映画『消された女』の概要:テレビ番組のプロデューサーであるナムスは、精神科病院に強制入院させられたという者が書いた日記を発見する。それを書いたのは継父を殺した殺人容疑が掛かるカン・スアだった。やがてナムスはある闇の繋がりに気がついていくのだが……。
映画『消された女』の作品情報
上映時間:91分
ジャンル:サスペンス
監督:イ・チョルハ
キャスト:カン・イェウォン、イ・サンユン、チェ・ジノ、チ・デハン etc
映画『消された女』の登場人物(キャスト)
- ナ・ナムス(イ・サンユン)
- 『追跡24時』をヒットに導いた名プロデューサーだったが、やらせ疑惑のせいで失脚。カン・スアの日記を見つけ、強制入院の事件を知る。その事件で再び表舞台へ復帰しようと考える。
- カン・スア(カン・イェウォン)
- 精神科病院に強制入院させられた女性。継父である警察署長カン・ビョンジュの殺害容疑が掛かっており、警察の医療施設に拘留されている。
映画『消された女』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『消された女』のあらすじ【起】
『追跡24時』というテレビ番組をヒットさせたプロデューサーのナ・ナムス。だが、番組にやらせ疑惑の噂が立ち、停職処分を食らってしまう。一年後、燻っていた彼のところに上司が持ってきた仕事はホラースポット探索というつまらないものだったが、復帰を望むナムスは仕方なくその仕事を引き受けた。
企画の打ち合わせが始まったが、どれも退屈なものばかり。しかし、ナムスは企画書の中から出てきたある日記に興味を示す。それは『追跡24時』を担当していた時のナムスに送られてきた物で、精神科病院に強制入院させられた者が書いた日記だと説明される。
日記の最後には“カン・スア”という名が記載されており、ナムスにはその名に憶えがあった。その精神科病院は一年前に火事が発生しており、患者は全員死亡していた。ナムスはこの場所を探索することに決める。
取材のために精神科病院跡地へとやってきたナムスは、そこで大やけどを負ったハン・ドンシクという人物と遭遇。彼は長い間、やけどを放ったままにしており重傷だった。病院へ搬送されたが、彼の名前が日記に出てきたことから、ナムスの中に疑念が湧いてくる。
映画『消された女』のあらすじ【承】
精神科病院が火災にあった同日、警察署長のカン・ビョンジュが娘に射殺されたという事件が発生していた。更に調べていったナムスは、ビョンジュの娘の名前がカン・スアだということを突き止めた。スアの証言によると事件当日は入院していたらしいが、その記録はどこにもない。
医療施設に入院しているスアを訪ねたナムスは刑事のふりをして質問をぶつけたが、彼女は何も答えなかった。だが、日記を見せてナムスが正体を告げると動揺を露にする。ナムスは、これは『追跡24時』向きの事件だと確信し、勝手に調査に乗り出していく。
ビョンジュは次の警察庁長候補と言われる人物で、スアは再婚した妻の連れ子だった。妻はビョンジュが殺害される二ヵ月前に病死していた。
ナムスはスアに話を聞くため、再度施設を訪れた。彼女の話ではいつもと変わらずに町をぶらついていた時、突然に男たちに車に押し込められたという。連れ去られた先で、ここは精神科病院だと説明されたが、スアの体は拘束されて猿ぐつわを噛まされていた。彼女は病気ではないと訴えたが聞き入れてもらえず、看護師たちからは日常的に暴力を振るわれた。だが、ハン・ドンシクという看護師だけは優しかったという。
調べを進めたナムスは、精神科病院のチャン院長がビョンジュの後輩だと知った。彼は次第にビョンジュが強制的にスアを入院させたのではないかと考えだす。精神保護法では、保護者と医師の診断書があれば正常な者でも強制的に入院させることが可能だったからだ。
映画『消された女』のあらすじ【転】
チャン院長の精神科病院では臓器売買が行われている噂も立っていた。強力な後ろ盾がいるため、裁判を起こすことすらできずに泣き寝入りした家族も多いという。スアにそのことを尋ねると、その事実はあったと説明される。
スアは入院患者からチャン院長のオフィスにある隠し通路の情報を聞き出して逃走を図る。逃走は成功し警察に保護されるが、チャン院長とビョンジュが繋がりを持っていたために、すぐに病院に舞い戻ってしまった。
ナムスは『追跡24時』でこの企画を放送したいと上司を説得した。彼はスアがビョンジュから暴行されていたのではないかと推測していた。日記の中に“悪魔”という記述があったからだ。それを彼女に質問したが、彼女はビョンジュのことをすっかり忘れ、継父だということすら憶えていない。そんな時、ハン・ドンシクが病院から姿を消す。また、スアもナムスからの取材を拒否するようになってしまった。
考えたナムスは『追跡24時』の中でドンシクが生きていることをスアにだけ分かるように放送した。反応を示したスアはナムスの面会を許可する。そして、今まで話していないことを語りだした。入院していた彼女を救い出そうとしていたイ・ウジンという人物がいたというのだ。彼はドンシクの協力で病院の場所を突き止め、救助に来てくれた。だが、チャン院長に発見されて重傷を負わされたという。
臓器売買のために殺される寸前、入院患者のひとりがチャン院長のオフィスで火事を起こした。パニックになったことで窮地を脱したスアは、ウジンを連れて脱出を試みる。だが、彼は焼けただれた患者の一人に掴まれて業火の中に消えていき、結局、助かったのはスアだけだった。
映画『消された女』の結末・ラスト(ネタバレ)
ナムスはスアからビョンジュとの関係を聞き出そうとする。多少強引な方法だったが、スアは動揺しながらも真実を話し出した。火事と共に病院を抜け出した彼女は、今まで自分と母に酷いことをしてきたビョンジュを殺そうと自宅へと向かった。だが、チャンとの闇の繋がりがバレることを恐れた彼は、すでに拳銃自殺していたという。
『追跡24時』が放送され、ナムスはビョンジュとチャン院長の繋がりについて報道。娘を入院させたこと、その病院で火事が発生したことでビョンジュの悪事が露呈されたことを世間に伝えた。その結果、スアはビョンジュ殺害容疑が晴れて無罪となる。ナムスは今回のことを高く評価され、再び人気プロデューサーへと舞い戻った。
スアが医療施設を退院する日、ナムスは彼女を迎えに行った。去り際、彼女は精神科病院ではボールペンも凶器になるので持たせてもらえないと言った。その言葉に引っ掛かりを感じたナムス。スアの日記を捲った彼は、その字がボールペンで書かれていることに気がつく。
実は、病院に強制入院させられたのはスアの母だった。スアの話ではイ・ウジンという男が助けにやってきたと言っていたが、ウジンはスアの実父の名前だった。実際に母を助けに行ったのはスアで、業火の中に消えたのはウジンではなく母だった。ビョンジュも自殺したのではなく、彼女が殺害したのだ。全ては母を殺し、自分を酷い目に合わせたビョンジュに復讐するためのスアの策略だったのである。
映画『消された女』の感想・評価・レビュー
どんでん返しを意識しすぎて物語に整合性が無くなっている気がする。ドンシクがどこに消えたのかも謎だし、ナムスが日記を発見するのも運に任せすぎている。マスコミを躍らせるのは容易いのかもしれないが、警察や病院を出し抜くことは難しい気がした。ナムスが選ばれた理由もとても弱い。一度は軽くあしらわれたマスコミを使って、華麗に復讐を達成するのは面白いが、そのためにはマスコミやナムスにもっと酷い目にあっていなくてはカタルシスが生まれない。(MIHOシネマ編集部)
韓国映画のあるあるが詰まった作品です。記憶喪失になったり、継父や実母の複雑な関係、そしてラストの大どんでん返しは韓国映画では見慣れたものですが、今作はラストの数分で今まで見てきた全てを覆してしまうような大どんでん返しがあるので、少しやり過ぎ感がありました。
謎の女と謎の日記、鍵を握る存在としてはとても面白い設定ですが、全て仕組まれていた事だと気づくとゾッとします。
ラストに向けてスピード感が増しますが、中盤は少々テンポが悪いのでそこで諦めずにぜひ最後まで見て欲しいです。(女性 30代)
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