映画『愛と銃弾』の概要:ナポリの町を牛耳るヴィンチェンツォは、自分の死を偽装して町を出て行こうと考える。だが、自分が生きていることをファティマという看護婦に見られてしまった。側近のチーロは彼女を殺すように言われるが、ファティマはチーロの昔の恋人だった。
映画『愛と銃弾』の作品情報
上映時間:134分
ジャンル:アクション、コメディ
監督:アントニオ・マネッティ、マルコ・マネッティ
キャスト:ジャンパオロ・モレッリ、セレーナ・ロッシ、カルロ・ブチロッソ、クラウディア・ジェリーニ etc
映画『愛と銃弾』の登場人物(キャスト)
- チーロ(ジャンパオロ・モレッリ)
- ヴィンチェンツォの側近でタイガーの一人。寡黙で冷静、高い判断力と一流の殺し屋の腕を持つ。青年期にファティマと付き合っていたが、父の死をきっかけに生活苦となり、殺し屋の道へと足を踏み入れる。
- ファティマ(セレーナ・ロッシ)
- チーロの昔の恋人。突然にチーロの去られた後も、彼のことを思い続けていた。看護婦として生計を立てている。
- ヴィンチェンツォ(カルロ・ブッチロッソ)
- 魚介王と呼ばれ、ナポリを牛耳るマフィアのボス。殺し屋に付け狙われる日々にウンザリしている。
- マリア(クラウディア・ジェリーニ)
- ヴィンチェンツォの妻。元はヴィンチェンツォ家のメイドだった。無類の映画好き。
- ロザリオ(ライツ)
- タイガーの一人。チーロとは青年期から共に訓練を受け、兄弟のような存在。
映画『愛と銃弾』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『愛と銃弾』のあらすじ【起】
“魚介王”と呼ばれ、ナポリの町を牛耳るヴィンチェンツォは殺し屋から付け狙われる日々にウンザリしていた。彼はチーロとロザリオというボディーガードを従えており、二人はその強さから“タイガー”と呼ばれ、周りから恐れられていた。
ある日、ヴィンチェンツォは敵対するマフィアから襲撃を受ける。タイガーの到着により事なきを得たが、尻に被弾して怪我を負ってしまった。こんな危険な日々はまっぴらだとつくづく感じたヴィンチェンツォは、いっそこのまま消えてしまいたいと口にする。それを聞いた妻のマリアはある計画を思いつく。
マリアも今の生活にはウンザリしていた。映画好きの彼女が閃いた計画とは、『007は二度死ぬ』のようにヴィンチェンツォの死を偽装してナポリの町から永遠に出て行こうというものだった。ヴィンチェンツォもその計画を気に入る。
マリアはチーロとロザリオ、そして組織のナンバー2のジェンナーロを集め、計画のことを説明して密約を交わした。病院に到着したヴィンチェンツォは医師と取引し、自分を死んだことにするように指示する。
計画を無事に遂行するためには、ヴィンチェンツォが生きていることを誰にも知られてはならない。だが、病院で一人の看護婦に生きているところを見られてしまう。ヴィンチェンツォはチーロとロザリオにその看護婦を殺すように指示。チーロは看護婦を発見するが、それは昔に愛した女、ファティマだった。
チーロはファティマと愛しあっていたが父の死後、生活に苦しくなってヴィンチェンツォの元で殺し屋となっていた。そのためにファティマの元を去らなければならなかったのだ。ファティマは突然の再会に驚き喜ぶが、状況を知るチーロは動揺する。
考えたチーロはロザリオが止めるのも聞かずにファティマを連れてその場から逃げ出した。そのことを知ったヴィンチェンツォとマリアは、チーロの裏切りに怒り、彼を殺した者には賞金を出すと町中に伝えた。
映画『愛と銃弾』のあらすじ【承】
マリアは映画に憧れて作ったパニックルームにヴィンチェンツォを隠すことにした。偽の葬儀を開き、こっそりと町を出て行けば計画は成功だ。マリアはヴィンチェンツォの替え玉にも当てがあり、彼そっくりの靴屋がいることを知っていた。早々にジェンナーロに指示を出し、靴屋を殺して遺体を準備する。逃走後の生活資金は、以前にヴィンチェンツォからもらった高額のダイヤで賄おうと考えていた。
叔父のミンモの所を訪ねたチーロは、そこにファティマを匿うことにした。状況が分からずに混乱するファティマだったが、チーロが殺し屋となったことを知って悲しみに暮れる。チーロは何も語らずにファティマを残し、この状況を打破するためにヴィンチェンツォの手下たちを次々に殺していった。
ヴィンチェンツォの死の知らせが家族に届いた。替え玉の遺体だと気づかずに、家族たちは皆、悲しみに泣き崩れた。後は病院から遺体が戻ってくるのを待って、葬儀を終えてしまえば計画は完了だ。
ファティマの部屋を調べたロザリオは、彼女がチーロと古い知り合いだということに気がつく。パソコンにあった写真から二人が過ごした場所を探しだしたロザリオは、そこで聞き込みをした結果、ミンモが怪しいということに気がつく。ミンモにはマリエッラという娘がおり、ニューヨークに留学していた。ロザリオはニューヨークでレストランを開くヴィンチェンツォの甥に電話し、マリエッラの元へ向かわせた。
映画『愛と銃弾』のあらすじ【転】
ファティマはミンモの別荘に閉じ込められることにウンザリしていた。チーロとミンモが夜な夜なボートで敵を殺しに出かけることに気がついた彼女は、こっそりとボートに忍び込んで脱出を図る。
マリエッラから電話をもらったミンモだったが、それは娘を人質に取ったという連絡だった。いつものようにチーロとヴィンチェンツォの手下を殺しに出たが、ミンモは娘を助けるためにその場所をロザリオにバラしてしまう。
密かにボートから抜け出したファティマはチーロの元へと駆け寄った。手下を待つチーロは驚いたが彼女を帰す時間は無かった。仕方なくファティマを連れて敵を倒していくが、彼女は殺しを嫌がり、事あるごとに殺しをやめさせようとした。
ミンモの密告により、多数の手下がジェンナーロと共にチーロの所へとやってきた。チーロは焦ったが彼らを待ち伏せし、皆殺しにする。なぜ居場所がバレたのかと不思議がるチーロに、ファティマはミンモの仕業ではないかと告げた。彼女はボートに隠れていた時、ミンモが脅されている電話を聞いていたのだ。
チーロはミンモを締め上げたが、ファティマと約束したため殺そうとはしなかった。これ以上、死人を出したくないと思ったファティマは、ある計画を考えつく。
ヴィンチェンツォの葬儀の時、チーロは白昼堂々、葬儀に顔を出した。マリアに挨拶をしてその場を去るチーロをロザリオは追いかけていった。突然のことに驚くマリアだったが、挨拶をされた際、パニックルームの鍵を盗まれたことに気がついて更に動揺する。焦ったマリアは家族の一人であるフランコに内緒だと耳打ちし、ヴィンチェンツォに電話するように指示した。
フランコから電話をもらったヴィンチェンツォは、チーロが向かっていることを知って慌てふためいた。仕方なくパニックルームを出て手下たちにチーロを殺すように命令する。ヴィンチェンツォが死んだと思っていた手下たちは驚くばかりだったが、彼に言われるままに武装してチーロを待った。その様子を外から見ていたファティマは警察に電話し、ヴィンチェンツォが生きていると告げる。
程なくして屋敷に警官隊が突入。ヴィンチェンツォは発見され、彼が生きていることは皆にバレてしまった。葬儀の場にも警察が到着し、事情が知られたマリアは逮捕されていった。
映画『愛と銃弾』の結末・ラスト(ネタバレ)
チーロを追って海岸へと辿り着いたロザリオ。ロザリオと対峙したチーロは、兄弟分のお前を殺したくないと言って逃亡を勧める。だが、仁義を重んじるロザリオは逃げようとせず、チーロを殺そうとしてきた。仕方なくチーロはロザリオを撃ち殺す。
そこにミンモがボートに乗って近づいてきた。彼は裏切りを図り、サブマシンガンでチーロを撃ち殺した。チーロを殺したと伝えたことで、マリエッラは解放される。崖の上から警官たちと一緒にチーロが倒れこむ様子を見ていたファティマは悲しみの叫びを上げた。
数日後、ファティマはホノルル行きの飛行機に乗るために空港にいた。そして、隣にはチーロの姿も。あの時、チーロは死んでいなかったのだ。ファティマはマリアたちが計画した死の偽装を自分たちも実行しようと考えた。ミンモに撃たれたように見せかけた後、警官たちの目を欺いてチーロは海に飛び込んで逃亡。海岸にはチーロの血だけが残ったのだ。
彼らの逃亡資金はマリアのダイヤだった。チーロは以前、マリアからダイヤを隠すならどこがいいかと相談されたことがあり、隠し場所に心当たりがあった。ファティマは、チーロがマリアから盗んだパニックルームの鍵を使ってダイヤを盗み出した。三人はダイヤを山分けし、チーロとファティマはナポリの町を後にしてホノルルで幸せに暮らすのだった。
映画『愛と銃弾』の感想・評価・レビュー
さまざまなジャンルがごった煮のように詰め込まれているが、ストーリーが破綻することはない。『ラ・ラ・ランド』のように突然に歌いだすシーンもあり、尚且つ作中には映画ネタが多数登場することから、監督のマネッティ・ブラザーズはかなりの映画好きだということが分かる。イタリアでは賞を総なめにしたそうだが、確かによくできている。脚本は古典的だが、そこを近年の流行りの演出で味付けした成功例のひとつと言えるかも。(MIHOシネマ編集部)
「ノワールミュージカル」。映画は集中して観て、世界観に入り込みたいタイプなので急に歌って踊り出す「ミュージカル映画」と呼ばれるものが苦手です。この作品もいきなり歌や踊りが始まるのですが、他の作品とは少し違う。歌がなかなかいいんです。
殺し屋と偶然犯罪に巻き込まれた看護師。実は2人は若き日に愛し合った恋人同士だった、というまさかの展開。その2人の熱く燃えあがる恋の様子が歌や踊りで上手く表現されていて、違和感がありませんでした。
ミュージカル映画に苦手意識がある方に、ぜひ挑戦してもらいたい作品です。(女性 30代)
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