映画『コールド・キラー』の概要:猟奇的殺人の現場と犯人を目撃してしまったタクシードライバーのヒロイン。犯人がヒロインと間違って彼女の従姉妹を殺害してしまったことから、ヒロインは復讐を誓う。ウィーンの刑事と協力関係を築き、逆に犯人を追い詰めるサスペンスアクション。
映画『コールド・キラー』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:ステファン・ルツォヴィツキー
キャスト:ヴィオレッタ・シュラウロウ、トビアス・モレッティ、サミー・シーク、ロバート・パルフラーダー etc
映画『コールド・キラー』の登場人物(キャスト)
- エズゲ(ヴィオレッタ・ショラウロウ)
- オーストリアへと移民としてやって来たトルコ人女性。タクシードライバーとして働き、ムエタイを習っており一般男性も敵わないほどの腕前。父に性的虐待をされた過去を持ち、誰にも頼らずたった1人で生き抜こうと決めている。
- クリスティアン(トビアス・モレッティ)
- ウィーンの刑事。認知症の父親の介護をしながら、刑事として働いている。やむを得ずエズゲを助けることになり、彼女の女性らしい面に惹かれる。
- サイード(サミー・シーク)
- 国連に勤める外交官で、実は5か国に渡って猟奇的殺人を繰り返す殺人犯。非常に賢く証拠を残さない主義だったが、殺害現場をエズゲに目撃されてしまい、彼女を殺そうと執拗に追い回す。
映画『コールド・キラー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『コールド・キラー』のあらすじ【起】
オーストリアの首都ウィーンにて、タクシードライバーとして働くトルコ人のエズゲはある夜、帰宅後に異臭を感じて窓を開け、隣のビルの向かいの部屋で娼婦が殺されている場面を目撃してしまう。部屋には犯人がまだおり、こちらを見ていたことからエズゲはすぐに警察へと通報した。
ところが、警察は目撃者である彼女に前科があり移民だったことで、保護することもせず帰ってしまう。エズゲは護身術としてムエタイを習っていたが、腕前はかなりのもので並の相手では彼女に勝てない。だが、かっとなると相手が意識を失っても殴り続けてしまうため、とうとうジムから出禁を食らってしまうのだった。
その日の夜はタクシー会社社長の妻である従姉妹の家に泊めてもらおうとしたが、従姉妹は子連れで結婚したものの、奔放な性格で浮気しては夫といつも喧嘩ばかり。仕方なく自宅へ戻ったエズゲだったが、家に不審な男がやって来る。身の危険を感じた彼女は泊まる場所を求めて両親の元を訪れたものの、両親とは折り合いが悪く泊まれる雰囲気ではない。仕方ないのでジムの経営者で元彼氏の家へ向かったが、そこでも新しい女がいて居心地が悪くその上、エズゲには愛情が欠けていると指摘し邪険に扱う。
誰にも頼らず移民の女がたった1人で生きていくには、相手に弱みを見せまいと常に気を張らなければならず、エズゲは自然と周囲から弾かれてしまう。頼れる場所がないので夜間学校へ向かって時間を潰そうとしたが、授業の内容がつまらなさ過ぎる。授業を抜け出してトイレに避難したところで、夫から子供共々、家から追い出されたと従姉妹から電話が入る。彼女はどうやらエズゲの家に来ているらしく、家の電気が点かないと不満を言っている。しかも彼女は昨夜、エズゲが着ていたジャンパーを着ていたため、目撃者を始末する目的で部屋に潜んでいた犯人により、従姉妹を殺害されてしまうのだった。
映画『コールド・キラー』のあらすじ【承】
すぐさま警察へ通報し、自宅へと戻ったエズゲ。悲惨な姿で殺された従姉妹の遺体を目にした後、警察署へ向かう。幸い、従姉妹の子供は無傷で警官に保護されていた。夫でタクシー会社の社長も聴取を受けていたが、その日の夜はエズゲが子供を預かることに。実家には行けないと言うと、刑事のクリスティアンは女性の避難施設、母子寮へと2人を連れて行く。だが、エズゲは施設に泊まるつもりなど毛頭なく、子供を連れて路上で夜を明かすのであった。
翌日、会社へ出勤したエズゲだったが、社長は彼女をクビにはせず雇い続けてくれると言う。加えて、エズゲが仕事をしている間、子供の面倒を見てくれる。エズゲは優しさを見せる社長に、従姉妹は確かに浮気ばかりするだらしない女だったが、愛しているのは夫だけだった。それだけは確かだと以前、本人が話していたことを明かすのであった。
ところが、その日はやけに暇で客足が少ない。ようやく客が来たのでタクシーを走らせたエズゲ。男はスーツを着こなした至って普通の者であったが、目的地へ向かう途中、信号で止まると同時に背後からナイフで襲われる。どうやら相手は例の事件の犯人だったらしい。運転中に襲われた彼女は必死に抵抗し、車は横転。全身に傷を負っても尚、車から逃げ出した彼女だったが、犯人もまた追いかけて来る。揉み合った結果、エズゲは橋から転落し瀕死状態へと陥るのであった。
どうにか救助され病院で意識を取り戻したエズゲ。事件は街だけに留まらず外国でも同じ手口で発生しているらしく、犯人は国際手配犯として指名手配されている。クリスティアンは犯人逮捕に熱を上げており、唯一の目撃者であるエズゲへと強権的に迫る。動けるまでに回復した彼女は、会社社長から子供が実家に預けられていることを教えられ、病院から抜け出すことにするのだった。
映画『コールド・キラー』のあらすじ【転】
犯人には従姉妹を殺され執拗に追いかけ回されている。エズゲはこちらからも打って出なければ、殺されると判断。実家へ向かって子供を連れて出る。エズゲは幼い頃、父親に性的虐待をされたことがあり、父親を酷く憎んでいた。行為を黙認する母も大嫌いだったが、それでも彼女は娘の安否を気にかけてくれている。愛情がないわけではなかった。だが、子供を実家に置いておけば、父親の餌食になりかねない。それだけはどうしても避けたい。母親にも一緒に行こうと声をかけたが、ついて来てはくれなかった。
実家を出たエズゲはクリスティアンに助けを求めることにする。深夜ではあったが、クリスティアンは渋りつつも一晩、家にエズゲと子供を泊めてくれた。
翌朝、クリスティアンは仕事へ。犯人はキリスト教徒の娼婦ばかりを狙って殺害しているらしく、その手口はかなり猟奇的で多くの被害者を出している。かなり周到で知能犯なのか、手がかりはほとんどない。目撃者もいない上に証拠も全て消されている。
その日、エズゲはクリスティアン宅の室内で飼われている犬の散歩を勝手に行くことにする。もちろん子供も一緒だ。しかし、途中で警官から職務質問されそうになり、相手を痛めつけて逃げてしまう。現場に残されたのは、散歩に連れ出された犬だけ。呼び出されたクリスティアンは犬を連れて帰宅。すると、エズゲもすでに帰宅していた。
今回の件により、エズゲは子供の誘拐犯となってしまい、立場的にもますます追い詰められた状況へ。だが、彼女は頑として子供を手放そうとしないのであった。
犯人の犯行手口が、聖書の処罰についての一文と一致する部分を発見したエズゲ。殺されている娼婦が全員キリスト教徒であることから、犯人は罪を犯した娼婦に罰を与えているつもりなのだろう。エズゲは認知症の父親の介護をするクリスティアンへと次第に心を開き、彼と一夜を共にするのだった。
映画『コールド・キラー』の結末・ラスト(ネタバレ)
目撃者であるエズゲを執拗に追う犯人。奴はエズゲの待機場所を知るため、わざわざ駅の公衆電話からタクシー会社へと連絡を入れている。その駅がある地域には国連があった。はっとしたクリスティアンは、父親の面倒をエズゲに頼み事件の捜査へと戻った。
国連の外交官であれば、5つの国に渡って犯行が行われていることにも納得できる。相棒と共に事情聴取へと向かったクリスティアンは、エズゲにビデオ通話をして外交官サイードの姿を見せる。すると、彼女はその男が犯人だと頷いた。ところが、逮捕の危機に陥ったサイードはクリスティアンのスマホを奪って相棒を刺し殺し逃走。エズゲもすぐさま、国連へと向かい犯人に復讐するチャンスを逃すまいとする。ところが、サイードは地下鉄の人ごみに紛れてしまい、姿を見失ってしまう。
帰宅したエズゲだったが、拘束されたクリスティアンの父親を発見。子供を人質に取られ、サイードに拘束されてしまう。奴は彼女に罰を与えるための準備を整え、まずはオイルをかけて火を放つ。エズゲは熱さと恐怖で転げ回り、どうにか消火したものの腹部に火傷を負ってしまう。だが、彼女はこの機に乗じて拘束を解き、犯人へと反撃し奴を捕縛することに成功する。クリスティアンの父親の拘束を解き、子供を守ってくれるよう頼んだエズゲ。
サイードを連れ出し車のトランクルームへ閉じ込める。通りかかった近所の夫人に老人と子供の保護を頼み、エズゲは車へと乗り込む。そして、彼女は従姉妹の仇を取るべく、ギアをバックに入れて力いっぱいアクセルを踏んだ。車は突き当りのレンガの壁に激突。トランクルームは大きく歪み、エズゲもまた衝撃で気絶してしまった。
意識を取り戻した時には車の後部から発火し、炎が彼女へと襲いかかろうとしていた。急いで車から脱出しようとしたエズゲだったが、ドアが開かない。そこへ、異変を察して駆け付けたクリスティアンが到着。彼はどうにか外へ逃げ出したエズゲへと駆け寄り、彼女の無事を喜ぶと共に一緒にいて欲しいと告げるのであった。
映画『コールド・キラー』の感想・評価・レビュー
殺人現場を目撃した女性の代わりに従姉妹が殺され、ヒロインもまた犯人により執拗に追いかけ回されるというありきたりなシチュエーション。ところが、ヒロインはムエタイ選手でめっぽう強かったという設定は面白かった。彼女が移民であるためにオーストリア人から軽く迫害されている感じもきちんと描かれていたし、そこも良かった。だが、ヒロインがあまりにも頑な過ぎて、振り回される子供が可哀想。
前半はしっかり作られている印象を受けたが、後半はとにかく急ぎ足。刑事とヒロインがなぜベッドインしたのか、触れ合いのシーンがあまりなかったので急にくっついたという感じ。刑事をしながら認知症の父親の介護は難しいのではないかと思うし、かなり無理がある。それでも形としては綺麗にまとまっており、そういう意味では監督や脚本家の手腕は凄い。(MIHOシネマ編集部)
猟奇的殺人鬼の犯行現場を目撃した女。犯人はその女を殺そうと執拗に追い続けますが、その女は普通の女では無かったというお話。設定は面白いと思いますが、かなり無理のある展開でそれは無いだろうと何度も思ってしまいました。
殺人現場を目撃した女と間違えてその女の従姉妹を殺してしまう時点でちょっとヤバいかなと思っていましたが、女がムエタイ選手だったり、協力してくれる警官と関係を持ったりとありえないのオンパレードでした。
物語自体は面白いので、深く考えずに見ればとても楽しめるでしょう。(女性 30代)
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