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映画『アド・アストラ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『アド・アストラ』の概要:優秀な宇宙飛行士のロイは、宇宙探査のため旅立った父が太陽系の彼方で行方不明になってしまったため、彼の捜索に向かった。しかし、ロイは父の失踪に関して衝撃的な事実を知らされる。

映画『アド・アストラ』の作品情報

アド・アストラ

製作年:2019年
上映時間:123分
ジャンル:SF
監督:ジェームズ・グレイ
キャスト:ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズ、ルース・ネッガ、リヴ・タイラー etc

映画『アド・アストラ』の登場人物(キャスト)

ロイ・R・マクブライド少佐(ブラッド・ピット)
優秀な宇宙飛行士。アメリカの英雄と称された宇宙飛行士の父に憧れ、自身も同じ道を選んだ。しかし、他人に心を開くことができず、あらゆる感情を感じない。探査のため宇宙に旅立ち、16年前に行方不明となった父を探すため海王星を目指す。
H・クリフォード・マクブライド博士(トミー・リー・ジョーンズ)
地球外知的生命体探査の先駆者。人類発の太陽系外有人飛行に成功したが、16年前から音信不通になってしまった。
ヘレン・ラントス(ルース・ネッガ)
火星で生まれ育った宇宙軍火星基地の所長。両親がクリフォードと共にリマ号に搭乗しており、唯一リマ計画の顛末を知っている人物。
トム・プルーイット大佐(ドナルド・サザーランド)
ベテランの宇宙飛行士。クリフォードの同窓。ロイの見張り役として、クリフォード捜索に同行する。
イヴ(リヴ・タイラー)
ロイの元妻。心を開かず、他人との間に壁を作るロイに愛想を尽かして離婚した。

映画『アド・アストラ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『アド・アストラ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『アド・アストラ』のあらすじ【起】

近い未来、地球外知的生命体を求め他の星へ旅する時代が訪れていた。

ロイは、大気圏ギリギリまでそびえる国際宇宙アンテナにて船外のアームを修理していた。他人と壁を作り感情の無い彼は、いかなる状況でも心拍数が80を上回ることがなかった。ロイの作業中、宇宙との交信を行っていたアンテナの上部で電気嵐(サージ)による爆発が起き、ロイを含めた数人が落下。管制センターからの応答もなく、ロイはパラシュートを開きなんとか着陸、地上班から救助された。その際も、ロイの心拍数は上昇しなかった。

ロイは、サージによる被害を報告するため宇宙軍の司令官らと面会した。上官達は冷静な対処を行ったロイを称えると同時に、最高機密であるサージの原因を伝えた。

宇宙軍は、11日前に海王星付近で発生したサージは、30年前のリマ計画により太陽系外を目指したロイの父、クリフォードが起こしたものであると推測していた。16年前に行方不明になったクリフォードから、突然救援信号が届いたからである。地球に近づくにつれ威力を増すサージを止めるため、ロイは唯一影響を受けていない火星地下基地から父へメッセージを送るよう任務が下された。

ロイの見張り役として、クリフォードの同窓で現役宇宙飛行士のプルーイット大佐が同行することになった。ロイは大佐へ、父は死んだと思うと打ち明けたが、彼は悲観的にならないようにとロイを慰めた。ロイは、励ましの言葉にも何も感じなかった。

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映画『アド・アストラ』のあらすじ【承】

火星に向かうための中継地点である月へ出発する前、ロイは元妻のイヴにメッセージを残そうとした。「行かないでくれと言いたかった」と録音したところで冷静になったロイは、メッセージを全削除した。

心理検査や身体検査は徹底していたが、月へのロケットは飛行機に乗るようにカジュアルだった。今や月は観光地化されており、月のターミナルは子供連れやカップルでにぎわっていた。ロイは、この状況を父が見たら悲しむだろうと思いを馳せた。

ロイとプルーイット大佐が火星行きのロケット、ケフェウス号を目指し月面を走っていると、月の資源を略奪する他国の軍勢に襲われた。ロイ達の護衛に付いていた他の車両はルートを外れ、ロイは冷静な判断で窮地を脱しケフェウス発射基地へと到着した。しかし、プルーイット大佐に不整脈が見られ、彼は火星へ発つことができなくなってしまった。

火星へ発つ前、大佐はロイへ宇宙軍からのメッセージを渡し「宇宙軍は君を信用してない」と告げた。宇宙軍は、クリフォードが息子からのメッセージに応じない場合は、彼を始末するようにと大佐に命令していたのだ。「アメリカから最も多く表彰された飛行士」が今や悪者扱いされている現状にショックを受けたロイだったが、彼は父を信じた。

一人ケフェウス号に乗ったロイは、自分の任務を知らない乗組員達と火星を目指した。

映画『アド・アストラ』のあらすじ【転】

火星に向かう途中、ケフェウス号は、生物医学の研究を行うノルウェー籍船、ヴェスタ号からの救難信号をキャッチした。タナー船長とロイは、救助のためヴェスタ号へ向かった。

先に潜入したタナーに追いついたロイは、彼が脱走した研究対象の動物に襲われている場面に出くわした。タナーを助けたロイは応急処置を施したが、彼の体は喰い千切られ、ヴェスタ号の乗組員も全滅だった。ケフェウス号に戻されたタナーは絶命していた。

火星に到着したロイは、所長のヘレンに案内され地下へ通された。ロイは厳しく監視されながらも用意された原稿を読み、レーザー通信で父へメッセージを送った。しかし、すぐには応答がなく、ロイは周期毎に同じ文章を読み続け、最後には自分の言葉で父への想いを語った。ようやくクリフォードからの信号をキャッチした宇宙軍は、ロイを「これ以上任務を続けることに適していない」と評価し、作戦から除外した。

納得のいかないロイが怒りに震えていると、ヘレンは彼に、ケフェウス号に核兵器が搭載されたこと、さらにはクリフォードから送られてきたリマ計画の結末を見せた。クリフォードは、失踪する前に火星へメッセージを残していたのだ。

リマ号に搭乗した乗組員の内数名が、心理的ストレスに耐えられず船を乗っ取ろうとした。クリフォードは任務遂行のためにやむなく生命維持装置を無効化、罪の無い仲間の命も奪ってしまった。リマ号の中にはヘレンの両親も乗っており、彼らはクリフォードによって殺されたのだ。ヘレンは、軍はクリフォードを英雄に見せることで自分達のイメージを守ったのだと打ち明け、ロイに責任を取るよう語り掛けた。

映画『アド・アストラ』の結末・ラスト(ネタバレ)

ヘレンの協力を得てケフェウス号に侵入したロイは、ケフェウス号の乗組員達に海王星まで同行すると告げた。しかし、命令違反のロイは敵と見なされ、彼らはロイを始末するため銃を向けた。抵抗したロイは、結果的に全ての乗組員を殺害してしまった。

父と同じ悲劇を繰り返したロイだったが、彼は父を見つけるためたった一人で海王星を目指した。

ロイは、孤独に押し潰されそうになり幻覚や幻聴に苛まれながらも、79日の航海の末海王星に辿り着いた。リマ号を発見したロイは、移動カプセルでリマ号を目指したが、サージの影響で接続ができなかったためカプセルを捨て単身で船に乗り込んだ。

リマ号の中に浮かぶ死体の中を進むロイは、コアに核を設置した。すると、上方からロイを呼ぶ声がする。見上げると、年老いた父、クリフォードが立っていた。クリフォードは、仲間が起こしたサージを止めようと奮闘していた。

ロイは、家に帰ろうと父に呼び掛けた。任務に固執するクリフォードは「家族のことなど考えたこともない。私は息子を見捨てた」と帰還を渋ったが、ロイは「それでも父さんが好きだ」と彼に宇宙服を着せた。

リマ号の外に出たロイとクリフォードだったが、クリフォードは息子を振り切り深宇宙に向かって飛び出した。共に回転する親子は揉み合った後、クリフォードは息子の目を見て「放してくれ」と懇願した。父の覚悟に従ったロイは、二人を繋いでいたフックを切り離した。クリフォードは、海王星の向こう側の闇に消えて行った。

泣き叫び放心していたロイは、平静を取り戻しケフェウスへと戻った。彼はリマ号の爆発を推進力に、再び79日かけて地球へと生還した。

地球に戻ったロイは、その後も宇宙飛行士として活躍した。心理検査で彼は「私は生き、愛する」と語り、イヴと再び良好な関係を築こうと一歩を踏み出した。

映画『アド・アストラ』の感想・評価・レビュー

宇宙の静寂が不安と期待を孕んでいて、息苦しい心理描写が真空をさらに冷たく感じさせた。父を追う息子、息子を忘れた父、決して通じない親子の気持ちが大変切なく美しかった。

観光地化した月に、ロマンと同時に唖然とする気持ちが芽生えた。憧れたものを前にすると案外感動が薄かったり、夢が叶ってしまって虚しくなる気持ちと同じ感覚と言うべきか、空想は、空想のままの方がいいのかもしれない。(MIHOシネマ編集部)


宇宙の旅をテーマにした映画は沢山あります。この作品の舞台も広くて壮大な宇宙ですが、ただの宇宙旅行ではなく「自分探しの旅」でした。幼い頃からあまりコミュニケーションを取らず、疎遠になってしまった父と息子の不器用な愛が、とても丁寧に描かれています。物語が進むにつれて深まっていく謎や疑問が散りばめられ、観ている人を飽きさせない展開。
大事な人への気持ちは、そばに居てくれる今のうちにしっかり伝えよう。そう思わせてくれた作品です。(女性 30代)


本作は、近未来を舞台に、エリート宇宙飛行士のロイ・R・マクブライドが宇宙の彼方に失踪した父の謎を解くために宇宙の旅に出る姿を描いたSF作品。
ほとんどがブラッド・ピット演じる主人公のシーンだけで構成されていて、物語は静かに淡々と進行する。
ラストは、父が生きていることが分かり、感情のコントロールに困難を極めながらも長旅の末やっと父との対面を果たせたのに余りにもあっさりと帰路に着くシーンに、疑問を感じてしまった。(女性 20代)

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