映画『MILK(ミルク)』の概要:1970年代のアメリカでゲイであることを公表して、初の公職に就いた実在の人物、ハーヴィー・ミルクの人生を描いた作品です。
映画『MILK(ミルク)』 作品情報
- 製作年:2008年
- 上映時間:128分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ガス・ヴァン・サント
- キャスト:ショーン・ペン、ジェームズ・フランコ、ジョシュ・ブローリン、エミール・ハーシュ etc
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映画『MILK(ミルク)』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『MILK(ミルク)』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『MILK(ミルク)』のあらすじを紹介します。
1970年代のアメリカ、ゲイであるという事が市民権を得ていなかった時代。NYで保険会社に勤めながら、ゲイであることを隠していたハーヴィー・ミルクは後にパートナーとなるスコットと恋に落ち、カルフォルニアへ移住し生活を始める。そこで同じような同性愛者の人々と共にゲイのコミュニティを作り、同性愛を差別する社会や企業の視線に不買運動などで対抗を始めていく。そんな中で、ミルクはNYに住んでいた時とは異なり、自らゲイであることを公表して公職に就くことで同性愛者や様々な人々の権利を獲得しようと行動を始める。しかし、それは同性愛者差別が根強く残るアメリカでは非常に困難な物であった。異民族や異人種、高齢者、児童、様々な少数派であり、弱者とされる人々の権利を獲得するためにミルクは何度も選挙に挑む。
少しずつ成果が見え始め、公職に就いたミルク。しかし、同性愛者への差別に傷ついた人や、州により異なる同性愛への意識。その全てを変えることは出来ない。しかし、それでもミルクは活動を続けていく中で、彼の事を危険に感じる人物も出始める。パートナーとの溝や、同性愛者が公職に就くことを禁じるという理不尽な法律や法律を推進する人々の「常識」という様々な問題に対してミルクは活動を続けていくのだが…。
映画『MILK(ミルク)』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『MILK(ミルク)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
差別という「常識」
昨今ではアメリカにおいても同性愛者同士の結婚が認められ、日本の中でもそれを見習おうとする運動が起きています。日本よりも同性愛への理解が進んでいるといわれるアメリカにおいても、理解がされていない時代がありました。この映画で描かれているのは、そんな理解がされていなかった時代に、少しずつ理解を広めていったミルクの物語です。同性愛者であることが異常だという視線にさらされ、実の両親からも理解してもらえない同性愛者の少年や、同性愛を理解してもらうという運動に対して諦めから無気力になってしまう若者といった、それぞれの苦悩が描かれています。
そんな中で、物語の中では一方的な差別を受け、迫害されるのではなく、デモや政治的な運動として、同性愛者や様々な弱者とされている人々の権利を得ていこうとします。映画の中で、同性愛者が教師に就くことを禁じる法律に関して、討論会に参加するのですが、そこで同性愛に対して差別的政治家や人々の意見が描かれます。一人の人間としての生き方を、否定することを当たり前だと考える多数の人々や、自分が同性愛者や弱者ではないと考える多数派の人々。そんな人々の「常識」というものが、差別を起こし、同性愛者として、一人の人間として生きている人々の生活や生き方を狭め、苦しめる物になっていきます。映画は同性愛者差別だけではなく、黒人であること、アジア人であること、高齢者や児童、低所得の労働者、障害者、といった弱者とされる人々全ての為に立ち上がるミルクの姿が描かれています。
権利を求めるすべての人々が多数派の人々と同じように、生きる権利や希望を求め、それを手に入れることを肯定している物語です。自分が多数派だと考えるすべての人々に対して、自分が少数派の人々と変わらない人間であること、少数派の人々の権利を否定してよいわけではないという「常識」を持つ必要を感じる作品です。
実在した人物、ミルク
この映画の主人公であるミルクは実在の人物です。映画の中で行われる運動も事実に即したものであり、ミルクが行うスピーチも実際に行われたものです。だからこそ、彼の言葉には映画の中の台詞という意味を超えて、差別に対して立ち向かう言葉、差別を受けている人々へ向けての言葉という強いエネルギーを感じます。その様な言葉の数々は、何十年も経った現代で映画の中で投げかけられても色あせないエネルギーを感じます。
映画『MILK(ミルク)』 まとめ
この映画は実在の人物を描いた作品です、だから良いことも悪いことも実際に起きた出来事。そして扱う問題は差別という極めて深刻であり、身近な問題です。だからこそ、良いことが現在のアメリカや日本に繋がっていることや、悪いことが未だに残っている問事実を考え、それに向き合う必要を感じます。映画というものを娯楽という観点だけではなく、その様な問題を伝えるための作品としても楽しむことが出来ました。
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