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映画『メトロマニラ 世界で最も危険な街』あらすじとネタバレ感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『メトロマニラ 世界で最も危険な街』の概要:監督はイギリス出身のカメラマン、ショーン・エリス。彼の長編3作目で、意欲作。舞台をイギリスではなく、フィリピンの首都マニラに移し、現地で撮影を行った。イギリス・フィリピン合作だが、出演者は皆現地の素人。農村から大都会に移り住んだ家族たちの運命を、緊張感あるドキュメンタリータッチで描くヒューマン・サスペンス。

映画『メトロマニラ 世界で最も危険な街』 作品情報

メトロマニラ 世界で最も危険な街

  • 製作年:2013年
  • 上映時間:115分
  • ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ、サスペンス
  • 監督:ショーン・エリス
  • キャスト:ジェイク・マカパガル、ジョン・アルシラ、アルセア・ヴェガ etc

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映画『メトロマニラ 世界で最も危険な街』 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

[miho21]

映画『メトロマニラ 世界で最も危険な街』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『メトロマニラ 世界で最も危険な街』のあらすじを紹介します。

フィリピンの農村地帯に住むラミレス一家。家族の大黒柱でもあるオスカー・ラミレス(ジェイク・マカパガル)を中心に、嫁のマイ・ラミレス(アルセア・ヴェガ)。そしてまだ幼い一人娘と乳飲み子がいる。彼らの暮らしは貧困の極み。農作業で得た賃金は、換金しても彼らの暮らしを裕福にすることは出来ない。貧困は、彼らを少しずつ追い詰めてゆく。家長のオスカーは、悩んだ末、フィリピンの首都マニラに移り住むことを決意する。

農村地帯から首都マニラまでの道のりは、とても遠い。家族4人はバスに揺られながら、一路マニラへと向かう。何千キロという長い長い道のりだ。途中、バスからトラックに乗り移り、夜な夜な目的地へと向かう。1日掛けて、翌日の朝、ようやく彼らは首都マニラに到着した。農村とは違って、たくさんの人々が溢れ返る街中は、彼らを驚愕の渦に飲み込みながらも、これからの生活に希望が持てる、そんな街だった。妻子を抱えたオスカーは職も住む場所も、お金もない。家族を養うために職を求めて、職業斡旋場を訪れる。そこにある男性が、声を掛けてくる。住む場所を貸してやると。住む場所もなかったオスカーは、その提案に快諾。持ってきた財産の半分を払って、住む場所を確保する。でもこれが、大きな過ちだった。この部屋で一夜を過ごしたラミレス一家。翌日、オスカーは先の職業斡旋場に赴く。その一方、オスカーのいない家では、警察の訪問が。彼らは不法侵入だと怒鳴られる。違う家族が住む家とのこと。そうあの男性に一家は騙され、持ち金の半分を騙し取られていたのだ。田舎出身者の無知を利用した卑劣な詐欺だ。マイと子どもたちは、路上に放り出されてしまった。オスカーの仕事は力の要る重労働。約束された報酬は少しばかりの食べ物と飲み物。帰りは、遠くから歩いて帰宅。これも詐欺に近い。彼らは住むところも、お金も得られない大都会で路頭に迷う。深夜になれば、犯罪が起こるような危険な地域。堪り兼ねてマイは、他に移りたいと主張する。田舎での静寂な暮らしは、ここにはもうないのだ。川を挟んで、スラム地域にやって来た彼ら。住む家はゴミが散乱したワンルームの安アパート。ここから、彼らの新しい生活が始まるのだ。

オスカーは街に出て、あるところに電話をかける。そこは警備会社。面接のための電話だった。マイも隣に住む女性から子どもも預けられる、即日払いの職を教えられた。親は、自身の生活のため、子どもたちのため、必死に働こうとしている。マイが訪れた職場は、如何わしいある1件のバー。客に酒を飲ませ、喜ばせる。膝の上に乗り、キスをする。面接では、服を脱げと強要する経営者。食べるため、生活するため、マイは勇気を持って働くことに。一方、オスカーは警備会社の面接。そこは面接のための長蛇の列ができていた。彼は自身が彫っているタトゥーを気に入られ、いち早く面接を受けられることに。面接は、屈強な男が何人もいて、物々しい雰囲気。腕に施してあるタトゥーを見せるように言われ、袖を捲るオスカー。そのタトゥーは軍にいたという証のタトゥー。警備会社は、彼がただの田舎出身者ではなく、軍に所属していた経歴を知り、興味を抱いているのだ。上司は、それが本物か、偽者か知ろうと、彼に質問を投げ掛ける。4年間、軍に所属していたオスカー。農民だったと小バカにされ、免許も持ってないだろうと嘲笑される始末。正直に持ってないと告げるオスカーに、上司は彼の正直さを気に入り、採用されることに。マイの仕事の選択に肩を落とすも、これが現実だと受け入れる。不運続きのスタートを切った彼らだったが、ここから首都マニラでの苦悩の生活が始まろうとしていた。

オスカーは早速、警備の仕事に。上司に言われるがまま、制服に着替える彼。上司から会社の厳しいルールや掟を聞かされるオスカー。一方、マイは訪れた病院で妊娠していることが発覚する。オスカーは会社の責任者との面談を行う。未経験で、農村出身。彼は警備会社では不利な存在だが、軍での経験と直属の上司の推薦を活かされ、採用が決まったものだった。勤務1日目から防弾チョッキに身を包み、ヘルメットを被り、機関銃片手に直属の上司と現金輸送車に乗り込む。彼らの仕事は、現金を銀行に送り届ける役目。彼の上司は過去に一度、強盗に遭遇し、相棒を死なせてしまう事件に巻き込まれた経験があると語る。彼らには“配達”と言う儀式があり、亡くなった相棒の家族に遺品を送り届ける役目だ。そうならないためにも、自分の命を守るためにも、訓練をする必要がある。彼らは工場の一角で機関銃を撃つ訓練を行う。自分の命は自分で守らないといけないのだ。一方、妻マイもまた勤務1日目を迎える。同僚は皆、子連れの女性ばかり。狭くて汚い更衣室は、勤務前の人でごった返していた。勤務後のオスカーは、歓迎会に参加。男気臭い雰囲気に馴染めないオスカー。妻のマイは、男性客からの指名を待つ間、旦那のことを想い瞳に涙を溜め込む。オスカーはお酒の勢いで楽しいひと時を過ごすが、マイは男性客から身体を執拗に触られ、控え室で涙を流す。これが、彼らが望んだ新生活なのだろうか?現実の苦しさに葛藤を覚えてゆく若い夫婦。

勤務2日目。今日から本格的にオスカーも現金輸送の仕事を任されることに。それは、緊迫した仕事現場だった。いつ誰が、どのタイミングで巨額の現金を狙っているか、分からない。緊張感の中で現金を運ぶオスカー達。仕事が終わると、上司に夕食に誘われる。その席で彼は、工場勤務時代の経営者の死について語り始めた。人は追い詰められ、必死にもがけばもがく程、その必死さが重大な死を招くと、オスカーは上司に語った。帰宅時、上司に連れられ入った場所は、上司が不倫の情事のために借りていた部屋。ここをオスカー一家に貸すと。彼の家族が、スラム街で暮らすには警備会社としては危険すぎるためだった。上司はきっと、自分自身の命と会社を守るために貸したのだろう。一家は、どん底の生活から人並みの生活をできるようにまでなった。

翌日勤務3日目。今回の勤務はマフィアや薬と癒着がありそうな若者からの依頼。緊迫した室内では薬で伸びて、気を失っている者、拳銃を手にしているボディーガード。そして横柄な態度の依頼主。緊張感の溢れる雰囲気に固まるオスカー。任務終了後、上司は彼に一つの提案をする。それは犯罪の片棒を担ぐこと。あの若者の家には巨額の金とコカインが入った金庫があるはずだと。オスカーは犯罪者になりたくないと言うが、上司は「犯罪者はあの若者だと一蹴。」元相棒への復讐とメトロマニラの諸悪の根源でもある若者を消したいと。それを冷静に止めるオスカー。トイレに行くために車から降りた上司の後ろからいかにも怪しい3人の若者が車から降りて、上司の後を行くオスカーは危険を察知し、彼らの後を追うが、そこはなにやら怪しい裏取引の現場だった。上司はある秘密を暴露し始めた。相棒が殺された強盗にあった時、ケースは強盗に盗られたと嘘をつき、驚くことに巨額の現金が入ったケースを手に入れていた。その時の高揚感がまだ残っているのだろう、オスカーにある提案をする。それは、一緒にスーツの鍵を手に入れること。家族の未来が掛かっていると脅されながらも、オスカーは必死にそれを拒絶しようとする。上司はさらに脅しを入れてくる。採用時、すべての事情を知った上で便宜を図り、オスカーが採用されるように仕向けたと。その時の恩恵があるから、オスカーは何も逆らうことが出来ない。家を貸したこともすべて、オスカーは断れなくするための計画だったのだ。無知で純粋なオスカーが、犯罪の片棒に狙われていたのだ。そして、上司から犯罪の手順を受けることに。また先の怪しい3人組は強盗役で、話が進んでいたのだ。すべてはこの計画に則った計画犯罪だったのです。

そして計画が走り出す。ケースを持って、車を降りた相棒に銃を突きつけるチンピラ。計画とは別に、彼は実際に撃たれてしまった。本当の強盗に遭ってしまった彼ら。肩を落とすオスカー。上司の話していたことが、現実になってしまった。オスカーは“配達”として上司の奥さんに遺品を渡しに行った。奥さんはお金の入ったケースの隠し場所を聞いてくる。彼女もまた、グルだったのだ。オスカーはまさに、犯罪都市マニラの暗部に陥れられていたが、ふと思い付く。ケースの隠し場所を。そこはきっと現在、自分が住んでいる部屋のどこかに隠してあると。慌てて帰宅したオスカーは、天井、ソファ、そして部屋の床板を一枚一枚剥がして行く。そこには、彼の目論見通り、お金の入ったケースが隠されていた。一方で、バーで働くマイは、経営者から小言を言われる。妊娠のために、お腹が出てきた彼女を野次り、働けないなら9歳の子どもを働かせろと。まさに屈辱的だった。家に帰ったマイは、夫に「もうここには、いたくない。マニラに来たのは間違いだった」と告げる。

夜が明けて、行方不明になっていたケースの存在を会社には告げず、何食わぬ顔で出社したオスカー。亡くなった上司から聞かされた犯罪計画を実行に移すべく、彼は動き始めた。上司に言われた通りの手順で物事を順調に遂行するオスカー。成功したかに見えたその時、突然警報アラームが作動。監視カメラで彼の行動が監視された結果のことだった。逃げるオスカー。追う経営者。そして、彼のラストはあっけなく終わる。彼は、最後射殺されてしまった。オスカーの形見が妻の元へ帰ってきた。彼の死に落胆するマイだが、彼は最後に、家族のために希望を残した。遺品のペンダントの裏に隠し持っていたケースの鍵の型を残していた。それを本物の鍵に変え、マイは死んだ夫の変わりに大金を手に入れて、そっと大都会マニラを後にする。旦那オスカーの亡骸をん残して。

映画『メトロマニラ 世界で最も危険な街』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『メトロマニラ 世界で最も危険な街』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

監督ショーン・エリスと貧困世界の実情について

本作『メトロマニラ 世界で最も危険な街』の監督ショーン・エリスは一体、どのような人物なのか、ここで紹介したい。まず、日本での知名度はまだまだ低く、参考になる文献やPCサイトは、ほとんど存在しない。存在したとしても、情報が少なすぎる結果、日本での注目も低い。ただ、この監督はこれから益々伸びる監督だろう。

彼の経歴は少々、変わっている。そもそも彼の職種はプロのカメラマンだ。11歳の頃に初めてカメラを手にしてから、その腕前は年を重ね毎に伸びていった。90年代後半辺りから若手ファッションデザイナーとして一躍有名な存在になり、写真家としての注目を集めることに。これまでに撮影した著名人には、エルトン・ジョン、北野武、カイリー・ミノーグ、エリック・バナ、ケミカル・ブラザーズなど多岐に渡る著名人にレンズを向けている彼の腕前が、実にあるということが分かるだろう。また、彼の写真に対する考え方は斬新で、ファッション写真の暗部を「映画的」と表現し、新しいスタイルを生み出している。こうした独自の考え方が、活動の新しい方向を決定付け、その後ミュージックビデオや映画に進出するようになる。

2001年、短編『Left Turn』で映画監督・脚本デビューを飾る。続く2004年の短編『Cashback』が第78回アカデミー賞短編実写賞にノミネートされた。この辺りから、徐々に映画監督としての知名度を上げてゆく。そして2006年、彼にとって初の長編映画『フローズン・タイム』が空前のヒットに恵まれて、その年の映画館大賞「映画館スタッフが選ぶ、2008年に最もスクリーンで輝いた映画」第91位に選ばれている。元々、前作の短編『Cashback』の実績を受けて、長編として再度作り直されたのが『フローズン・タイム』だ。映画ファンの肥えた視点を唸らせ、プロの写真家らしい鋭いカメラショットが、美しいアングルを描き出している。続く2008年には長編2作目『ブロークン』を発表。鏡のトリックを使用し「ガラスが割れると不吉なことが起きる」と言う言い伝えに沿って、主人公の周りで様々な恐ろしいことが起き始める。もう一人の自分に恐怖する人間を描いたサスペンススリラー。そして2013年、監督の意欲作でもある本作『メトロマニラ 世界で最も危険な街』は、彼の類希なる才能を発揮し、現代のイギリス映画界を代表する若手映画監督にまで上り詰めた。作品数はまだまだ少なく4、5年に1本と言う寡黙な方だ。次にどんな作品を発表してくれるか、今からでも楽しみだ。

2008年に来日したショーン・エリスは近年の映画に対し厳しく糾弾している。「説明過多の映画にはうんざり」と語る彼は「登場人物が説明ばかりするような映画が最近多いけれど、退屈すぎて自殺したくなるよ。僕は(観客に)答えを全部与えずに疑問を残すんだ。想像が夢のように広がる映画の方が面白からね」と言う彼の中での映画制作のスタイルが確立している。若手の中での希有な逸材だ。

ショーン・エリス監督の作品は、どの作品も映像美が印象的な作品が多い。本作『メトロマニラ 世界で最も危険な街』もまた、サスペンスフルなヒューマンドラマに仕上げながらも、華々しい大都会マニラを犯罪都市と言う顔を前面に押し出した異色ドラマだ。主人公は、何も知らないまま希望の街マニラで犯罪の片棒へと仕立て上げられてゆく。都会に潜む恐怖と危険は、誰しもの隣に存在している。新生活への希望に溢れて移住した大都会に彼らは人知れず飲み込まれるように生活をする。あるレビュワーさんは邦題の“世界で最も危険な街”に言及している。世界には他にも危険な街が存在すると。確かにそうなのだ。危険地域なんて、世界中にどこにでもある。日本の東京・大阪も危険な街だ。多くの人が集まる大都会は、犯罪と隣り合わせなのだ。この作品は日本映画『東京難民』と比較できるでしょう。大都会の片隅にひっそりと暮らす彼らにとって、貧困にあえぐ毎日は耐えられないものだ。貧困=金は切っても切れない何かで結ばれていると、私は思うのです。そこに犯罪と結びつけるのは、彼ら次第なのです。大都会はどこも犯罪の温床でしょう。そう言った街で、犯罪に巻き込まれず努力して、富を得るのは並大抵のことではない。この映画を観て思うのは、人並みの考えかも知れませんが、日本はまだまだ恵まれているほうだと、心から実感します。恵まれた環境、恵まれた人生、恵まれた命を手に出来るのは、ごく一部の人間であると言うことを忘れてはいけない。

映画『メトロマニラ 世界で最も危険な街』 まとめ

この映画『メトロマニラ 世界で最も危険な街』のパッケージを拝見すると、B級映画臭がプンプン漂ってくるイメージだが、いざ箱の蓋を開けて、中身を観てみると、それは最初に受けたイメージを180℃覆すほどの映画の出来に感嘆される。日本では実に、この作品が損な扱いを受けているか分かる。パッケージを見て連想される映画のイメージは、単なるB級アクション映画の亜流作品だと受け取られるかと思いきや、映画の内容そのものは、よりしっかりした骨組みと構成で、見事なまでに娯楽性の高いA級ヒューマン・アクション映画として楽しめる秀作だ。

日本には、明日は我が身という諺が存在していると、思いますが、その言葉はこの映画のためにあると思ってもいいぐらいだ。本作『メトロマニラ 世界で最も危険な街』の主人公の姿も、『東京難民』の主人公の姿もまた、明日私たちに起こりうる事実なのかも知れないと、私はつくづく思います。

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