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映画『十年』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『十年』の概要:2015年に制作されたオムニバス作品。5人の若手監督が集結し、10年後の香港の未来を各々描いている。香港政治や言葉の壁、革命運動といった流れに翻弄される人々を追っていく。

映画『十年』の作品情報

十年

製作年:2015年
上映時間:108分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
監督:クォック・ジョン、ウォン・フェイパン、ジェヴォンズ・アウ、キウィ・チョウ、ン・ガーリョン
キャスト:コートニー・ウー、ピーター・チャン、ワン・ジン、リウ・ハオジ etc

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映画『十年』の登場人物(キャスト)

チョンモウ(コートニー・ウー)
「エキストラ」の登場人物。裏家業で生計を立てる中年男性。年齢を考え安定した仕事をしたいと考えているが、うまくいかず大きなチャンスとして襲撃事件の実行犯に名乗り出る。
ピーター(ピーター・チャン)
「エキストラ」の登場人物。小心者だが、経済的に追い込まれていることから危険な仕事を請け負っている。香港の人間ではないため、差別されてしまうことが多い。
女性(ワン・ジン)
「冬のセミ」の登場人物。身の回りの物をはく製にしたいという恋人の意思を尊重している。
地震に見舞われた経験がトラウマとなり、悪夢にうなされる日々が続いている。
男性(リウ・ハオジ)
「冬のセミ」の登場人物。地球上の生き物が絶滅をしていく中で、人間として生きる意味を考えている。滅びた街で信条を貫くため、恋人に自分をはく製にして欲しいと願い出る。
タクシー運転手(ア・ハン)
「方言」の登場人物。広東語しか話すことができない中で、中国に返還されてしまったため肩身の狭い境遇に置かれている。息子とのコミュニケーションもままならないことに葛藤する。
カレン(タンジェラ・クズル)
「焼身自殺者」の登場人物。独立派を率いる青年を信用し、デモなどの活動に参加している。恋人に過剰な活動を心配されるが、目の前のことに懸命な女子学生。
サム(リウ・カイチー)
「地元産の卵」の登場人物。息子が政府管轄の少年団に所属しているが、地元の商品を売ることに誇りを持っている。真意の見えない抑圧に葛藤する一人。

映画『十年』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『十年』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『十年』のあらすじ【起】

「エキストラ」

労働節(メーデー)の集会の準備に勤しむ人々。そんな中、少しでも稼ごうとある仕事を受けたチョンモウとピーター。それは集会中に発砲事件を起こした振りをして騒ぎを起こすこと。しかし直前で計画は変更され、実際に発砲するよう命じられてしまった。刑務所には入りたくないと反抗するピーターだったが、追加の報酬を約束され負けてしまうのだった。

不安がるピーターの様子を見兼ねたチョンモウは、全て引き受けるが報酬の一部を分けてやると提案した。チョンモウも年齢を考えると大きな仕事ができるのは好都合であったのだ。自分たちの運命をコインに託した二人。

その頃、権力者たちは誰を撃つべきなのか話し合っている。目的は「民主の恐怖を煽ること」であり、ターゲットは党首2人となった。その決定により、チョンモウとピーターのどちらも引き金を引くこととなってしまった。

集会が始まり、予定通り襲撃事件を起こした二人。ターゲットは両者、命を落とし権力者たちが望んだ計画は成功。政治絡みの一件だというのに、ピーターが外国籍であることから、南アジアの社会運動で若者が死亡した件への反抗だと勝手な憶測が世間に行き渡るのだった。

映画『十年』のあらすじ【承】

「冬のセミ」

静かな空間で黙々と作業をする男女。動物だけではなく、崩れた建物に残されたブロックやレンガ、たばこの吸い殻や軍手といったゴミに至るまで街に散らかる物を全て標本にしていた。

数年前に突如家を破壊された記憶は、女性の心を蝕み眠れない日々をもたらしている。連日怪奇話のような夢に追われている。廃墟の中に取り残された二人が震源地を何日も歩き続ける夢であった。

夜でもライトの灯りが灯り続ける街中とはかけ離れた二人の静かな世界。標本箱が残り少なくなったある日、男性は「自分を完璧な標本にして欲しい」と言い出した。それは自分がしてきた活動が正しいのか、心情を貫き通すためである。誰のためでもないがただ手伝ってほしいという男性の言葉に、反対しきれない女性。翌日から、生きながらに標本となる準備が始められた。

汗や体毛、爪を採取し体中をマーキングする。凝固剤の投与を受け、幻聴や抑うつ症状に苦しむ男性。突如男性は「若返った気分だ」と女性に声をかけるが返答はない。黙々と記録に残し続けける女性に対して、男性は怒り暴れ続けるのだった。

一人残された女性。犬を叩く実験をしたデカルト主義の研究者と同じことをしていたのではないかと信条が揺らぐ女性。黙々と長い黒髪を切り落とすのだった。

映画『十年』のあらすじ【転】

「方言」

香港では広東語が多く利用されている。しかし共通語政策で普通語が推奨され、広東語しか話すことのできないタクシー運転手は日常に支障をきたしていた。息子との会話も理解できない単語が多く、普通語が離せない運転手が営業できる場所は限られている。広東語しか話せない客を乗せてしまったがゆえに、警察の世話になる事態まで起きてしまった。

10年前には、皆習っていた広東語を話すだけで阻害される日常。息子が同級生とどこかに行こうとしているが、それがどこなのかなぜなのか、理解できないまま運転手はタクシーの窓を閉め、自分が活動できる区域に戻っていくのだった。

「焼身自殺者」

かつてイギリス領だった香港。1997年に中国に返還されたものの、高度の自治が保証されているのは50年間。2047年以降の香港の未来は見通しが経ってはいない。

2025年、早朝にイギリス領事館前で焼身自殺をした人物がいた。無残な焼け跡が残るものの、目撃者はおろか遺書も無く身元もわからない状況。香港の独立を主張する過激派の支持者であろうと憶測だけが独り歩きしていた。

学者や多くの知識人が中国・香港双方の視点で持論を並べる中、青年は独立派を支持する恋人のカレンの言葉を思い出した。「自殺をするならイギリス領事館の前で」と言っていたのを。独立派の運動を一緒にしていた友人を探そうと大学に向かうと、カレンが逮捕されてしまったことを知らされる。

映画『十年』の結末・ラスト(ネタバレ)

焼身自殺の共犯を疑われたガス「ファイキー電器」の店主は、当局に監視され小さな娘を迎えに行くことも誰かに連絡することも禁止された。共産党を批判するような発言をする学者も同様に監視下に置かれ、抑圧は厳しくなっていく。

カレンは独立派のデモにも参加していた。多くの人が傷つけられ、渦中には老人もいた。若者が血を流しながら主張する姿を見た一人の老女は、過去に経験した六四天安門事件を思い返した。老人は身を挺して抗議した。イギリス領事館の前で自らに火をつけ意思表示したのは独立派の若者ではなく、この老人だったのだ。

「地元産の卵」

贔屓の養鶏場が政府に閉鎖を強いられてしまった。「地元産」という言葉は規則違反となってしまい、政府は少年団を使い規律を整えようとしていた。サムの息子・ミンも少年団に入っているが、いつも指示に従うだけで何をするかはいつも知らされるわけではないと話す。

ある日、一件の本屋を攻撃する少年団の子供たちを見かけたサム。その中にミンの姿を見つけ、事情を聞き出そうとするが詳細は分からないという。実は本屋を救うために、少年団で与えられる禁止リストを本屋に渡していたミン。そのおかげで本屋は、違反の本を隠し秘密裏に販売していた。サムの教えに沿って愛すべき文化や産業を守ろうとしていたミン。サムは息子の成長にほっと胸を撫で下ろすのだった。

映画『十年』の感想・評価・レビュー

誰も未来は予想できないものの、不安は皆同じである。市民が作る激動の流れに相反して融通の利かない国家。香港の裏政治を描いた「エキストラ」では毒気満載にフィクションを描いている。さらにファンタジー要素が強くなる「冬のセミ」。「方言」からは実にリアリティがあり、背筋を正したくなるような展開が続いた。自分が見たことも感じたこともない喪失感を「焼身自殺者」で味わい、「地元産の卵」で少しの希望を見出した104分。日本版ではどう描いているのか、併せて鑑賞したい。(MIHOシネマ編集部)


香港の情勢をほとんど知らない私には、難しいシーンが多く正しく解釈出来ていない気がしました。
オムニバス形式でいくつかのストーリーが描かれていましたが、これは10年後の未来の話では無く、現実に起こること、またはもう既に起きていることなんじゃないかなと思います。
実際に香港では大規模なデモが起こっていたりして、この作品を見て「怖いな」と思ったことが現実になってしまいそうな恐怖を感じました。
他の国のことだと思わずに、様々なことを知るのはとても大切だと思いました。(女性 30代)

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