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映画『ビブリア古書堂の事件手帖』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の概要:作家、三上述の同名人気小説を実写映画化。祖母が残した夏目漱石の本にサインが入っていたため、ビブリア古書堂を訪れた主人公は店主の推理力に心酔し、店の手伝いをすることになる。だが、彼女が所持している希少本を狙う犯人が現れ…。

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の作品情報

ビブリア古書堂の事件手帖

製作年:2018年
上映時間:120分
ジャンル:青春
監督:三島有紀子
キャスト:黒木華、野村周平、成田凌、夏帆 etc

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の登場人物(キャスト)

篠川栞子(黒木華)
ビブリア古書堂の店主。物静かな性質で本に関しての知識を多く持っている。高校生の妹と二人暮らし。人よりも本を大事にしていたが、大輔と出会ってその考えが間違っていることに気付く。洞察力に優れ、本を査定しただけで持ち主の背景まで見通してしまう。
五浦大輔(野村周平)
幼い頃のトラウマにより小説が読めなくなった青年。祖母が所有する夏目漱石全集をビブリア古書堂へ持ち寄る。栞子と出会ったことで、本への知識を深めトラウマの克服へと挑む。情に厚く素直で働き者。
稲垣(成田凌)
古書をネット販売する事業主。本への造詣も深く栞子とも話が合う。実は田中嘉男の孫で大輔とも血が繋がっている。火事によって祖父を亡くし、祖父が大事にしていた太宰治の『晩年』に執着している。
五浦絹子(50年前:夏帆 / 老年:渡辺美佐子)
大輔の祖母。定食屋へ嫁入り後に嘉男と出会い、秘められた恋に悩む。嘉男の子を夫と共に育てる。嘉男に贈られた本をとても大切にしており、大輔にトラウマを植え付けた本人。老衰によって亡くなる。
田中嘉男(東出昌大)
上流家庭に生まれ小説家を目指していた。絹子と出会い恋に落ちるが、人妻であることに思い悩む。夏目漱石の『それから』を絹子へと贈る。太宰治をリスペクトしており、『晩年』を終生大切にしていた。火事によって亡くなっている。

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』のあらすじ【起】

祖母、五浦絹子が亡くなった。小さな食堂を営んでいた彼女は普段、とても優しい人物だったが、過去に一度だけ孫の大輔を酷く叱ったことがある。それは、絹子がとても大切にしていた夏目漱石の全集に触れた時だ。彼女は大輔を鬼のような形相で叱りつけそれ以来、大輔は小説が読めなくなってしまった。それから大人になって就職活動の時、絹子は当時のことを振り返り謝ってくれたものだった。

葬式も無事に終わり絹子の荷物を整理していた大輔は、当時を懐かしみつつ夏目漱石の8巻を手に取る。中を開くと背表紙の内側になんと、夏目漱石のサインが入っていた。しかも、送り主は祖母の名前ではなく、田中嘉男という男性へ宛てたもの。そして、ページの間から書店の値札カードが出てくる。更にカードと共に若い頃の絹子の写真が出てくるのだった。

大輔は全集を持ってカードの書店、ビブリア古書堂を訪ねた。店の一番奥にはカウンターで若い女性が転寝している。店主の篠川栞子は古書に関してとても深い知識を持ち、数冊を目にしただけで絹子が大輔を酷く叱りつけたことまで言い当ててしまう。しかも、漱石のサインは偽物だった。

再び書店を訪れた大輔。栞子曰く店の値札カードは改装の際、特別に挟んだもので今から53年前のことらしい。更に所有者が押す蔵書印が、なぜか『それから』の8巻にだけは入っていない。恐らく、全集を購入しわざわざ8巻だけを今のものと交換し、隠して置いたのだろう。様々な事柄から推察するに絹子はサインの相手、田中嘉男と人に知られてはいけない恋をしていたのだ。既婚者の女性を主人公が奪い取るという本の内容とも一致するため、祖母は厳重に隠していたと思われる。

大輔は再び栞子を訪ね、礼を言った。すると、ひょんなきっかけにより書店で働くことになる。大輔は8巻を読み聞かせてもらうことを条件に、翌日から書店でアルバイトすることになった。
仕事の合間に栞子から小説を読み聞かせてもらう。『それから』は人妻への秘めた恋心に悩む男の話だった。

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映画『ビブリア古書堂の事件手帖』のあらすじ【承】

田中嘉男は上流家庭に育ち、小説家を目指して苦心する毎日を送っていた。彼はふと目に入った食堂へ入り、カツ丼を頼む。世間は東京オリンピックで沸いており、食堂でも客と店員の絹子がテレビにくぎ付けだった。嘉男は支払いを済ませ、店を出ようとして出入り口の框にしこたま頭をぶつけてしまう。彼は当時の日本人としては高身長だった。
頭部強打により意識を失ってしまった嘉男。介抱してくれた絹子に好意を覚え無事に帰路へと就いた。

栞子と共に古書交換会へやって来た大輔。その会場で古書をネット販売する稲垣と出会う。彼も栞子に負けず劣らず古書には詳しかったが、最近高額な本を盗まれてしまったと言う。手がかりは持ち込みで持って来た本に、買受確認書の名前と途中までしか書かれていない住所だけ。栞子は買受確認書と持ち込まれた本の特徴から、犯人の家を割り出してしまう。
豪邸の主人はじきに目が見えなくなってしまうため、どうしても読みたかった本を見つけて思わず持ち帰ってしまったと言う。稲垣はしばらく古書を貸し出し、通報せずに許すことにした。

絹子からお薦めの本を教えて欲しいと頼まれた嘉男。数日毎に本を持ち寄り食堂へ通う。嘉男は太宰治の本を次々と紹介し、次第に絹子との距離を縮めていく。だが、絹子はすでに人妻だった。

巷では文豪、太宰治の貴重な蔵書を軒並み買い取るという人物が噂になっている。それも、太宰作品の登場人物、大庭葉蔵の名前を使っていた。2カ月前、栞子は出掛けに階段から突き落とされ、怪我を負っている。周囲には転んだと説明していたが、恐らく彼女個人が所有するこの世に一冊しかないであろう、太宰治のサイン入り『晩年』の初版本を狙ってのことだろう。彼女はその本を祖父から受け継ぎ、店の金庫で厳重に保管していた。
大庭葉蔵は栞子が本の所有者だと知ると、しつこく売れとメールを送りつけている。栞子は大輔にそのことを打ち明け、助けを求めた。

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』のあらすじ【転】

その日の夜、絹子の若い頃の写真に『晩年』が映り込んでいるのを発見した大輔。翌日、栞子に写真を見てもらった。映り込んでいる本は嘉男のもので、栞子が所有する本ではないようだ。

絹子が人妻だと知った嘉男は、それでも諦めきれずに彼女と密かに逢瀬を続けた。絹子もまた嘉男に好意を寄せており、2人はとうとう旅行へと行くまでの仲になり身体を重ねてしまう。嘉男は見合い話が決まっても小説の執筆を続け、絹子の写真を眺めつつ書き上げるのであった。

大庭葉蔵を誘き寄せるため、栞子所有の『晩年』を店舗へと並べることにした。ウェブサイトでもその知らせを掲載すると書店に連日、客が押し寄せる。稲垣も『晩年』には興味を抱き、見てみたいと言う。そこで、彼を連れて書店へ。だが、店の看板に放火されているのを目撃し、犯人を追ったものの逃がしてしまう。その上、店舗に並べていた『晩年』が粉々にされていた。幸い、展示していたのは復刻版であったため、本物は無事だった。

そこで、大輔は責任を持って『晩年』を預かることに。しかし、自宅へ帰宅した直後、スタンガンで意識を奪われ本を盗まれてしまう。早朝、慌てて書店に向かい栞子へ報告した大輔だったが、栞子曰く大輔が持って行った本も本物ではなかった。ショックを受けた大輔は、その場で辞職を述べて去ってしまう。

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の結末・ラスト(ネタバレ)

小説を出版社の編集部へ送ったものの、才能がないと返書が来た。嘉男は酷く落ち込んでしまい絹子に励ましてもらおうとしたが、彼女は往来での接触を嫌い、嘉男を避ける。彼はその後、見合いを受けたが、やはり絹子でなければならないと決心。いつもの場所で待ち合わせをし、絹子に漱石の『それから』を渡して一緒に逃げようと告げるのだった。
ところがその後、絹子に妊娠が発覚。嘉男の子である。彼女は本を読み終え、荷物をまとめて逃避行へ向かおうとした。ところが、夫は絹子の子供を自分の子だと断言。その一言で、絹子は嘉男の元へ行くのをやめてしまった。

大輔がアルバイトを辞めた翌日、栞子の元に大庭葉蔵からメールが来る。その頃、大輔は喫茶店で食事をしていたが、そこへ稲垣の本を盗んだ人物がやって来る。目が見えないという話は嘘だったらしく、男の話によると店の看板に放火したのも稲垣に指示されてやったことだと言う。稲垣が大庭葉蔵だったのだ。危険を察した大輔は急いで栞子の元へ向かった。

稲垣が幼い頃、祖父の書斎が火事になった。彼は祖父を助けようとしたが、祖父は大切にしていた『晩年』を孫に託そうとする。だが、火の勢いが強く稲垣は本を受け取ることができなかった。彼は左腕に酷い火傷を負い、『晩年』も燃えてしまった。
稲垣は栞子の元へ向かい、彼女へと詰め寄る。栞子は本物を手に駆け付けた妹と大輔によって助けられ、店の外へと逃れた。

港まで逃れたものの、稲垣もしつこく追って来る。大輔は栞子と本を守るため、稲垣へ立ち向かった。ところが、相手はスタンガンを持ち喧嘩にも慣れているようで、大輔はすぐに殴り倒されてしまう。彼は何度も立ち上がり稲垣に追い縋ったが、とうとう首を絞められてしまう。栞子は逡巡した後、大輔の命を救うため、『晩年』を海へと投げ捨ててしまうのだった。本が海に沈む様子を唖然として見つめる稲垣に対し、大輔はすぐさま海へと飛び込み本を探そうとする。栞子は彼のその行動に感銘を受けるのだった。

後日、稲垣の祖父が田中嘉男であることが判明した。嘉男は逃避行が失敗後、小説を1本書いている。それは、絹子との秘められた恋を書いたものだった。稲垣は謝罪を込めてその小説を栞子へ。彼女は大輔に嘉男の小説を渡し、自分で読むよう促した。大輔は小説を読み終えた後、自分にはあなたが必要だと栞子へ笑いかけるのだった。

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の感想・評価・レビュー

作家・三上延による人気シリーズを実写映画化。同名作品はアニメ化やテレビドラマ化されるなどの人気作であり、今作は黒木華と野村周平がダブル主演したことでも話題になっている。和風美人でもある黒木華と好青年を演じる野村周平に違和感はなく、原作の雰囲気を大切にした作品だと感じる。

古書を通じて、持ち主の背景や当時の思いを大切に読み取るというミステリー作でもあるのだが、古書に対しての深い愛情や貴重な文献であることも丁寧に描いているのが魅力。犯人の事情がきちんと描かれていないのが残念な気がしたが、あの数秒だけのシーンだけでも、事情を察することはできるので問題はない。本が好きな人やそうでない人でも、楽しむことができる作品に仕上がっている。(MIHOシネマ編集部)


一冊の本から紐解かれる女性と男性の恋物語が現代までつながった物語。本は普通に読みますが、古書に対する思い入れは特にありませんでした。この映画では本に対する思い入れが強く見える人々が登場します。それは、思い出だったり、執着だったり、憧れだったり、欲望だったりするのでしょうか。本の中の物語だけでなく、その本自身の物語や、作者、その本に影響を受けた人々の話は無限に存在するように感じました。序盤から物語の進み方が面白く感じましたが、想定内だけど予想外な感じで終わったのがちょっと残念でした。(女性 40代)

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