映画『目撃者(2018)』の概要:念願のマンションを購入したハンは、ある夜、助けてという声を耳にする。ベランダから様子を伺うと、マンションの広場で女性が殺されるのを目撃した。巻き込まれたくないハンは目撃したことを内緒にするのだが……。
映画『目撃者』の作品情報
上映時間:111分
ジャンル:サスペンス
監督:チョ・ギュジャン
キャスト:イ・ソンミン、キム・サンホ、チン・ギョン、クァク・シヤン etc
映画『目撃者』の登場人物(キャスト)
- ハン・サンフン(イ・ソンミン)
- 女性が殺される現場を見てしまう目撃者。念願のマンションを購入したため、事件に巻き込まれたくなく妻や娘にも目撃したことを内緒にしてしまう。
- チャン(キム・サンホ)
- 女性殺害事件を追う刑事。ハンが事件を目撃していることに気がつき、証言させようと奮闘する。
映画『目撃者』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『目撃者』のあらすじ【起】
保険業に勤めるハン・サンフンは長期ローンでマンションを購入した。ここで妻のスジン、娘のウンジと共に幸せに暮らしていくことが彼の願いだった。
ある夜、同僚が開いてくれた引っ越し祝いの帰り、エレベータで住人の女性と一緒になる。その時、女性の悲鳴が聞こえたような気がすると言われたが、ハンはさほど気にも留めていなかった。
帰宅したハンは先に寝た妻と娘を起こさぬよう暗い部屋でビールを飲んでいたが、外から助けてという小さな叫び声が聞こえてきた。不審に思いベランダに出てみると、マンション群の中央広場に一人の女性が現れ、続いて帽子を深く被った男が現れた。男は手にしたハンマーを振り下ろすと女性を殴り殺した。
驚いたハンは大急ぎで警察に電話をしようとしたが、水を飲もうと起きてきたスジンが部屋の灯りを点けてしまった。焦ったハンは慌てて電気を消したが、女性を殺した犯人はそれを見逃さなかった。犯人に見られたことを知ったハンは、襲ってくることを恐れてバットを持って玄関で夜を明かした。
翌朝、女性の死体が発見され、マンション周辺は物々しさに包まれる。事件を担当するチャン刑事は目撃者を探そうと聞き込みをした。だが、一目に付く場所での犯行だったというのに誰も目撃したと言う人はいなかった。殺害された女性はマンションの住人では無かったため、誰も面倒なことに巻き込まれたくなかったのだ。それはハンも同じで、彼も通報などせず、やり過ごしてしまおうと考えていた。
映画『目撃者』のあらすじ【承】
犯人に見られたことで家族に危険が迫るのではないかと気が気でないハン。そんな彼を苛立たせるようにマンションの婦人会の会長は、物件の価値が下がることを嫌がり、住民たちに警察やマスコミに協力しないよう同意書を配っていた。
殺された女性はユン・ヒウォンという名前だった。チャン刑事は数少ない証言と状況証拠から、ヒウォンが殴られたのは午前2時頃だと突き止める。実は、ヒウォンは殴られた時に死んではおらず、その後、4時頃に警察に電話を入れていた。だが、そこへ戻ってきた犯人によってとどめを刺されたのだ。
被害者が二時間の間、生きていたことが報道された。それを知ったハンは通報しなかったことを酷く後悔した。事件後、無言電話が頻繁に掛かってきており、飼い犬のピッピもいなくなってしまった。ハンは心配を募らせていく。
チャン刑事はハンの家を訪ねた。スジンから事件発生時の状況を聞いたチャン刑事はハンが事件を目撃しているのではないかと考え始める。帰宅途中のハンに接触したチャン刑事だったが、同時に犯人が見つかったという連絡が入り、そのまま現場に急行した。
ヒウォンにはパク・サンテという元恋人がおり、別れた後はストーカーになっていた。だが、サンテは犯人ではなかった。彼は警察から逃げる途中、真犯人の手によって自殺に見せかけられて殺されてしまった。
サンテが死亡したことで事件には幕が下りたと警察はマスコミに発表したが、チャン刑事だけは犯人は別にいると思っていた。ネットでサンテの顔写真を見たハンも彼が犯人ではないことに気がつく。
そんな時、ハンの所に一人の女性が訪ねてきた。それはあの日、エレベータで一緒になった女性、チェ・ソヨンだった。実は彼女も事件を目撃していた。ソヨンはハンに、あなたも目撃したのだろうと迫り、一緒に警察に行こうと叫んだ。だが、ハンは何も見ていないと言って彼女を部屋から強引に追い出してしまう。
ソヨンがスマホを落としていったことに気がついたハンは、仕方なく4階のソヨンの自宅へと届けに行った。玄関のドアが開いていることを不審に思ったハンが恐る恐る中を覗いてみると、なんとソヨンが犯人に殺されていた。
覗いていることに気がついた犯人は、逃げていくハンを追いかけてきた。ハンは警備室に飛び込み、警察に電話を掛けようとしたが、その時、スジンとウンジが帰宅してきてしまう。妻と娘のすぐ後ろに犯人が迫った。ハンは家族を守るために電話を諦めた。そこへチャン刑事がやってくる。チャン刑事はサンテが犯人なのかどうかハンに確認を取りに来たのだが、その様子を真犯人はじっと見つめていた。ハンは何も知らないと叫び、チャン刑事を追い返す。その場はなんとか切り抜けたが、ハンは確実に真犯人から目を付けられることとなってしまった。
映画『目撃者』のあらすじ【転】
その後、ソヨンの死体は発見されず、彼女は失踪したと報道がなされた。不安な毎日を送るハンは、ソヨンの夫がビラを配っているところに遭遇する。彼は行方不明になったソヨンを必死に捜していた。ハンは真実を言えずに苦悩する。マンションの住民たちは家の価値が下がるからやめろと彼を追い出してしまった。
事件は解決したが納得がいかないチャン刑事は独自捜査に乗り出していた。事件発生前、近くを盗難車が走っていたことを突き止めたチャン刑事。乗り捨てられ、燃やされた盗難車を発見した彼は、ナビのメモリーカードから走行経路を割り出し、犯人の家を特定する。家を張り込んだチャン刑事は現れた住人の挙動不審ぶりから、その男がヒウォン殺しの真犯人だと確信する。
男の名前はソン・テホと言った。彼を犯人と断定するには目撃者の証言が必要不可欠だ。チャン刑事はハンにカマを掛けることにした。マンションには知恵遅れのチョ・ピルグという少年が住んでおり、チャン刑事はピルグも犯人を見たとハンに告げる。ピルグを心配したハンは見事に引っ掛かり、彼に接触したところをチャン刑事に見つけられ問い詰められた。それでも白を切り続けるハン。そのうち、ふとした隙にピルグがソン・テホに捕まり、重傷を負わされてしまった。
増え続ける犠牲者にハンは遂に覚悟を決め、警察で証言する。ソン・テホを逮捕に向かったチャン刑事たちだったが、不意を突かれて取り逃がすという失態をおかしてしまう。家族が危ないと感じたハンは、タクシーに乗り込むと自宅へと急いだ。
映画『目撃者』の結末・ラスト(ネタバレ)
自宅へと向かう途中、尾行してきた黒塗りの車が突然、タクシーに体当たりしてきた。運転していたのはソヨンの夫だった。彼はソン・テホから接触され、ハンを殺せばソヨンが戻ってくると言われていた。ソヨンの夫はハンを殺そうとするが、駆けつけたチャン刑事によって拘束される。
ソン・テホが妻と娘を殺そうとしていると知ったハンは、チャン刑事の車を奪って自宅へ急いだ。その頃、自宅ではソン・テホが護衛の刑事を殺し、スジンとウンジに襲い掛かっていた。スジンはウンジを連れて部屋を逃げ出したが、すぐに追いつかれてしまった。しかし、マンションの住民に見られたことでソン・テホは殺すのを止め、マンションの裏山へと去って行った。
駆けつけたハンは家族の無事を確認すると、ソン・テホと決着をつけるため彼の後を追った。山中で対峙した二人は大雨が降る中でもみ合いになる。その時、雨のせいで土砂崩れが起き、二人はそれに押し流されてしまった。
土砂に埋もれながらも助かったハンは、そこで死体の山を目にする。それは今までソン・テホに殺されて山に埋められた人々だった。その中には、あのソヨンの死体もあった。ハンは木の枝で腹部を貫かれ動けなくなったソン・テホを発見。だが、ハンはとどめを刺すことなくその場を立ち去り、やがてソン・テホはそのまま死んでいった。
ハンはマンションを引っ越すことにした。婦人会の会長は相変わらずマンションの価値ばかり心配していた。引っ越しの日、雪が降る夜にハンはヒウォンが亡くなった中央広場にやってきて叫んだ。助けてください、と。しかし、その声に反応する者は誰もおらず、マンションは静かに無関心を決め込んでいた。
映画『目撃者』の感想・評価・レビュー
殺人犯との攻防よりも、他人の無関心さの怖さがメインに描かれているのが良い。都会になればなるほど他人とは関わり合いを持たなくなり、危険にも疎くなる。ふた昔前のアメリカ、ひと昔前の日本でよく作られていた作風だが、それが今は韓国で起きているということがとても興味深い。犯人がすぐ近くにいても気づかず、ハンマーを持って立ち去っていくのを追いかけようともしない“普通の人達の不気味さ”が際立つ。(MIHOシネマ編集部)
自宅のマンションから殺人現場を目撃してしまい、家族を狙われることになってしまった男の物語。真夜中に帰宅し、どこからか悲鳴が聞こえ外を見ると男が女を殴り殺していた。恐る恐る観ていると妻が部屋の電気をつけ、通報しようとスマホを触ると慌てて落としてしまい、犯人と目が合ってしまうまでの数分間はとても緊迫感があふれ目が離せない。やはり韓国のサスペンスは最高である。犯人との攻防、二度目の目撃、全てがドキドキだが、何よりこの作品の素晴らしさは人間の無関心さによる恐怖を描いている点である。警察に協力はしないという書面運動から始まり、そしてラストのシーン。殺人、無関心、恐怖には色々な形があるのだと思い知らされる作品になっている。(女性 20代)
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