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映画『愛してる、愛してない』あらすじとネタバレ感想

映画『愛してる、愛してない』の概要:「愛してる、愛してない」は、2011年の韓国映画。ヒョンビンとイム・スジョン主演で、妻に別れを切り出された夫婦の物語。イ・ユンギ監督の低予算作品。井上荒野原作の短編小説「帰れない猫」を映画化。

映画『愛してる、愛してない』 作品情報

愛してる、愛してない

  • 製作年:2011年
  • 上映時間:105分
  • ジャンル:ラブストーリー
  • 監督:イ・ユンギ
  • キャスト:ヒョンビン、イム・スジョン、キム・ジス、キム・ジュンギ etc

映画『愛してる、愛してない』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『愛してる、愛してない』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『愛してる、愛してない』のあらすじを紹介します。

ファン・ジソク(ヒョンビン)と妻(イム・スジョン)は、結婚5年目の夫婦。ある日、出版の仕事をしている妻から、突然別れたいと告げられてしまう。妻は、キム・ソンフンなる男と不倫をしており、荷物をまとめて家を出ていくという。2人が夫婦として過ごす最後の1日の物語。
草食系の夫は、突然の申し出に動揺するものの、平静をよそおう。妻の方は、怒りもせず、普段どおりの夫にイライラするが、”私は捨てるのが得意で、あなたは捨てられないのが得意ね”と皮肉を言ってもケンカにならない。

外は雨。室内には雨音だけ。趣味の良い家具に囲まれて過ごす。2人の仕事部屋は、2階が妻で地下1階が夫と分かれていた。夫は建築関係の仕事をしているが、これからも仕事を続けるかどうか迷っていた。手先が器用で工芸品を作るのが得意。料理など家事全般をこなす。ディナーを予約しているが、レストランにゆけそうもない。
そんな時、2人の救世主のように生後2ヶ月の白い子猫が家に迷い込んできます。ジソクは猫を捕まえようとするが、ひっかかれて逃げられてしまう。

ガラス窓をたたく音がして、子猫の飼い主夫婦が訪ねてきた。いなくなった子猫を探しているという。歯科医をやっている夫婦は、束の間、家のなかを荒らしていくが、結局、子猫を捕まえることはできなかった。猫さがしをしている間、キム・ソンフンなる男(ハ・ジョンウ)から妻へ電話が。
夫を気にしながら話す妻。本当に彼のもとへ行くのか?妻は迷っているようだった。

レストランの予約はキャンセルにして、ジソクがパスタを作ることになった。ジソクのパスタ作りを妻も少し手伝うが、急にポテトサラダを作りたいと言い出す。サラダに入れる玉ねぎを妻に言われて刻む、ジソク。玉ねぎが目に沁みてどうしょうもなくなります。
2人は別れるのか?それともこのまま夫婦生活を続けるのか・・・。

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映画『愛してる、愛してない』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『愛してる、愛してない』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

夫婦の空気感をリアルに表現した、ラブ・ストーリー

ヒョンビンの繊細な表情、抑えた演技がつかず離れずの夫婦の姿を魅せてくれます。ほぼ2人だけの世界を描いているのですが、やや単調なものの、雨の中に閉じ込められたような雰囲気があります。突然、別れを切り出された時のとまどい、どうふるまえばよいかわからないといった感じ。

妻も抑えた演技でそれに応えています。全てが雨の中に溶けていて、それが時々海の底にいるようで観ているほうが窒息しそうになります。どうしてこんなにケンカもせず、落ち着いていられるのだろう?韓国映画なら、ケンカをしたり泣き出したりと激しい感情が現れるハズなのに。

むしろ、悲しみを抑えた演技のほうが、苦しみが大きいのではないでしょうか。韓国映画にありがちな感情の起伏の激しさがない分、2人の孤独感が沁みてきます。ロング・ショットが多用され、2人でいる時間が長く永く感じられます。また、青みががったレンズを通して、昼でも昏い部屋。

ヒョンビンの表情が暗く見えないほど。雨音だけが響く部屋はシンプルな分、物足りなさを感じますが、生活感がよくでています。ヒョンビンの服を見ると、前半は白で後半は黒のシャツを着ています。これは絶望を表しているのではないか。105分もの長い上演時間は、映画館で観ると眠ってしまうだろう。

変幻自在な俳優~ヒョンビンの魔力

本作では、ヒョンビンの繊細な表情や声、抑えた演技に注目してほしい。草食系で優しすぎる夫。一緒にいれば、居心地がよすぎてたくさん甘えてしまうだろう。料理にしてもコーヒーを入れてくれるにしても上手。妻にとって理想の夫なのに、退屈だと思ってしまうのか。夫婦って本当に難しい。

ヒョンビンは、実にやさしくそれを体現しています。時間経過と共に移ろいゆく心情変化に注目です。ヒョンビンは、ドラマでよく1人2役とか個性の強い性格の人を演じることが多いが、本作のように”静”の面が強調された人を演じるために苦労したらしい。”とても大変な役だったけど、俳優としてすごく満足しています。”と語っています。

できれば、目を閉じて彼の声を聴いてみてほしい。優しくよく通る声。”大丈夫だよ”(韓国語では、ケンチャナヨ。)という言葉を繰り返し使う。ヒョンビン達夫婦のような、くされ縁的な関係は現在の夫婦像としてあるのではないだろうか。まだたくさんヒョンビンの魅力はあります。

兵役前に主演したドラマ「シークレット・ガーデン」(10)のデパートの社長・ジュウォン役では、男女が入れ替わるという難役を違和感なく演じ、笑いを誘った。除隊後にはドラマ「ハイド・ジキル、私」で二重人格の主人公を演じる予定。楽しみです。また映画では、「王の涙~イ・サンの決断」(14)で王位に就いて1年後の王様を演じています。

静と動、二重人格等多彩な魔力を秘めた彼に大注目です!


本作は、井上荒野原作短編小説『帰れない猫』を映画化したもので、好きな人が出来た妻に別れを切り出された結婚5年目の夫婦を描いたラブストーリー作品。
外は記録的な豪雨だけれど、別れの日とは思えない程静かで淡々としていて穏やかな2人。
音楽も流れず台詞も少なく2人の感情の起伏も控えめなので、繊細な心理の変化や所作、それぞれの心の隙間のようなものがありありと感じられた。
後半に進むにつれて、何故この2人が別れなければならなかったのかが、なんとなくわかった気がして切なかったけれど好みの作品だった。(女性 20代)


雨の描き方が素晴らしい今作。雨が降ると心の中にあるもやもやが急に立ち込めてきて、ぼーっと考え事をしてしまったり、暗い気持ちになってしまうことってありますよね。今作は別れを切り出す妻と、反応の薄い夫、そして2人の心を表すかのように降り続ける雨模様を描いた切ない作品でした。
淡々と進むストーリーは別れ話の後とは思えないほど平凡なので2人の間に愛は無いのかと錯覚してしまいますが、物語が進むにつれてこの2人だったからこそ、こういう結末になったのかなと分かったような気がしました。(女性 30代)

映画『愛してる、愛してない』 まとめ

「アドリブナイト」(08)や「素晴らしい1日」(11)を撮った、イ・ユンギ監督のラブ・ストーリー。ヒョンビンとイム・スジョン演じる、結婚5年目のおしゃれな夫婦の別れから始まる物語です。妻に別れを切り出されるが、別れるのか結婚生活を続けるのか謎です。ただ、雨や猫に流されているかのような雰囲気。原作は井上荒野の短編「帰れない猫」で、日本の小説が好きな監督です。

韓国映画特有の情熱の激しいぶつかり合いがない分、孤独が雨のように沁みてくる作品です。長回しが多く、退屈さと閉塞感に打ちのめされてしまう。だけど、反対にヒョンビンの抑えた演技が生きてきます。また、妻を演じるイム・スジョンの後ろ姿を捉えたショットが、部屋の暗さと彼女の長い黒髪によって不気味に見えてしまう。彼女がホラー映画「箪笥」(03)に主演していた影響でしょうか。

ミステリアス夫婦の物語をじっくり楽しんで下さい。

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    原作が日本の、韓国映画。

    韓国映画って「男が強くて、か弱い女を守る」ってのが主流ですよね。なので、本作は珍しいと思います。

    内容としては、ハッピーエンドなどは期待できないので、暗い気持ちの時は観ないようがいいかも。
    雨の日のような憂鬱な気分にさせられます。

  2. まつえ より:

    すごく疲れた。気だるさが心まで浸食。刹那、一方暗い部屋でロウソクの灯りに僅かな希望を見いだそうと心が動いた、どうなったんだろう、どう終わってくれたら、でも答えは見つからなかった。