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映画『君が君で君だ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『君が君で君だ』の概要:パク・ヨンソンという女性に憧れを抱いた三人の男たちは、自分の名前や経歴を捨て尾崎豊、ブラッド・ピット、坂本龍馬として彼女を見守る国を作る。彼らはボロアパートの一室から彼女の部屋を10年間も見守り続けるのだが……。

映画『君が君で君だ』の作品情報

君が君で君だ

製作年:2018年
上映時間:104分
ジャンル:ラブストーリー
監督:松居大悟
キャスト:池松壮亮、キム・コッピ、満島真之介、大倉孝二 etc

映画『君が君で君だ』の登場人物(キャスト)

尾崎豊(池松壮亮)
10年前にカラオケ屋でパク・ヨンソンを見かけ、絡まれていたところを助けて彼女を意識し始める。長い監視生活の中で憑依術のようなものを身につけている。女性下着を身につけてトランス状態になることで、ソンの心と繋がり、彼女そのものになったような気になることができる。
ブラッド・ピット(満島真之介)
尾崎豊と共にソンに恋する男。ソンを監視するためのアパートを見つけ出す。尾崎とは高校の頃からの友人。ブラピになり切るために髪を一部金髪に染めているが、顔は全く似ていない。しかし、本人は自分がブラピそのものだと思っている。
坂本龍馬(大倉孝二)
ソンの元彼。彼女に振られた際、尾崎とブラピから接触を受け、共に監視をし始める。ソンを見守る国を作ろうと提案し、自らを坂本龍馬と名乗るようになる。衣服はいつも龍馬っぽい着物。ソンが風俗で働きだした時、彼女と接触しようとしたため、尾崎とブラピから首に鎖を付けられ、それ以来、部屋から出ていない。
パク・ヨンソン(キム・コッピ)
韓国から日本に勉強にやってきた女性。母親のために日本語の教師になりたいと思っている。自分の周りはどんどんと幸せになっていくが、自分だけ置いて行かれているようで悩んでいる。恋人の宗太が作った借金のため、風俗で働き始める。以前は黒髪で清楚な性格だったが、今では茶髪、ピアス、喫煙、ファッションの変化など全く違ってしまっている。
宗太(高杉真宙)
ソンの新しい恋人。交通誘導の仕事で知り合い付き合いだした。ミュージシャンを目指していた。ソンによる献身的な支援を受けるが、いつしかヒモとなり、多額の借金を作る原因となってしまう。

映画『君が君で君だ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『君が君で君だ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『君が君で君だ』のあらすじ【起】

古ぼけたアパートの一室に三人の男たちが住んでいた。彼らがここの住んでいる理由は向かいのアパートに住む韓国人女性パク・ヨンソンを監視し守るため。二人の若い男は、以前にソンがカラオケ屋で働いている時に出会っていた。彼女が絡まれているところを助け、その時に一目惚れしたのだ。二人は彼女から渡されたハンカチを大事に持っていた。

二人は彼女を見守りたいと思い、部屋を借りてソンの動向を伺いだす。ソンには年の離れた恋人がいたのだが、次第に恋人の愛が重たくなり別れてしまった。二人はその恋人に接触し、ソンのことをいろいろと聞き出す。

意気投合した三人は彼女を守る国を作ろうと考え始める。ボロアパートの一室を“ソンを守る国”とすることにした三人は、今までの自分の名前や過去をすべて捨て彼女が好きな人物である尾崎豊、ブラッド・ピット(ブラピ)、坂本龍馬として生きることを決意する。以来、10年もの間、三人はアパートの窓からソンを見守り続けた。

ソンは母親のために日本のことを勉強しに来日していたのだが、龍馬と別れた後、宗太という男と知り合い恋に落ちた。宗太はミュージシャンを目指しており、ソンは宗太のために掛け持ちで働き始める。しかし、次第に借金ができ、今では200万円にまで金額が膨らんでしまった。仕方なく、ソンは借金取りが用意した風俗の仕事をするようになる。

取り立てが来た様子を聞いていた三人だったが、ソンが殴られているのに我慢できなくなった龍馬が、思わず窓から物を投げつけてしまう。程なくして借金取りが三人の部屋に現れた。女ボスの星野とその子分の友枝は、常軌を逸した室内に引きながらも、ソンが好きなら借金を肩代わりしろと言いだす。

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映画『君が君で君だ』のあらすじ【承】

宗太が連れてこられ、金を用立ててこいと指示される。ソンは宗太と結婚したいと考えており、内緒で高価な指輪を購入していた。宗太はそのことを知らなかったが、監視する三人はソンのことを何から何まで知り尽くしていた。

指輪を質に入れるため、ソンの所に取りに行った宗太だったが、ソンは渡すのを嫌がりながらあなたと結婚したいと告げる。しかし、宗太は聞く耳を持たず暴力を振るった。

消費者金融で金をかき集め100万円ほどを準備できたが、返済には足りない。三人の所に戻された宗太は結婚を断ったことを責められた挙句、“ソンの国”の新しい住人として首に鎖を付けられてしまった。その鎖はもともと龍馬の首に付いていた。ソンが風俗で働きだした時、止めさせようと飛び出していこうとしたためだ。

部屋からソンがいなくなったことに気がついたブラピと龍馬は、大慌てで彼女を捜しに出て行った。彼らについて行った星野は、こんな異常なことは終わりしろ、お前らが守っているのは彼女でなくあの部屋だと二人を責めた。だが、彼らは言うことを聞かず、ソンを捜すのをやめなかった。

ソンのことを全て知っていると豪語する尾崎。宗太は、何も知らないくせにと吐き捨てるが、尾崎は宗太が知らないことを沢山知っていた。以前のソンは綺麗な黒髪だったが茶髪になり、唇にピアスをし、煙草を吸うようになった。食費を切り詰め、風俗で際どいプレイもするようになった。それを知った上でまだ愛おしいのだと叫ぶ尾崎。

宗太の携帯にソンから着信があり、宗太はそれを尾崎に渡そうとする。自分では彼女を救えない、あなたなら救えるかもと彼は言ったが、尾崎はその電話に出る勇気が無かった。

映画『君が君で君だ』のあらすじ【転】

公園でソンを見つけた龍馬は彼女に話しかけた。だが、相変わらず愛が重たい龍馬にソンはうんざりした態度を取る。駆けつけたブラピに連れて行かれ、龍馬はアパートへと戻ってきた。

龍馬はソンが限界に来ていると感じ始めていた。だが、尾崎は、そんな彼女も可愛いだろと言って龍馬を説得した。しばらくして、ソンが自室に帰ってきた。覗いて持ち物を確認するとロープを持っていた。気がつくと、彼女はそれを使ってベランダで首を吊ろうとし始めた。

止めに行こうとする龍馬と宗太を押さえつける尾崎とブラピ。これは彼女が決めたことなのだと言うと大声で尾崎豊の曲を歌いだす。四人は泣きながら歌い続けたが、見かねた友枝がソンの部屋に押し入り、彼女を救い出した。

病院で目覚めたソンは友枝から状況を説明される。自分を監視している者たちの存在を、彼女は薄々感づいていた。彼女は三人のアパートへとやってくる。ソンの存在に気がついた龍馬は、すぐにそこに行くからと叫んだ。すると、何を思ったのか尾崎は龍馬をベランダから放り投げてしまった。なぜこんなことをするのかと叫ぶブラピに、行きたがっていたからと答える尾崎。龍馬は落ちた衝撃で足を折ってしまい、動けなくなってしまった。

アパートの部屋へとやってきたソンは、その異常ぶりに驚愕し錯乱した。こんなことはもう終わりにしてと出て行こうとした時、尾崎が君のロングヘアーはいつも変わらないと声を掛けた。それを聞いたソンはハサミを手にし、自ら髪を切って去って行った。

宗太は後を追いかけていったが、ソンにハサミで背中を刺されてしまう。尾崎は床に散らばったソンの髪を拾い集め、食べようと言いだした。ブラピは驚いたが、彼はもぐもぐと髪を食べ始めた。あまりの異常性にとうとうブラピはついていけなくなり、もう抜けると言って去って行ってしまった。

映画『君が君で君だ』の結末・ラスト(ネタバレ)

ソンを捕まえた星野は、彼女を連れてその場を離れていった。その様子を見た尾崎は、居ても経っても居られなくなり後を追いかけていった。

龍馬と宗太は病院に運ばれ、入院することになった。宗太から“ソンの国”の解散を教えられた龍馬。看護婦に体調を聞かれた彼は、少し切ないですと心境を吐露した。

ソンが浜辺で海を眺めているところへ尾崎が追いついてきた。彼女が“パク・ヨンソンです”と名前を言うと、尾崎は“僕は僕です”と返事をした。そして、この気持ちがなんなのか分からないが、あなたは僕の太陽ですと言って、どこからか摘んできたひまわりを彼女に渡した。

だが、ソンはふざけるなと言って尾崎を叩いた。ソンは自棄になって、何でもしていいからと尾崎に告げた。尾崎はソンの足に小さく触れたが、すぐに手を離し、自分を落ち着けるように荒れ狂う海へと飛び込んでいった。その様子をソンはただ黙って見つめていた。

それから随分と経って、尾崎とブラピはアパートの引っ越し作業をしていた。ソンの部屋を見上げたブラピは、彼女が今日韓国に帰国することを尾崎に告げる。ブラピは荷物を積んだトラックを運転し、尾崎は別れの挨拶を告げてそれを見送った。

タクシーで空港に向かった尾崎は、すでに来ていたブラピと龍馬、声を掛けた周りの人々や子供たちと共にソンを捜した。彼女を発見した尾崎は、昔に借りていたハンカチを彼女に返し、あなたが好きだと告白。彼女は“パク・ヨンソンです”と名乗った。それに対し、尾崎は自分の本名である“シムラ・ミツオです”と彼女に告げた。二人は抱き合い、周りの人々はそれを拍手と喝采で祝福した。

しかし、それは空港に向かうタクシーの中で尾崎が見た夢だった。空港に到着した彼は、韓国行きの飛行機に乗るためにタクシーを降りて行った。

映画『君が君で君だ』の感想・評価・レビュー

かなり異常な状況のため、共感という部分は皆無かもしれない。ただ、なんとなく理解はできるという部分はあったと思う。ソンがどんどんと奈落の底へと転がる様は、少しリアルさを感じさせて考えさせられた。メインの三人の演技がとにかくすごい。卑怯なのはイケメンの池松と満島、個性派の大倉が演じたことで、こういった類の人種が持つ独特の気持ち悪さが薄まっていることだ。キム・コッピも素晴らしく、配役で保たれる絶妙なバランスが本作の良さだと思う。(MIHOシネマ編集部)


好きな人のために全てを捧げ、全てを理解し、好きな人のために生きている男たちのヤバすぎる物語です。
好きな人が出来たら、その人の好きなタイプや好きな音楽、趣味、食べ物など色んなことが知りたくなるのは当たり前のことです。好きなタイプに少しでも近付こうとするのも理解出来ます。しかし、今作に出てくるヤバい男たちがしているのは好きな女の子を監視して、好きな女の子が好きな人「尾崎豊」「ブラッド・ピット」「坂本龍馬」として生きるということ。何を言っているのか意味が分からなくなりますが、見ていても意味がわかりませんでした。
そんなヤバい男を演じるのが池松壮亮や満島真之介と言ったイケメン俳優なのだから余計に気になりますよね。
とにかく、一度見て欲しい作品です。共感は出来ませんが、少しだけ彼らの気持ちが分かるかもしれません。(女性 30代)


重すぎて恐怖を感じるが、好きな人を想いすぎて、普段の自分ではありえない行動をとってしまう気持ちは分かる気がしました。メインの三人の行動は気持ち悪いと感じてしまうほど異常だったが、それだけ演技力が高いということにも思えました。
特に池松さんが髪を食べるシーンは恐ろしく、コメディ調の前半とのギャップにゾッとしました。
何事も諦めずに続けることは大切だが、引き際は重要であること、他人の心は思い通りに動かないということは忘れずにいたいと感じました。(女性 20代)

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