映画『ナバロンの要塞』の概要:第二次世界大戦の最中、ナバロン島はドイツ軍に占領され難攻不落の要塞と化していた。上空からの砲撃にびくともしない大砲を爆破すべく、連合軍は地上から精鋭部隊を送り、ドイツ軍を制圧する作戦を開始した。
映画『ナバロンの要塞』の作品情報
上映時間:160分
ジャンル:戦争
監督:J・リー・トンプソン
キャスト:グレゴリー・ペック、デヴィッド・ニーヴン、アンソニー・クイン、スタンリー・ベイカー etc
映画『ナバロンの要塞』の登場人物(キャスト)
- キース・マロリー(グレゴリー・ペック)
- 巧みな登山技術を有し、ドイツ語とギリシャ語を話すことができる連合軍大尉。上空からの制圧が不可能とされたナバロン要塞に地上から攻め入るため、精鋭部隊のリーダーとして召集された。
- アンドレア・スタブロ(アンソニー・クイン)
- ギリシャ陸軍大佐。戦争によって妻子を失っており、戦争が終われば友好国、敵対国の区別無く戦いに関わった軍人へ恨みを晴らしたいと考えている。キースの戦友。
- ロイ・フランクリン少佐(アンソニー・クエイル)
- キースの旧友。自ら計画した作戦の指揮を執るためチームに同行。クレタ島へ上陸する際に大怪我を負う。
- ミラー伍長(デヴィッド・ニーヴン)
- 爆薬の扱いに長けている科学者。教授。戦争の最中にあっても、各々の人権や尊厳を尊重する。
- ブラウン(スタンリー・ベイカー)
- ナイフの扱いに長けているエンジニア。通称“バルセロナのブッチャー”。1937年からドイツ兵を殺し続けており、殺人にうんざりしている。
- スピロ・パパデモス(ジェームズ・ダーレン)
- ナバロンに抵抗する地下組織の首領を父に持つ殺し屋。アメリカへの留学経験があり、英語が話せる。
- マリア・パパデモス(イレーネ・パパス)
- 逮捕された父の代わりに組織を先導しているスピロの姉。キースのチームと合流し、ナバロン陥落に協力する。
- ジェンセン(ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス)
- キースやフランクリンの上官。ナバロンへ精鋭部隊を送る計画を承諾するが、実際のところは成功しないと踏んでいる。
映画『ナバロンの要塞』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ナバロンの要塞』のあらすじ【起】
1942年。ドイツは中立国トルコに上陸し、エーゲ海のケロス島を陣取りナバロンを要塞化した。これは、連合軍がドイツ軍の侵攻を阻止する6日間を描いた物語である。
1日目、午前2時。キース・マロリー大尉は、ジェンセン閣下によって中東、連合国空軍基地に召集された。基地ではナバロンの要塞を上空から攻めようとした兵士達が、揃って作戦の無謀さをジェンセンへ訴えていた。一度に18人もの仲間を失った彼らは怒り心頭であり、ジェンセンは次なる作戦を遂行するため、キースとロイ・フランクリン少佐に新たな計画を伝えた。
フランクリンは、警備が手薄な崖から侵入ができるのは、高度な登山技術を持つキースしかいないとして彼をチームのリーダーに推薦した。キースは、戦友のスタブロをチームに加えることで作戦への参加を承諾し、他にミラー伍長、ブラウン、スピロ・パパデモスをメンバーに加えて、地上からナバロンを陥落させるための精鋭部隊が結成された。彼らには、火曜日に救助の軍艦が迎えに行くまでに大砲を爆破しておくよう命令が下された。
しかし、チームのメンバーを仲介したジェンセンは、この作戦が成功する可能性は限りなく低いと案じていた。彼は「失うのは惜しいやつらだが、俺はただの仲介者だから責任はない。」と言いながらも、部下を死地へ向かわせることへの罪悪感を抱えていた。
映画『ナバロンの要塞』のあらすじ【承】
1日目、午後6時。キースとフランクリン、スタブロはチームと合流し、カステルロッソ島に上陸した。イギリスの木賃宿に通された彼らは、より綿密な作戦を練り上げた。
2日目、午前7時。チームは漁師のフリをして老朽した漁船に乗り込み、クレタ島を目指した。
海上を進むチームの漁船に、ドイツ軍の船が近づいてきた。キース達は地元民を装いやり過ごそうとしたが、ドイツ兵が乗船してきたため応戦。彼らの船を沈めた。難を逃れたと思いきや、その日の夜は嵐がキース達の漁船を襲った。
嵐を乗り越え、なんとか島へ上陸することができた一行だったが、おんぼろの漁船は海に沈んでしまった。船が沈むのを見届けたキースは、崖を登り始めた。
キースは崖を登りきると仲間達の引き揚げにかかったが、見張りに一人配置されていたドイツ兵と応戦、その間に目の上を岩で切ったフランクリンが滑落してしまい、彼は足の骨を折ってしまった。
ドイツ兵を始末し、全員が崖の上に辿り着いたところで、設置されていたドイツ軍の連絡用電話が鳴った。キースが見張りのフリをして応答するも、受話器を受け取った兵士は異変を察知し応援を向かわせた。キースはすぐさま移動しようとフランクリンを担架に乗せたが、スタブロは足手まといの彼を殺そうと提案。キースは、来るべき時が来たらそうしようとフランクリンを庇い、担架を担いだ一行はコストス山を進んだ。
映画『ナバロンの要塞』のあらすじ【転】
3日目、午前9時半。目を覚ましたフランクリンは自殺を図ったが、キースによって止められた。しかし、状況をパディントン局へ報告すると、攻撃予定を1日繰り上げられてしまい、彼らは大急ぎで地下組織との合流地点を目指した。
3日目、午後8時。キース達はセント・アレキシスで地下組織のマリア・パパデモスとその親友、アンナと合流した。ドイツ軍に捕まった父に代わり組織を先導するマリアは、アンナがドイツ兵から拷問を受け失語症になってしまったことを憂いていた。
4日目、午後3時。島の中心地にあるアンナの自宅に身を隠していたキース達は、ドイツ兵に見つかり捕らえられてしまった。フランクリンを病院へ運び込んだスタブロもまた、ドイツ兵に先回りされ捕まった。
4日目、午後9時。ドイツ軍の駐屯所に連れて行かれたキース達は、SS将校、ゼスラーから、要塞の大砲を爆破する爆薬の在処を問われた。スタブロは咄嗟に片言の英語で地元漁師のフリをし、その隙にキース達は武器を手に取りドイツ兵達を縛り上げた。
キースは、フランクリンをドイツ兵に預け治療させることを決めた。ミラーは、フランクリンに煙草を手渡して別れを告げた。
映画『ナバロンの要塞』の結末・ラスト(ネタバレ)
最終日、午前6時。ドイツ兵からトラックを奪った一行は、連合軍の侵入を許した崖へ兵士達が向かったことを確信すると、警備が手薄になったナバロン要塞へ入り込んだ。一方のフランクリンは、ドイツ兵により薬を投与され、連合軍の上陸地点を打ち明けていた。
最終日、午後9時。チームが所有していた爆薬は、何者かの手によって起動しないようにされていた。ミラーは、そもそも自分達のこれまでの行動がドイツ軍に筒抜けだったのではないかとの疑念を持ち、スパイの可能性を示唆した。一番疑わしいのはアンナだと割り出したミラーは、彼女がドイツ兵から受けた拷問によってできたと言う傷を確認した。しかし、彼女の体には傷一つ無く、失語症である筈のアンナはドイツ軍に協力していたことを自らの口から告白した。キースはアンナに銃口を向けたが、彼女に発砲したのはマリアだった。
キースとミラーが大砲のある洞穴へ辿り着いた頃に、ドイツ兵達が武装して戻って来た。外でドイツ軍を迎え撃ったブラウンとスピロは、戦闘の中で命を落とした。スタブロは決死の攻防戦を繰り広げたが、キースとミラーが爆薬を仕掛けている砲台の扉も壊されそうになっていた。一方で、キース達の救助に向かう連合軍の軍艦もナバロンに近づいていた。
ミラーが爆弾を仕掛け終わった時、ドイツ兵達が砲台へと乗り込んだ。キースとミラーは彼らと鉢合う前に海へ飛び込み、マリアが操縦する船に拾われた。同じく海へ逃げたスタブロも、彼女の船に乗り込んだ。
ミラーが仕掛けた爆弾は、砲台と多くのドイツ兵を巻き込み爆発した。キースとミラーは、連合軍の軍艦の上で互いの健闘を称え合った。
映画『ナバロンの要塞』の感想・評価・レビュー
当時、世界の悪者だったナチスの無情さがありありと描かれていた。しかし、必ずしも勝利した国の正当性を示す構成というわけではなく、戦争の虚しさも描いている作品だった。
中立国に焦点を当てた戦争映画はあまり観たことがないので、そういった視点からは新鮮な印象を受けた。当時のギリシャの人々がどんな境遇に晒されていたのか、ギリシャ人の不安や怒りも見て取れる貴重な戦争資料かもしれない。(MIHOシネマ編集部)
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