映画『妻の愛、娘の時』の概要:亡くなった母を埋葬するため、父親の前妻との間に生まれた確執。前妻と娘、孫娘と3世代の女性の目線から家族という関係性の複雑さを追う一作。名女優シルビア・チャンが監督・主演を務める。
映画『妻の愛、娘の時』の作品情報
上映時間:121分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:シルヴィア・チャン
キャスト:シルヴィア・チャン、ティエン・チュアンチュアン、ラン・ユェティン、ウー・イエンシュー etc
映画『妻の愛、娘の時』の登場人物(キャスト)
- ユエ・フイイン(シルビア・チャン)
- 定年を目前に控えた教師。母親の最期を看取り、父親と同じ墓に埋葬しようとしたが前妻の存在が壁となり思うように進行できないことに苛立ってしまう。夫や娘に支えられながら考え直していく。
- イン・シアオピン(ティエン・チュアンチュアン)
- フイインの夫。凛として気の強い妻に対して、いつも寛大に対応し支えている。娘とフイインの懸け橋にもなっている一家の大黒柱。
- ウェイウェイ(ラン・ユェティン)
- フイインとシアオピンの一人娘。テレビ局に勤めており、記録用に取っていたフイインとツォンのやり取りが評価され、番組にまで取り上げられた。恋人を両親に紹介できずにいる。
- ツォン(ウー・イエンシュー)
- フイインの父親の前妻。小さな町に身を寄せ、ずっと夫が戻ってくるのを待っていた。遺骨となって自分の元に戻った夫を手放したくない一心で、フイインと対立する。
映画『妻の愛、娘の時』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『妻の愛、娘の時』のあらすじ【起】
危篤の母親の看病に勤しむフイイン。最期は父親の名前を振り絞った声で呼んでいた母親の希望を汲み取り、同じ墓に入れようと父親の田舎を訪ねた。できれば自宅の傍に父親の墓を移したいと思っていたフイインだが、父親の最初の妻・ツォンに拒まれてしまう。
お金で解決しようとしたフイインに対して、ツォンに同情した村人たちが集って抵抗しその日に移設することはできなかった。ジャーナリストである娘・ウェイウェイはフイインと同行した日の出来事を映像に残し始める。
墓の移設のため、母親が本妻だと証明したいフイインは役所に結婚証明書を取りに行く。しかし両親ともに亡くなっているため、まずフイインが娘であることの証明を取りに行かないとならないと言われてしまう。苛立ち隠せないフイインの姿を見た夫・シアオピンはまもなく定年を迎えるお祝いをしようとするが、気の強いフイインが何で喜んでくれるかわからずウェイウェイに助けを求める。一方でウェイウェイは初めて人の死を目の当たりにし、不安を募らせていた。
映画『妻の愛、娘の時』のあらすじ【承】
ウェイウェイが取りためた映像が職場で話題になり、ツォンの取材を試みることになった。断固としてはかの上から動かないツォンは、レポーターに襲いかかる。仕事として成果は上げられなかったウェイウェイの前に、恋人・アダーの幼馴染が現れ関係を疑い始めてしまう。
仕事中に学生が蹴ったボールが当たり、保健室に運ばれたフイイン。しかしその日はシアオピンと一緒に両親が婚姻届を出した役所に行く日であった。記憶を頼りに役所を目指すが、都市開発によって移転してしまっていた。その頃、ウェイウェイは懲りずにツォンの取材を続けていた。どんなに話しかけても応えてくれないツォンだったが、大雨に濡れたウェイウェイを家に上げ、お風呂に入れてくれるのだった。
祖母は最期に「夫と同じ墓に入れて欲しい」と言ったと嘘をついたウェイウェイ。その話を聞いたツォンは、自らの婚姻関係を証明するものを探し始める。しかし、ウェイウェイが長年の不満について聞いても絶対に口を開かなかった。その頃、フイインも両親の婚姻関係を証明する書類をもらうために役所をたらい回しにされていた。問題児の男子生徒にも手を焼き、苛立ち始めるフイイン。しまいには、ウェイウェイの同僚に突撃取材を受け困惑するのだった。
ツォンの家に泊まりこむウェイウェイ。両親にも言えていないアダーとの関係について相談した。駆け落ち賛成派のツォンの言葉を受け、アダーの元に戻るとまだ幼馴染が家に居た。嫉妬するウェイウェイだが、本音をアダーにぶつけ二人は婚約を決めるのだった。
映画『妻の愛、娘の時』のあらすじ【転】
役所の不手際に苛立つフイインが帰宅すると、シアオピンが上の階のワンさんに運転の指導をしていた。ワンさんはシアオピンの生徒であるが、わざわざ教習所外でも授業するほど熱心な姿に浮気を疑うのだった。さらにウェイウェイの姿を見つけ、勝手に家庭の事情を仕事に持ち込んだことを叱りつける。フイインの不条理さに反抗したまま、アダーと婚姻届を出しに向かったウェイウェイ。しかし、書類が足りずアダーに当たってしまうのだった。
ようやく書類が揃ったと思ったフイインだが、聞いていなかった「職場」の証明が必要だと言われ、職員を物凄い剣幕でまくし立ててしまう。その様子を見ていたシアオピンは意固地になる理由が分からなくなっていた。その頃、ツォンも町の専門家に婚姻関係を証明する書類は無理だと言われ気を落としていた。夫からの手紙を大事に取っていることを知ったウェイウェイは、ツォンの愛情の深さを目の当たりにしフイインの行動が正しいのか悩み始める。
ツォンとフイインの対立を取り上げた番組が決定した。最期の通告として弁護士を連れてツォンに会いに行ったフイインだが、話はつかなかった。早々に帰宅し、シアオピンの戻りを待っているとワンさんと酒を飲んだ姿で帰宅したのである。
映画『妻の愛、娘の時』の結末・ラスト(ネタバレ)
学生の頃の厳しい時代を支えてくれたフイインに頭が上がらないシアオピン。そんな父親の姿を情けなく思うウェイウェイだったが、結婚を前にしたときようやく夫婦になる難しさを実感するのだった。
ツォンはテレビ番組への出演を決心した。その日、テレビ局にウェイウェイの忘れ物を届けに来たフイインは、不覚にも番組に出ることになってしまう。過剰な演出で両者の関係を煽り立てようとするウェイウェイの上司。二人はお互いに話せることだけを言い合い、スタジオを去るのだった。ツォンはフイインに頼み、自分の知らない夫ついて教えてもらった。フイインの母親と映った写真を見たツォンは、何も言えず帰路に就くのだった。
アダーの存在もようやくフイインに明かすことができたウェイウェイ。女性同士の積もる話は絶えず、関係は修復へと向かう。シアオピンも独断で新車を買い、再び人生のドライブに出ようとフイインを誘いだした。その頃、ツォンは墓を手放す決心を固めていた。前妻、正妻の娘・孫娘とそれぞれに思いを馳せながら、移設作業が始まるのだった。
映画『妻の愛、娘の時』の感想・評価・レビュー
香港・台湾映画で一度は目にしたことがあるであろう女優シルビア・チャン。映画監督・プロデューサーとして活躍しているとは知らず、この作品に触れてしまった。女性目線の女性の映画であった。理想の夫が支える、自立した女性像。シルビア・チャン自体がそうなのだろうか。3世代の女性それぞれの価値観は違ってしょうがない。しかし共感する部分は多いようだ。正直、笑えて泣ける物語ではない。しみじみと愛情と公的な関係について考えさせられる物語である。(MIHOシネマ編集部)
故人が1番望むことは何なのか、残された人たちが考えなければいけないのはそれだけではないでしょうか?
妻と娘、孫と様々な女性が登場し色々な考え方が展開されるので、どこかのタイミングで共感できる部分が必ずあると思います。自分の元に戻ってきた夫を手離したくない前妻の気持ちも分からなくはないですし、母と同じ墓に入れてあげたい妻の気持ちもよく分かります。しかし、何よりも大切なのは故人がどうして欲しかったかです。自分の気持ちばかりを優先するのではなく、誰かの気持ちに寄り添えるような人間になりたいなと感じました。(女性 30代)
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