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映画『検察側の罪人』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『検察側の罪人』の概要:東京地検の検事である最上の元に、ある殺人事件が舞い込んでくる。被疑者の中に松倉という名前を見つけた最上は驚愕した。松倉は23年前に最上の後輩を殺した疑いを掛けられていた男だった。

映画『検察側の罪人』の作品情報

検察側の罪人

製作年:2018年
上映時間:123分
ジャンル:サスペンス
監督:原田眞人
キャスト:木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大 etc

映画『検察側の罪人』の登場人物(キャスト)

最上毅(木村拓哉)
東京地検刑事部の本部係検事。エリートで正義感が強い。大学時代は北海道出身者が集まる“北豊寮”に住んでおり、丹野とは同期。そこで久住由季と知り合ったが、彼女は殺され事件は時効を迎えてしまう。由季殺しの犯人を捕まえることに躍起になっており、そのためなら真実を曲げることも厭わないほど。一時期、流行した誕生日占いを暗記しており、誕生日で性格を推理する一面もある。
沖野啓一郎(二宮和也)
新米の検事、東京地検で最上の下で働く。最上を尊敬しており、彼のようになりたいと考えている。しかし、松倉を巡って最上の考え方に疑問を抱くようになる。
橘沙穂(吉高由里子)
沖野を補佐する検察事務官。以前はキャバクラに潜入し暴露本を書いたが、今度は検察の裏側を暴露するつもりで潜入している。実際に司法試験を合格しており、頭脳明晰。
松倉重生(酒向芳)
23年前に久住由季を殺した被疑者として名前が挙がったが逮捕には至らなかった。蒲田で起きた老夫婦殺人事件の被疑者として名前が挙がる。
弓岡(大倉孝二)
老夫婦事件の被疑者。飲み屋で殺人の一部始終を自慢話のように話したことから疑いの目を向けられる。
諏訪部(松重豊)
闇ブローカー。車から拳銃まで、どんなものでも裏ルートを使って提供する商売人。
丹野(平岳大)
大物政治家・高島の秘書をする衆議院議員。日本を戦争国家にしようとする高島の考えに反対し、彼を止めようと奮闘している。最上とは旧知の仲。

映画『検察側の罪人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『検察側の罪人』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『検察側の罪人』のあらすじ【起】

検事になりたての沖野啓一郎は新人研修で最上毅という先輩検事からレクチャーを受け、彼の考え方に感銘を受ける。四年後、東京地検刑事部に配属された沖野は、自分の上司が尊敬する最上だと知って興奮していた。

最上は正義感の強い男だった。彼が常に心がけているのは“弁護士が作ったアナザーストーリーに負けてはいけない”というもの。そしてそれ以上に大切なのは“自らが作り上げたストーリーに固執し、真実を捻じ曲げないこと”だと後輩たちに言い聞かせていた。そんな最上に憧れを抱く沖野は自分も最上と同じ正義を貫こうと心に決めていた。

最上は23年前に起こった殺人事件にこだわりを持っていた。“北豊寮”に住んでいた頃に仲の良かった久住由季が絞殺されるという事件だ。事件は犯人が捕まらないまま時効を迎えていた。

しばらくして蒲田で殺人事件が発生する。殺された都筑夫婦はアパート経営や金貸しをしていたため、金目的の顔見知りの線が強かった。事件の担当となった沖野は調査書を纏めていったのだが、それを見た最上は顔色を変える。金を借りた者の中に松倉重生という名前を見つけたからだ。松倉は久住由季を殺した被疑者として名前が挙がったことのある男だった。

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映画『検察側の罪人』のあらすじ【承】

松倉に固執する最上は入念な捜査もしないうちから彼を怪しみ始めた。23年前に由季の事件を担当した田名部という刑事が調べた松倉の過去を聞いて、その色をますます強めていく。だが、それに対して沖野の立会事務官である橘沙穂は、23年前の事件と田名部の感情に引っ張られていると苦言を呈する。

任意同行による取り調べでは何も吐かなかったため、最上は闇ブローカーの諏訪部を使い、松倉が働くリサイクルショップの店長から横領の容疑をでっち上げさせ、彼を正式に逮捕した。

若者嫌いの傾向がある松倉に沖野をぶつけた最上。しかし、松倉は田名部に話したことと同じことを繰り返し、23年前のことも口を割らない。最上は沖野に別室から指示を送って取り調べを指揮することにする。沖野が高圧的な態度を取り続けたおかげか、次第に松倉は苛立ち始めた。話が由季殺しになった時、録音と録画を止めてほしいと言った松倉は、由季殺しは自分だと自供を始めた。

真実を知った最上は怒りと悲しみに震える。松倉は田名部のいる蒲田署に戻されることになった。沖野は都筑夫婦殺しの件も自供させようとする。彼は録画が止まっていることを利用し、松倉に容赦ない罵声を浴びせて追い込んでいったが、松倉は都筑殺しについては無関係だと言い続けた。

最上は大学時代からの友人で北豊寮でも一緒だった衆議院議員の丹野と密会する。丹野は高島という議員の秘書だったが、高島が行おうとしていることに納得できなかった。そこで反旗を翻してマスコミに高島の秘密をリークしたのだが、逆にマスコミから裏切られて窮地に落ちていた。最上は丹野に松倉が由季殺しを自供したことを報告し、俺はお前の側に付くと強く言った。

橘沙穂は以前にキャバクラ業界に潜入し暴露本をヒットさせていた。その調子で、今回は検察内部の暴露本を書くつもりで潜入していたのだ。彼女は記者から最上と丹野が北豊寮の同期で由季とも知り合いだった証拠を得ると、それを沖野に伝えた。

映画『検察側の罪人』のあらすじ【転】

最上は都筑殺しの犯人を松倉に仕立て上げようと考えていたが、その矢先に一人の被疑者が浮かび上がる。弓岡というその男は飲み屋で都筑夫婦を刺殺したと話していた。夫婦に借金をしていた形跡もあったが、決定的だったのは凶器についてだ。凶器の包丁が犯行時に折れたことは報道されていなかったが、弓岡は折れたことを知っていた。犯人の可能性が高くなったことから、捜査本部は明日にも弓岡をメインに切り替えようと考えていた。

都筑夫婦の息子で暴力団員の千鳥は早々に弓岡のことを聞きつけると最上を呼び出した。最上が松倉を犯人にしたいことを察知した千鳥は弓岡を独自に始末しようと考えていたが、最上はそれを制し、対処するので何もするなと言いくるめた。

連日のスキャンダルの末、ついに逮捕の報道がなされた丹野は意を決し自殺を図る。最上はその連絡を受けて驚愕した。だが、丹野の死は最上の悩んでいた心に決心をつけさせる。彼は諏訪部に連絡し、車と携帯を用意しろと言って落ち合うことにした。その様子を偶然に見ていた沙穂は最上の後をつけていく。

諏訪部と合流した最上は拳銃が欲しいと要求。弓岡が働くラブホテルの入り口には警察と千鳥の舎弟たちが張り込んでいたが、最上は弓岡に味方だと言って連絡を入れ、そこから無事に脱出させる。最上の後を追っていた沙穂は沖野に連絡を入れ、ラブホテルまでは追跡したが撒かれてしまった。

箱根まで弓岡を運んだ最上は諏訪部から手に入れたトカレフで弓岡を射殺し、山中に埋めた。翌朝、何食わぬ顔で捜査本部に顔を出した最上は弓岡が行方をくらませたことに驚き、警察側の失態だと非難した。だが、事情を知っている沙穂は最上と諏訪部が怪しい行動をしていたと発言。それに対し、最上は諏訪部から得た暴露本の話で沙穂をやり込める。沙穂は後日、辞表を提出して去って行った。

最上は弓岡が持っていた折れた包丁を河川敷に捨て、匿名の電話でそれを発見させる。包丁は松倉の競馬新聞に包まれていた。松倉を犯人だとする証拠が固まりつつあったが、沖野だけはそれを信じていなかった。彼は証拠や発言に矛盾がある、あなたは松倉が犯人だという勝手なストーリーを作っていると叫んだ。松倉への復讐が全てで真実を見ようとしないなら検事でいる意味はないとこぼした沖野は、最上の考えに賛同できず、辞職願を出して検事を辞めていった。

映画『検察側の罪人』の結末・ラスト(ネタバレ)

沖野と沙穂は正義のために松倉の冤罪を晴らそうと考え、小田島弁護士を訪ねた。二人は検察で得た情報をリークし、松倉に有利になる証言者を探し求めた。

ある日、警察署に一人の男が自首しに現れた。その男は弓岡の命令で犯行時に都筑家の見張りをしていたという。弓岡が犯人である決定的な証言となり、松倉は晴れて無罪を勝ち取った。焦りだした最上の前に諏訪部が現れ、指示をくれたら松倉を殺すと告げる。しかし、最上は殺しの依頼はしないと言って断った。

後日、無罪を祝うパーティが開かれ、沖野は沙穂と共に出向き、松倉に謝罪をしようと考えていた。だが、沖野の顔を見た松倉は取り調べの時に言われた言葉が許せず、彼と沙穂を突き飛ばすと憮然として表へ飛び出していった。松倉を追いかけた沖野だったが、彼の目の前で松倉は車に轢かれて死んでしまう。全ては諏訪部の差し金だった。

しばらくして沖野は最上から呼び出しを受ける。作家であった彼の祖父が所有していた別荘へと足を運んだ沖野は、最上から丹野に託されたという資料を見せられた。それは高島グループが日本を再び戦争国家にしようと画策している証拠だった。最上は丹野の意志を受け継ぎ、それを阻止しようと考えていたが、沖野に告発されてはそれができなくなる。

最上に目を覚ましてほしい沖野は、昔、新人研修の時に最上が言った言葉を繰り返した。“自分の正義に固執する検事は必ず犯罪者に堕ちる”と。だが、正義は時代と共に変わっていく、強くあるためには自分の正義に固執しなければならないと最上は呟くばかり。落胆した沖野は静かに別荘を去って行くが、ぶつけどころのない感情に支配された彼は、ただただ絶叫するばかりだった。

映画『検察側の罪人』の感想・評価・レビュー

正直2時間では尺が足りない。3時間にするか、もしくは12話ほどのテレビドラマにしたほうが更に面白いだろうと感じた。木村拓哉、二宮和也の演技はとても良いしキャストも豪華な面々が顔を連ねているが、尺のせいで風のように通り過ぎてしまい深みが生まれていない。祖父の戦地での話や丹野が絡む戦争云々の話は、最上の信念を強調するために必要だったのだろうと理解はできるが少し大げさすぎる気もする。由季と沖野の誕生日繋がりも取って付けた感じ。(MIHOシネマ編集部)


胸が苦しくなる作品だった。正義はただ振りかざすだけではいけない、と強く叩き込まれている気がした。

出てくる人の多さや時間軸で最初は少し話を飲み込むのに時間がかかった。だが、この作品は優しかったのでヒントになるようなことを要所要所で出してくれていて、なんとか理解ができた。途中、冲野(二宮)と橘(吉高)の唐突なラブシーンは必要だっただろうか。原作を見ていないので断言はできないが、関係性を考えてみても不必要だったのではなかろうか。(女性 20代)


木村拓哉と二宮和也。ジャニーズ事務所きっての演技派である2人が検事を演じた今作は、かなりシリアスで重厚な雰囲気の作品でした。木村拓哉が演じる検事というと、どうしても『HERO』を思い出してしまいますが、今作で彼が演じた最上は自らの「正義」を曲げずに地位を築いた男でした。その正義が間違っていることに気づき、最上の目を覚まそうと奮闘する二宮和也演じる新人検事も若さゆえの熱さや行動力が光っていました。
もっと長く、深く見たくなる作品です。(女性 30代)

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