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映画『永遠と一日』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『永遠と一日』の概要:死への絶望と希望を、詩的な感性によって穏やかに描きだす。長回しの多用や時系列の錯綜など、独特な手法を確立し、コアなファン層を獲得したテオ・アンゲロプロス監督の作品。本作はパルムドール賞を受賞している。

映画『永遠と一日』の作品情報

永遠と一日

製作年:1998年
上映時間:134分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:テオ・アンゲロプロス
キャスト:ブルーノ・ガンツ、イザベル・ルノー、アキレアス・スケヴィス、デスピナ・ベベデリ etc

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映画『永遠と一日』の登場人物(キャスト)

アレクサンドレ(ブルーノ・ガンツ)
海辺の家に住む、孤独な老人。病魔に侵されており、明日からの入院を決めている。ある難民の少年と出会い、共に一日を過ごすことで、明日への希望を抱くようになる。亡き妻への心残りがある。
少年(アキレアス・スケヴィス)
難民の子供。アレクサンドレに幾度か助けられ、次第に心を開いてゆく。詩人の話に興味を持ち、「言葉を買う遊び」をする。最後はアレクサンドレとの別れを決め、船で帰国する。
アンナ(イザベル・ルノー)
アレクサンドレの亡くなった妻。「私の日」と呼称するある一日の思い出を、手紙に残す。その中で、アレクサンドレへの深い情愛を綴っている。
ソロモス(ファブリツィオ・ベンティヴォリオ)
ギリシャの詩人。かつて人々から言葉を教わり、金を払ったという。アレクサンドレと少年とバスに乗り合わせ、死について語り聞かせる。
ウラニア(エレニ・ゲラシミドゥ)
アレクサンドレの元で働いていた使用人。彼を心から心配し、飼い犬を引き取る。
カテリーナ(イリス・ハジアントニウ)
アレクサンドレの娘。アレクサンドレの身を案ずるも、気難しい夫がいるため力になれない。

映画『永遠と一日』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『永遠と一日』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『永遠と一日』のあらすじ【起】

アレクサンドレは、夏の海を泳いだ少年時代の夢から目を覚ます。窓からは寒々しい海辺の景色が覗いており、彼は病気だった。使用人のウラニアは、入院するというアレクサンドレとの離別を惜しむ。彼女が出ていったあと、アレクサンドレは窓際に立ち、あるクラシックの曲を流す。すると、それに応えるように、向かいのアパートの一室から同じ曲が流れてくる。その時間だけが自己の存在と世界を繋ぎとめていると、彼は信じていた。そして犬の散歩に出ると、亡き妻アンナへ想いを馳せる。

街では、道ゆく車の窓拭きをして生計を立てる、難民の子供たちが群れを成していた。彼らと警察の追いかけっこが始まるなか、アレクサンドレは逃げ遅れた一人の少年を庇って車に乗せる。少年は一言も喋らなかったが、最後には笑顔を見せる。

アレクサンドレは、飼い犬を連れて娘・カリーナの家を訪ねる。旅に出るという理由で、犬と数個の封筒を託す。カリーナが開いた一通の手紙には、アンナが「私の日」と呼んでいた日付が記されている。アンナは、手紙の中でアレクサンドレに話しかけ、強い恋心と不安を露わにしていた。妻の本音に、動揺を隠せないアレクサンドレ。結局、カリーナの夫に犬の引き取りを断られ、さらに海辺の家を売ったと打ち明けられる。

映画『永遠と一日』のあらすじ【承】

アレクサンドレは、先日助けた少年を再び見かける。少年は二人組の男たちに車に連れ込まれ、誘拐されるところであった。その後をつけ、人身売買の市場にたどり着いたアレクサンドレは、持ち合わせの財産を擲って少年を救う。

アレクサンドレは、少年を故郷に返そうと試行錯誤するが、彼はその度に逃げだそうとする。ついに彼を国境まで送り届けることにするが、そこには不穏な空気が立ち込める。セリムという仲間とはるばるやってきたらしい少年は、村に銃を持った奴らが押しかけてきたことや、地雷を確かめながら道を来たことを話す。国境に近づいた二人は、濃霧の中にそびえる大きなフェンスに、亡霊のような人影がゆらめく様を見る。恐ろしくなったアレクサンドレは、少年の手を取って一目散に逃げだす。

あれこれと世話を焼くアレクサンドレに、すっかり打ち解けた少年は、詩人について聞きたがる。アレクサンドレは、かつて言葉を知るために金を払ったという詩人ソロモンについて、嬉々として語る。

映画『永遠と一日』のあらすじ【転】

アレクサンドレと少年は港にやってくる。来たる別れに悲しげな様子のアレクサンドレに、少年は詩人ソロモンを真似て、言葉を買ってくると言う。「どこにいてもくせ者」という意味の言葉を教えられ、少年にコインを払うアレクサンドレ。海を眺めながら、波音とともにアンナの声を聞く。そして彼は、「私の日」にいた。そこでは彼とアンナの思いは交錯し、すれ違うのであった。

アレクサンドレは、掛かりつけの医者とばったり出くわす。病気の苦悩を打ち明け、明日入院することを告げる。医者は、作家アレクサンドレのファンであることを告げ、去ってゆく。一方、難民の子供たちの情報により、セリムが亡くなったことを知る少年。アレクサンドレとともに遺体安置所に駆けつけ、その遺体を目の当たりにする。少年はセリムの形見であるスニーカーを燃やし、涙を流して弔う。

アレクサンドレは亡き母の死を思いだし、また「私の日」を回想する。にわか雨が降りだしたにも関わらず、アンナと熱いキスを交わす。そして、幾つもの疑問を母に吐露する。どこにいても自分をよそ者だと感じていたことや、絶望的な沈黙から言葉を引きだした時だけ生を感じられること、アンナとの愛し合い方がわからなかったことを、独り言のように打ち明ける。

映画『永遠と一日』の結末・ラスト(ネタバレ)

少年との別れの時を迎え、子供のように寂しさを募らせるアレクサンドレ。残されたわずかな時間を、二人はバスの旅に費やすことに決める。停車駅では楽団が乗り合わせ、車内で美しい演奏を披露する。感じ入るアレクサンドレと少年の面持ちはそっくりで、二人は言葉を超えて通じ合っているようだ。また次の駅では、詩人ソロモンが乗ってくる。彼は死があってこその美しい人生であると語る。アレクサンドレは「明日の時の長さは?」と尋ねるが、返事はない。

少年は目に涙を一杯浮かべて、アレクサンドレに言葉を売る。そして、少年を乗せた船は行ってしまう。残されたアレクサンドレの目はがらんどうのようで、青信号になっても車を動かすことができない。

アレクサンドレが空き家となった海辺の家に戻ってくると、再び「私の日」の続きが始まる。彼と心を通わせることを待望するアンナ。アレクサンドレは、彼女と踊りながら愛を確かめ合い、「明日の時の長さは?」と尋ねる。彼女は「永遠と一日」だと答える。アレクサンドレは海に向かって、少年から買った言葉の数々を叫ぶ。遠くで、彼を呼ぶ声がする。

映画『永遠と一日』の感想・評価・レビュー

時間と空間を頻繁に行き来することで、永い物語を一日に凝縮して描くことに成功している。それも夏と冬、明るい海辺と陰鬱な病院、という風に対照的である。その映像から、死と生の香りがまざまざと漂う。言葉によって生き続けるという希望を見いだした詩人と、その普遍的なテーマに、監督の実直な感性が表れている。

子供のひそひそ声で語られる、「砂浜でお手玉遊びをする子供 それが時だってさ」という表現が胸をついた。その童心溢れる響きは、子供同士の秘密のようなきらめきを感じさせ、視界を明るくする。主人公の深い悩みすら、軽やかに笑い飛ばしているかのようだ。(MIHOシネマ編集部)


本作は、不治の病により明日に入院を控えた詩人の老人が、不法労働者の少年と出会って共に過ごした最後の一日を描いたヒューマンドラマ作品。
過去がフラッシュバックしたり長回しを多用したりといった、時系列を操った手法が独特で興味深かった。
そして、海辺や砂浜のフレーミング、グレーを基調とした色彩、静かで重い雰囲気、そして詩的な言葉の一つ一つが美しかった。
目の前の人と過ごす一時のかけがえのなさ、時間の重みを感じられ、年を重ねてもう一度見直したいと思った。(女性 20代)


言葉では上手く言い表せないほど、美しくて儚くて、心地良い作品でした。病気のため明日からの入院を決めた孤独な老人と、難病を患う少年が「永遠」とは何なのか「明日」とは何なのか、未来に対する希望や悲しみを込めつつ「明日」を生きていく詩のような作品でした。
描かれる風景がとても美しく、そこに違和感なく溶け込むキャストもものすごく優しい雰囲気で心が浄化されるような気持ちになりました。
悲しくないのに涙がポロポロこぼれ落ちてしまい、あまりにも心地よい作品で終わって欲しくないなと思いました。(女性 30代)

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