映画『神様の思し召し』の概要:優秀な心臓外科医のトンマーゾは、口が悪く傲慢な男だった。ある日、期待を掛けていた長男のアンドレアが、医者ではなく聖職者になりたいと言い出した。トンマーゾはアンドレアの考えを変えさせるため、行動を起こした。
映画『神様の思し召し』の作品情報
上映時間:88分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:エドアルド・ファルコーネ
キャスト:マルコ・ジャリーニ、アレッサンドロ・ガスマン、ラウラ・モランテ、イラリア・スパダ etc
映画『神様の思し召し』の登場人物(キャスト)
- トンマーゾ(マルコ・ジャリーニ)
- 優秀な心臓外科医。口が悪く傲慢な性格。家族や同僚に対して威圧的な態度を取る。自分の考えに絶対的な自信を持っている。
- ピエトロ・ペッレグリーニ(アレッサンドロ・ガスマン)
- 神父。窃盗・不正行為・重大詐欺の犯歴がある。刑務所で司祭に感化され、出所後に新学校に入った。
- カルラ(ラウラ・モランテ)
- トンマーゾの妻。ボランティア活動に勤しんでいる。家族に認めてもらえず、孤独を感じている。
- ジャンニ(エドアルド・ペーシェ)
- トンマーゾとカルラの娘であるビアンカの夫。不動産業者。ちょっとお馬鹿なところがあるが、心優しい人物。
- アンドレア(エンリコ・オティケル)
- トンマーゾとカルラの息子。医大生。優秀な人物で、両親の期待を一身に背負っている。ピエトロと出会い、聖職者になりたいという夢を持つ。
映画『神様の思し召し』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『神様の思し召し』のあらすじ【起】
トンマーゾは医師として優秀な男だったが、口が悪く傲慢な性格をしていた。妻のカルラとは溝があり、お気楽な長女のビアンカとは分かり合えなかった。そして、ビアンカの結婚相手であるジャンニのことを馬鹿にしていた。長男のアンドレアは優秀な医大生で、両親の期待を一身に背負っていた。
最近、アンドレアの様子がおかしかった。トンマーゾ達はゲイではないかという疑いを持つ。そんな時、アンドレアが家族を集めて話したいことがあると言い出した。トンマーゾ達はゲイだと打ち明けられるのだと身構えるが、アンドレアの話は違った。アンドレアは神学校に入って聖職者になることを宣言した。トンマーゾは内心反対していたが、アンドレアに応援すると言ってしまう。
トンマーゾは聖職者になることを強硬的に反対することができず、カルラにアンドレアを諭すよう頼んだ。カルラは嫌だと言うことができず、アンドレアと話をした。アンドレアは聖職者になることを諦める気はなく、カルラのように目標のないまま行きたくないと話した。ショックを受けたカルラは、こっそりお酒を飲んだ。
映画『神様の思し召し』のあらすじ【承】
トンマーゾは聖職者になることをやめさせたかった。ビアンカに相談しようとするが、頼りにならなかった。トンマーゾは職場を訪れ、ジャンニに相談した。ジャンニはトンマーゾの話を聞き、交友関係にヒントがあるのではないかとアドバイスを送った。アンドレアは夜な夜な友人と一緒にどこかに出かけていた。
カルラは家族に認めてもらえず、孤独を感じていた。トンマーゾにそのことを打ち明けようとするが、話を聞いてくれなかった。トンマーゾはジャンニと一緒に、出かけたアンドレアを尾行した。辿り着いた建物には、軽快な話で信者の心を掴むピエトロ神父がいた。
トンマーゾはピエトロに騙されていると思い、ジャンニの知り合いのピッツーティに調査を依頼した。だが、何もやましいところは出てこなかった。そんな中、カルラがトンマーゾに愛想を尽かし、家を出て行ってしまう。トンマーゾはなぜ妻が出ていったのか分からず困惑する。
トンマーゾは知り合いの刑事にピエトロの調査を依頼した。ピエトロは窃盗・不正行為・重大詐欺の犯歴があった。刑務所で司祭に感化され、出所後に新学校に入った人物だった。アンドレアはピエトロに絶大な信頼を置いており、若い聖職志願者の召命研修を受ける予定をしていた。トンマーゾはアンドレアが不在の間に、ピエトロの本性を暴くことにした。
映画『神様の思し召し』のあらすじ【転】
トンマーゾは無一文で困っている男の振りをしてピエトロに近づき、会う約束を取りつける。トンマーゾはピエトロに色んな話をしてボロを出さないか用心深く見ていたが、全て空振りに終わる。
トンマーゾが手術室に入ろうとしていると、ピエトロから電話がかかってきた。ピエトロは何か仕事をトンマーゾに任せようとしていた。トンマーゾは犯罪に加担している証拠を掴むことができると、部下のフラッタに手術を任せてピエトロに会いに行った。仕事を任せてもらったことがなかったフラッタは、突然の大役に驚く。
ピエトロが用意していたのは、パン屋の店員の仕事だった。トンマーゾは家に緊急事態が起こったと言って仕事を数時間で辞めた。ピエトロは無職のままではいけないと、家に行って家族と話をすると言い出した。咄嗟に言い訳を思いつかなかったトンマーゾは、家の住所を思い出したら連絡すると伝えた。
トンマーゾはピエトロに知的障碍者の弟と神経衰弱の妻がいると話していた。弟役をジャンニに、妻役を同僚のローザに頼んだ。ピエトロと会う日は、偶然にもアンドレアが家に帰って来る日と重なった。ビアンカは家にいて一緒にアンドレアを迎えて欲しいと頼むが、トンマーゾはそれを無視してローザ達と合流した。
映画『神様の思し召し』の結末・ラスト(ネタバレ)
トンマーゾはピッツーティの伝手で古いアパートを借り、ローザ達とピエトロの到着を待った。ピッツーティが帰る前にピエトロが来てしまったため、ピッツーティは脚の悪い義弟としてその場に残ることになった。
ローザ達はそれぞれ役を全うし、トンマーゾが酷い暮らしを送っていることがピエトロに伝わった。トンマーゾは罪を犯しても良いから仕事が欲しいと伝えるが、ピエトロは頷かなかった。ピエトロは辛くなれば何時でも良いから電話を掛けてこいとトンマーゾを励ました。
アンドレアが家にピエトロを連れてきて、トンマーゾの嘘がバレてしまう。ピエトロはアンドレアに黙っている代わりに、教会の修繕の手伝いをトンマーゾに頼んだ。トンマーゾは拒否することができず、ピエトロと一緒に教会の修繕を行った。
カルラが卒業した学校の生徒と共にデモに参加し、怪我を負う。トンマーゾは話をしようとするが、カルラは聞く耳を持たなかった。ビアンカも今までのトンマーゾに対して思っていた鬱憤を吐き出し、自分の家へと帰っていった。ジャンニはビアンカを追いかけ、トンマーゾは1人きりになった。
トンマーゾはピエトロに会いに行くが、素直に悩みを打ち明けることができなかった。ピエトロはトンマーゾを景色の良い場所に連れていった。そこは、ピエトロが落ち込んだときに来る場所だった。トンマーゾはピエトロと話し、笑顔になった。
トンマーゾとピエトロは友情を育んでいった。それと合わせて、トンマーゾの性格も変わっていった。トンマーゾはビアンカとジャンニの家に行き、2人を抱き締めた。そして、カルラのために食事を作り、穏やかに話をした。
トンマーゾはピエトロの勧めでアンドレアと話をした。アンドレアは研修期間中に心変わりしており、聖職者になることをやめようとしていた。しかも、そのことをピエトロは既に知っていた。トンマーゾはピエトロの手の上で踊らされていたことに腹を立て、電話をかけた。だが、繋がらなかった。その頃、ピエトロは車に撥ねられていた。
ピエトロはトンマーゾが務める病院に運ばれた。ピエトロの容態は非常に危険で、奇跡が起きなければ助からないほどだった。トンマーゾは手術に立ち会わず、教会の修繕を行った。
トンマーゾが景色の良い場所(ピエトロに連れられてきた場所)に行くと、木になっていた梨が落ちた。梨が落ちるのは重力ではなく神の仕業によるものだと言っていたピエトロを思い出し、トンマーゾは微笑んだ。
映画『神様の思し召し』の感想・評価・レビュー
物語の前半は傲慢なトンマーゾの態度にイライラさせられた。だが、そこを我慢して後半まで見ると、トンマーゾの考えを改める様子やピエトロとの友情を育む様子が微笑ましくておもしろい作品だと感じた。ピエトロの生死は不明で少しだけモヤモヤが残るが、この作品に合った終わり方だったのではないかと思う。トンマーゾのようにあからさまに傲慢な態度を取ることはないかもしれないが、友人や家族に対しての態度を思い直すきっかけになる作品だった。(MIHOシネマ編集部)
外科医でひねくれ者の父の物語。前半はブラックなきついジョークの多いコメディ。アンドレアの入信宣言から、見事にバラバラになっていく家族模様にムズムズした笑いがこみあげてきます。後半は気持ちが明るくなる良い話です。少しワイルドな神父と出会い、少しずつ角が取れていくお父さん。理由は言葉で表現することは難しいですが、ラストで家族の歯車が上手く合致する様子は、観ていて気持ちが良いものでした。プライドとか肩書きはたいして重要じゃない、最も大切なことを感覚で教えてもらえた作品です。(男性 20代)
じわじわと込み上げてくる笑いと、ブラックユーモアが融合した不思議な作品。傲慢な医者と聖職者、一件何の接点も無いように感じる2人が、あるキッカケからが少しずつ心を通わせていくストーリーは「家族」や「友情」の温かさを感じる素敵な展開と、その素敵な雰囲気を良い意味で壊してくる「面白い」展開が絶妙なバランスで合わさっていて、期待せずに鑑賞しましたが物凄く楽しめる作品でした。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー