映画『花と蛇 ZERO』の概要:SM調教をライブ配信している闇サイト“バビロン”は、女性達の拉致監禁を問題視され警察からマークされていた。捜査に臨む美咲は異様な世界にあてられ、次第に自身の欲望をさらけ出していく。そんな中、遠山静子は夫に借金のカタとして売られ、サイトで痴態を晒すことになる。
映画『花と蛇 ZERO』の作品情報
上映時間:113分
ジャンル:サスペンス、アクション
監督:橋本一
キャスト:天乃舞衣子、濱田のり子、桜木梨奈、津田寛治 etc
映画『花と蛇 ZERO』の登場人物(キャスト)
- 雨宮美咲(天乃舞衣子)
- 闇サイト“バビロン”の捜査を行う刑事。拉致した女性達を監禁しSM調教の様子を撮影している場所を突き止め潜入するも、調教師が妹であったため動揺して彼女を逃がしてしまう。それ以降“バビロン”側に弱みを握られ、新たに監禁された遠山静子の情報と引き換えに辱めを受ける。
- 遠山静子(濱田のり子)
- 莫大な借金を抱えた夫が、自宅へ押し掛けて来た黒川から命を脅かされる様子を目の当たりにし自ら“バビロン”への参加を願い出た。自身を緊縛するエディへ不思議な安心を覚える。
- 瑠璃(桜木梨奈)
- 夫が多忙なため性欲を持て余している主婦。チャット上の友人から“バビロン”を紹介され、静子が責められる様子を見てSMに目覚めた。静子の調教を観覧できる企画を知り、嬉々として参加する。
- 馬場(木村祐一)
- 警部。美咲の上司。美咲と共に“バビロン”の違法性を示す証拠を探るが、「マキムラ会長」がサイトの発起人と知り捜査を打ち切ってしまう。
- 美冬(あんり)
- 美咲の妹。家出したきり音信不通となっており、行方不明扱いだった。美咲や馬場が突入した“バビロン”の撮影現場で少女にムチを振るっていた。逃亡した後は、挑発するように美咲とコンタクトをとる。
- 黒川(菅原大吉)
- 「マキムラ会長」の手先。“バビロン”での動画配信を仕切っており、観客を動員するSMショーの際は司会進行を務める。
- エディ(辻本祐樹)
- 静子を緊縛し調教する青年。静子から勃起不全を指摘され取り乱すが、彼女に他の女性には無い何かを感じている。
映画『花と蛇 ZERO』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『花と蛇 ZERO』のあらすじ【起】
捜査車両に乗った闇サイト“バビロン”の捜査チームは、少女がSM調教を受けている様子をパソコンの画面から確認していた。生々しいライブ配信が続く中、アジトを突き止めていた彼らは銃を手に撮影現場へと突入。激しい銃撃戦の末、雨宮美咲は緊縛されていた少女、ユズキメイを保護した。
彼女にムチを振るっていた男女の内、女は逃げ遅れていた。美咲が女へ銃を向けると、それは行方不明になっていた妹の美冬であった。顔にまでタトゥーを入れた妹の姿に驚きを隠せない美咲は、咄嗟に彼女を逃がしてしまった。
警部の馬場は、突入した先にいた人間は皆下請けで、他に黒幕がいるだろうと美咲へ告げた。そんな美咲の携帯に美冬から連絡があり、彼女は妹から指定された場所へ向かった。
美咲と再会した美冬は、通話が繋がった状態の携帯を手渡しその場を去った。通話の相手は変声機で声色を変えており、ヨセフと名乗った。美咲は、犯罪に加担している美冬を逃がしたことで弱みを握られてしまったのだ。
瑠璃は、チャットの友人から「面白いサイトあるよ」と“バビロン”のURLを送られた。本当に監禁された女性が調教を受けているらしいと聞いた瑠璃は「犯罪じゃん」と表情を引きつらせながらも、画面に釘付けになった。
馬場が率いる捜査チームは、新たに“バビロン”へ映し出された女性の身元確認を急いでいた。ロッカールームでライブ配信を監視する美咲は股間が熱くなり僅かに身をよじったが、そこへヨセフから着信があった。美咲は調教を受けている女性の情報と引き換えに、ヨセフからの卑猥な指示を遂行した。
映画『花と蛇 ZERO』のあらすじ【承】
美咲がヨセフの情報を元に映画館の女子トイレへ入ると、指輪が隠されていた。それは現在“バビロン”に監禁されている女性、遠山静子の物だった。美咲は静子の夫を訪ね状況を説明、夫は静子の捜査願いを出し、警察は拉致事件として捜査を始めた。
一方、瑠璃はパソコンの画面に映し出される静子の痴態に欲情し、自慰にふけっていた。
調教の配信を終えたエディは、彼女へ何故ここにいるのか尋ねた。「言えないの」と呟く静子を押し倒したエディだったが、いつまでも勃起しないことを静子に指摘されてしまい錯乱した。
ヨセフからの電話を受けた美咲は、さらなる辱めを受ける見返りに新しい情報を得た。これまでに監禁された女性達は、最後に殺人の様子を配信されていたというのだ。美咲は警察病院で治療を受けるユズキメイに真実を聞こうとしたが、彼女は「お小遣いを貰ってたの」と証言。さらに彼女は、会長と呼ばれる「マキムラ」老人が時々現場へ来ていたと証言した。そこへ、静子の夫が捜査願いを取り下げたとの報告が入り、馬場は正式に捜査を打ち切った。
美咲は独自に「マキムラ会長」ことマキムラゴウゾウについて調べた。彼は、表向きは美術商だが、裏では政財界に強い影響力があるようだった。美咲は馬場に、捜査の打ち切りには圧力があったのではないかと迫った。しかし、馬場は静子の指輪の出所を美咲に問い「俺が何も知らないと思うな。現場から消えた女は誰だ?」と逆に美咲を責めた。
美咲は自らヨセフへ電話を掛けると、直接会いたいと告げた。美咲は指定された館へ銃を持って向かったがあっけなく捕らえられてしまい、ヨセフと名乗る顔を隠した男によって調教を受けた。しかし、美咲はその見返りとして、静子の夫の取引先を調べるよう言われた。
映画『花と蛇 ZERO』のあらすじ【転】
エディは、静子への責め苦が甘いとして、黒川やその手下から暴力を受けていた。静子は血を流すエディを介抱し、夫の借金を返すためにここへ来たと打ち明けた。さらに静子はエディの視線を感じると落ち着くと言い、「相手があなたで良かった」と呟いた。それを聞いたエディは逃げるように彼女の元を去った。
美咲は、静子の夫の元を訪れた。“バビロン”の最後に殺人ショーがあると知らされた夫は妻を助けて下さいと美咲に泣きついた。そこへ馬場から連絡があり、美咲は急いで警察病院へと向かった。
警察病院では、ナースに扮した美冬がユズキメイの首元に鋏を突き刺そうとしていた。馬場や同僚達が彼女をなだめる場面に到着した美咲だったが、ユズキが美冬の首の肉を噛みちぎって抵抗、勢いで鋏はユズキの首に突き刺さり二人は死亡した。
傷心の美咲の元へ、ヨセフから電話があった。ヨセフは「私のミスだ、先手を打たれた。あれがマキムラのやり方だ」と言った。美咲はヨセフを通して「マキムラ」に接触することを決めた。
“バビロン”では静子のSMショーへ観客を募っており、有料会員となっていた瑠璃はすぐさま観覧席へ応募した。
静子は、黒川から今日のショーで借金の返済が終わりだと告げられた。そこへ志願奴隷としてショーに参加する美咲が連れて来られ、二人は本番を待った。
黒川による司会進行でショーが始まると、観客の中から静子と美咲にムチを打つ希望者が募られた。観覧席にいた瑠璃はいの一番に名乗りを上げ、ステージ上の二人を責めた後自身も緊縛され責められた。三人が同時に果てた後、エディと静子は観客の前で体を重ねた。
映画『花と蛇 ZERO』の結末・ラスト(ネタバレ)
エディと静子をステージ上に残した黒川は、観客の前で静子の過去を暴いた。ショーを主催する「マキムラ会長」は、実は高校生だった静子をレイプし妊娠させていたという。男児を出産した静子は子供を里子に出し、それを知った「マキムラ会長」は我が子を探し出すと、調教師としての英才教育を受けさせ育てたという。その子供こそエディだったのだ。
エディと静子が親子だったと知り、観客は沸き立った。そこへチェーンソーが運びこまれ、美咲の解体ショーが始まらんとしていた。吊るし上げられた美咲だったが、隠し持っていたカミソリで縄を切ると、陰部に挿入していた拳銃を取り出しチェーンソーを構える男を射殺。観客は逃げ惑った。
黒川が美咲を背後から撃とうとした時、馬場が現れ彼女を守った。馬場こそヨセフだったと気付いた美咲は、馬場に撃たれた黒川を追い詰め「マキムラ」とは誰か問い詰めた。瀕死の黒川は無数のモニターに映し出される動画配信の視聴者らを指差すと、「本物はとっくの昔に死んだよ。今のマキムラは質の悪いファンタジーさ」と言い残し絶命した。
静子の腕に抱かれたエディは流れ弾に当たっており、「痛いよ、お母さん」と言い息絶えた。
事件が終息した後、妊娠した静子はベビー服を縫っていた。瑠璃は相変わらずパソコンを手放せない生活を送っており、昼間から寝転ぶ夫に「そろそろ職安行ってよね」と声を掛けた。失業し無気力になっている夫は、馬場であった。
この一件で昇進した美咲の元へ、またしてもヨセフと名乗る人物から電話があった。美咲が驚愕する様を監視する無数のモニターと視聴者達の先には、全裸でパソコンを開く瑠璃の姿があった。
映画『花と蛇 ZERO』の感想・評価・レビュー
半笑いでしか観ることのできないトンデモ展開・描写に反して、ラストのオチは非常に好みだった。
本作の主軸は刑事の美咲であり、遠山静子は従来の「主人公」という位置付けではなかった。また、最終的な黒幕として配置された瑠璃の存在感が大きい。馬場が裏で糸を引いていることは予想できたが、まさか彼が瑠璃の夫で、あまつさえ瑠璃が「マキムラ」の座に就くとは予想だにしなかった。
杉本彩版『花と蛇(2003)』で迫真の体当たり演技を鑑賞済みだからか、本作の美咲・静子・瑠璃の三人同時放尿はコメディにしか見えなかった。それ以外にも笑いどころ満載の映画である。(MIHOシネマ編集部)
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