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映画『ダブルミンツ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ダブルミンツ』の概要:原作は漫画家、中村明日美子の同名作で初の実写映画化。高校時代に出会った同姓同名の2人の男。彼らは当時、主従関係で繋がっていた。だが、大人になって再会したことで、その関係性が次第に変化していく。暴力と犯罪の中で絆を深める様を描いている。

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映画『ダブルミンツ』の作品情報

ダブルミンツ

製作年:2017年
上映時間:100分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:内田英治
キャスト:淵上泰史、田中俊介、須賀健太、川籠石駿平 etc

映画『ダブルミンツ』の登場人物(キャスト)

壱河光夫(大人:淵上泰史 / 高校時代:川籠石駿平)
システムエンジニア。優等生で非常に頭が切れる。弱腰ではあるものの、肝が据わっている。高校時代、光央にイジメられ犬扱いされていたが、光央に対し歪んだ愛情を抱くようになる。
市川光央(大人:田中俊介 / 高校時代:須賀健太)
ヤクザの組の下っ端。威勢はいいが、根性がない。高飛車で横柄だが、子供っぽくチャラい。高校時代、同姓同名の光夫を犬扱いしていた。
麻美(冨手麻妙)
光央の女だった女性。光央に殴られ山に埋められそうになるが、光夫に助けられる。

映画『ダブルミンツ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ダブルミンツ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ダブルミンツ』のあらすじ【起】

システムエンジニアとして残業続きの壱河光夫に、ある男から久しぶりに電話がかかって来る。男は高校時代の同級生で同姓同名の市川光央だった。彼は電話口で女を殺したため、すぐに来いと言う。高飛車で横柄な態度も粗暴な仕草も昔と変わらず、光央は殺した女をどうにかしろと光夫に命令するのだった。

高校時代、光夫は光央から全裸にされて、体育準備室に閉じ込められたことがある。夜になり逃げ出そうとした光夫は、助けてもらう代わりに光央の犬になれと言われ承諾した。
女、麻美を乗せた車で山へ向かう。光夫が穴を掘って女を埋めた。大人になっても関係性は変わらず、扱いは犬のままだった。

夜が明けて、昼まで東京に戻るなと言う光夫に対し、急に弱腰になる光央。彼は泣き出して自首すると言い出す。そこで、光夫は彼へと強引に口づけた。すると、光央は殺すと威勢よく脅しつけてくる。だがこんな時、肝が据わっているのは光夫の方である。彼は車から降り、光央を置いて一人で去ってしまうのだった。

酔った勢いで口答えしてきた恋人の麻美を殴り殺してしまった光央。怖くなって翌早朝、警察へ自首してしまう。ところが、警察と共に山へ遺体を探しに向かったが、埋めたはずの遺体がどうしてか見つからなかった。

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映画『ダブルミンツ』のあらすじ【承】

やくざの下っ端として使いぱしりにされている光央。組長は血も涙もない冷酷な人物だが、光央にはなぜか優しく、一週間も仕事をサボっても許してくれるのだった。
一方、光夫の仕事場に警官が訪ねて来る。彼は非常に冷静で普段通りに警官に対応。光央の話を持ち掛けられても、奴はいつも酔っているからと呆れた態度をとるのだった。

翌日、組の事務所へ顔を出した光央。事務所に警官が来ており、組長とも堂々と会話を交わす。組長は部下を連れて事務所から退出。残された光央に警官が麻美とお揃いで購入した指輪を見せる。その瞬間、光央は血相を変えて事務所から逃げ出してしまう。

急いで光夫に電話をかけた光央だったが、電話の向こうから女の声が聞こえる。聞き覚えのある声だ。彼は慌てて光夫の部屋へ向かい、麻美といちゃつく光夫を殴りつけた。すると彼は、麻美は気絶していただけで、死んではいなかったと言う。光央と別れた後、山へ戻って女を掘り返したのだった。

光夫を酷く殴りつけ足蹴にする光央。すると、光夫は光央が悪いのだと急に泣き出してしまう。すべては光央に近づきたいがため、触れたいがための行動だった。
2人の様子に麻美は気持ち悪いと言葉を残し、早々に部屋を出て行く。椅子に腰かけた光央は、犬に戻った光夫に口での奉仕を命令。犬はためらいもせず主人を喜ばせるため、最大限の奉仕をするのだった。

映画『ダブルミンツ』のあらすじ【転】

高校の頃、中学から付き合っていた彼女を光央に寝取られたことがあった。光央はわざわざ光夫を家に呼び、その光景を影から見せつけたのである。事後、光央が抱いた彼女を続けざまに抱いた光夫。主人と犬の関係は、高校時代に形勢されたものであるが、それはある種、親密を越えた異様なものだった。

口での奉仕以来、光夫の部屋に入り浸るようになった光央。体の関係になるのも時間の問題で、箍が外れるとあっという間だった。
そんなある日、光央の組に呼び出された光夫。事務所へ向かうと、組の金を横領していたという光央が酷く痛めつけられていた。気絶して使い物にならなくなった光央の代わりに、彼がやるはずだった運び屋の仕事を光夫がやる羽目に。

何気なさを装って荷物を入手した光夫。受け取りを待っていると、警官に声を掛けられてしまう。彼は咄嗟に逃げ出し、警官をやり過ごすことに成功。組長へと無事にブツを渡した。一般人でありながら、妙に肝が据わっていると組長に褒められる。特別報酬として無修正だというDVDを貰った。

帰宅して光央の様子を見た後、PC端末でDVDを再生。それは制裁目的なのか、光央が男達に薬を打たれ、輪姦された時のものだった。薬で朦朧とした光央は3人の男達から散々、嬲られ悲鳴を上げている。光夫はその映像を、桃を食べながら淡々と眺め、静かに涙を零した。

この記憶は光央にとっても相当、屈辱的なものだったに違いない。光央は過去の映像を光夫に見られたと知ると、絶望し自らの腹部を果物ナイフで刺し自殺を図った。

映画『ダブルミンツ』の結末・ラスト(ネタバレ)

幸い、命に別状はなく助かった光央。意識が戻った彼は、輪姦されたあの時に一度死んだのだと呟く。そして、光夫と再会して生き返ったのだと言った。
後日、光央は組長へとヤクザとの縁を切りたいと頼み込む。そもそも、彼は組員ではないため、別に義理立てする必要はない。だが、光央は光夫のために金輪際、関わりを持たなくてもいい方法を望んだ。すると、組長は最後に一仕事頼むと言って、拳銃を渡してくる。

光央は銃を手に敵対勢力の事務所へと殴り込みをかけ、発砲して逃げた。その際、反撃に遭い流れ弾が足に当たってしまう。ろくな処置もせず、痛みを堪えながら逃げ回る光央だったが、一番縋りたい光夫に助けを求めるわけにもいかない。

夜も更けた頃、警官が光央を発見し声をかけたが、怯えた彼は迫る警官をつい撃ってしまう。事件はすぐさま報道され、実名がニュースで流れた。居ても立っても居られなかった光夫は光央を探し回っていたが、交番前に差し掛かった際、組から連絡が入る。

闇医者の元へと向かった光夫は、意識を失い撃たれた足の処置をされる光央を目にする。傍には組長がいて、けじめをつけろと言われた。その日は闇医者の部屋で休むことが許される。
深夜、意識の戻った光央は光夫への思いを確固たるものにし、互いになくてはならない存在だと認識を改める。だが、光央は男同士で思いを通じ合わせたところで、どこへ行けばいいのかと不安を募らせるのだった。

翌日、光夫が目を覚ますと、すでに光央は姿を消していた。光夫が眠っていたベッドの柵には、彼がいつもつけていたネックレスだけが残されている。喪失の叫びをあげた光夫はふと、冷静になって組長へと電話をかける。彼は組長を脅し、光央の行方を聞き出した。

その日の夜遅く、漁船に乗り込んで韓国へ逃亡する予定だった光央。そこへ、組長の車に乗った光夫が現れ、真っ先に光央へと駆け寄ると自らの顔をナイフで傷つけた。光夫は堅気に戻れなくなっても、光央と共にいることを選んだのだった。

船は一路、韓国へ向けて出港。乗組員は韓国人で、何を言っているかさっぱり分からなかったが、2人の心は凪いでいた。光央はもう一人の光夫に、自分と一緒に死ねるのかと問うのであった。

映画『ダブルミンツ』の感想・評価・レビュー

原作は漫画家、中村明日美子。彼女の作品は奥深いものが多く、歪な愛を描くことがまるでテーマのようになっているところがある。今作は特にその歪性が際立った作品だ。序盤から女を殺したからどうにかしてくれという、もうすでに極まった状態から始まる。

ヤクザの下っ端とシステムエンジニアという反極にありながら、どこか繋がっていて同じところにいる。中盤以降、2人は共にいるのが当たり前のような状態となり、惰性のような面が見えたりするが、終盤では互いの思いが同じ重さとなり覚悟を決める。最終的には国外へ逃亡するが、そこまで行ったらもう一生ものだろう。ただの同性愛を描いた作品ではなく、特殊な絆で繋がった男同士の愛を描いている。(MIHOシネマ編集部)


かなり特殊な作品で、好き嫌いが大きく分かれそうだなと感じました。同じ名前の男が、歪んだ愛の形に目覚めていってしまう様子は2人のこれまでの関係を考えるとごく自然で、当たり前で、お互いがいなければ生きていけないのだろうと簡単にわかるでしょう。
同性愛を描いた作品ではありますが、描き方が独特で一緒に死ぬのも愛なのだと思い知らされました。少しずつ関係が変わっていくのも愛ゆえなのかなと考えさせられてしまいます。
力強さと儚さが共存する不思議な作品です。(女性 30代)

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