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映画『舞踏会の手帖』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『舞踏会の手帖』の概要:未亡人のクリスティーヌは、かつて自分に愛の告白をしてきた男達の元を訪ね、新しい人生をスタートさせようとした。20年ぶりに会う面々と、彼女の中で美化された記憶が交錯する。

映画『舞踏会の手帖』の作品情報

舞踏会の手帖

製作年:1937年
上映時間:130分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
キャスト:マリー・ベル、フランソワーズ・ロゼー、アリ・ボール、フェルナンデル etc

映画『舞踏会の手帖』の登場人物(キャスト)

クリスティーヌ(マリー・ベル)
若くして結婚し、38歳で夫を亡くした未亡人。子供を持たなかった。人生をやり直そうと、過去自分に愛を囁いた男達の元を訪ねて歩く。
ジョルジュの母(フランソワーズ・ロゼー)
クリスティーヌへの失恋に深く傷ついた息子を自殺で亡くす。それ以来気が狂ってしまった。クリスティーヌ本人を彼女の母と勘違いする。
ピエール / ジョー(ルイ・ジューベ)
かつてクリスティーヌを抱いた男。弁護士の経験を活かし、今は犯罪に手を染めている。ナイトクラブ経営者。
アラン・ドミニク(アリ・ボール)
修道院で孤児に賛美歌を教える牧師。クリスティーヌへ片思いしていたが、彼女に見向きもされなかったことを今でも気に病んでいる。息子を亡くしている。
エリック(ピエール・リシャール=ウィルム)
山岳ガイド。30歳で移住し、山小屋に暮らしている。再会したクリスティーヌにプロポーズした。
パチュセ(レイミュ)
田舎町の町長。町にライフラインを通した英雄的存在。女中のセシルと結婚したが、前妻との間に取った養子の素行が悪く手を焼いている。
ティエリー(ピエール・ブランシャール)
元は真っ当な医師だったが、今は堕胎で稼ぐ闇医者。すっかり落ちぶれてしまい、妻のガビーに暴力を振るう。
ファビアン(フェルナンデル)
人気の美容師。マジックが得意。娘の1人に、クリスティーヌと同じ名前を付けていた。久々に再会した彼女を昔と同じ舞踏会会場に誘う。

映画『舞踏会の手帖』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『舞踏会の手帖』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『舞踏会の手帖』のあらすじ【起】

夫の葬儀を終えたクリスティーヌは、夫の書類を整理している最中に手帖を見つけた。そこには、彼女が16歳で舞踏会デビューした頃、愛の告白をしてきた男達の名前がずらりと書かれていた。クリスティーヌは、1919年の美化された思い出に捉われ、彼らに会いに行こうと決めた。しかし、彼女の初恋の相手、ジェラールの所在だけは分からなかった。

クリスティーヌは、最初にジョルジュの家を訪ねた。玄関口で彼女を出迎えた年老いたメイドは、ジョルジュは死んだと説明したが、ジョルジュの母は「ばあやはおかしいの」とメイドを押し退けクリスティーヌを迎え入れた。

ジョルジュの母は、クリスティーヌを本人とは認識せず、彼女の母親だと勘違いしたまま一方的に話を進めた。息子はお嬢さんに惚れているから、是非結婚させましょうと言うジョルジュの母に辟易しつつ、クリスティーヌはジョルジュの近況を聞き出す。彼の母が言うには、ジョルジュは今年で24歳になり、先週届いたクリスティーヌとジェラール卿婚約の一報を受け塞ぎ込んでいるという。案内された彼の部屋のカレンダーは、全て1919年12月14日のまま埃を被っていた。ジョルジュの母は急に我に返ると、息子が自殺する筈ないと喚き立て、クリスティーヌを追い出したのだった。

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映画『舞踏会の手帖』のあらすじ【承】

元弁護士のピエールは、ジョーと名前を変え窃盗団の指揮を執っていた。彼の経営するナイトクラブを訪れたクリスティーヌは、かつて自分を抱いた男と思い出話しに花を咲かせた。しかし、ナイトクラブに警察が押し入り、ピエールは連行されてしまった。

クリスティーヌは次に、修道院で孤児に賛美歌を教えているアランの元を訪れた。アランは、舞踏会での思い出を封印していたようだったが、訥々と彼女に思い出を語った。アランは、20年前の舞踏会で思いを寄せていた令嬢に向けて作った曲を演奏したが、彼女は見向きもせず他の男と談笑していたという。アランは別れ際、もしも令嬢に会えたなら「今も心の中に令嬢はいる」と伝えてくれとクリスティーヌに告げたが、その令嬢とはまさにクリスティーヌを指していた。

クリスティーヌは、エリックを訪ね雪山に来ていた。山岳ガイドとして山に籠っていた彼は初恋相手であるクリスティーヌとの再会を喜び、2人で再出発しようと彼女にプロポーズした。彼女が答えを渋っていると、エリックの元に遭難者がいるとの一報が入り、彼は雪山へと戻って行った。クリスティーヌは、プロポーズを断る置き手紙を残し彼の前から去った。

映画『舞踏会の手帖』のあらすじ【転】

とある田舎町では、町長であるパチュセの結婚式が始まろうとしていた。クリスティーヌが式直前のパチュセを訪ねると、彼は「あんたに夢中だった」と思い出を語った。しかし、その会話を盗み聞いた義理息子は、クリスティーヌへの愛の言葉をダシにパチュセを強請り、金を要求した。パチュセは義理息子と取っ組み合いになり、クリスティーヌは騒動を尻目に彼の元から去った。

クリスティーヌは次に、医者になったティエリーの家を訪れた。しかし、ティエリーは落ちぶれ、堕胎手術で客を取る闇医者になっており左目も潰れていた。クリスティーヌは力になると申し出たが、ティエリーの発作が起きたため彼の妻、ガビーに追い出された。ティエリーは、クリスティーヌを追い出したガビーに腹を立て、彼女を銃で撃ち殺した。

クリスティーヌは、人気美容師になったファビアンの店を訪れた。彼は娘にクリスティーヌと名付けており、初恋の相手の名を忘れぬようにしていた。ファビアンはクリスティーヌの髪にパーマを当てながら「あなたを諦めてよかった。もし結婚していたら苦労させていたから」と心の内を吐露した。さらにファビアンは、他の旧友達についても話してくれた。エルック・イルバンは消息不明で、ジェラールも居場所が分からないという。

ファビアンは、旅の締めくくりに20年前と同じ会場で開かれる舞踏会に出ようとクリスティーヌを誘った。

映画『舞踏会の手帖』の結末・ラスト(ネタバレ)

16歳の頃のときめきを胸に会場へ入ったクリスティーヌは、ひどく絶望した。豪華絢爛な内装や華やかな参加者、煌めく装飾などは、全て彼女の中で美しい記憶に昇華されていただけだった。会場の中にいた16歳の少女に話し掛けたクリスティーヌは、彼女もまた先程までの自分と同じように、舞踏会への夢を語る姿を見て落胆した。粗末な舞踏会でも、子供の目には、お伽話の世界のように映っていたのだ。

自宅に戻ったクリスティーヌは、虚しい旅だったと振り返る。自分の未来を探すために臨んだ過去をなぞる旅は、やりきれなさを生んだだけだった。そこへ、ジェラールの居場所が分かったという知らせが入った。ジェラールは、クリスティーヌの自宅から湖を挟んで真向かいに住んでいるという。彼女は再び失望することを恐れたが、意を決してジェラールの屋敷へ向かった。

クリスティーヌがジェラールの屋敷に着くと、丁度彼の葬儀が終わったところだった。彼の息子であるジャックは、屋敷を売り払い明日から宿無しだと言うので、クリスティーヌは彼の保護者となった。

ジャックが初めて舞踏会に参加する日、クリスティーヌは緊張する彼に「最初の煙草みたいなものよ」と励ましの声を掛け送り出した。

映画『舞踏会の手帖』の感想・評価・レビュー

過去の栄光に固執すること程虚しいものはない。クリスティーヌは自分のモテ期に酔い、美化した記憶と20年後の現実に絶望した。美貌も人気も一過性の輝きに過ぎないということを、世間知らずな彼女には理解できなかったのだ。

行く先々で失望する彼女に同情もしたが、昔自分に気があった男と、夫が死んだ今こそ恋仲になろうという自分勝手な思惑は頂けなかった。

とは言え、最後に思い出の舞踏会会場を訪れたクリスティーヌの心境を想像すると、非常に心が苦しくなる。(MIHOシネマ編集部)

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