映画『輝ける人生』の概要:35年連れ添った夫の浮気を機に、家を飛び出したヒロイン。行く宛てなどなく、ロンドンに住む姉の元へ身を寄せることに。ヒロインは自由奔放な姉と暮らすうち、次第に傷心を癒し本来の自分を取り戻していく。
映画『輝ける人生』の作品情報
上映時間:114分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:リチャード・ロンクレイン
キャスト:イメルダ・スタウントン、ティモシー・スポール、セリア・イムリー、デヴィッド・ヘイマン etc
映画『輝ける人生』の登場人物(キャスト)
- サンドラ(イメルダ・スタウントン)
- 夫マイクを35年間、支えてきたが、浮気を機に家を飛び出す。非常に高飛車で傲慢な上に頑固。本来は明るくてノリが良く、意思の強い女性。ダンスが得意で若い頃はオーディションも受けていた。
- チャーリー(ティモシー・スポール)
- アルツハイマー型認知症を患った妻を施設に預け5年間、献身的に介護をする。住んでいた家を売って介護費用に回し、現在は船に住んでいる。穏やかで紳士的な人物。
- ビフ(セリア・イムソー)
- サンドラの姉。自由奔放で大雑把だが、友人は多い。人生を謳歌することに長けており、妹の誕生日を祝わなかったことで、サンドラとは疎遠になっていた。妹に忘れていた自分を取り戻し、人生と恋を楽しむことを思い出させる。実は末期の肺癌を患っている。
- マイク(ジョン・セッションズ)
- サンドラの夫。上流階級に属し、セレブな生活をしている。傲慢で世間体を気にしており、妻よりも浮気相手を選ぶ最低な人物。心と視野が狭い。
映画『輝ける人生』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『輝ける人生』のあらすじ【起】
40年、警察に務める夫マイクを35年間、支えてきた妻サンドラ。この度、マイクが定年を迎え警察官を引退することになり、それを祝して自宅にて盛大なパーティーを催すことに。
定年後の余生に夢を馳せていたサンドラは、気合を入れて準備を整えマイクも妻への感謝を挨拶にて述べてくれた。ところがその矢先、なんとマイクがサンドラの友人と5年も浮気していることが判明してしまう。夫婦は大勢の招待客の前で大喧嘩し、パーティーは散々に終わった。
数日後、姉のビフを頼って彼女の家を訪ねる。ビフは現在、一人暮らしだったが、自宅には友人だという男性チャーリーがいた。彼と挨拶をした後、サンドラは傷心を癒すために昼間から酒を飲み始める。チャーリーは用事を終えて帰って行った。
その夜は中華料理屋で夕食。酔っぱらったサンドラが店の店員へと、人種差別的な発言をしたことで店員が激怒。一夜を警察の留置所で過ごすことに。
翌日、ビフの元へ帰宅。姉は大雑把な性格で、老後を優雅に過ごしていた。その後、休んでいたサンドラにマイクから電話が入る。夫は浮気相手と住むことに決めたと言う。様々なことが頭を巡り、憤懣やるかたないサンドラ。
その頃、チャーリーが住む船へ遊びに行っていたビフに、サンドラが病院へ運ばれたという報せが入る。チャーリーの車で妹を迎えに行った。どうやらストレスがピークに達した結果らしい。家に送ってもらった姉妹だったが、ビフは頑なで高飛車な妹を叱りつけ、少しは心を開けと言うのだった。
落ち込んでしまったサンドラを慰めたビフ。気分を変えるためにサンドラをダンス教室へ誘った。それから少しずつ、現実を受け入れ始めるサンドラ。
映画『輝ける人生』のあらすじ【承】
そんなある夜、ビフが同年代の男性を自宅へ連れ込んだ。これから一夜を楽しもうと気分は盛り上がっていたが、相手の男性が急逝してしまう。死に顔は笑顔で、とても満足そうだった。高齢者だもの、こういうこともある。
その後もサンドラはビフと共にダンス教室へ通う。教室にはチャーリーも参加しており、その日はペアを組んでぎこちなく踊った。このダンス教室は近所の元気な高齢者たちが集まって開いている。そのため、スタジオ代などの必要経費は参加料で賄っているのだが、大金があるわけではない。そこで毎年、募金チャリティーへと参加し資金を稼いでいた。今年は得意のダンスを披露することに。教室の生徒たちは全員が手を挙げて参加を表明したが、サンドラはチャリティーに参加せず、寄付だけはすると言うのだった。
一方、チャーリーは認知症を患い、夫のことも忘れてしまった妻を献身的に介護していたが、妻はチャーリーのことを知らない人だと言って、対応はいつも冷たい。しかも、不穏になって拒絶することもあり、チャーリーにとっても悲しく辛い瞬間なのであった。
翌週からチャリティーへ向けてダンスレッスンが開始。サンドラは教室へ行かなかった。
そして、チャーリーはと言うと、妻の施設からもう会いに来ない方が良いのではないかと提案され、とうとう妻へと別れを告げる。
ただ居るのも申し訳ないため、サンドラは雑念とした家の家事をやることにした。そうして、住まいが快適な空間に変化を遂げた頃、彼女の元にマイクから離婚申請書が届いてしまう。元鞘を望んでいたサンドラはショックを受けたが、ビフは5回も離婚歴がある友人からアドバイスを受けようと提案。すると、その友人は自由な女の方が、価値が高いと言うのだった。
離婚するため、夫婦で住んでいた豪邸が売りに出されることになった。そこで、私物を取りにかつて住んでいた家へ。手伝いにチャーリーと友人が駆け付けてくれた。少しずつ、自分を取り戻し始めたサンドラにも笑顔が浮かぶ。その帰り、立ち寄ったパブでマイクと浮気相手に遭遇。サンドラは彼らを辛辣になじり、追い返してしまった。すると、パブの客たちは拍手喝采の盛り上がりを見せるのだった。
映画『輝ける人生』のあらすじ【転】
帰宅後に思い出のビデオを見たサンドラ。小さい頃は姉も自分もダンスが大好きだった。そこで、彼女は考えを改めチャリティーへ参加することに。ダンス教室のみんなと大いに盛り上がって素晴らしいダンスを披露。その様子はネットのサイトでもリアル配信された。
このことがきっかけで、ダンス教室の面々ともすっかり仲良くなったサンドラ。打ち上げはチャーリーが住む船で行われた。サンドラは給仕をするチャーリーと会話し、彼の素敵な夢を聞かせてもらう。
サンドラはすっかり元の自分を取り戻しビフとの生活や自由を謳歌。
その夜はビフとクリスマスのプレゼントを選ぶ予定だったが、やって来たのはチャーリーだけ。穏やかな時を過ごしトラブルを経て予想外のドライブを楽しんだ。
そうして、クリスマス。特に仲の良い友人達を自宅に招待し、食事会を催す。笑いが絶えず楽しいひと時を過ごした。その後、娘とビデオ通話したサンドラ。マイクの家でもクリスマス会をやったが、結果は散々だったと言う。
サンドラはチャーリーと共に食事の後片付け。良い雰囲気になったものの、突然ビフが喘息の発作を起こしてしまう。吸入器にて落ち着いたものの、夜間も咳が治まらない。
2週間後、朝食の場にてビフから突然、肺癌のステージ4だと明かされる。愕然としたサンドラだったが、姉は抗がん剤治療をしない方向で決めたと言う。ビフは病気のことはサンドラとチャーリーだけに明かし、他の面々には知らせないと断言。彼女は最後まで人生を謳歌するつもりだと言うのだった。
映画『輝ける人生』の結末・ラスト(ネタバレ)
フェスティバルへ参加するため、ダンス教室の全員でローマへ。到着した夜は美味しいパスタとワインで大騒ぎ。
ところが翌朝、娘からの電話で目が覚めたサンドラ。娘からマイクが浮気相手と別れたので、サンドラへ電話するらしいという話を聞く。そこで、時計を目にしたサンドラは驚愕。昨夜楽しみ過ぎて寝坊したのである。急いで会場へ向かい、ぎりぎりで間に合った。
ステージを拍手喝采で終え、ホテルへ戻る。ビフは部屋で休むことにし、チャーリーとの夜を楽しむよう妹の背を押した。期待を胸にチャーリーとデートをしたが、その過程で彼に認知症の妻がいることを知ってしまう。サンドラはその事実をすぐに受け入れられず、付き合い続けることはできないと早々に帰ってしまうのだった。
そうして、翌朝。ビフの部屋を訪ねたサンドラだったが、姉が部屋から出て来ない。ホテルの従業員からドアを開けてもらい、中へ入るとビフはまだベッドの中にいた。だが、声をかけてもピクリとも動かないので、様子を窺うと姉はすでに息絶えていたのだった。
姉が良く通っていたスイミングができる川に遺灰を撒くことにする。大勢の参列者が訪れ、サンドラの挨拶と遺灰が撒かれる様子を見守った。
その帰り、チャーリーが声をかけてきたが、娘が戻って来てしまったため、彼はさり気なく離れて行った。娘は戻って来て欲しいと言う。マイクからも戻って欲しいと言われるが、本当に今更である。
ビフの家を片付け、家財道具は全てリサイクルショップへ。サンドラは名残惜し気に室内を見渡し、静かに部屋を出てドアを閉めた。
そうして、マイクとやり直すために家へと戻る。そんなある日、彼女宛てにチャーリーから手紙が届く。施設に入っていた妻が亡くなったため、世界へ向けて旅に出るという報せだった。
その後、サンドラの誕生日パーティーが開かれる。彼女はそこで孫にダンスを教えたのだが、その様子を見たマイクがみっともないと妻を叱る。サンドラは心の狭い夫に見切りをつけ、そのまま家を出た。そして、チャーリーの元へ。ところが、チャーリーは世界へ向けて出港してしまったと言う。サンドラは必死に彼を追いかけようやく辿り着くと、彼を信じて岸から船へとジャンプするのだった。
映画『輝ける人生』の感想・評価・レビュー
豪邸に住み裕福な生活をしていた主人公は、酷く傲慢で横柄な態度を取ることが多く、とてもいい人とは言えない。何事もきっちりしていないと気が済まないし、視野が狭く心も狭い。姉との生活を経て、彼女が本来の自分を取り戻していく様が繊細に描かれている。
主人公が熟年女性であるため、彼女を取り巻く人々も同世代。だが、その仲間達はとても生き生きとしていて、人生をとても謳歌しているように見える。お年寄りでも楽しみは必要だし、本気で楽しむから生活に張りが出る。高齢者を取り巻く問題をも描きつつ、人生はいつでもやり直せるということを描いた作品。(MIHOシネマ編集部)
「人生」の楽しみ方を教えてくれる素敵な作品でした。新しいことが苦手で、人と関わることに苦痛を感じてしまう私は今作を見て、もっと「自由」に自分の好きなように生きていいんだと教えて貰った気がします。そして「視野」を広げてみると「幸せ」や「喜び」が沢山転がっているのだと知りました。
「苦手」と自分で勝手に決めつけて、避けてしまうのは本当に勿体無いことだと感じました。この映画のおかげで自分を大切に、もっと楽しんで生きようと思いました。(女性 30代)
各々悩みを抱えながらもパワフルに笑う老人たちから、挑戦する勇気や、頑張る活力が貰えた作品です。その反面、コロリとお別れになる場面もあり、ほろりと泣けます。ラストシーンは完璧だと思います。観終えた後に心地よい余韻に浸れました。セリフも人生の厚みに比例した深いものも多かったと思います。”他人の目を気にしすぎて、自分を見失わないで”は特に刺さりました。非常に爽やかな作品でしたが、旦那さんのキャラや立ち位置が少し残念でした。後半の登場はいらなかったかなと…(男性 20代)
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