映画『昔々、アナトリアで』の概要:警察と軍警察、検死医や検事達は、容疑者の証言を元に死体が埋められた場所を探していた。しかし、容疑者の記憶は曖昧で、少ない手掛かりで広大な草原を走る一行は疲労を募らせる。
映画『昔々、アナトリアで』の作品情報
上映時間:157分
ジャンル:サスペンス
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
キャスト:ムハンメト・ウズネル、イルマズ・アルドアン、タネル・ビルセル、アーメット・ムンターズ・タイラン etc
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映画『昔々、アナトリアで』の登場人物(キャスト)
- ドクター・ケマル(ムハンメト・ウズンエル)
- 埋められた死体の検死を行うため、捜査に同行している医師。切れ者。
- 検事(タネル・バーセル)
- 実況見分のため捜査に同行するが、中々進展しない捜査に苛立つ。ドクターに不審死した知人の話をする。
- ケナン(フィラット・タニシュ)
- 殺人事件の容疑者で、共犯と見られる弟のラマザンと共に警察車両に乗る。犯行当時は酒に酔っており、死体を埋めた場所が思い出せずにいる。
- ナージ(イルマズ・アルドン)
- 事件を捜査する警部。二転三転するケナンの供述に激昂し、暴力を振るう。手柄に固執している。
- アラブ(アーメット・ムンターズ・タイラン)
- 警察車両を運転するドライバー。熱血漢のナージに振り回される。
映画『昔々、アナトリアで』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『昔々、アナトリアで』のあらすじ【起】
広大な草原の中を、3台の車が走っていた。先頭の警察車両には警察4人と容疑者のケナンが乗っていた。警部のナージは、ケナンが死体を埋めた場所を問い質すが、彼は心ここにあらずといった顔で虚空を見つめる。
何ヶ所目か分からない草原に着くと、ケナンは埋めた場所を覚えていないと告白した。犯行当時は泥酔していて、周囲にどんな物があったか記憶していないと言う。同じく容疑者である弟のラマザンも、車で寝ていたから分からないと言う始末。ケナンが僅かに覚えているのは、湧き水のある木の近くに穴を掘ったという朧気な記憶だった。ナージは再び車を走らせた。
検事は、終わりの見えない捜査に長時間付き合わされうんざりしていた。
ナージは、次の目的地へ向かう車内で、妻からの電話を受けた。彼の息子は病気に罹っており、妻は夫に早く帰って来て欲しかったのだ。ナージは帰れないと返事をしたが、同行しているドクターに息子の処方箋を出して貰うよう相談した。
映画『昔々、アナトリアで』のあらすじ【承】
次に到着した草原で、ドクターは岩に人の顔が彫刻されているのを見つけた。彼はアラブにそれを告げたが、この周辺ではよくあることだと返された。アラブは、いつ何が起きてもいいように周囲を警戒していた。しかし、アラブが険しい目で見ている景色は、ドクターの目には壮大で優雅な自然として映っていた。ドクターは「昔々、アナトリアで…と始まるお伽話みたいだ」と、現実味のない状況に置かれた自分を形容した。
ナージは、現場が分かったと声を荒げながら待機組の元に戻って来た。ケナンは新たな証言として、死体を埋めた近くに古い橋があったと言った。ナージは古い橋があるグルマチャクル方面へ車を走らせたが、アラブは反対方向のダムの方にも橋はあると言い出した。ケナンは、ダムの記憶は無いと告げた。
グルマチャクルの草原に着いたドクターと検事は、待っている間に身の上話をした。ドクターは自分に離婚歴があり子供を持たなかったことを話すと、検事は、子供がいなくてよかったなと答えた。そして、検事の知り合いの女性が若くして死んだため、その死因は何か聞きたいと言った。女性は、自分は5ヶ月後に死ぬと言い、子供を産んでぱたりと死んだらしい。
ドクターが検事に検死したのか尋ねたところへ軍警察がやって来たため、この話は切り上げられた。さらに、ナージの怒号が響く。どうやらここにも死体は埋まっていなかったらしい。
映画『昔々、アナトリアで』のあらすじ【転】
ナージは、ケナンが証言する場所の最後の心当たりへ向かうため車を出したが、深夜で強風も吹いてきたため、途中にある村で一泊しようと考えた。一行が到着した村は、アラブの妻の出身地だった。
村長は、検事にモルグを建設したいと相談した。村人は共同墓地を整備することに反対だが、夏場の悪臭が酷いため、村長はなんとかしたいと考えていた。その時、強風による停電で室内は真っ暗闇になった。村長の末娘、ジェミレがランプと共に紅茶を配ると、彼女の美しさに皆息を飲んだ。
ランプの薄明かりに照らされた部屋の中で、ケナンは自分が殺した筈のヤシャルを見つけた。ケナンは「生きていたのか」と大きな声を出したが、彼には届かなかった。ケナンはナージに連れ出され、捜査は再開された。
ドクターは死体が見つかるのを待つ間、検事が話した知人の女性について、詳細を聞き出した。検事が言うには、女性の死因は心臓発作だったらしい。人は自分の死を予言できるものだろうかと不思議そうな検事へ、ドクターは自殺の可能性を示唆した。そこへナージがやって来て、ケナンがまた新しい証言をしたと報告した。ケナンは、殺したヤシャルの子供は、本当は自分の子供だと明かしたのだ。
映画『昔々、アナトリアで』の結末・ラスト(ネタバレ)
翌朝、一行は村の先にあるサルチュルルの草原で、犬に掘り起こされた死体を発見した。死体は後ろ手に縄で縛られ不自然に体が曲がっており、ナージはケナンに「お前は人間じゃない」と罵声を浴びせた。ラマザンは「俺がヤシャルを殺したんだ」と泣き喚いた。
検事は実況見分を行い、ヤシャル発見の経緯や状況を記録した。
警察署に戻ると、入り口には人だかりができていた。その中にはヤシャルの妻と息子もおり、息子はケナンに石を投げつけた。ヤシャルは、留置所に入ってもなお泣き続けた。
病院に戻ったドクターは、ナージに処方箋を渡してからカフェに入った。カフェの客は、昨日ヤシャルを見たと彼に告げた。
再び病院に戻ったドクターは検死の前に、検事へ飲み過ぎると心臓発作を起こす薬の話をした。検事は、何故女はそれを飲んだのだろうと疑問を持った。ドクターは「周りが気付くべきだった」と答え、知人夫婦は仲が良かったのか尋ねた。検事は、2人の仲は良かったが、一度だけ夫が他の女といるところを妻に見られたと明かした。彼は、「酔って少々馬鹿なことをした。彼女も分かっていた」と、あくまで夫に原因があるとは認めなかった。
検事はドクターに「人は誰かを罰するために自ら命を絶つだろうか?」と聞き、ドクターは「ほとんどの自殺が人を罰するためでは?」と答える。検事は納得したような、諦めたような表情で、知人の女性とは自分の妻だと告白した。
検死を進めるドクターは、窓の外に見えたヤシャルの妻と息子を目で追った。彼らは土手を下り、裏手にある小学校を横目に病院から遠ざかって行った。
映画『昔々、アナトリアで』の感想・評価・レビュー
非情に独特な間で展開されるトルコ映画だった。どこまでが意味のある演出なのか目を凝らして鑑賞したため、2時間31分という時間はとても長く感じた。
殺人の具体的な動機や手法がケナン本人から語られることはないため、周りの人物による会話形式の報告が答えとなる。そもそも、ケナンは劇中ほとんど言葉を発さない。彼の真意は瞳を見ることでしか理解できない。
美しい自然と人々の心の闇が調和した、不思議な作品だった。(MIHOシネマ編集部)
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