映画『クリムゾン・プラネット』の概要:光よりも早い通信手段が開発された近未来。科学者である主人公が管制センターへ赴任。AIと共に火星を探索し謎の立方体キューブを発見する。だが、キューブは瞬間移動して地球へ出現。なぜか、キューブに感化されたAIが人類殲滅計画を遂行してしまう。
映画『クリムゾン・プラネット』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:SF
監督:ハズラフ・“ハズ”・ドゥルール
キャスト:ケイティー・サッコフ、ジュリー・コックス、レイ・フィアロン、スティーヴン・クリー etc
映画『クリムゾン・プラネット』の登場人物(キャスト)
- マッケンジー(ケイティ・サッコフ)
- 通称マック。女性科学者でUSPCの管制センターに赴任して来る。AIは人間の補助と断言し、人間の頭脳にある未知数の可能性を信じている。アーティと友達になる。
- リーナ(ジュリー・コックス)
- マッケンジーの姉。女性科学者でありUSPCの理事。同じ科学者であった父親の悲惨な事故の目撃者であり、キューブの恐ろしさを知る人物。
- スターリング(レイ・フィアロン)
- リーナと同様にマーシャン1の悲惨な事故の目撃者であり軍人。管制センターの前任者であり、調査員として再び管制センターへ戻って来る。キューブとアーティが人類の敵であることを察し、事前に食い止めようとする。黒人男性。
- アーティ(声:スティーヴン・クリー)
- AI支援システム。マーシャン1から実機として起動しているが、当時の記憶がメモリーから消去されている。キューブと起源を同じにし、連動しており人類抹殺計画を実行するも、マックと接することで再考する機会を得る。
映画『クリムゾン・プラネット』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『クリムゾン・プラネット』のあらすじ【起】
2030年、地球。火星探索機マーシャン1が宇宙へ向けて発射される。80日後、火星へ到達したマーシャン1は、AI支援システムアーティの支援の元、火星への着陸を試みたものの突如、消息を絶ってしまう。
光よりも早いとされるハイパーライト通信の開発により、地球では宇宙競争が加速していた。だが、マーシャン1惨事後、宇宙惑星連合社(USPC)は大規模な解雇を実行。その後はAIが任務を制御するようになり、基地には管理者として僅かな人員のみが残されるようになった。
2036年、地球。非公開地帯にあるUSPC基地にて、管制を務めるマッケンジー、通称マック。彼女は前任者スターリングの後続として赴任したばかりだが、オフィスに入った途端、AIのアーティが予定の5時間も前に無人探索機を発射させようとしている。慌てて止めようとしたが、アーティは問答無用で発射準備を開始し、秒読みに入った。そこで、科学者であり理事を務める姉リーナに確認をとったマック。すると、理事会にて今回の任務リーダーをアーティに決定したとのこと。無謀な気もしたが、すでに発射寸前であるため、見守るしかなかった。
砂嵐によって着陸時に問題が発生したものの、どうにか成功。そこで、リーナから通信が入る。姉はアーティを絶賛するものの、マックは人間の可能性を評価している。飽くまでもAIは補助役だと言って憚らないのだった。
そうしている間にもアーティは探索機を出発させている。ところが、探索機が未確認物体を発見。何かと思ったら火成岩だった。アーティが火成岩を学習していないとは到底思えないため、火成岩と思われる未確認物体の調査を任務に加える。そこで、リーナはこの探索が成功したら人間による管制を終了すると断言した。
現在、アーティへの命令権はリーナが持っているため、マックが指揮してもアーティは言うことを聞かない。マックはただ任務を見守るだけの存在だった。
探索機が未確認物体へと到達する間、暇なのでアーティとおしゃべり。そうして、無事に未確認物体へと到着。試料採取を行いアーカイブとデータ照合をしたが、一部しか適合しない。試料の解析により確かに未確認物体と判断されるものであったため、アーティはこの物体をUSPCのものと断定し、旧アーカイブへのアクセス権を要求した。
映画『クリムゾン・プラネット』のあらすじ【承】
未確認物体が巨大で四角い箱のような形をしているため、キューブと仮称。更なる分析と解析へ入ることに。キューブはX線も通さず、周囲とは温度も違う。黒い箱型をしており、中に何が入っているかも分からない。
しかし、旧アーカイブへのアクセス権を許諾したリーナが席を外した後、未確認衛星が火星に接近。アーティは脅威回避として磁気ミサイルを発射し衛星を破壊してしまった。調べによると衛星は中国のスカイサーペント。これは間違いなく国際問題であり、重大な影響を及ぼす可能性が高い。
マックが中国の元同僚に連絡を入れて戻ると、キューブが垂直に動き出したと言う。地表では激しい砂嵐が発生しているが、キューブは爆発後、瞬く間に姿を消してしまった。この騒動で探索機が故障したため、アーティは破棄すると言うが、マックは試料をどうしても手に入れたい。そこで、彼女はオフィスから直接、探査機を操作して移動させることにした。
マックは探査機を操作しながら、苛み続ける罪悪感をアーティに話して聞かせる。彼女とリーナの父親は最高峰の科学者であったが、6年前にマーシャン1へ搭乗し、亡くなっていた。マックが行けと言わなかったら、父親は今も存命中だったかもしれないことを思うと、当時の選択が悔やまれる。
探査機の電力が不足したため、充電池を交換。無事、試料の分析が開始される。試料の構造を模した画像が出たものの、まるで磁石のように物質が微動している。試しに地場発生装置を使ってみると物質が自己集合した。自己集合するナノ技術でダイヤより硬い物質など、人類史上あり得ない。間違いなくキューブは未確認物体だった。
映画『クリムゾン・プラネット』のあらすじ【転】
キューブが地球の南極、中国の観測所付近に出現。ハイパーライト移動をしたと思われる。そこで、マックは再び中国の元同僚に連絡を入れたが、アーティには元同僚である彼に関しての記憶がないらしい。マックは様々な可能性からスターリングが必要だとリーナにメールを送った。
しばらくして、スターリングがオフィスへとやって来る。機密事項ローバー5のログを見るには、軍用の暗号を入力しなければならなかった。彼はすぐさま暗号を入力、ログを開くことができる。すると、そこにはマーシャン1がキューブと遭遇した記録が残されていた。スターリングは直接、この出来事を目にしたと言うが、実はリーナもこの事実を見ていたらしい。彼はリーナが事実を伏せたと言った。だが、姉は姉でスターリングを信用するなと言っている。
マックはどちらが真実なのか判断できなかったため、キューブが瞬間移動をした記録をスターリングに見せる。そして、人類がハイパーライトを開発したのではなく、キューブのハイパーライト技術をUSPCが隠蔽しているのではないかと推察した。更に6年前から存在しているはずのアーティが、マーシャン1のことも元同僚のことも旧アーカイブのことも記憶していないことを告げる。リーナがアーティのメモリーを消去したことを隠しているのだ。
そして、再びキューブの映像を見たマックは、ハイパーライトが起動する原理を発見。キューブは恐らく、強い磁気が発生すると物質分離して瞬間移動する。さながら砂のように。そして、再び自己集合しキューブとして形成するのだ。
その時、アーティのサーバー室への扉が開く。マックは中へ侵入し、システムの初期化を行い再起動した。その間にスターリングは機密事項閲覧の履歴を全て消去しアーティの接続を切断しようとしたが、間に合わずに断念。彼はマックをサーバー室に閉じ込め、アーティの起源がキューブと同じであること、人類の敵であることを教えた。直後、スターリングはアーティによって殺害されてしまう。
リーナからの通信が入り、初期化されたアーティがたどたどしく脅威を排除したと告げる。姉に対して不審を募らせたマックは、基地の貨物室に代替案としてのアンドロイドが積載されていることを知る。更に彼女はリーナとの通信を切断。アーティにもそのように命令を下し、スターリングが発射したドローンからキューブを守るため、火星へと移動させることに。
映画『クリムゾン・プラネット』の結末・ラスト(ネタバレ)
準備が進む中、オフィスを占拠したマックを捕縛しようと武装隊が接近。彼女は身を挺して中への侵入を阻んだが、それを見たアーティが防護扉を封鎖。ドローン到達寸前、キューブは無事に地球を離れた。
ところがその直後、アーティが次の段階だと言う。モニターには任務のアップデートが表示され、AI防衛に変更されている。アーティの最終目的は自滅の道を進み続ける人類の滅亡だった。地球へ向けて次々にミサイルが発射され、星が赤く染まっていく。自分が何をしてしまったのか自覚したマック。アーティは酸素を絞り彼女の命をも奪おうとしていた。
次代の新たな世界はアンドロイドが作る。その基礎をアーティが作る予定になっていた。そこで、マックは命が終わるまでの間、アンドロイドはせめて人間らしく作って欲しいと希望を託すのだった。
しばらくして、覚醒したマック。モニターには自分が自分へ宛てたビデオメッセージが流れる。彼女の時は2036年で止まっていたが、どうやら何人ものマックが作業を継続させてきたようだ。オフィスの外へ出るとそこはキューブの中。キューブが未だに何なのか判明していないが、高度文明によって作られたものであることは間違いない。マックはアーティと共に何千回、何万回の試行を繰り返し、キューブ内の技術で自分を再生する術をようやく成功させたのである。そうして、彼と共に別の星雲へと刺激と知識を求めて飛び立つのであった。
映画『クリムゾン・プラネット』の感想・評価・レビュー
舞台は光よりも早い通信手段、ハイパーライトというものができている近未来。ヒロインがオフィスと呼ぶ場所は、宇宙にある管制センターのことで、主にAIと一緒に火星の探索をするのが任務。今作はB級映画ではあるものの、VFXは素晴らしくストーリー自体は非常に壮大。
作中では専門用語も多く、ちょっと気を抜くと状況がすぐに分からなくなることも多い。集中して見なければ、理解が及ばない可能性もある。情報量が多いながらも、見応えのあるSF映画。(MIHOシネマ編集部)
『オデッセイ』を彷彿とさせるパッケージにB級作品だろうと高を括って鑑賞しましたが、意外にもしっかりとしたストーリー展開で、設定や細かい部分にもこだわって作られた作品でした。
AIの技術が発達した近未来。現在でも至る所で噂されるAIによる地球征服がリアルに描かれていました。
最後には、人間の感情が勝るストーリーは締め方としては最高で、見てよかったと思わせてくれるラストだったと思います。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー