映画『プライベート・ライアン』の概要:スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演の1998年公開の戦争映画。第二次世界大戦中のノルマンディ上陸作戦の裏で行われていた、ライアン二等兵救出作戦の様子を描いた。
映画『プライベート・ライアン』 作品情報
- 製作年:1998年
- 上映時間:170分
- ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ
- 監督:スティーヴン・スピルバーグ
- キャスト:トム・ハンクス、トム・サイズモア、エドワード・バーンズ、バリー・ペッパー etc
映画『プライベート・ライアン』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『プライベート・ライアン』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『プライベート・ライアン』のあらすじを紹介します。
ライアン家の4人兄弟のうち、3人がノルマンディー上陸作戦中に戦死した。
だが末息子のジェームズ・ライアンだけはノルマンディ上陸作戦の前日、パラシュート部隊として上陸したまま、行方がわからなくなっていた。
上層部の決定で、生死もどこにいるかもわからないライアン二等兵を救出するための特別部隊が編成されることとなる。
ミラー大尉、ホーヴァス一等軍曹、ライベン一等兵、メリッシュ二等兵、カパーゾ二等兵、ジャクソン二等兵、衛生兵でもあるウェイド四等特技兵、そしてドイツ語とフランス語を話せるという理由で若いアパム伍長が抜擢された。
途中、ドイツ軍と交戦中の部隊と行動を共にするが、取り残された民間人に気をとられたカパーゾが狙撃され命を落とす。
その後、ライアンと同じパラシュート部隊だった兵士から手がかりを得たミラー大尉たちは、途中でドイツ軍の機関銃隊と遭遇。
ウエイドが命を落とし、捕虜になったドイツ軍兵士に怒りをぶつけるが、捕虜を連れては進めないので放り出してしまう。
ついにライアン二等兵を発見したミラー大尉たちは、本国帰還命令を伝えるが、ライアンは仲間を残して国に帰れないと断る。
自分たちがライアンを守ればいいと考えたミラー大尉たちは、ライアンたちの任務を手伝うことに。
映画『プライベート・ライアン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『プライベート・ライアン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ノルマンディ上陸作戦を描いたリアルな場面がすごい
冒頭の30分間を使って、ノルマンディ上陸作戦の様子を迫力満点に描いているのが特徴の作品。
本物の戦争の様子を見ているかと錯覚するような、あまりにもリアルな映像とグロテスクさや、たくさんの兵士役のキャストたちの悲痛な叫び声が胸に刺さるシーンでもある。
その後、ミラー大尉を中心とした救出部隊の8人にフォーカスを当てたストーリーへと進む。
最初にノルマンディ上陸作戦の全体像を見せることで、どんなに勇敢な兵士だろうと死にたくないのだという本能的な部分や、美談では語れないものが多いと教えられる。
キャスト陣のキャラクター作りの背景
兵救出部隊がライアンを見つけた時、彼は仲間も兄弟同然だから帰還命令は聞けないと言い張る。
そこまでにライアンに対して「助けに向かう意味などあるのか」とあからさまな怒りを抱えていた人物と衝突するシーンはリアル。
ミラー大尉役のトム・ハンクスをはじめとした特殊部隊の8人とライアン役のマッド・デイモンは、撮影前に軍の過酷なトレーニングに参加したという。
そしてマッド・デイモンだけが途中でトレーニングを抜けるよう指示されたのだ。
そうやって8人の特殊部隊のリアルな戦闘シーンや、ライアンに対する怒りのベースを作ったというからすさまじいキャラクター作りの様子が伺える。
英雄にはなれないアパムに考えさせられるストーリー
アパムに対しての苛立ちがどんどん溜まっていくようなストーリーは特種だが、全員が勇敢なヒーローになれるわけではない、という現実も感じさせるストーリー。
緊張感もなく夢物語を話し、捕虜となったドイツ兵にはフレンドリーに接し、仲間が弾切れでアパムを待っている時も動けずに仲間を見殺しにしてしまうアパム。
だがライアンたちとの戦いで捕虜になったドイツ兵の中に、以前フレンドリーに接していたドイツ兵を見るや否や、すぐさま彼を射殺してしまうのだ。
苛立ちと共に、“戦争を体験していなかったらアパムのようになるのでは?”と考えさせられるキャラクターでもある。
この作品の見どころと言えるのは、見ていて辛くなるようなリアリティある戦闘描写だろう。同僚があっけなく死んだり、手足が吹き飛んだり。「戦争というのはヒーローが活躍するようなものではなく、どちらが善で悪かを超越した残酷な殺し合いなのだ」ということを映像による圧倒的な説得力で訴えかけてくる。
途中で善意で助けたドイツ兵に逆に味方が2人殺されるという場面があるが、それこそが極限状態に置かれた人間の姿ではないかと思った。そして、物語の終盤今度は容赦なくそのドイツ兵を撃ち殺す。何とも言えない複雑な気持ちにさせるシーンだった。
見終わるたびに、戦争って嫌なものだなと感じる名作だ。(男性 30代)
3時間弱あり長いのだが見応えは十分。冒頭のノルマンディー上陸作戦時の戦闘シーンはそれまでにないリアルさに目を覆わずにはいられない。しかしメインのストーリーが展開されだすと、戦争物というよりはある状況下に置かれた人間達の心理に迫ったヒューマンドラマのような印象を受けた。ここでも名優トム・ハンクスのもたらすものは大きい。1人を助けるために何人もの犠牲を払うというのはどういうことかという命題が、この作品を普通の戦争物以上のものにしている。(男性 40代)
マット・デイモンとトム・ハンクスが若い、そしてとても長い映画です。
戦争映画は苦手なのですが、この作品は長いせいか人間関係などもしっかり描き切ってあり感情移入しやすいです。ライアン違いでがっかりしたり、本物のライアン二等兵と会った時のミラー大尉との温度差がすごかったりとちょいちょい戦争映画だと忘れさせる人情シーンを挟んできます。
最初の20分とラストに向けての戦闘シーンは壮絶でグロテスクです。ただ、戦争映画の中では最も見応えがありおすすめです。(女性 30代)
リアルな戦争描写はもちろん、その中でうごめく人間同士のやりとりも非常に濃厚で、全体的にとても見応えがある。
他の兄弟が全員戦死したからといって、たった一人を救うために何人もの犠牲を出す可能性のある作戦を決行するあたり、お国柄の違いのようなものを感じた。
残念だったのはライアン=マッド・デイモンが分かりきっていたせいで、人違いのくだりにあまり驚けなかったことくらいだろうか。
色々と考えさせられる場面もあったが、とにかく戦争というものはただひたすらに負の感情しか生み出さないのだと、改めて認識させられる作品だった。(女性 30代)
観るならば気力と体力を十分に回復させてからです。飛び交う銃弾、吹き飛ぶ四肢、絶えない呻き声、血に染まった海や粉塵、戦場での息遣いや不安など、観ているだけで疲れます。更に主人公たちの任務の内容も酷です。”1人倒せば10人救ったと思え”と言われる戦争で、”顔も知らぬ1人を救うために何人も犠牲になる”任務はあんまりです。上層部の優しさが裏目に出ています。冒頭のお爺さんがトム・ハンクスだと思っていたので、ラストもまた悲しい。険しい表情で「私はいい人間かな」と問うライアンの姿も心に刺さりましたし、戦争の後遺症の重さも物語っています。(男性 20代)
映画『プライベート・ライアン』 まとめ
3時間弱という長時間にわたる作品なのだが、驚くほどリアルな戦闘シーンや人物描写、特徴的なキャラクターの存在があってあっという間に感じてしまう作品。
2時間半を過ぎると、さすがに「まだ終わらないのか?」とは感じてしまう部分もあるが、見終えた後に考えさせられる部分も多く、いらないシーンなど無いと感じられる。
30分弱のノルマンディ上陸作戦の様子はすさまじいものがあり、テレビで放送される際には大きくカットされるというのにもうなずける。
物語のベースになったのは、ナイランド兄弟という実在の人物の話であると言われていて、アメリカ軍では兄弟が全員亡くなった場合、最後の一人は強制的に帰国させられるというルールがあるのだという。
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