映画『ミッドナイト・エクスプレス』の概要:トルコから麻薬を持ち出そうとしたアメリカ人の青年ビリーは、不法所持の罪で現地の刑務所に収容される。劣悪な環境に耐え、刑期満了を目前にしたビリーに裁判のやり直しが伝えられた。新たに下された判決は禁固30年。絶望したビリーは脱獄を決意する。
映画『ミッドナイト・エクスプレス』の作品情報
上映時間:121分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:アラン・パーカー
キャスト:ブラッド・デイヴィス、アイリーン・ミラクル、ランディ・クエイド、ジョン・ハート etc
映画『ミッドナイト・エクスプレス』の登場人物(キャスト)
- ビリー・ヘイズ(ブラッド・デイヴィス)
- アメリカ人の青年。恋人と訪れたトルコ旅行の帰り、出来心で麻薬を持ち出そうとして逮捕される。刑期満了を目前に行われた再審で禁固30年を言い渡され、脱獄を決意する。
- スーザン(アイリーン・ミラクル)
- ビリーの恋人。アメリカでビリーを助けるための活動に励み、面会にも訪れる。
- ジミー(ランディ・クエイド)
- ビリーと同じ刑務所の囚人。収監されたばかりのビリーに色々とアドバイスをしてくれた。執念深く脱獄の計画を立てる。
- マックス(ジョン・ハート)
- ビリーと同じ刑務所の囚人。ビリーに優秀な弁護士を紹介し、脱獄を勧める。リフキとは何かと衝突していて仲が悪い。
- 所長(ポール・スミス)
- 刑務所の所長。冷酷な人物。リフキの密告を受けては囚人たちに拷問同然の暴行を加えている。
- リフキ(パオロ・ボナチェッリ)
- 刑務所で雑用を担当している。囚人たちに目を光らせ、何かあると所長に密告する。金を何よりも大切にしている。
映画『ミッドナイト・エクスプレス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ミッドナイト・エクスプレス』のあらすじ【起】
1970年10月6日。恋人のスーザンとトルコを訪れていたビリー・ヘイズは、アメリカに麻薬を持ち出そうとして逮捕された。刑務所に入れられたビリーを助けてくれたのは、同じく西洋人のジミーとエリックだった。彼らは刑務所内のことや、トルコ人のことについてビリーに教えた。そして、高くても優秀な弁護士を雇うようにアドバイスし、刑務所の古株であるマックスというイギリス人を紹介する。マックスは、イエシルという実績のある弁護士の名前をビリーに伝えた。さらに、マックスは「深夜特急に乗る」、すなわち脱獄するのが一番だと言った。
ビリーの父がアメリカから面会に訪れた。アメリカ領事館のダニエルスと弁護士のイエシルも来ていて、裁判に関する相談を行う。父は、必ずここから出すと約束して帰って行った。
裁判が始まった。検事は、昨今ヘロインの密輸でトルコが国際社会から批判的な目で見られていることを指摘し、終身刑に処すべきだと主張した。裁判はトルコ語で行われるため、ビリーには検事が何を言っているのかがわからない。イエシルに状況を聞いても、大丈夫としか答えなかった。判決が確定し、ビリーは麻薬不法所持の罪で4年2ヶ月の実刑を言い渡された。悲嘆するビリーと父に対し、イエシルは上出来だと言った。
映画『ミッドナイト・エクスプレス』のあらすじ【承】
刑務所は劣悪な環境で、所長による拷問のような体罰が横行していた。下男のリフキという男が常に囚人たちを見張っていて、何かすればすぐに所長に密告された。そんなある日、ジミーは刑務所の青写真を手に入れ、脱獄の計画をビリーとマックスに持ちかける。残りの刑期が20ヶ月になっていたビリーは、ここで危険な橋は渡りたくないと断った。ジミーは1人で脱獄を決行するが見つかり、所長に暴行を受けて療養所に入ることになった。
1974年6月。ダニエルスがビリーを訪ねてきた。刑期の短縮を期待したビリーに、不法所持ではなく密輸扱いで裁判がやり直されることになったと告げる。ビリーの刑期は残り53日になっていた。裁判が行われ、新たに下された判決は禁固30年だった。絶望したビリーは脱獄を決意する。
療養所から戻ってきていたジミーは、まだ脱獄を諦めていなかった。ビリーはジミーとマックスと協力し、シャワー室の壁を叩いて坑道に繋がる箇所を見つける。しかし、坑道を進んでいくと道は途中で行き止まりになっていた。3人は落胆したが、外へ通じる道を探し当てるまで毎日続けようということになり、その日はそのまま引き上げた。
映画『ミッドナイト・エクスプレス』のあらすじ【転】
翌日、塞いでいた壁の穴がリフキに見つかってしまう。すぐに所長たちがやってきた。挙動不審のジミーを見て所長は関与を確信し、連行した。密告したリフキへの復讐を画策するビリーとマックスは、リフキが命より大事にしている金を盗むことにする。
リフキがラジオの裏に隠していた金を取り出し、鍋などに入れて使えない状態にした。失意のリフキは刑務所を去ることになった。そこへ、抜き打ちの所持品検査が入る。麻薬を所持しているのが見つかったリフキは、マックスからもらったものだと虚偽の証言をした。マックスは懸命に否定するが、聞き入れてもらえず連れ去られる。怒り狂ったビリーはリフキに殴りかかり、逃げるところを引きずり戻して舌を噛み切った。
7ヶ月後。ビリーとマックスは特別収容棟に入れられていた。そこは精神を病んだ囚人が収容されている場所だった。ビリーはすっかり生気を失っていた。そんな中、スーザンが面会にやってくる。アメリカで助命運動が始まっていることなどを伝え、ビリーを励ました。ビリーはスーザンの胸元を見て、服を脱いでほしいと頼む。スーザンは従い、変わり果てたビリーを涙ながらに見つめた。ビリーの家族や友人の写真をまとめたアルバムを渡し、頑張ってと告げてスーザンは帰って行った。
映画『ミッドナイト・エクスプレス』の結末・ラスト(ネタバレ)
スーザンからもらったアルバムを開いたビリーは、金が隠されているのを見つける。ビリーはそれを靴下に隠し、マックスの元へ向かった。別れを告げ、必ず戻ってきて助けると耳元で囁くが、すでに廃人同然のマックスにはどこまで伝わっているのかわからなかった。
ビリーは所長に100ドルを渡し、病院に入れてもらいたいと頼んだ。所長は承諾し、ビリーの手を取った。しかし、所長は病院を通り過ぎても歩き続ける。抗議するビリーが連れて行かれたのは、家具などが一切置かれていないとある部屋だった。所長はそこへビリーを放り込み、暴行した。さらに、性的暴行を加えようとしたためビリーは所長に突進して突き飛ばす。その拍子に所長は突起に頭をぶつけ、死亡した。
ビリーは部屋にあった拳銃を手に入れ、様子を見に来た警官を射殺した。そしてその制服を奪い、刑務所から脱出する。1975年10月4日、ビリーは無事ギリシャへと渡る。そして3週間後、遂にアメリカへ戻り、両親やスーザンと再会を喜び合った。
映画『ミッドナイト・エクスプレス』の感想・評価・レビュー
逮捕されたビリーが取り調べを受ける間、警官同士がトルコ語で会話をしている。その間は字幕がまったく出ないため、異国の地で逮捕され、何が起こっているのかわからないというビリーの恐怖が伝わってきた。作者の実体験を記した原作とは異なる部分が多く、作中でも印象的なリフキの舌を噛み切るシーンやスーザンとの面会シーンもオリバー・ストーンによる脚色だという。そのため批判も多かったそうだが、それらの脚色のおかげでより見応えのある映画になっていると思った。(MIHOシネマ編集部)
オリバー・ストーン監督の脚本で凄く気になっていた映画だ。町山智浩さんの解説で一気に映画のイメージが変わってしまった。たしかに『プラトーン』に通ずる部分あるし、他にもオリバーの作品味が出ているらしいけど、その自己体験を導入したがる我の強さが際立っていて面白い。
主人公やトルコ人看守の暴力とかかなり脱色してる部分に関しては好かないから、その意味では原作に忠実な脱獄映画のほうが見応えはあると思った。それでもオリバー・ストーン自身を知るにはとても貴重な作品である。(女性 20代)
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