映画『翔んで埼玉』の概要:原作は漫画家、魔夜峰央による同名ギャグ漫画作品。東京から迫害を受ける埼玉を救うべく、奮闘する人々の姿を面白おかしく、時に感動を交え描いた作品。二階堂ふみとGACKTをダブルキャストに迎え、奇想天外なストーリーが展開していく。
映画『翔んで埼玉』の作品情報
上映時間:106分
ジャンル:コメディ
監督:武内英樹
キャスト:二階堂ふみ、GACKT、伊勢谷友介、ブラザートム etc
映画『翔んで埼玉』の登場人物(キャスト)
- 壇ノ浦百美(二階堂ふみ)
- 現東京都知事の息子で金髪の美少年。選民意識とプライドが高い。東京都知事を目指しているが、麗と出会ったことで自分が井の中の蛙であったことを知る。麗に恋心を抱き、東京を脱出。本質はとても清廉潔白な人物。
- 麻美麗(GACKT)
- 大実業家の息子で生粋のエリートとして、白鵬堂学院へ編入して来るが、実は隠れ埼玉県民。秀麗な容貌と賢い頭脳を持つ。実は伝説の埼玉県人デュークの息子。驕ったところがなく、誠実で心根が優しい。幼い頃より通行手形制度の撤廃を目指している。
- 阿久津翔(伊勢谷友介)
- 壇ノ浦家の執事。実は千葉解放戦線のリーダーで、東京に阿ることで取り入ろうとしている。父親も千葉解放戦線のリーダーであり、敵対している埼玉デュークを狙っている。
- 埼玉デューク(京本政樹)
- 埼玉解放戦線を率いるカリスマ性を持ったリーダー。伝説の埼玉県人と呼ばれている。麗の実の父親であり、埼玉を前面に押し出す壮大な計画を立てている。
映画『翔んで埼玉』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『翔んで埼玉』のあらすじ【起】
かつて武蔵国として一つの大国であった東京都、埼玉県、神奈川県上部。廃藩置県の折、東京都と神奈川県上部が独立したことにより、残った海なし県が埼玉県となった。故に、埼玉県民は東京都民から蔑まれ迫害され、身を潜めて生きるしかなかった。
19XX年、東京。埼玉県民は通行手形がないと東京へは入れず、持たない者はすぐに捕縛され強制送還されていた。埼玉県民は誰もが理不尽で不自由な生活から逃れたいと願い、救世主の出現を強く切望していた。
同年、官僚育成学校と名高い白鵬堂学院にある男が編入して来る。麻美麗は大実業家の息子で10年以上もアメリカに留学していた経歴を持つ生粋のエリートだった。学院の生徒会長は現東京都知事の息子、壇ノ浦百美。百美は2年生でありながら生徒会長へと上り詰めた傑物である。学院では身分によりクラス分けがされており、麗が編入したクラスは最上位のA組だったが、最下位のZ組は元埼玉県民で都合により現在、東京都に住んでいるという者達だ。教室は学院外の廃屋のような小屋で、身分差は天と地ほどもかけ離れていた。
生徒会長の壇之浦百美はZ組を酷く差別し、体調不良で苦しむ生徒に薬も与えず、雑草でも食って治せと言う。麗はそんな百美の態度を快く思わず、足を引っ掛けて転ばせてしまう。Z組は迫害されながらも都民の思想に侵されており、自分達の出身地を蔑み卑下しているのだった。
麗によって辱めを受けた百美は、都知事である父親に麗を学院から追い出すよう頼む。だが父親は、麻美家は大企業の家柄で学院に多額の献金をしているため、退学になどできないと言うのだった。
一方、蔑まれる埼玉県民を救うため、麻美家へと養子に出された麗には、東京都知事となり通行手形制度を撤廃するという崇高な目標があった。米国への留学を経て、ようやく白鵬堂学院への編入を果たした。埼玉県民の願いは、彼の肩にかかっていると言っても過言ではない。
退学させられないと知った百美は、あらゆる手を使って麗へと勝負を挑むことに。ところが、麗は語学も堪能で難問を次々と突破。勝負は百美の敗北に終わった。このことにより、強い眩暈に襲われた百美だったが、麗の手によって医務室へ運ばれ心がときめいてしまう。
翌日から百美は彼へと好意的になり、父親へも紹介するのであった。
映画『翔んで埼玉』のあらすじ【承】
都知事へと挨拶を済ませた麗だったが、壇ノ浦家執事の阿久津翔により隠れ埼玉県人であることを見抜かれてしまう。麗は咄嗟に否定も肯定もしなかったが、阿久津は彼を疑っている様子だった。
その後、百美とアミューズメントパークへ。ところが、不法侵入者発見の警報が鳴り辺りは騒然となる。麗は周辺へと視線を走らせ自分の家政婦が子供と訪れている姿を発見。2人を庇ったものの、自身が埼玉県人ではないことを証明しなければならなくなる。隠れ埼玉県人である麗は、どうしても証明することができず、家政婦とその子供を救うことができなかった。
百美の機転によりその場から逃走。彼は麗が隠れ埼玉県人でも構わないと言ったものの肝心の足が進まず、麗に置いて行かれてしまう。それでも彼は自分を叱咤し麗の後を追って行くのであった。
その頃、壇ノ浦家では百美が麗と出奔したと知らせが入る。息子が麗へと恋心を抱いていることまで明らかになり、父親の都知事は激怒し追手を差し向けた。
一方、追われる身となってしまった麗と百美は、茨城を経由して埼玉へ入る相談をする。汽車の貨物車に身を潜めていた2人だったが、埼玉に近い千葉で降りれば良いのではないかと考えた百美。だが、千葉と埼玉にも過去からの因縁があり、あまりにも危険だと言う。その昔、埼玉解放戦線と千葉解放戦線により壮絶な争いがあった。そのしがらみにより千葉とは未だに仲が悪いのである。
しかし、そんな時に限ってなぜかヌーの群れが線路を横切り、千葉のど真ん中で列車が急停車してしまう。2人は列車を降りて地道に埼玉を目指すことに。だが、阿久津率いる千葉解放戦線の一派により罠にかけられ捕縛されてしまう。
阿久津もまた千葉に課せられた通行手形制度の撤廃を目的としていたが、彼のやり方は東京に阿り郷土愛を無視するものだった。
映画『翔んで埼玉』のあらすじ【転】
翌日、百美が家へと強制送還されそうになる。ところが、そこへ何者かが乱入し、騒然となる。白馬を颯爽と走らせる御仁により、その場から無事に逃走を果たした麗と百美。
春日部へと逃れた2人は、救出に来てくれた人物が埼玉解放戦線のリーダーで、伝説の埼玉県人と言われる埼玉デュークであったことを知る。彼は今も尚、密かに活動を続けていたが、ある重大な情報を入手したと言う。歴代の都知事たちが通行手形制度に便乗し、闇手形を発行。儲けた大金を金塊に変え、どこかに隠し持っていると言うのだ。
百美は真実を知って愕然とした。彼は麗と共に県外へ出て、初めて他県の人々が辛い現実を生きていることを知り、自分が父親の金塊を見つけると誓う。しかし、彼は慣れない旅のせいで埼玉特有の高熱病にり患してしまうのだった。
最新の医療機関がない春日部では、百美を助けることができない。東京への秘密経路を良く知るデュークが、彼を東京へ連れ帰ることになった。
その頃、埼玉デュークの生存を知った都知事は、千葉の通行手形制度を撤廃することを餌に阿久津へとデュークの暗殺を命令。阿久津は草加にて百美を連れたデュークの暗殺を成功させ、まんまと百美を連れ帰るのである。
春日部にて百美の無事とデュークが暗殺されたことを聞いた麗。更に千葉解放戦線が埼玉へと侵攻を開始したことを知る。そこへ、麗の父親の使いがやって来る。麗は父親の映像を目にし、これまで父親だと思っていた人物が実は伯父で、埼玉デュークが実の父親であることを知らされるのであった。デュークは埼玉解放戦線を率いるために幼い息子を兄へと託したのだ。真実を知った麗は、実の父親であるデュークの後を継ぎ、埼玉解放戦線を率いて千葉解放戦線と戦う決意を固めるのだった。
千葉と埼玉が戦争を開始しようとしていたその頃、父親の秘密の部屋にて群馬、赤城山の地図を発見した百美は、単独で密林の群馬へと赴いていた。ところが、群馬は未知の生物が生息する秘境のジャングルである。彼は謎の生物に捕縛され、あわや丸焼きにされるという危機に陥ってしまう。
映画『翔んで埼玉』の結末・ラスト(ネタバレ)
県境の川を挟み、千葉解放戦線と埼玉解放戦線が向かい合う。互いに出身タレントや俳優で対決。双方互角であったが、千葉には海がある。そこで、麗は埼玉には誇りがあると豪語。その後、互いに激しいぶつかり合いを展開した。
その様子を映像にて呑気にも眺めていた東京都知事の前に息子である百美が姿を現す。彼は東京都知事から裏金を得た群馬県知事が金塊を隠すために秘境をアピールしていたことを知り、まんまと金塊の在り処を見つけ出したのである。百美は父親へと詰め寄ったが、都知事は余裕のある態度を見せる。ところが、千葉県民と埼玉県民が都庁へと侵攻中だと知らせが入ると、態度が一変する。
百美は父親の不正を許さず、千葉と埼玉へ都知事が不正を行っていた事実を知らせていた。連合軍となった彼らが都庁へと向かえば、マスコミがより注目する。彼はその場で歴代の都知事が不正を行っていたことを明かそうとしていたのだった。
東京へ入れないために警察の部隊が盾を並べる。麗と阿久津は互いの県を尊重し、協力して包囲を突破。阿久津は警察隊に捕縛されながらも麗を都庁へと送り出してくれる。
百美は土下座して許しを乞う父親を横目に不正の事実を記したビラを都庁の窓から撒いた。このことにより、彼の父親は都知事として窮地に立たされるだろう。百美は泣きながら父親へと真摯に謝罪した。
不正の事実が明るみに出たことで、逮捕された東京都知事の前に死んだはずのデュークが姿を現す。彼は阿久津を説得し麗と百美の4人で秘密裏に会合を開いていた。全ては真実を知った百美が計画したことだ。父親の姿を見送った百美は、麗と良い雰囲気になり口づけを交わす。こうして、埼玉と千葉の通行手形制度は撤廃されたのであった。
デュークは次なるステップへと進むため、百美へと新たな計画を託す。それは日本埼玉化計画であった。計画は順調に推し進められ、現在では日本全国へと埼玉の名が轟いている。
数年後、百美と麗は地下施設へと姿を現す。そこには何万人もの埼玉解放戦線員が集まり次なる計画、世界埼玉化計画の発表に割れんばかりの歓声を上げるのであった。
映画『翔んで埼玉』の感想・評価・レビュー
未完である原作は、作者の魔夜峰央が住んでいる地元をおちょくる面白さを狙って描いた作品だったらしい。近所に編集長と編集者が住んでおり、連載の打ち切りを通告に来るかもしれないという極度のストレスの中で執筆したと言う。
とんでも設定ではあるが、郷土愛に溢れた作品になっている。まさに空想の世界で、設定が面白い。ダブルキャストの二階堂ふみとGACKT以外はほとんどのキャストが千葉と埼玉出身であるらしく、互いに出身俳優で競うシーンなどニヤニヤしてしまう。(MIHOシネマ編集部)
埼玉県民はきっと大好きな作品。埼玉をバカにしてるとか話題になりましたよね。そんな私も埼玉県民ですが、埼玉県民ってプライドとか全くないんですよね。自分の県に何も無いのをわかってると言いますか。だからこういう風に映画にしてもらえることが嬉しい。しかも大好きなGACKTも出演していて、とっても面白いストーリー。話題性もあって最高です。ブラザートムの嫌味なほど上手な埼玉弁(熊谷弁)は本当に嬉しかったですねえ。
埼玉県民じゃない方(特に関東以外の方)が観てもあまり楽しめないかもしれませんが、キャストが豪華なので埼玉関係無しに面白い作品です。(女性 30代)
まさか実写化すると思っていなかった作品の実写映画化で、公開前から楽しみにしていました。原作の絵柄を考えても、忠実さはあまり期待できないと思っていたのですが、GACKTの出演によってより人間離れした作風に仕上がっていたように感じました。
とにかく笑えて、埼玉や北関東にすこしだけ詳しくなれます。GACKTだけでなく、他のキャストもキャラクターにはまっていてすごくよかったです。一度は観ても損はない映画だと思います。(女性 20代)
話題の作品。長く埼玉県民だった自分としては、この作品は埼玉県民への贈り物のような作品だと思う。何故ならこの作品には、埼玉にある程度詳しい人だけが笑えるポイントがたくさん散りばめられているからだ。だからなんだと言われればそれまでだが、この自分たちだけに分かるくすぐりがあるというのはなかなか楽しい。
演者は皆「ここまでやってくれたか」という程に振り切ってくれてすがすがしい。そのおかげもあって、誰が見ても楽しめるようになっているはずだ。(男性 40代)
やや期待し過ぎた感はあるが、評判通りの面白さだった。もし私が埼玉県民だったなら、この10倍は楽しめたことだろう。タイトル通り、埼玉県民へ捧げる映画だった。
とはいえ、同じ日本。まったくなじみがないわけではないし、埼玉VS千葉あるある、特に有名人出身地対決なんかは声を出して笑った。
終始センスしかない埼玉ディスりに、もはや愛しか感じない。
エンディングに流れる『埼玉県のうた』がこれまた良い味出している。(女性 30代)
『パタリロ!』で知られる魔夜峰央の作品を原作に作られた話題作。
埼玉をはじめとした、地方ディスりという、ギャグ的な題材から、笑いをしっかり残しながらも、大河や歴史群像劇のような壮大な群像劇が展開される、笑劇の大作。
千葉と埼玉の闘争と、その陰で暗躍する首都・東京という構図が面白く、個々の故郷の自由のために都庁に向けて驀進する中で、主要人物たちの芽生える愛や友情が、胸を熱くし、更にBL的描写も多く、それを演ずる演者たちの色気や気合も十分だ。(男性 20代)
二階堂ふみさんとGACKTさんという振り切ったキャスティングにまず驚かされた。あと埼玉県への弄りがなかなか酷いのだが、これは大丈夫なのかとほんの少し心配になる。でも、この作品を見て埼玉に興味を持った人も多いのではないだろうか。いつか行ってみたい。それに、原作の漫画もちょっと見てみたくなった。あんまり深く考えずに、凄い映画を作ったなと楽しむのが丁度良い作品だと思う。疲れたときとか元気がないときに見ることをおすすめしたい。(女性 30代)
深みとかそういう話ではなく、とにかくぶっ飛んでいる作品です。鑑賞中はずっと笑ってしまいます。
GACKTの格付けネタや、サザエの通信機など細部までのこだわりとそこまでやるのかという振り切った俳優陣の演技が最高です。ただGACKTに高校生役は無理だな……と思います。二階堂ふみさんは独特な衣装も髪型もすごく似合っていて美少年でした。
関東圏以外の人が観ても楽しめます。なにも考えずにシリアスなギャグを観たい場合はこの映画でしょう。(女性 30代)
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