映画『オルカ』の概要:大きな脳を持ち、知能が高いといわれるオルカ。カナダの東海岸で、つがいのオルカが幸せそうに泳いでいた。ある日、漁師によってメスが殺され、体内の胎児も死んでしまう。生き残ったオスのオルカは、漁師に復讐を開始する。
映画『オルカ』の作品情報
上映時間:92分
ジャンル:サスペンス
監督:マイケル・アンダーソン
キャスト:リチャード・ハリス、シャーロット・ランプリング、ウィル・サンプソン、ボー・デレク etc
映画『オルカ』の登場人物(キャスト)
- ノーラン船長(リチャード・ハリス)
- アイルランド人船長。学者のレイチェルに協力して船を出しているが、本当の目的はオルカを生け捕りにして、水族館に売ること。メスのオルカを捕獲しようとして死なせ、復讐の鬼と化したオスから命を狙われる。
- レイチェル(シャーロット・ランプリング)
- オルカ(シャチ)の生態を研究している海洋動物学者。カナダのニューファーランドに滞在し、オルカの声やエコーを集めている。
映画『オルカ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『オルカ』のあらすじ【起】
カナダの東海岸に位置するニューファーランド島。オルカのつがいが求愛行動をしながら、幸せそうに大海原を泳いでいる。
近くの漁村では、海洋動物学者のレイチェルがオルカの生態を調査していた。ある日、彼女はノーラン船長の船で沖に行き、録音機を設置するために海底に潜った。すると大きなホオジロザメが現れ、襲われそうになる。そこにオルカが現れ、強靭なヒレでサメを撃退。彼女は間一髪で助かった。
大学に戻ったレイチェルは、オルカの生態について講義を行った。彼女は地球上で最も強い生き物は、シャチだと言い切る。成長すると体長9メートルになる哺乳類で、ラテン名の「オルカ・オルキヌス」は、「死を招く者」という意味。声には1,500万種類の情報が確認され、大きな脳の中には未知数の知能があると考えられた。4か月目の胎児はヒトとそっくりで、手や指まで付いている。オルカには人間に負けないほどの復讐心もある、とレイチェルは考えていた。
ノーラン船長はレイチェルの研究に協力しながら、オルカを生け捕りにして水族館に売ろうとしていた。船員のアニーは、オルカは一夫一妻制だから引き離してはいけないと止めるが、ノーランは聞く耳を持たなかった。
オルカの群れを見つけたノーランは銃を構え、メスのオルカを撃った。漁船に吊り上げられたメスは、まるで人間の悲鳴のように泣き叫んだ。さらにお腹の中から、人間のような姿の胎児が飛び出した。ノーランは気味悪がり、ホースで水をかけて胎児を海に落とした。
オスは離れた場所からノーランの姿を目に焼き付ける。憎しみに燃えながら、船底へ体当りを始めた。危険を感じた船員のノバックは、メスを縛っていたロープを切り離して海に落としたが、その際、オスに噛み付かれて死んだ。
映画『オルカ』のあらすじ【承】
メスを取り戻したオスのオルカは、群れに戻そうと懸命に体を押すが、メスが目覚めることはなかった。翌日、メスの遺体は陸に上がった。レイチェルは悲しみ、遺体に寄り添って聖書を読んだ。
レイチェルがノーランを責めていると、そこに先住民のウミラクも加わり、オルカは傷つけた人間を覚えているものだと忠告する。ノーランは地元の漁師ではなくよそ者であったため、地元の船員組合からも身勝手な行動を慎めと警告された。
昼間の漁港にあのオルカが出没し、小型漁船に激突して沈没させるという騒動が起きる。ノーランはオルカの宣戦布告だと感じるのであった。
その夜、船員組合はメスの遺体を埋める作業を夜通しで行った。組合長はノーランに、早く町から出て行けと言うが、彼は出て行くつもりはなかった。岬に自分の案山子を立てて、おびき寄せようとするノーランは、オスに謝りたいのだとレイチェルに話す。実は彼も、事故で妊娠中の妻を無くした経験があったのだ。
復讐に燃えているオスは、再び港に現れて施設に激突を繰り返し、大火災を発生させる。オスは高笑いをするかのように何度もジャンプを繰り返し、戦う意思をノーランに伝えるのだった。
映画『オルカ』のあらすじ【転】
ノーランは船員たちと一緒に、海に面したコテージに宿泊していた。そこにあのオルカが体当たりをし、コテージを大きく傾けさせる。部屋にいたアニーは海に投げ出されそうになった。ノーランたちが網を投げて彼女を引き上げようとした時、オルカは彼女の足に噛み付いた。アニーは一命を取り留めたものの、片足を失ってしまった。ノーランは逃げられないと観念し、オルカの戦いを受けて立つことを決意する。
翌朝、ノーランは漁村を出ることにした。彼を雇ったレイチェルも一緒に船に乗る。彼女はノーランを精神的に追い詰めたのは、自分に責任があると感じていた。その一方で、オルカの執念深さにも驚いていた。
村民が冷たく見つめる中、船は出港する。船にはウミラク、船員のポール、レイチェルの助手のケンも一緒に乗った。メスが死んだ場所に向かうと、そこにオスはいた。ついて来いと言わんばかりに、オスはノーランに合図を送った。レイチェルの助手のケンが甲板に身を乗り出すと、オルカが飛びかかり海に沈めてしまった。
オルカはまるでレーダーでもあるかのような正確さで、セントローレンス湾をまっすぐ進み、ベルアイル海峡に向かった。その先には北極海があり、オルカはそこを決闘場所にしようとしている、とノーランは感じ取った。
映画『オルカ』の結末・ラスト(ネタバレ)
北上を続けるオルカを追ううちに、船内は凍えるような寒さとなった。やがて流氷と氷山に囲まれた地点まで到達。帰りの燃料が底をつき始めた頃、船は氷山に接触して停止した。ポールは救命ボートを出すため身を乗り出すと、オルカに襲われて死んだ。残るはノーランとレイチェル、ウミラクの3人となった。
朝になり、ノーランはいよいよ対決の時が来たと覚悟する。オルカは小さな氷山を押しながら近づき、船に衝突させた。船はその弾みで巨大な氷山にぶつかり、船上にいたウミラクは崩れる氷山に潰されて死んでしまった。
ノーランとレイチェルは、転覆する船から流氷に飛び移った。レイチェルは氷山に逃れることができたが、ノーランはオルカの誘導で流氷の上に取り残された。ついにノーランとオルカの決闘となり、双方は火花を散らして睨み合った。
オルカは流氷に体重をかけて、ノーランを引きずり下ろした。海に落ちた彼の周りを旋回して追い詰めた後、彼の体を一気に持ち上げて氷山に投げつけた。ノーランは即死し、海底に沈んだ。レイチェルはひとり生き残り、救助ヘリで助け出された。復讐を果たしたオルカは、流氷で覆われた海中を泳ぎ続けるのだった。
映画『オルカ』の感想・評価・レビュー
1975年、スピルバーグの『ジョーズ』の大ヒットの後、量産された動物パニック映画のひとつ。今も活躍しているシャーロット・ランプリングがまだ若く、美しい学者役で登場している。オルカはジョーズのように、手当たり次第に人間を襲うタイプではなく、明確な理由を持って行動している。標的である船長をすぐに襲うことをせず、周辺の人々から一人ずつ狙っていく。じりじりと本人に近づくという精神的な追い詰め方は、まるで人間の復讐劇のようで恐ろしいものがあった。(MIHOシネマ編集部)
凄いの一言です。海でのパニックムービーと言うとサメが題材にされることが多いですが、オルカのほうが遥かに知能が高く、人間と同じような復讐心をむき出しにして敵とみなした相手に襲いかかってくるため、余計に怖かったです。
とにかく悪いのはノーランなので、ラストでオルカによって復讐が果たされるのは非常に爽快でしたが、オルカの知能の高さと人間の夫婦にも似たオスとメスの愛や絆が非常に強く、それによって復讐心も芽生えるのだろうと感じました。
海にはまだまだ知らない世界があるのだと興味を持つきっかけになる作品だと思います。(女性 30代)
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