映画『おもてなし』の概要:琵琶湖畔の旅館が経営不振に陥り、台湾人実業家に買収される。旅館の娘は旅館再建に現れた実業家の息子と共に、再起をかけておもてなしの心を学ぶことに。文明や性別、歴史の背景の違いを比較しつつ、人を想う心を丁寧に描いたヒューマンドラマ。
映画『おもてなし』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジェイ・チャン
キャスト:田中麗奈、ワン・ポーチエ、余貴美子、ヤン・リエ etc
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映画『おもてなし』の登場人物(キャスト)
- 梨花(田中麗奈)
- 家族代々、受け継いできた明月館の跡取り娘。元インテリアデザイナー。俄仕込みで旅館の経営をしていたが、おもてなしの心を理解できずにいた。気丈でしっかり者。
- ジャッキー(ワン・ポーチェ)
- 台湾人実業家の息子。アメリカにてレストラン経営をしていたものの、失敗している。損得勘定ばかりで仕事をしており、人を想う心を失っている。明月館で過ごすうちに、心を取り戻す。
- 美津子(余貴美子)
- 明月館の女将で梨花の母。チャールズとは学生時代からの知り合いで、かつては恋人同士だった。明るく快活な女性。
- チャールズ(ヤン・リエ)
- ジャッキーの父親で台湾人実業家。3か月前に末期がんであることが判明し、かつて本気で愛した美津子の傍で最期を迎えたいと考えている。息子と時を過ごすし、いかに明月館が大切な場所であるかを教える。
- 尚子(藤井美菜)
- ジャッキーの元恋人。現在は婚約者との結婚を控えている。英語が堪能でジャッキーとは英語で意思疎通を図っているが、彼に人を想う心がないことを見抜いている。
映画『おもてなし』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『おもてなし』のあらすじ【起】
琵琶湖畔の旅館『明月館』を守る母、美津子と娘の梨花。5年前に夫であり父が亡くなってから必死にやってきたが、とうとう経営不振にて台湾人実業家チャールズに買収される。チャールズは旅館を再建するため、息子のジャッキーを日本へと送り出した。
ジャッキーは旅館の再建を行い、高く売買できたらお役御免となるのを条件に日本へとやって来た。だが実際、目にした旅館は古風で、元インテリアデザイナーだと言う梨花の提案はとても飲めそうにない。だが、父チャールズは梨花の話を承諾しているらしい。仕方ないので、工期を半分に済ませるよう手配し、その間は営業を休止するよう告げるのだった。
だが、ジャッキーのやり方があまりにも酷く、再建の意思が感じられないため、梨花がチャールズへ助けを求める。すると、チャールズは彼女の意を汲んで、はるばる来日してくれる。チャールズは家族が代々、受け継いできた歴史と文明を守るため、長期的視点で見ろと言う。仕方ないのでジャッキーは一計を案じ、結婚式ができる旅館へ改装することにし、スタッフ教育としておもてなしの講習を受講させることになった。
講師には、かつて有名ホテルでも教育係をしていた先生に頼む。旅館でも講習会を開いているため、頼みやすかった。彼女は接客に必要なスキルを次々と従業員へ教え込んでいく。研修会にはなぜか梨花とジャッキーも参加することになり、厳しい指導にたじたじ。ところが、梨花とジャッキーともう1人の従業員は、おもてなし以前の問題だと指摘されてしまう。先生の紹介で引っ越し屋の手伝いをすることになったが、接客には面倒な手順が多く、台湾人には理解できず。
映画『おもてなし』のあらすじ【承】
改装後、第1号のカップルとして、元恋人の尚子とその婚約者に話を持ち掛けた。話は順調に進み、改装後のグランドオープンに向けてジャッキーは営業にも回る。多忙な日々を送る中、式で出す料理について梨花から話がある。依頼者はフランス料理を望んでいるが、純和風の旅館では少し難しい。そこで、梨花はジャッキー自らシェフに話をつけるように言うのだった。
チャールズにとっても明月館は思い出の場所で、改装によって変わってしまうのは少し名残惜しい。父と子に会話はあまりなかったが、チャールズが思い出を偲んでいることは息子の目にも分かった。
チャールズは休暇を利用し、美津子と観光を楽しみ亡き親友の思い出を語り合う。実は3カ月前、チャールズの体にがんが発見され、治療するには遅い段階だった。故に彼は抗がん剤を使わず、自然に任せることにしたのだと言う。美津子はその話を聞いて、言葉を失ってしまうのだった。
映画『おもてなし』のあらすじ【転】
そんなある日、梨花に誘われ一緒に酒を飲んだジャッキー。梨花は不倫の相手に全てを捧げたが、報われることのない愛人生活に不満を募らせていた。酒を飲んで日本語で愚痴る彼女。ジャッキーともう1人の従業員は、夜食に手作りの水餃子を作って梨花にごちそうした。すると、彼女は突然、泣き出してしまう。母と旅館を支えるため、女でありながら必死に頑張っているのだ。こんな時があっても良い。
おもてなしの研修は続く。一行は勉強のために京都の祇園にある老舗旅館へ向かった。旅館の女将は後継者がいないため、自分の代で閉めると言う。昼食の和食を頂き、最後の締めとしてお茶漬けが出た。ところが、京都ではお茶漬けが出たら帰れと言う意味だと教えられていた3人。どうすればいいか戸惑っていたが、女将はゆっくり食べて欲しいと笑うのだった。
帰り際、尚子に呼ばれていたジャッキー。梨花たちと別れて尚子と会ったが、彼女は結婚式のことで婚約者と喧嘩ばかりで、将来に不安を抱いていた。日本人としても結婚は伝統的行事であり、一生に1度のことにしたい。式に出す料理は和食を望んでいる尚子だったが、婚約者はフランス料理を望んでいた。ジャッキーは彼女の不安を労わるのだった。
映画『おもてなし』の結末・ラスト(ネタバレ)
そんなある時、尚子から梨花に結婚式を中止にしたいと申し出がある。それも費用は無料だと寝耳に水のことを明かされ、梨花は戸惑いを隠せなかった。尚子から詳細を聞いた梨花は、ジャッキーが再建後の旅館を売り渡すつもりだと知り、夕食時にチャールズ親子へと詰め寄った。しかし、話の途中でチャールズの容態が急変し、倒れてしまう。
病院に搬送されたチャールズに付き添っていた美津子。2人は若い頃、恋仲にあったが、美津子は日本人男性と結婚し、旅館を継いだ。以降も友人として付き合ってきたが、チャールズは自分の死期を悟り、かつて本気で愛した美津子の傍で過ごしたいと考えたのである。そんな彼に美津子も心を打たれ、彼の傍にいることを決めるのであった。
結局、結婚式を中止することはなく、明後日に迫っている。ジャッキーは尚子の元を訪れ、彼女に告白するも断られてしまう。尚子は彼に人を想う心が分かっていないと指摘し、家に帰ってしまうのだった。
翌日、チャールズの病室を訪れたジャッキー。父から明月館の売却が決定したと聞かされる。取締役が勝手に画策したことだと言うが、実はジャッキーもその件に関わっていた。そうとは言えない息子は、旅館で父や梨花たちと1か月を共にし、いかに思い入れが深い場所であったかを知り、深い後悔の念に襲われる。
そこで、ジャッキーは大阪で行われる契約の場で、旅館の売却を取りやめる旨を話した。だが当然、相手企業が許すはずもなく。そんな時、病院から抜け出して来たチャールズが現れ驚愕。商談終了後、ジャッキーは父と共に寿司を食べて帰った。
その夜、琵琶湖を眺めるジャッキーの元へ梨花がやって来て、幼少期の思い出を語る。ジャッキーは何としても、旅館は売却しないと誓った。
グランドオープンの日、尚子の挙式が行われた。様式は純和風で花嫁衣裳を身に着けた尚子はとても美しく幸せそうだった。その姿を目にしたジャッキーはそっとその場から離れる。
結婚式は無事に終わり、お客様は誰もが満足し帰って行った。
しばらく後、チャールズが息を引き取る。日本のおもてなしの心を学んだ旅館は、徐々に客足を伸ばし予約も増え満足度を高めていた。そうして、会社の事後処理で帰国していたジャッキーも再び、明月館へと戻って来るのだった。
映画『おもてなし』の感想・評価・レビュー
日本・台湾の合作映画で、日本のおもてなしをテーマに描かれている。経営不振に陥った旅館の再起をかけて奮闘するストーリー。それぞれに問題を抱えながらも、おもてなしの心を学ぶことで、次第に相手を思いやる心を学んでいく。接客とは人を思いやることが大事だが、やり過ぎるとおせっかいになってしまうこともあるため、その引き際が難しく奥が深い。
ヒロインと青年実業家が次第に歩み寄っていく様子が丁寧に描かれており、同時に彼らの親世代の終焉も描かれている。これから続く若者達と終わりを迎える親たちの比較がとても良い。しんみりとしつつ、希望のある作品となっている。(MIHOシネマ編集部)
「おもてなし」の心を描いた日本と台湾の合作映画である今作。日本人でありながら、つい忘れてしまいがちな「相手を想う」「もてなす」心をとても丁寧に描いていて、温かい気持ちになれる作品でした。
日本の文化でもある「おもてなし」は外国人にはどう映るのかがとても良く分かりました。もてなされる側で日本に来ると「素敵」な文化だと感じますが、自分がもてなす側になると「過度」なやり方だと感じてしまうのでしょう。
この作品を見て改めて、日本人の古風で奥ゆかしい「おもてなし」の心は美しいなと感じました。(女性 30代)
英語、中国語、日本語。いろんな国の会話を聞けて、脳トレになります。田中麗奈が話す中国語が流暢で、聞き心地が非常に良かったです。かなり勉強されたのでしょう。琵琶湖畔周辺や京都ってこんなに美しかったのかと、目を丸くしながら映像を楽しみました。景観の撮り方にこだわりがありそうです。旅館再建に奮闘しつつ、恋愛話も終始気になりました。おもてなしの先生の言葉「丁寧に相手した方が、楽なことも多いんですよ」には、感銘を受けました。(女性 30代)
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