映画『レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦』の概要:第二次大戦下のソ連。ウラル山脈で守備隊を率いるヴァスコフ曹長の元に、女性部隊が配属される。ある日、森でナチス兵2名が目撃され、曹長は女性兵士5名と偵察に向かう。そこにいたのは、総勢16名もの特殊部隊だった。
映画『レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦』の作品情報
上映時間:112分
ジャンル:アクション、戦争
監督:レナト・ダヴレトヤロフ
キャスト:ピョートル・フョードロフ、アナスタシア・ミクルチナ、イフゲニア・マラフーヴァ、クリスティナ・アスムス etc
映画『レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦』の登場人物(キャスト)
- フェドート・ヴァスコフ(ピョートル・フョードロフ)
- ソ連軍の曹長。第二次世界大戦下、ウラル山脈の麓の村に駐留する守備隊を率いる。1939年にフィンランドとの冬戦争にも出兵したが、前線で戦っている間に妻に逃げられる。その後、ひとり息子も亡くして以来、ほとんど笑ったことがない。32歳。
- リタ・オシャニーナ(アナスタシア・ミクルチナ)
- 女性砲兵部隊の伍長。ソ連国境警備隊の兵士だった夫は、フィンランド軍の攻撃を受けて戦死。まだ幼い息子を母に預けて、ヴァスコフ率いる守備隊に配属される。
- ジェーニャ・コメルソワ(イフゲニア・マラフーヴァ)
- 美貌と抜群のスタイルを持つ女性兵士。偵察中でもブラシと手鏡を常備し、髪型のセットに抜かりはない。一方で、ナチス相手に猛然と立ち向かう度胸もある。生まれはモスクワで裕福な家庭で、既婚の中佐と恋仲になったことがある。
- ガーニャ・チェトヴェルタク(クリスティナ・アスムス)
- 幼い頃に母親を連行され、孤児院で育つ。ヴァスコフの偵察隊に加わるが、沼を歩く途中でブーツを片方失う。ドイツ兵と対峙した時に立ち向かえない臆病さがある。
- ソーニャ・グルヴィッチ(アグニャ・クズネーツォヴァ)
- ミンスク出身のユダヤ系ロシア人。モスクワの大学では文学を学んでいた。戦死した恋人からもらった詩集を大切にしている。ドイツ語を話せるため、偵察隊に加わる。
- リザ・ブリチキナ(ソフィア・レベデヴァ)
- 寒さの厳しいシベリア出身の小柄な兵士。父は森の警備隊員で、子供の頃から狩猟に同行していた。愛する父親によく似た曹長に恋をする。
映画『レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦』のあらすじ【起】
1942年、第二次世界大戦下にありながら、戦火を逃れているウラル山脈の麓の村には、ヴァスコフ曹長率いる守備隊が駐留していた。僻地のため前線になることはなく、ナチスの戦闘機がたまに旋回する程度。男性兵士は酒で騒動ばかり起こすため、ヴァスコフは酒を飲まない兵士を送れと本部に伝えた。すると2日後、彼の元にリタ伍長を始めとする女性砲兵部隊10名が送られた。
彼女たちは兵舎となる納屋に入ると、手際よく自分たちのベッドを作った。ある夜、ドイツ軍の戦闘機が領空に侵入する。彼女たちはすぐに砲撃準備をして攻撃を開始。銃撃を受けながらも立ち向かい、敵機を撃墜させることに成功する。
リタ伍長は功績を称えられ部下が付くことになり、さらに褒美として全員に入浴の許可が下りる。彼女たちは全裸になってサウナタイプの浴場に入り、疲れと汚れをさっぱりと洗い流した。美しい体のジェーニャは、皆から羨望の的となった。
ある日、リタ伍長が町へ行こうとした時、森の中で機関銃を持ったナチス兵2名を目撃する。リタは村に戻り曹長に報告。曹長は電話で本部に伝え、追跡を命じられる。敵の狙いは鉄道の破壊だろうと推測された。
映画『レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦』のあらすじ【承】
ヴァスコフ曹長はリタ伍長を含む女性隊員5名を引き連れて、60キロ先を歩くドイツ兵の追跡を始めた。この辺りの地理に詳しい曹長は、敵はこの先にある沼を迂回して歩くと予想。沼を直進すれば先回りできると判断し、彼女たちも一緒に沼のぬかるみに足を踏み入れた。腰まで泥水に浸かり、足元を取られながら沼地を歩き続け、ガーニャはブーツの片方を失うなどアクシデントもあったが、どうにか先回りに成功する。
沼地を出ると彼女たちは滝で水浴びをした。曹長はガーニャのために草履を作って履かせた。再び歩き始めた隊は、大きな湖に到着。ドイツ兵が通過するのを監視するため、それぞれ岩場に隠れた。曹長は夜を徹して見張るつもりだったが、リタは土地勘がないドイツ兵は慎重に歩くため休むだろうと言うと、曹長も同意した。
曹長は休憩を取ることを伝えるため、岩場を回った。ソーニャは恋人からもらった詩を朗読していため、曹長は声を出すのは危険だから気を付けるよう注意する。ジェーニャは手鏡で髪型を整えるなど、いつもと変わらない落ち着いた様子。ガーニャは発熱で震えていたため、曹長は酒を飲ませて休ませた。その夜は何事もなく終わった。
翌朝、曹長とリタは湖の反対側を歩くドイツ兵を見つける。その数は2名どころか、16名もいた。
映画『レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦』のあらすじ【転】
ナチスの特殊部隊16名に対して、ヴァスコフと女性兵士5名というのは、圧倒的に不利な状況であった。しかし、鉄道を破壊するほどの爆弾を運んでいる敵を見つけた以上、見過ごす訳にはいかない。曹長は援軍を求めるため、リザに村へ戻るよう命じた。そして援軍が到着するまでの間に、敵を誘い出して攻撃を仕掛けることにした。
リタ伍長は地元の女きこりを演じることを提案する。皆で木を切り倒すと、その大きな音で敵兵が近づいて来た。ジェーニャはさらに注意を引くため、ロシア民謡「カチューシャ」を歌いながら、下着姿になって湖に飛び込んだ。ナチス兵は下着姿の彼女に釘付けとなり、彼女が岩に上がると、敵は去って行った。
ナチスは湖にしばらく留まるだろうと曹長は予想した。見張る場所を移動しようとした時、ソーニャが敵兵に見つかり殺されてしまう。駆けつけた曹長とジェーニャも敵兵に遭遇して揉み合いとなる。ジェーニャは敵のひとりを背後から殴打。生まれて初めて人を殺した。思わず嘔吐する彼女を、曹長は勇敢な男でも一人目はきついものだと言って励ました。
ソーニャの遺体を岩の上に安置して祈りを捧げた後、曹長は彼女のブーツをガーニャに履かせた。残る4名はそれぞれ離れた場所に配置。やがてナチスとの銃撃戦が始まった。
映画『レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦』の結末・ラスト(ネタバレ)
激しい銃撃戦は、敵が一時退却したため中断となった。ガーニャは銃撃戦の間、何もできなかった。リタとジェーニャから臆病者だと責められるが、曹長はガーニャを庇った。
曹長はガーニャと組んで森を進んでいると、ひとりのナチス兵の死体を発見する。それは「負傷をすれば殺す」というナチスの掟により、味方に射殺された死体だった。その直後、2人の背後をナチス兵が通った。臆病なガーニャは逃げ出し、銃殺された。
曹長も撃たれて湖に落ちるが、命からがら陸に上がり、リタたちと再会して抱き合った。彼はガーニャについて、勇敢に戦って死んだと嘘をついた。一方、村に戻ろうとしていたリザは、途中の沼で深みにはまり、溺れ死んでしまう。
生き残ったのは曹長とリタ伍長とジェーニャだけとなった。祖国のために戦うことを誓い、それぞれ岩に隠れて配置につく3人。再び激しい銃撃戦となり敵を倒していくが、リタは敵の手榴弾で致命傷を負ってしまう。曹長が彼女の傷の手当てをする間、ジェーニャは時間を稼ぐため敵を引き付けたが、崖に追い詰められて転落死した。
瀕死のリタは、息子を残していることが心残りだった。助かる見込みのない彼女は、曹長から受け取った銃で自決した。部下を全員失った曹長は、敵の洞窟にひとりで突撃し、3名のドイツ兵を捕らえた。捕虜を引き連れて村に帰る途中で、ようやく援軍が到着する。味方を見て安心した曹長は、意識を失って倒れた。
村に戻った曹長の元に、補充の女性隊員5名が配属された。曹長は彼女たちの姿に、亡くなった5人の面影を重ねずにはいられなかった。
映画『レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦』の感想・評価・レビュー
ロシアの小説を映画化した本作。ウラル山脈の麓という大自然を舞台に、ソ連軍の曹長と女性部隊がナチスの特殊部隊に遭遇し、圧倒的に不利な条件下で戦う姿を描いている。
彼女たちの生い立ちや背景がドラマチックに盛り込まれており、戦争の理不尽さや悲惨さが、より鮮明に炙り出される。戦争さえなければ、普通の暮らしを続けていたはずだったのだ。
悲惨さを描く一方で、女性隊員たちの集団入浴シーンは無邪気で開けっ広げ。オールヌードでじゃれ合う姿に、戦争映画にこのシーンは必要なのか?と思いつつ目が離せなかった。(MIHOシネマ編集部)
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