グッバイガール』のあらすじ【起】
ニューヨークの下町。ダンサーのポーラ・マクファーデンは幼い娘ルーシーと共に、役者の恋人と暮らしていた。しかし、母子が買い物から帰宅すると、恋人は置手紙だけを残し、まるで夜逃げのように姿を消していた。しかも、ポーラが事前に家賃を払っていたにも関わらず、恋人はアパートまでも引き払い、大家はすでに次の借主を決めてしまったと言う。
前払いしていた家賃は引き払った時点で戻ってくるため、それをも持って逃げた恋人に腹が立って仕方ないポーラ。
その日の深夜、次の借主で恋人の友人だという男性が家を訪ねて来る。予定では明日からだったが、仕事のために早く来たらしい。だが、ポーラは他人を装って男性を追い返してしまう。すると、男性は一旦、引くものの公衆電話から部屋へ電話。方々へ電話をして事情を調べた男性は、頑ななポーラを必死に説得しどうにか部屋へ入れてもらえることに。
男性エリオット・ガーフィールドを拒絶するポーラだったが、借主の権利書も3か月分の家賃支払いもすでに彼が済ませている。ポーラが強盗だと叫ぼうが、部屋の持ち主はエリオットであるため、立場上はポーラの方が弱い。相談の結果、同居するしかないということになり、ポーラは仕方なくその案を受け入れるのであった。
ところが、ポーラもエリオットもこだわりが強く、互いに住み分けるためのルールが酷く複雑。結局、借主であるエリオットが提示したルールを受け入れるしかないポーラ。
エリオットは借主であることを笠に着てマイペースに生活を始め、そんな彼にポーラはいちいち腹が立ってどうしようもないのだった。
映画『グッバイガール』のあらすじ【承】
翌日はポーラもミュージカルのオーディションを控えており、対して舞台役者であるエリオットも役者として正念場だと言う。昨夜のごたごたのせいで、ほとんど寝られなかったポーラだったが、ダンサー仲間のダナ・ダグラスと共にオーディションへ。
一方、エリオットも所属劇団にて次回公演のセリフ合わせをしていた。演出家はエリオットが考えていた人物像とは別の人物像を提示してくる。そのため、エリオットは初っ端から躓いてしまい役を掴むのに四苦八苦。
エリオットもポーラも貧乏で行く宛てがない。故に、いくら互いに反りが合わないと感じていても共同生活を続けるしかなかった。
そんなある時、たまたま買い物中に遭遇したエリオットとポーラ。彼がワインを買うために店へ入っている間、ポーラは強盗に全財産を奪われてしまう。助けを求めたポーラだったが、エリオットは強盗に勝てるはずがないと他人事。あまりにポーラが悲愴な様子だったため、強盗の車を発見したエリオットは果敢にもアタック。しかし、多勢に無勢で追い払われてしまうのだった。
その夜は3人で夕食を囲んだが、ルーシーはエリオットとすぐに仲良くなり会話が弾む。だが、ポーラは無一文でどうしたらいいか不安でいっぱいだった。しばらく考えた後、仕方なくエリオットへ借金の申し出をしたポーラ。すると、彼は手持ちの金から半分を貸してポーラの仕事が決まるまで面倒を見るので、態度を軟化させて欲しいと条件を出した。
映画『グッバイガール』のあらすじ【転】
だが、ポーラは彼の条件に肉体関係が含まれるものだと勘違いし、怒ってエリオットの話を断ってしまう。当然、彼はポーラの態度に激怒。エリオットは善意で母子の面倒を見ると言ったのに、その態度はあまりに酷い。彼は常に嫌味で態度の悪いポーラではなく、ルーシーのことを思うからこそ追い出さないのだと言う。故に、貸す金はルーシーの養育費であるため、ポーラには一切、渡さないと断言するのだった。
翌日、ダナからの紹介で、ポーラはひとまず短期の仕事をして収入を得ることにした。彼女は給料をもらってすぐに、エリオットへ借金を返済。エリオットにとってルーシーはベストパートナーらしく、彼女の具合が悪いと分かるとすぐに介抱の手伝いをしてくれる。ポーラは態度を改め、エリオットへと真摯に謝罪した。
エリオットが主演を務める舞台の初日に招待されたポーラとルーシー。だが、その演目は原作から大きく逸脱し、奇抜過ぎる演出だった。そのため、批評家からは酷評されてしまう。エリオット自身、悩みながらもどうにか役を掴み完璧に演じたと確信していた。それでも、こき下ろされるのはエリオットばかり。彼は酷く荒れてしまい、泥酔して家の物を破壊して回ったため、ポーラは彼を優しく労わり介抱するのだった。
翌朝、二日酔いのエリオットへ公演中止の電話がかかってくる。次の演目が決まるまで、無職状態となったエリオット。そんな彼にポーラは仕事に行っている間、ルーシーの面倒を見て欲しいと頼む。エリオットは態度が軟化した彼女に笑みを見せ、二つ返事で請け負った。
エリオットも短期の仕事を開始し、次第にポーラとの関係も進展し始める。彼は彼女への恋心を隠さなくなり、熱烈な愛情表現で迫る。ポーラもまた彼に好意を抱いていたが、これまでの経験から容易に受け入れることができずにいた。
そんなある夜、帰宅したポーラへエリオットがロマンチックなディナーを演出。場所はアパートの屋上で食事はピザ、更に雨まで降り出し条件は最悪だったが、ポーラは彼の熱意に負けてしまう。盛り上がった2人はその後、熱い夜を過ごすのだった。
映画『グッバイガール』の結末・ラスト(ネタバレ)
しかし、翌朝。ルーシーはエリオットと母親が恋人同士になったことを喜ばず、むしろ別れを予感して不貞腐れてしまう。恋人ができては別れることを繰り返し、何度も辛酸を舐め悲しんできた母子は、同じ悲しみを繰り返したくないあまりにエリオットを拒絶。ポーラまでもが昨夜のことは忘れて欲しいと言う始末。
当然、エリオットは母子の拒絶を容易には受け入れられず、アパートの前で大騒ぎした挙句、ポーラへ熱烈な愛を囁き彼女の心を取り戻すのだった。
放課後、馬車をレンタルしてルーシーを迎えに行ったエリオット。彼女は相変わらず不貞腐れていたが、エリオットに説得され母との関係をようやく認めるのである。
共同生活ではなく、同棲生活となった3人。心機一転、部屋の模様替えを行い幸せいっぱいの生活を送っていた。
そんな中でも短期の仕事をしながら、舞台へも出演しているエリオット。舞台が大盛況に終わった夜、映画出演のオファーが入る。彼はチャンスを逃すまいと何の役を演じるのか聞きもせず、即座に了承した。
帰宅早々、出発の準備をしていたところへポーラが帰宅。エリオットが映画出演のためにシアトルへ行くことを聞き、表情を曇らせる。前の恋人もそう言って戻らなかった。ポーラはまた捨てられると泣き出してしまい、エリオットは前の男と自分は違うと必死に説得。だが、彼女は別れを覚悟した様子で、エリオットを送り出そうとする。彼は何があっても絶対に戻って来ると断言して出発するのであった。
しかし、その夜。故障で出発が遅れたとのことで、エリオットがポーラへ一緒にシアトルへ行こうと誘いに戻って来る。ポーラとルーシーは彼が戻ったことで、捨てられたのではなかったのだと実感。ポーラは戻ってくれただけで充分だとはしゃぎ、仕事に専念することと体を大事にするよう言って、再び彼を送り出すのであった。
映画『グッバイガール』の感想・評価・レビュー
1977年制作のラブストーリー。当時の観点から言えば、母子家庭のヒロインは相手を見つけるのも大変だっただろうと思う。それに今でこそ、シングルマザーは優遇されることも多いが、当時は支援もほとんどなかっただろうし、生活するにはやはり恋人に頼らざるを得なかったに違いない。しかも、母親はダンサーという不安定な職業。
そういったことから、幼い娘は母親の背中を見て様々なことを学び、早熟したのだろう。母親に対する娘の言動がかなり鋭く、痛いところを突いてくるものが多い。ヒロインの強気な反発態度にはかなり辟易とし、男を見る目がないのだと感じた。相手の男性の方がよほど見る目がある。だが、この作品により当時のシングルマザーは希望を抱いたり、元気を得たのではないだろうか。(MIHOシネマ編集部)
ポーラに共感出来れば、とても面白い作品です。母子家庭のポーラはかなり男運が悪く、いつも相手に捨てられてしまう運命。同じ失敗をしないために「自分」を強く持つのは悪いことではありませんが、その自分らしさがあまりにもひねくれていて私には共感できませんでした。
恋愛は「ギブ&テイク」だと思うんです。愛は必ず返ってくるものだと思っている私は、ポーラの不運は自分から発せられているのでは無いかと思ってしまいました。自分らしさをひねくれるのではなく、もっと「素直」に表現したらいいのに…と同じ女として少し残念に感じます。(女性 30代)
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