映画『ビフォア・ザ・レイン』の概要:この映画は第一章言葉、第二章顔、第三章写真の三部構成になっており、それぞれの物語の登場人物が異なっている。それでいて、それぞれの物語が関係し合い、複雑に絡み合うことで民族間や宗教間の対立を描いている。
映画『ビフォア・ザ・レイン』の作品情報
上映時間:115分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ミルチョ・マンチェフスキー
キャスト:グレゴワール・コラン、ラビナ・ミテフスカ、カトリン・カートリッジ、ラデ・シェルベッジア etc
映画『ビフォア・ザ・レイン』の登場人物(キャスト)
- キリル(グレゴワール・コラン)
- マケドニアの修道僧。沈黙の修行中であったがザミラの逃亡に手を貸すこととなる。
- ザミラ(ラビナ・ミテフスカ)
- アルバニア人の少女。マケドニア人の男性を殺害したことで、マケドニア人から追われるようになる。
- アン(カトリン・カートリッジ)
- ロンドンの編集者。夫がいるにも関わらず、アレキサンダーに惹かれ不倫関係を続けている。
- アレキサンダー・キルコフ(ラデ・シェルベッジア)
- マケドニア出身の報道カメラマンであり、世界中の紛争地帯で写真を撮っている。アンとは不倫関係ながらも愛し合っている。
映画『ビフォア・ザ・レイン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ビフォア・ザ・レイン』のあらすじ【起】
マケドニアの美しい山岳地帯に古めかしい修道院があった。ここにはキリスト教の若き修道僧キリルがおり、キリルはここで数年間に渡り、沈黙の修業を続けていた。
そんなある日キリルがいつものように部屋に行き、寝床につこうとすると、部屋には見知らぬ少女がいた。ザミラと名乗るその少女は、マケドニア人と敵対するアルバニア人であったため、キリルは通報しようとする。しかし、その少女を哀れに思ったキリルは、とりあえず匿うことにした。
どうやらザミラは、マケドニア人を殺して逃げてきた様子で、翌日マケドニア人の兵士が修道院に押しかけて来る。ザミラに兄弟を殺された兵士達は修道院内を探して回るが、ザミラを見つけることができない。その隙に、キリルはザミラを連れて修道院から脱出する。
キリルはロンドンに住んでいる写真家の叔父を頼ろうとするが、途中でザミラの親族達に見つかってしまう。ザミラはキリルのことを愛していると言ったが、キリルの元からザミラが離れた瞬間、ザミラの親族達はキリルを射殺してしまう。
映画『ビフォア・ザ・レイン』のあらすじ【承】
舞台はマケドニアから打って変わってロンドンとなり、キリルが射殺される少し前に遡る。ロンドンの雑誌編集者であるアンは、ロンドンの都会でキャリアウーマンとして働いていた。
アンには夫がいたが、夫との夫婦関係はあまりうまくいっておらず、アンは不満を抱えていた。そのため、アンには不倫関係の男性がいた。アンと不倫関係の男、アレキサンダーはマケドニア人の報道カメラマンであり、仕事で世界中の紛争風景を撮影していた。
アンは子どもを身ごもっていたが、それは夫の子ではなく、不倫相手であるアレキサンダーとの間にできた子どもであった。また、アレキサンダーがカメラマンとして偉大な賞を受賞した後、一緒に故郷のマケドニアに行こうと誘われる。
その誘いの答えをすぐに出すことはできないアンであったが、アレキサンダーの子を身ごもったこともあり、アンは夫と別れ話をしようとレストランへ向かう。レストランで夫と話を始めたその時、テロが起こる。テロリストが銃を乱射したため、銃弾がアンの夫の顔に命中し、夫は即死してしまう。
映画『ビフォア・ザ・レイン』のあらすじ【転】
アンの夫が殺害された事件の後、アレキサンダーはアンと離れ、一人でマケドニアへ帰郷していた。アレキサンダーがマケドニアへ帰って来たのは、実に16年ぶりであったが、相変わらずマケドニアでは紛争が絶えない様子であった。
アレキサンダーはマケドニアに帰郷すると、親族の家に向かった。そこでアレキサンダーは、偉大な賞を受賞したカメラマンとして手厚く迎えられた。またアレキサンダーは、故郷でかつて想いを寄せていたアルバニア人である女性と再会を果たすも、その女性はアレキサンダーに対し冷たい態度を取った。
冷たい態度を取られ困惑するアレキサンダーであったが、長い間会っていなかったこともあり、時の流れがそうさせたのだと感じていた。しかしながら、それはアレキサンダーの故郷のマケドニアでは、マケドニア人とアルバニア人の紛争が激化していたためであった。そんな中、アレキサンダーは従兄弟が何者かによって殺害されているのを見つけてしまう。
映画『ビフォア・ザ・レイン』の結末・ラスト(ネタバレ)
アレキサンダーの従兄弟を殺害したのは、ザミラという女の子であった。そのザミラという少女は、アレキサンダーがかつて想いを寄せていた女性の子どもであった。ザミラは、家族を殺されたことに怒ったアレキサンダーの親族達に捕まり、監禁されてしまう。
アレキサンダーはかつての想い人に、自分の娘を助けて欲しいと懇願される。アレキサンダーは世界各地の紛争地帯を撮影してきた中で、写真を撮ることしかできず、血で血を争う紛争に嫌気が差していたこともあり、ザミラを救い出すことを決意する。
アレキサンダーはザミラを救い出し、一緒に逃げ出す。しかしながら、アレキサンダーの裏切りに気が付いた仲間達が怒り、アレキサンダーとザミラを追いかける。そして、アレキサンダーは、射殺されてしまうのであった。
アレキサンダーは殺されてしまったが、何とか逃げ延びたザミラはその後、アレキサンダーの甥であるキリルがいる修道院に逃げ込んでいく。そうして、初めのキリルとザミラの出会いに繋がっていくのであった。
映画『ビフォア・ザ・レイン』の感想・評価・レビュー
この映画は三部構成になっており、第三章のラストが第一章の冒頭部分に繋がっている。時系列がわかりづらく混乱することもあるが、それがより一層見応えのあるものにさせている。マケドニア人とアルバニア人の紛争を描いており、一人の少女の殺人により話がループするようになっている。これが、紛争は繰り返されるということを暗に示しているのではないかと感じさせた。(MIHOシネマ編集部)
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