映画『カヴァルケード(大帝国行進曲)』の概要:マリヨット家の当主であるロバートは、妻のジェーンと息子達を残し戦地へ向かった。ロバートは輝かしい功績を称えられナイトの称号を与えられたが、時代は不穏な方向へと向かっていた。
映画『カヴァルケード(大帝国行進曲)』の作品情報
上映時間:110分
ジャンル:歴史、戦争
監督:フランク・ロイド
キャスト:ダイアナ・ウィンヤード、クライヴ・ブルック、ハーバート・マンディン、ウルスラ・ジーンズ etc
映画『カヴァルケード(大帝国行進曲)』の登場人物(キャスト)
- ジェーン・マリヨット(ダイアナ・ウィンヤード)
- ロバートの妻。夫が戦地へ行っている間、2人の息子、エドワードとジョーイに手を焼く。強く美しい女性。
- ロバート・マリヨット(クライヴ・ブルック)
- 上流階級であるマリヨット家当主。軍人。戦地での功績が称えられ、ナイトの称号を受ける。第一次世界大戦では、鉄道輸送将校として活躍した。
- アルフレッド・ブリッジス(ハーバート・マンディン)
- ロバートに仕える侍僕。ロバートの従卒として戦争へ行き、帰還してから独立してパブをオープンさせた。
- エレン・ブリッジス(ウナ・オコナー)
- アルフレッドの妻。マリヨット家のメイド。夫と共にパブを経営してからも、ジェーンと家族ぐるみの交流が続いた。
- ファニー・ブリッジス(ウルスラ・ジーンズ)
- アルフレッドとエレンの一人娘。幼いころから歌と踊りが好きで、成長するにつれてその才能を伸ばした。
映画『カヴァルケード(大帝国行進曲)』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『カヴァルケード(大帝国行進曲)』のあらすじ【起】
1899年、南アフリカで起きているボーア戦争において、英国は劣勢だった。
20世紀を迎える大晦日の夜、マリヨット家は新しい年を迎える準備で賑わっていた。使用人のエレンは、夫のアルフレッドが生まれたばかりの娘、ファニーと自分を残して戦地へ向かうことを嘆いたが、アルフレッドはジェーン奥様の方が辛かろうと妻に喝を入れた。
ジェーンは、年が明けたらアフリカへ発ってしまうロバートとの別れを惜しんでいた。ロバートは、数か月以内に戦争は終わるだろうと彼女を慰めた。そこへ、次男のジョーイが新年を祝いたいと起きてきた。ロバートは長男のエドワードも起こし、家族と使用人達の全員で1990年の始まりを祝った。
ジェーンの旧友マーガレット・ハリスとその娘、エディスがマリヨット邸を訪れ、ジェーンがロバートの見送りへ行っている間の子守を引き受けた。エドワードとジョーイは、敵の総司令官を殺してきてねと元気いっぱいにロバートを送り出した。
南アフリカへ向かう巨大な客船は、出征する兵士で溢れ返っていた。港もまた、彼らを見送る人々でごった返しお祭り騒ぎのようになっていた。ジェーンとエレンはそれぞれ夫に別れを告げると、涙を零しながら帰路についた。
マーガレットは、塞ぎ込むジェーンを演劇に誘った。しかし、気持ちの整理ができず悲観的になってしまったジェーンは、上の空で舞台を眺めた。
映画『カヴァルケード(大帝国行進曲)』のあらすじ【承】
数ヶ月後、ロバートとアルフレッドは五体満足で無事帰還した。アルフレッドは、帰宅するや否や新しい商売の話を家族に持ち掛けた。彼の母は自立した生活を送れると喜び、家族でH・スマートから買い取ったパブを経営し始めた。
ロバートは、戦場での功績を認められ、女王からナイトの称号を与えられた。ジェーンや息子達はロバートを誇りに思ったが、直後に女王が崩御し、彼は葬儀の行進に駆り出された。
1908年、アルフレッドのパブは経営不振に陥っていた。エレンは、家賃も支払わず酒に溺れる夫に愛想を尽かし、ファニーもまた、幼いながらに父親を疎ましく思っていた。
アルフレッドが変わってしまったことを知らないジェーンは、大学生になったエドワードを連れ度々エレンの元を訪れていた。エレンと家族ぐるみの交流を続けていたジェーンだったが、千鳥足で喚き散らすアルフレッドが帰宅したことで、階級の異なる彼らと接触することを避けるようになってしまった。エレンは「時の流れが人を変えてしまったわ」と嘆いた。その夜、アルフレッドは事故に遭い命を落とした。
1909年、ファニーは歌とダンスのコンクールで優勝した。エドワードはエディスと交際しており、コンクールが行われている会場の裏で彼女にプロポーズし、2人は夫婦となった。
1912年4月14日、エドワードとエディスは豪華客船の旅でハネムーンを満喫していた。2人は子供の頃からの思い出を語り合い、今この瞬間が幸せだと噛みしめたが、彼らを乗せた船はタイタニック号であった。
映画『カヴァルケード(大帝国行進曲)』のあらすじ【転】
1914年、ロンドンはドイツとの開戦を間近に控え緊張状態だった。ジョーイは父と共に戦争へ向かうことを誇りに感じていたが、本当はエドワードと出征することを望んでいた。ジェーンは「世界が破滅する前にエドワードがこの世にいなくてよかった」と呟き、ジョーイが戦地へ向かうことを嘆いた。そうして、ついに世界大戦の幕が開いてしまった。
ジョーイは、大学の友人達と演劇を観に出掛けていた。戦場へ向かう友人達へ別れを告げる中、ジョーイは人気女優に目が釘付けになった。彼女の名前が「ファニー・ブリッジス」だと知ったジョーイは楽屋に忍び込み、彼女と久々の再会を喜んだ。2人はそのまま惹かれ合った。
数ヶ月で終わると言われていた戦争は数年続き、1918年、ジョーイは漸く休暇を与えられ帰宅した。戦地へ戻る前日、ジョーイはファニーからロケットを受け取った。彼はファニーへ結婚を迫ったが「私たちは結婚しても幸せになれない。お母様が…」と答えを濁された。
ジョーイを見送りに行ったジェーンは、駅のホームで負傷した兵士と擦れ違い、強い不安に駆られた。
映画『カヴァルケード(大帝国行進曲)』の結末・ラスト(ネタバレ)
戦場へ戻ったジョーイは、RTO(鉄道輸送将校)として従軍するロバートと僅かな時間面会した。ロバートは息子へ、あと数週間で敵国と休戦の話し合いをすると打ち明け、彼を見送った。
エレンはジェーンの元を訪れ、娘とジョーイの今後を話し合おうとした。ジェーンは、階級の違うファニーとの結婚は反対だと断固拒否し、ジョーイが帰って来てから彼の気持ちを聞こうと提案した。しかし、そこへジョーイが戦死した一報が入り、ジェーンは気を失ってしまった。同時に、休戦を知らせる大砲の音が街に響き渡った。
街では休戦を喜ぶ民衆が通りを埋め尽くし、帰還した兵士達は夜通し踊り明かした。
1933年、大晦日の夜。マーガレットはマリヨット邸へ挨拶に訪れ、ジェーンとロバートは新年を迎える準備を進めていた。マーガレットが帰った後、夫婦はこれまでの人生を振り返る。「退屈ではなかった」と語るジェーンは、夫に背を向け「私たちの心は息子たちと共に死んだ」と嘆いたが、ロバートは彼女の手を取ると、新年を祝う群衆をバルコニーから臨んだ。
2人の目線の遥か上部にある大聖堂の十字架は、月の光に照らされ輝きを放っていた。
映画『カヴァルケード(大帝国行進曲)』の感想・評価・レビュー
戦争や事故で我が子を失う苦痛を乗り越え、時代の流れに翻弄されながらも逞しく生きるジェーンの姿に心を打たれた。自分の力ではどうにも抗えない運命に曝される夫や我が子を目の当たりにして、果たして自分は冷静でいられるだろうかと寒気がした。
映画のラストシーンは、WWⅡへの不穏な空気を仄めかす作りになっている。戦争の無い時代だったら、マリヨット家はどんな暮らしを続けていたのだろうと虚しい想像が拭えない。(MIHOシネマ編集部)
「もし戦争がなかったら」この家族はどんな暮らしをしていたのだろうと考えてしまう作品でした。
戦争で「ナイト」の称号を与えられるほど国に貢献した父親。しかし、その息子たちは父親と同じようにはいきませんでした。
戦争があったからこそ、強くなり深まった「絆」もあると感じます。でももし、戦争がなかったら「家族みんな」でもっと幸せに暮らせただろうと考えると本当に切なくなりました。(女性 30代)
ボーア戦争やタイタニック号沈没、第一次世界大戦、そしてその後10年を約2時間にまとめています。世界史のダイジェストのようで、とても勉強になりました。先の見通せない、激動の世の中を必死に生きる人達に、思いを馳せました。上流階級の人達でさえも、戦争への途轍も無い不安を抱えていたのですね。周辺人物が、戦争や事故等で呆気なく亡くなっていきます。こんな残酷な世は嫌だと思うのですが、数年後には第二次世界大戦が始まっていますから何とも言えない気持ちになります。(女性 30代)
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