映画『甘い人生』の概要:「甘い人生」は、2004年の韓国映画。イ・ビョンホン主演のノワール風アクション・サスペンス。凝った映像美と音楽、ガンアクションで魅せるキム・ジウン監督のアート系作品。ボスの愛人役にシン・ミナ。
映画『甘い人生』 作品情報
- 製作年:2005年
- 上映時間:120分
- ジャンル:アクション、ラブストーリー
- 監督:キム・ジウン
- キャスト:イ・ビョンホン、シン・ミナ、キム・ヨンチョル、キム・レハ etc
映画『甘い人生』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『甘い人生』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『甘い人生』のあらすじを紹介します。
キム・ソヌ(イ・ビョンホン)は、クールで頭のいい殺し屋。カン社長の下、7年間勤め、社長の信頼も厚い。ある日、社長から、若い愛人ヒス(シン・ミナ)を3日間見張れと頼まれます。”お前、恋愛したことあるのか?”と社長に聞かれ、”ありません。”と即答。
社長の愛人ヒス宅を訪れたソヌは、ヒスを見て、やくざの女になるタイプではないなと思う。しかし、ヒスの食事に付き合ったり、ヒスの職場で彼女のチェロの演奏を聴くうち、次第に彼女に惹かれてゆきます。
ところが、彼女は同じ楽団の男と恋仲になっていた。事実を知ったソヌは激怒し、ヒスの部屋を滅茶苦茶にしたうえで、”もう2度と会うな!全部、記憶から消せ!”とヒスを逃がしてしまう。ところが、ヒスを逃がしたことがすぐにばれてしまい、カン社長や組織の者から激しいリンチを受けます。
指を切られ、雨のなか生き埋めにされるが。”なぜ逃がしたのか?”と社長に問われるが、”それが最善の方法だと思った”と返すが理解してもらえない。火災を起こし、その混乱のなかソヌは逃げ延びます。
クラウン・ホテル近くの廃屋。組織の仲間ミンギに会ったあと、ソヌは銃を手に入れるため取引を行う。はじめは、信用できないと拒否されるが、力ずくで彼らのアジトへ向かう。”ハン社長の命で来た。銃が欲しい。”と告げると、ロシア製の銃・スチュッキンを出してきて、丁寧に拳銃の組み立て方を教える始末。
教えてもらう振りをしながら、ソヌは銃をぶっ放して殺す。ソヌの復讐は組織全員を殺すことだった。別の場所でペク社長を殺したあと、クラウンホテルへ向かう。”銃声が聞こえませんでしたか?”とタクシー運転手に聞かれ、”人生が終わる音です”と答えるソヌ。
クラウン・ホテル。ホテルのvipルームにはカン社長をはじめ、数名の構成員が集まっていた。ソヌはカン社長を見つけると、”何故、あんな仕打ちをするんだ?”と詰め寄るが、社長は当然だとすましたままだ。ソヌは怒りでカン社長を殺し、ホテル内ではすさまじい銃激戦が繰り広げられてゆく。全て、殺した。その時、ソヌの携帯が鳴り、ヒスの声が。
”ある秋の日。これは怖い夢か?いいえ。悲しい夢か?いいえ。甘い夢でした。では何故泣いている?その夢は叶わないからです。”哲学的なナレーションと共に、愛しいヒスの笑顔。ソヌは最期に笑い、涙を流す。そんなソヌの前に遅れてやってきた殺し屋テグ(エリック)。やがて銃声と共にソヌの命も散った。
映画『甘い人生』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『甘い人生』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
甘い人生=叶わない夢を追う男の物語
”動いているのは枝ですか?それとも風ですか?”という哲学的ナレーションからはじまり、ラストも哲学的ナレーションで終わるという、滅びる男のロマンみたいなものが感じられます。ボスの女を愛し逃がしたことで転落していく男の人生。
キム・ジウン監督の凝った映像美と音楽、イ・ビョンホンのクールで知的なアクションが彩りを添えています。悪くいえば、美しい写真集のような仕上がりだが、一瞬の夢のような人生のきらめきを掴まえたアート系作品として高く評価します。
イ・ビョンホンの冷たいなかにある甘い情熱がよく表現されています。キム・ジウン監督作のなかでは1番のおすすめ。ボスの愛人役を演じる、シン・ミナがボスの女には似つかわしく平凡な女性である意外性に、観ていくうちにだんだんと納得しました。
平凡だけど、どこか心惹かれる女性だったんですね。キャラクターの造形が素晴らしい。またラストで、ボスの愛人ヒスから電話がかかり、その声を聴くという救いがあります。孤独な男の最期にふさわしい場面です。美しく物語や映像がまとまっている分、情感も絵に描いたように見えるのが少し残念です。
ラストにはもうひとりの殺し屋も登場。数分現れて殺してゆくだけ。おいしい役だなぁ、この人誰なんだろう?「神話」のエリックが演じています。次回は、このエリックの殺し屋人生が観たくなりますね。イ・ビョンホンファンにはたまらない”スィート&ベター”な映画です。
ノワール風アクション&コメディ!
「甘い人生」の最大の魅力は、ノワール風アクションとコメディです。アクションはいうまでもなく、イ・ビョンホンの演技ですが、足げりから接近戦、銃撃戦に至るまで美しく完璧にこなしています。特に足が長く、回し蹴りをすると迫力がすごい!ずっと見ていたいと思います。無表情なのに、アクションは神がかったように上手い!
このギャップに女子はメロメロになってしまうのではないでしょうか。次にコメディですが、後半の銃を用立てする場面。”ハン社長の命で、銃が欲しい”と言うと、はじめは信頼できないからと断られるが、ロシア製の銃・スチュッキンを出してきて、ソヌに拳銃の組み立てをレクチャーするのです!この組織のボスはよほど暇だったのかしら?
ソヌは組立てを教わる振りをしながら、銃をぶっぱなすのです。この緊張感とゆるみの調和が面白い。
哲学的で芸術的な今作。何に対する才能も人より劣っている私にとって今作のイ・ビョンホンはかっこよすぎました。クールで冷酷で寡黙で完璧な殺し屋。彼はこういう役どころが本当に似合います。全体的にアート調に描かれた作品なので一つ一つの描写がとても美しく、映画と言うよりもアート作品を見ているような印象でした。
タイトルの『甘い人生』ですが、少し勿体なかったかなと感じます。なぜ「ほろ苦い」にしなかったのか?原題の『a bittersweet life』でも作品の世界観は充分伝わったのではないでしょうか。(女性 30代)
映画『甘い人生』 まとめ
イ・ビョンホンファンにはたまらない、イ・ビョンホンの存在ぬきには語れない映画です。キム・ジウン監督の映像美・音楽が最大に生かされ、加えてイ・ビョンホンの華麗なアクションがマリアージュしたアート系作品をぜひ、ご覧下さい。美しい映像なのに情感は少なめですが、ノワール風な雰囲気にひたることができます。
ボスの愛人ヒスのキャラクターや遅れてきた殺し屋などの存在感も魅力的なので注目して下さい。題名の「甘い人生」を裏返したような内容ですが、死しかない、殺し屋の人生としては最期に夢をみることができたという点で救いのある人生だったと思います。イ・ビョンホンの足げりから、接近戦、銃撃戦に至るまで、アクションも完璧!
ソヌの超人ぶりと内に秘めた想い。女子にはドキドキのアクション・ラブストーリー。キム・ジウン監督作なら、この「甘い人生」です!他の作品はイマイチなのでおすすめ致しません。
みんなの感想・レビュー