12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『刑事物語』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『刑事物語』の概要:優しい見た目に反して蟷螂拳の名手である刑事片山は、ソープ嬢として働くろうあ者、ひさ子と出会い、彼女の身元引き受け人となった。異動先の沼津で未解決事件の捜査に当たる片山は、ひさ子と生活する内に特別な感情を抱いていく。

映画『刑事物語』の作品情報

刑事物語

製作年:1982年
上映時間:110分
ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
監督:渡邊祐介
キャスト:武田鉄矢、有賀久代、樹木希林、西田敏行 etc

映画『刑事物語』の登場人物(キャスト)

片山元(武田鉄矢)
博多生まれの情に厚い刑事。32歳。普段の柔らかい物腰とは裏腹に、悪党と対峙すると蟷螂拳を繰り出し、敵を圧倒する。博多で保護したソープ嬢、ひさ子に同情し、彼女の身元引き受け人となる。助っ人刑事として南沼津警察署へ異動し、三人の女性が殺害された未解決事件の捜査に参加する。
三沢ひさ子(有賀久代)
博多の違法性風俗店で働いていたソープ嬢。ろうあ者。片山の優しさに触れ、性風俗から離れたいと彼に助けを求める。片山と沼津で生活する内、自立した生活を望むようになる。
藤堂(小林昭二)
南沼津警察署刑事課一系の係長。片山に仕事を教え、共に捜査に当たる。
田沢(三上真一郎)
南沼津警察署刑事課一系に所属する刑事。片山に頼られ、トラブルに巻き込まれそうなひさ子の護衛に付く。
スミ(樹木希林)
刑事課庶務。高倉健の大ファン。新しく異動して来るまだ見ぬ片山の容姿に多大な期待を寄せていたが、彼の優しい見た目が高倉健と真逆で気を落とす。
工藤(花沢徳衛)
刑事であった片山の養父に何度も逮捕された結果、現在では改心し喫茶店を営んでいる元ヤクザ。片山の養父を恩人と慕っており、その息子にも協力を惜しまない。片山の頼みで、自立したいと願うひさ子を自身の店で働かせる。
村上努(田中邦衛)
片山とひさ子が引っ越したアパートの隣人。無口で表情に乏しく、廊下に佇み二人の動向を覗いたり、片山不在のひさ子の元へ忍び寄ったりと不穏な動きを見せる。

映画『刑事物語』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『刑事物語』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『刑事物語』のあらすじ【起】

七月十五日、博多。祇園山笠祭りの最中に、警察はヤクザが経営する違法営業の性風俗店「トルコ淀君」へ突入した。ソープ嬢らが半裸で逃げ惑う中、片山は、一人黙々と浴槽を洗う女性に署まで来るよう声を掛けた。三沢ひさ子と名乗ったその女性は、ろうあ者であった。彼女は片山の警察手帳を見るや、助けて下さいと泣き付いた。

連行された「トルコ淀君」の関係者達は警察署で取り調べを受けたが、違法性の決定的証拠は得られなかった。結果、警察の見込み捜査は問題だとしてバッシングを受け、新聞では「人権侵害」「またも勇み足」など不利な記事が掲載された。一方筆談でひさ子を取り調べた片山は、彼女の壮絶な生い立ちに同情し自ら身元引き受け人に名乗りを上げた。

「トルコ淀君」への突入から三日後、片山は沼津へ異動となった。彼の上司は、あくまで前向きな異動だと説明し片山を送り出した。片山はひさ子と共に寝台列車に乗り、静岡県を目指した。

静岡県沼津市。南沼津警察署では、博多からやって来る助っ人刑事への期待が高まっていた。刑事課庶務のスミなどは、博多で大暴れした強者ならきっと高倉健のような見た目だと浮ついていた。そこへ片山が到着し、刑事一系の面々は優しさ溢れる彼の見た目に非常に驚いた。

映画『刑事物語』を無料視聴できる動画配信サービスと方法
映画『刑事物語』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。

映画『刑事物語』のあらすじ【承】

署に到着した片山は、係長の藤堂から現在追っている事件を説明された。静岡県内では三つの組織暴力団が勢力争いをしており、どの組も麻薬と性風俗店を財源としている。そんな中、暴力団とは無関係と思われる女性達が売春の末殺害されるという事件が連続して三件発生していた。

一人目の被害者である内藤サチコは広島生まれの主婦で、夫が夜勤の時だけ売春行為をしていた。警察が動こうとした矢先、彼女はアパートの屋上から突き落とされて亡くなった。二人目の被害者である杉谷キョウコはバーに勤める19歳で、売春を行っていた小部屋で薬殺されていた。三人目の被害者、伊藤ミサキはモデルで、溺死に見せかけ絞殺されていた。検死の結果、彼女達は死ぬ間際の性交の回数が異常に多かったと判明した。

藤堂と共に事件の聞き込みを行った片山は、沼津港の食堂で田沢刑事や同僚と落ち合うと、三人の女性が売春していた曜日を並べると「月火木金土日」になると指摘。「水曜日があれば丁度一週間埋まるなあと思って」と思い付いたことを報告した。

銀行での人質事件発生の一報を受け、刑事一系の面々は現場へ向かった。裏口から侵入した片山は、興奮して銃を乱射する犯人、三木本伸吉を蟷螂拳の技で撃退すると、人質となっていた広重ナオコを保護した。

署で事情を聞かれたナオコは、元スタジオカメラマン助手だった三木本から声を掛けられヌードモデルをやっていたと証言。その内に「もっといい仕事があるから水曜日空いていないか」と聞かれたと言う。三木本を通して伊藤ミサキと知り合ったナオコだったが「もっといい仕事」の詳細を聞く前にミサキの水死体が上がり、怖くなって逃げようとしたと語った。

映画『刑事物語』のあらすじ【転】

食堂に入った片山は、地元で世話になった工藤のおじさんと再会した。ヤクザを辞め喫茶店を経営しているという工藤は、捜査に協力すると言った。

一人部屋で待つひさ子の背後に、隣人の村上が忍び寄っていた。丁度帰宅した片山は彼を追い出したが、ひさ子は、彼が何か伝えたかったのでは?と考えていた。日中ひさ子を一人にしておくのは心配だと思った片山は、ひさ子自身も自立したいと望んでいたため、工藤の喫茶店で働かせることを決めた。

喫茶店で働き始めたひさ子は、通勤途中の町工場で働く村上の姿を見掛けた。ひさ子はそれ以降、足しげく喫茶店に通って来る村上へ心を許していった。

署にいる片山の元へ、工藤が情報を持ってやって来た。地元のヤクザを追い出された輩から妙な電話が掛かってきたというのだ。沼津に陣取る三つの暴力団は、最近では軒並み素人娘を扱った商売をしており、薬漬けにした女性達へレンタカーのように貸出し料を付けて儲けているという。

一方の三木本は、3ヶ月程前に名前を告げない男から電話を受け、素人モデルの斡旋を依頼されたという。彼に拳銃を渡したのも依頼主の男であり、藤堂は一般人に薬を投与しソープ嬢に仕立て上げる黒幕の存在を危惧した。

「トルコ徳川」の「さつきの間」で素人のような女と遊べるという噂を耳にした警察は、張り込みの末ガサ入れを行った。しかし、警察を恐れ逃げ出した男、漁誠一が足を滑らせビルから転落死してしまい、警察へは批判が殺到した。漁は、白美社というクリーニング屋に勤務していた。刑事一系は白美社の社長、秋吉一人に証言を求め、漁と交流の深かった者を紹介してもらった。しかし、署へ赴いた漁の三人の友人達は有力な情報を語らなかった。

その夜、ひさ子と散歩に出た片山は、彼女から「他に好きな人がいます」と打ち明けられひどく落ち込んだ。

映画『刑事物語』の結末・ラスト(ネタバレ)

工藤と酒を酌み交わした片山は、ひさ子は売春組織に目を付けられた結果脅され、片山と引き離すため「好きな人がいる」と嘘を吐かされているのではないかと彼に言われ不安を覚えた。その帰り道、片山は三人組の男に「女を置いて出て行け」と恫喝された上襲われ重傷を負った。

ひさ子に看病される片山の元へ駆け付けた田沢は、漁や三木本と同じように、誰かから指示を受けた男達に襲われた片山の状況を知り困惑した。片山は、標的となったひさ子の張り込みを願い出、田沢と共に警護へ当たった。

ひさ子の張り込みを行う片山と田沢の元に、藤堂から、かつて内藤サチコが売春容疑で捕まっていたとの連絡が入った。内藤が広島時代に働いていたブティックの女主人は、白美社社長、秋吉の内縁の妻だという。藤堂は、秋吉が内藤の弱みを握り売春組織へ引きずり込んだのではないかと睨んでいた。その連絡を受けた二人の目の前には白美社の車が停車しており、ひさ子は彼らの目の前で誘拐されてしまった。

片山と田沢は、ひさ子を助けるため白美社の工場へ向かった。売春の片棒を担ぐ大勢の従業員達が二人の前に立ちはだかったが、片山の蟷螂拳により一網打尽となった。片山は秋吉を追い詰め、遂に逮捕した。工場の奥には、ひさ子の他にも数人の女達が押し込まれていた。

この一件で片山は青森へ異動となった。刑事課長の九鬼は、感謝状付きの異動をする片山へ「威張って行ってくれたまえ」と声を掛けた。そこへ、入れ替わりで北海道警から異動して来た三上英次が到着した。スミは高倉健と瓜二つの彼を見て色めき立った。

署から出た片山を迎えたひさ子は、隣人の村上を紹介した。彼もまたひさ子と同じくろうあ者であった。二人で生きていきたいと必死に語ろうとするひさ子と村上の気持ちを受け入れた片山は、涙を流しながら一人青森へと旅立った。

映画『刑事物語』の感想・評価・レビュー

1時間49分の上映時間を、ノンストップで集中して観られる作品だった。ひさ子はどんな人生を歩むのだろうか、片山はどんな手段で事件を解決してくれるだろうかという興味が掻き立てられた。

武田鉄矢の教員ぶった態度やわざとらしい演技は好きではないが、この映画の「片山」という登場人物は、そうした先入観を持っていても真っすぐに見ていられる人物だった。

何より我らがおやっさん・小林昭二が主人公の世話役で出演しているのが目頭を熱くさせた。久しぶりに若者の面倒を見るおやっさんを観られて満足である。(MIHOシネマ編集部)


武田鉄矢というと『金八先生』のイメージが強すぎて、正義感の強い先生と言ったキャラクターの印象がついて回ってしまいますが、今作は結構ヘビーなストーリーでドキドキしながら見られました。
メインとなる事件がかなり重めで、ソープ嬢という始まりに驚きましたが、その後の展開の方が遥かにハードでした。
今の時代にはそぐわない表現や描写もありますが、あまり細かいことを気にせずに、当時を懐かしみながら見るのが良いでしょう。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー