映画『ロスト・マネー 偽りの報酬』の概要:強盗仲間だった夫を失った未亡人達が、夫が決行しようとしていた犯罪計画に手を染めるサスペンス。『それでも夜は明ける』でアカデミー賞を受賞したスティーブ・マックィーン監督の作品だが、日本では未公開だった。
映画『ロスト・マネー 偽りの報酬』の作品情報
上映時間:129分
ジャンル:サスペンス、フィルムノワール
監督:スティーヴ・マックィーン
キャスト:ヴィオラ・デイヴィス、ミシェル・ロドリゲス、エリザベス・デビッキ、シンシア・エリヴォ etc
映画『ロスト・マネー 偽りの報酬』の登場人物(キャスト)
- ヴェロニカ(ビオラ・デイビス)
- 強盗家業をしていた夫を失い、夫の次の強盗計画を実行に移すために未亡人を集める。夫との間に息子がいたが、警察に撃ち殺されてしまった。
- リンダ(ミシェル・ロドリゲス)
- 店を経営していたが、夫の借金のために差し押さえられてしまう。幼い子供を育てている。
- アリス(エリザベス・デビッキ)
- 夫を失い、母の命令でエスコート嬢として働き始める。そのコネを使い、襲撃場所を特定する。
- ハリー(リーアム・ニーソン)
- ヴェロニカの夫で、強盗団の首謀者。ヴェロニカとの結婚が破綻し、強盗団の仲間の妻と関係を持つ。
- ジャック(コリン・ファレル)
- シカゴに代々続く政治家の出身で、父から選挙区を引き継いで市議選に立候補する。
映画『ロスト・マネー 偽りの報酬』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ロスト・マネー 偽りの報酬』のあらすじ【起】
4人組の強盗団の計画が失敗し、警察に追跡されてしまう。4人は倉庫で車を乗り換えるが、警察からの集中砲火を浴び、車ごと爆発してしまう。ジャックが父の跡を継いで市議会選に立候補することになる。しかし、同じ選挙区からは犯罪者からのし上がった黒人候補者が出馬していた。死んだ4人組の一人はハリーで、盗んだのは黒人候補者の金だった。ハリーを除く3人の葬儀がそれぞれ行われる。
ハリーの運転手が緊急時に託されていた封筒をヴェロニカに手渡す。封筒には住所が記され、鍵が入っていた。ヴェロニカはハリーの葬儀でジャックから声を掛けられる。ヴェロニカの元に黒人候補者が押し掛けて来て盗まれた200万ドルを返すように要求する。リンダは、経営していた店を夫の借金のために差し押さえられてしまう。ヴェロニカは住所の場所に行き、金庫から遺品を取り出す。それはハリーのノートで、これまでの犯罪の記録と新しい計画のための資料が残されていた。ヴェロニカは運転手にハリーの仲間が誰であったかを教えるように命じる。
映画『ロスト・マネー 偽りの報酬』のあらすじ【承】
ヴェロニカはリンダとアリスと会い、サウナで話し合う。ヴェロニカは500万ドルの価値がある次の計画があったことを説明し、自分達で実行することを提案する。ヴェロニカはハリー達が焼け死んだ倉庫までやって来る。アリスは母の命令でエスコートガールを始め、建築に詳しい男と出会う。リンダは臨時の子守を雇って倉庫に向かう。アリスも倉庫にやって来て、3人で計画を実行することにする。ヴェロニカはアリスにバンと銃を手に入れるように命じる。またリンダには建築図面の場所を特定するように指示する。
アリスは競売に掛けられていたバンを手に入れる。しかし、運転が出来ないためにヴェロニカを呼び出して運転を頼む。さらにアリスは家庭内暴力の被害者の振りをして見知らぬ女性に銃を買ってもらう。リンダは図面の設計を手掛けた会社にまで行き、設計者の名前を聞き出すことに成功する。しかし、肝心の設計者が亡くなっており、図面の場所がどこか分からなくなってしまう。アリスは自分が調べるからとリンダから図面を受け取る。
映画『ロスト・マネー 偽りの報酬』のあらすじ【転】
ヴェロニカはハリーとの息子を失った時のことを思い出す。その時に4人目の未亡人から連絡が入る。2人は会って未亡人の身となった悲しみについて話し合う。アリスは再び建築に詳しい男と会い、図面が金庫室であることを掴む。黒人候補者の脅しでハリーの運転手が殺されてしまい、ショックを受けたヴェロニカはアリスの元に来る。2人はけなし合った末に慰め合う。ヴェロニカは運転手を探すために4人目の未亡人の元を訪ねる。ヴェロニカはそこでハリーの愛用のスキットルを見付ける。動揺したヴェロニカは家を飛び出してしまう。実ははハリーが生きており、4人目の未亡人の元に隠れていたのだ。
ハリーは身代わりの死体を用意した上で、仲間を騙して殺していのだ。それを裏で手を引いていたのがジャックだった。ジャックは政敵である黒人候補者を阻むためにハリーに強盗させたのだ。ヴェロニカは息子が警察に車を止められ、息子の挙動を怪しんだ警官に撃ち殺されてしまったことを思い出す。アリスは遂に金庫室の場所を掴む。それはジャックの屋敷だった。一方、リンダは子守を運転手として仲間に加えることを思い付く。
映画『ロスト・マネー 偽りの報酬』の結末・ラスト(ネタバレ)
ヴェロニカはジャックに面会する振りをして、屋敷の中を偵察する。ヴェロニカはハリーの情報を使ってジャックの屋敷に出入りしている警備会社の社員を揺すり、セキュリティーの暗証番号を渡すように要求する。
市議会選の討論会の夜に、ヴェロニカ達は強盗を決行する。ヴェロニカ、リンダ、アリスの3人は黒ずくめになって屋敷に忍び込み、警備員は拘束する。そして、暗証番号を使って金庫室を開けて、大量の金を鞄に詰め込む。しかし、ジャックの父が現れ、アリスのことを撃ってしまう。リンダが撃ち返し、ジャックの父を殺す。リンダは負傷したアリスを病院まで運ぶ。子守も途中で車を降り、ヴェロニカが一人で倉庫まで戻る。ヴェロニカが車から金を下ろしていると、ハリーが現れる。ハリーは金を渡すように要求してヴェロニカのことを殴る。倒れ込んだヴェロニカはハリーのことを撃ち殺す。そして、ハリーが強盗をしてジャックの父を殺したように見せかける。
リンダは分け合ったお金で新しい店を持つ。ヴェロニカは息子の名前で図書館を建ててほしいと、学校に寄付をする。ヴェロニカは偶然にもアリスとカフェで再会し、アリスに声を掛ける。
映画『ロスト・マネー 偽りの報酬』の感想・評価・レビュー
登場人物が多い中で、それぞれのキャラクターに奥行きを与えることに成功している。重厚な雰囲気が漂い、一気に物語に引き込ませる力を持っている。しかしその一方で、肝心の未亡人達が決行する強盗事件には捻りがなく、サスペンス感がゼロなのは残念だ。また、ハリーが実は生きていたという展開は意表を突いて面白いものの、その後の登場場面が僅かな上に、ヴェロニカと対峙する場面での絡みが少なく物足りなく感じてしまう。(MIHOシネマ編集部)
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