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映画『怒りの葡萄』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『怒りの葡萄』の概要:凶作で故郷を追われ、数々の理不尽な目に遭いながらも強く生き抜く一家を描いた社会派作品。ジョン・スタインベックの同名小説を原作に、ジョン・フォード監督が映画化した。第13回アカデミー賞で監督賞と助演女優賞を受賞。

映画『怒りの葡萄』の作品情報

怒りの葡萄

製作年:1940年
上映時間:129分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジョン・フォード
キャスト:ヘンリー・フォンダ、ジェーン・ダーウェル、ジョン・キャラダイン、チャーリー・グレープウィン etc

映画『怒りの葡萄』の登場人物(キャスト)

トム・ジョード(ヘンリー・フォンダ)
殺人罪で4年間服役し、故郷へと戻った。家族思いだが、一時の感情で暴力を振るってしまうことがある。
トムの母(ジェーン・ダーウェル)
家族思いで強く優しい女性。トムがまた道を踏み外さないよう気にかけている。
ケーシー(ジョン・キャラダイン)
元説教師で、トムの洗礼を担当した。ジョード家と共にカリフォルニアへ向かう。理不尽な扱いには声を上げるべきだということをトムに示した。

映画『怒りの葡萄』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『怒りの葡萄』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『怒りの葡萄』のあらすじ【起】

殺人の罪で4年間服役していたトム・ジョードは、仮釈放となり久しぶりにオクラホマの実家へ戻ろうとしていた。途中、トムはケーシーと再会する。ケーシーはかつて説教師だったが、現在は荒んだ生活を送っているようだった。砂嵐が吹きすさぶ中、2人はトムの実家への道を歩く。家に着くと、家族はいなくなっていて、奥にミューリーという知り合いが隠れていた。

ミューリーはトムに事情を説明する。毎年吹く砂嵐の影響で土地も作物もだめになり、地主がこの土地での小作人制度に見切りをつけた。そのため、先祖代々ここで小作農を営んできた住人たちは強制的に立ち退きを命じられたのだという。ジョード家の人々は、2週間前にジョン伯父のところへ移っていた。そこにいられるのも長くはなく、仕事が豊富にあると聞くカリフォルニアを目指すのだった。

翌日、トムとケーシーはジョン伯父の家に辿り着いた。トムに気が付いた母が外に出てくる。2人は抱き合って再会を喜んだ。他の家族たちもトムを歓迎した。明日の夜明けまでにジョン伯父の家から去らなければならず、急いで準備を始めた。家財を売った金で購入したトラックに荷物を積んでいく。古いトラックで、すでに重さで傾いていた。初めは遠慮していたケーシーも同行することになり、一家は期待に胸を膨らませてカリフォルニアへと出発した。

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映画『怒りの葡萄』のあらすじ【承】

トラックは国道66号線を走り、サリソー・シティ、シェコタ・シティ、オクラホマ・シティと過ぎていく。途中で祖父の容体が悪くなり、そのまま亡くなった。遺体は家族の手で埋葬した。

ある夜トムたちは、カリフォルニアに行ってきたという人物から、高賃金人手不足を謳う求人チラシは嘘だと聞く。募集を遥かに上回る人々が職を求めてカリフォルニアを訪れ、その分給料は安くなっているというのだ。カリフォルニアは夢の場所ではないかもしれないと、トムたちは不安を抱き始める。それでも進むしかなく、トラックはカリフォルニアに入り、砂漠を越えた。その頃には祖母も亡くなっていた。

ようやくキャンプに到着し、一家はテントを張った。そこは日々の食事にも困るほど貧しい人たちで溢れ返っていた。契約書も無しに雇おうとする悪質な仲買人がやってきて、それを指摘した男性に向かって警察官が発砲した。トムとケーシーは警察官に飛びかかり、男性を逃す。ケーシーは、仮釈放が取り消されるため逃げるようにとトムに言った。駆け付けた警察官たちにケーシーは自首し、連行されていった。

映画『怒りの葡萄』のあらすじ【転】

キャンプが焼き払われるという情報を得たトムは、一家と共にキーン農場へ向かった。家と仕事を割り振られ、一家は桃摘みをして働くことになる。夕食の後、農場の周りに多くの警察が出動しているのが気になっていたトムは、様子を探りに外へ出た。川べりに張ってあるテントを発見し、中を覗くとケーシーと数人の男がいた。

ケーシーは連行後に町を追い出され、この農場でストライキを起こしているのだった。トムも誘われるが、今の賃金で満足しているため断る。ケーシーは、ストライキ中だからその給料なのであって、終われば半額になるだろうと断言した。

かなりの人数が近付いてくる音が聞こえ、全員でテントから逃げ出した。警察がケーシーをストライキのリーダーとみなし、追っているのだった。追いかけてきた警察官に見つかり、ケーシーは撲殺された。すかさず反撃に出たトムは、相手を殺してしまった。すぐにその場を去ったが、顔を殴られ傷を負っていた。

トムは家に戻り、迷惑をかけたくないため出て行くと告げると母に反対された。外では警察が顔に傷のある男を探している。ストライキは終わり、ケーシーが言った通り賃金は半分になっていた。一家はトラックの荷台にトムを隠し、その夜のうちに農場を出た。

映画『怒りの葡萄』の結末・ラスト(ネタバレ)

トラックを走らせ続け、一家は国営キャンプに辿り着いた。衛生施設なども完備されている場所で、母は清潔な環境に喜んだ。しかし、トムは国営キャンプに反感を持つ者たちが暴動を企てているという情報を伝え聞く。トムも協力し、暴動を未然に防ぐことに成功した。

ある夜、警察がジュード家の車のナンバーを控えていた。トムがここにいることが気付かれたのだ。何も言わずに出て行こうとするトムを母が引き止める。だが、自分を匿うことで母まで罪に問われるのは避けたいと思うトムの決意は固かった。ケーシーの生き様を見て、トムは民衆で団結し現状の理不尽さに声を上げていくべきだと考えるようになり、そのために行動を起こそうとしていた。走り去っていくトムの後ろ姿を母はいつまでも見送っていた。

新しい仕事があると聞いたジュード一家は、国営キャンプを出発した。20日分の仕事があるというが、本当かどうかは到着するまでわからない。それでも母は、生き続けるという意志を胸に強い瞳で前を見つめるのだった。

映画『怒りの葡萄』の感想・評価・レビュー

本作でアカデミー賞助演女優賞を受賞したジェーン・ダーウェル演じる、トムの母がとても印象的だった。前向きで強くてへこたれない姿に、ジュード家の人々は何度も救われていると思う。そんな彼女が見せる、トムを案じる表情やトムとの別れを悲しむ表情には胸が痛くなった。一家は新たな仕事を求めてまた走り出すが、辿り着いた先には何もないかもしれない。それでも、彼らは不屈の精神で生き抜いていくのだろうと思えるラストシーンだった。(MIHOシネマ編集部)


「生きるために必要なこと」は何なのか。生きていくということは、働き、収入を得て、衣食住をまかない、その毎日を繰り返すということ。この作品の主人公には生きていく「楽しさ」や「幸せ」は感じることは出来ず、とにかく「生きる」ということだけにガムシャラになっているように感じました。
時代が変わる時には必ずしも全員の生活が良くなる訳では無いと知りました。良くなる人がいる代わりに、苦しい生活を強いられる人がいる。そんな時代のせいで苦しめられながらも、生きなければならない主人公に胸が締め付けられる思いでした。(女性 30代)


若きヘンリー・フォンダと巨匠ジョン・フォード監督の作品で、アカデミー賞獲得の文句無しの存在感だ。貧困の中での人間の冷酷さや、反対に温かさが露わになるシーンには時代は違えど共感した。

世界大恐慌あたりのアメリカ中西部の歴史をあまり知らなかったので、本作を観て新たなアメリカの一面を知ることができたし、戦前にここまで自国のリアルを追求するような作品があったことには驚いた。(女性 20代)

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