映画『銀魂』の概要:週刊少年ジャンプにて掲載中の人気ギャグ漫画『銀魂』を実写映画化。幕末時代に宇宙人の来訪で近未来化した江戸を舞台に、万事屋を営む坂田銀時と仲間達が国を守る戦いへと身を投じる。随所に掟破りのギャクが満載に押し込まれたほろりと泣かせる作品。
映画『銀魂』の作品情報
上映時間:131分
ジャンル:アクション、コメディ
監督:福田雄一
キャスト:小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥 etc
映画『銀魂』の登場人物(キャスト)
- 坂田銀時(小栗旬)
- かつて攘夷戦争にて活躍し、白夜叉という異名を持つ。現在は万事屋銀さんを営んでいるが、財政は常にひっ迫している。通称銀さん。武器は木刀。
- 志村新八(菅田将暉)
- 志村剣術道場の跡取り息子。剣の才能がほとんどなく貧弱。メガネをかけたまともな青年で、銀さんと神楽にいつもトラブルに巻き込まれる。万事屋でアルバイトをしているが、給料をもらったことがない。
- 神楽(橋本環奈)
- 天人の女の子。中華風な髪形と服を着用しており、語尾に「アルよ」をつけて話す。底なしの胃袋を持ち、怪力の持ち主。武器は番傘。
- 土方十四郎(柳楽優弥)
- 真選組副長。鬼の副長という異名を持つ。ヘビースモーカーでマヨラー。鋭い目つきで粗野な話し方をする。
- 岡田似蔵(新井浩文)
- 攘夷戦争の折、銀さんによって両目の視力を奪われている。そのため、銀さんに恨みを抱き、紅桜の実験体となってまで恨みを晴らそうとする。
- 志村妙(長澤まさみ)
- 新八の姉。亡き父が残した剣術道場を弟と共に守っている。気丈で誰よりも怖い女性。新八を溺愛している。
- 桂小太郎(岡田将生)
- 銀時の幼馴染であり、現在も攘夷志士として暗躍中。天人のエリザベスという謎の生き物を相棒にしている。
- 近藤勲(中村勘九郎)
- 真選組局長。不動の局長とも呼ばれており、妙のストーカー。通称ゴリラ。普段は残念な人物であるが、ここぞという時は頼りになる。
- 高杉晋助(堂本剛)
- 銀時の幼馴染であり、かつては攘夷志士だった。現体制をひっくり返そうと、クーデターを画策するテロリスト。
映画『銀魂』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『銀魂』のあらすじ【起】
江戸時代の終わり幕末。平和な日本に突如、宇宙人が来訪。人々は彼らを天人(あまんと)と呼んだ。江戸を次々と開発する天人が幕府をも傀儡とする中、天人を排除しようとする侍の勢力が蜂起。攘夷戦争勃発にて多くの名のある侍が命を落としたが、天人には力及ばず敗戦を期した。天人は侍による更なる蜂起を案じ、廃刀命令を発令。侍は衰退の一途を辿った。それから20年。江戸は想像もできないほどの繁栄を見せている。
かつて、攘夷戦争にて白夜叉と呼ばれた坂田銀時は現在、万事屋を営んでいる。万事屋には剣術道場の跡取り息子、志村新八と天人の暗殺者、神楽が同居していた。しかし、そうそう仕事があるはずもなく財政は常にひっ迫している。故に、いつでも金儲けの話を探していた。
そんなある日、神楽がカブトムシを取りに行こうと言い出す。テレビではちょうど、カブトムシブームが巻き起こっており、3人で近くの山へ。
山中で軒並み江戸の警察、真選組の面々と出会った一行。彼らは将軍が飼っていた黄金のカブトムシを捕まえようとしているらしい。実在するそのカブトムシを追って、万事屋と真選組がこぞって追いかける。江戸の町はたちまち騒然となるも、カブトムシが大魚に食われたことで騒動は治まるのだった。
その日の夜、遊女屋が立ち並ぶ郭町で、攘夷志士として暗躍中の桂小太郎と会った銀さん。桂は銀さんの幼馴染でもあり、攘夷戦争で共に戦った仲間だ。世間話をした後、近頃この界隈で辻斬りが出るため、注意を促し2人は別れた。
その後、桂は人気のない橋の上である男に引き止められ、紫の刀身をした日本刀で襲われてしまうのだった。
桂が辻斬りに遭い行方不明となったため、相棒のエリザベスが助けを求めて万事屋へやって来る。エリザベスの対応を新八と神楽に任せ、銀さんは別の依頼で刀鍛冶を訪ねた。依頼は鍛冶屋を営む兄妹からで、2人の父が造り出した最高傑作、紅桜が盗まれたため、探して欲しいというものだった。
紅桜は何物をも斬る刀で、月明かりの中では淡い紅色に発色する。刀身は夜桜の如く美しく、この世に2つとない刀だった。だが、紅桜は持ち主の命を吸い取る妖刀だと言う。
映画『銀魂』のあらすじ【承】
一方、桂の捜索依頼をしたエリザベス。神楽は聞き込みへ向かい、新八は辻斬りについて調査することになった。
刀の調査を行っていた銀さんは、真選組の一番隊隊長と出会う。彼から辻斬りが紅桜と思われる刀を持っていたという話を聞く。
辻斬りから直接話を聞くことにしたエリザベスと新八。ところが、見回り人に注意されている最中に辻斬りが現れる。そこへ、銀さんも駆け付け、辻斬りの正体が人斬り似蔵と呼ばれる岡田似蔵であることが判明。似蔵は紅桜で辻斬りを行っていたのである。銀さんは似蔵と対決。
同じ頃、神楽は港に巨大な黒船が停泊しているのを発見。桂の話を盗み聞きし、単身潜入を試みる。
似蔵と激しい戦いを展開していた銀さんは、紅桜が人を浸食し最早、刀とは言えない化け物になっていることを知る。彼は紅桜の異様なまでの強さに屈し、深手を負ってしまう。更に似蔵の話から黒幕がかつての攘夷志士であり、幼馴染の高杉晋作であることを知る。新八の助力により、似蔵の右腕を切断することに成功。そこへ真選組が駆け付け、似蔵を逃がしてしまうのだった。
真選組でも高杉が江戸に戻って来たことが知らされる。高杉は手配中の犯罪者を集め、クーデターを企んでいる様子。真選組局長、近藤勲は鬼の副長、土方十四郎に高杉の情報を集めるよう命ずるのだった。
映画『銀魂』のあらすじ【転】
新八の姉、妙が付き添う中、意識を取り戻した銀さんは彼女の恐ろしい監視から逃れられず。そこへ、鍛冶屋の妹が訪ねて来る。
その頃、新八は港の黒船に神楽がいるという情報を得る。神楽は昨夜から戻っておらず、恐らくは黒船の連中に捕まってしまったに違いない。
鍛冶屋の妹から紅桜の話を聞く。紅桜は人工知能を有し、人の肉体に寄生する生物兵器らしい。血を吸うことで戦闘パターンを取り込み、強さを増すという特性がある。元の紅桜を改造したのは鍛冶屋の兄で、高杉と結託していると言う。銀さんを襲わせたのは、彼の血を紅桜に吸わせ増強することにあった。
銀さんは妙が買い物で出かけている間に鍛冶屋の妹の元へ。その話は妙をストーカーする近藤も聞いており、真選組もまた行動を開始するのだった。
鍛冶屋の妹のところへ行く前に知り合いの発明家を訪ねた銀さん。使えそうなものを貸してもらう。そして、鍛冶屋の妹と合流。
その頃、高杉の黒船に拘束されていた神楽は、磔にされ処刑されそうになる。そんな時、密かに船へ潜入していた新八が登場。だが、彼は非力であるため、何の役にも立てず。あわや危機一髪という時、真選組が先行して攻撃。黒船は即座に出港し上空へと逃走する。
真選組が黒船へ攻撃を加え次々と隊員が乗り込む中、ようやく港へやって来た鍛冶屋の妹と銀さん。妹が打ったという刀を受け取り、発明家の協力を得て決戦の場所、黒船へ。
映画『銀魂』の結末・ラスト(ネタバレ)
黒船では激しい戦闘が開始されており、土方の前に似蔵が現れる。奴はすでに刀と一心同体となり、斬り離された右腕を刀が担い、人であることをやめていた。
船内を逃走していた神楽と新八は、深層部で紅桜が量産されているのを発見。そこへ、高杉が現れ粛清されそうになるが、エリザベスと桂が登場し、高杉と対峙する。ところが、高杉が早々に逃走したため、手下は新八と神楽が引き止めることにし、桂が追う。
甲板では土方と似蔵が激しい戦いを繰り広げていた。そして、ようやく銀さんが黒船へ乗り込んで来る。土方を高杉追跡に向かわせ、銀さんは似蔵と再戦。双方、互角に刀を交える。だが、紅桜の伝達速度に生身の体ではついていけず、似蔵の身体は悲鳴を上げ続けている。対して銀さんも腹部に深手を負っているため、現時点では互角と思われた。
坂田銀時は戦いにおいて、天賦の才を持っている。彼は戦いながら成長を続け、驚異的な身体能力を発揮した。それが、白夜叉と呼ばれた所以である。紅桜をも凌ぐ銀さんと戦うことで似蔵の憎悪が増していく。そうして、奴は刀と更に融合を深め、より能力を引き出そうとするのだった。
船の下層では神楽と新八が戦っていた。だが、甲板から下層へ突き抜けて、紅桜によって完全に乗っ取られた似蔵が現れる。異様な姿となった似蔵は、拘束した銀さんに止めを刺そうとするが、新八と神楽、鍛冶屋の妹が必死の抵抗を示した。
そうして、妹が危機に陥り咄嗟に兄が身を投げ出した時、意識を取り戻した銀さんによって、似蔵は一刀両断にされる。しかし、紅桜がそれで斃れるはずもなく。銀さんは妹が打った刀でもって、再度一撃を食らわせる。このことで刀は折れてしまうが、紅桜もまた刀身を折られ桜吹雪となって昇華するのであった。
破壊されボロボロとなった黒船はもうじき沈むだろう。銀さんは新八と神楽を真選組へ託し、自分は一人残って天人と結託し、逃走しようとする高杉の元へ。爆発して火の手が上がり始めた甲板で、高杉と銀さんは刀を交えた。幼少期よりよく見知った相手だ。満身創痍の銀さんと無傷の高杉の力量は互角だった。
激しい戦いを繰り広げた結果、銀さんが勝利を得たものの止めを刺すことができず、奴の逃走を許してしまう。残っていた桂に助けられ、銀さんも船から無事に脱出。
そうして、万事屋はボロボロになりつつも無事に帰還し、笑顔の妙に迎えられるのであった。
映画『銀魂』の感想・評価・レビュー
人気漫画『銀魂』を実写化するなど無茶なことをすると思ったが、主演の小栗旬が意外なほどに好演している。実物がいたら、こうなるだろうという予想を裏切ることなく更に上回るなど、なかなかあることではないと思う。大概、この手の実写化はがっかりすることが多いが、この作品は大成功と言っても過言ではないだろう。
そもそも、原作自体がはちゃめちゃな漫画なのである意味、良かったのかもしれない。主演以外の俳優も良い演技をしており、大半が笑い要素で良いタイミングでシリアスシーンが入る。構成や演出も良く、かなりボリュームがある。アクションもしっかりしており、スピード感もあるため、ボリュームがあってもさくさく見られる。(MIHOシネマ編集部)
人気漫画の実写化は大抵失敗する印象が強いが、この作品に関しては成功した作品だったと思う。福田監督らしいキャスト選びと演出。本来原作に存在するギャグ要素もふんだんに詰め込んで、いい意味でカオスな映画だったと思う。
変にキャラクターになりきろうとしていなかったのも、良い雰囲気になった要因だと感じている。人間が二次元のキャラクターに完璧になりきろうとするとどうしても違和感が出てくる。今回の作品は、キャラに寄せた演技とは言い難いがそれゆえに楽しめた。
スピード感もあり、アクションも多い。少々げすなギャグもあるが、原作を読んだことがなくても楽しめると思う。(女性 20代)
福田雄一監督はコメディ映画を作らせたら天才だなと改めて感じさせてくれた今作。マンガ作品の実写化には期待していないタイプですが、福田監督の作る作品は間違いなく面白いので、今作にもかなり期待していました。
しかし、実際に見て感じたのは期待を超えた面白さ。小栗旬、柳楽優弥、岡田将生、堂本剛、橋本環奈など超が付くほどの人気俳優が揃っているのに、演じている役はどれもちょっとおバカでコメディ要素が強く、本当に笑わせてくれました。
最後はしっかりまとめてくれる銀さん。かっこよかったです。(女性 30代)
原作が何でもありなスタイルで懐が深いこともあり、実写化しても「これはこれで」と思えてしまう謎のパワーがある。
天人や宇宙船のCGはあからさまにCGと分かるもので残念だったが、演者が出来るだけ原作に寄せようと頑張っているのが評価できた。橋本環奈が鼻をほじったり、普通のヒロインらしからぬ行動を体当たりで演じているのがすごい。多分ほかの映画ではそこまでのシーンにはお目に掛かれない。
佐藤二郎さんは面白いのだが、ややくどかった。きっと、わざとそういう演出なのだろうけど。(男性 30代)
みんなの感想・レビュー