12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『仕立て屋の恋』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『仕立て屋の恋』の概要:隣人女性に恋し、彼女の部屋を覗き見する仕立て屋が近所で発生した殺人事件に巻き込まれる姿を描いたミステリー作品。フランスの名匠パトリス・ルコントがメガホンを握り、日本でもロングランヒットを記録した。

映画『仕立て屋の恋』の作品情報

仕立て屋の恋

製作年:1989年
上映時間: 80分
ジャンル:ラブストーリー、サスペンス
監督:パトリス・ルコント
キャスト:ミシェル・ブラン、サンドリーヌ・ボネール、リュック・テュイリエ、アンドレ・ウィルム etc

映画『仕立て屋の恋』の登場人物(キャスト)

イール(ミシェル・ブラン)
冴えない仕立て屋の男。非社交的で偏屈な性格をしているために近所から嫌われている。毎夜のように隣人のアリスの部屋を覗き見している。
アリス(サンドリーヌ・ボネール)
イールの同じアパートに引っ越してきた美人女性。イールの部屋とは窓が向かい合っている。覗き見をされていることに気付き、イールに近づこうとする。
エミール(リュック・テュイリエ)
アリスの恋人で、アリスが溺愛している。頻繁にアリスの部屋に出入りをしており、唐突にアリスにプロポーズする。

映画『仕立て屋の恋』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『仕立て屋の恋』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『仕立て屋の恋』のあらすじ【起】

空き地で殺害された女性の遺体が発見され、刑事が遺留品を調べて捜査に乗り出す。刑事がイールの店にやって来て、なぜ人から嫌われているのかを尋ねる。イールは自分が社交的でなく、他人と関わらないだけだと説明する。アパートに戻ったイールは向かいの部屋に暮らすアリスの様子を覗き見する。

アリスは橋のたもとでエミールと落ち合い、抱擁を交わす。家に戻ったアリスはベッドの上でくつろぐが、その様子もイールに見られていた。朝になりイールは店に向かうが、途中で子供のいたずらに遭う。店でイールは飼育しているハツカネズミを可愛がり、死んでしまった一匹を布で包んで川に投げ入れる。エミールはアリスに結婚したいと告げるが、アリスは無理して言っていると感じる。

刑事は犯人の後ろ姿を目撃したタクシー運転手に確認させるために、イールを何度も走らせる。しかし、運転手はイールが犯人か確信を持てずに終わる。アリスは雷でイールの顔が照らし出されるのを見て、自分が覗き見されていたことに気付いてしまう。

映画『仕立て屋の恋』を無料視聴できる動画配信サービスと方法
映画『仕立て屋の恋』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。

映画『仕立て屋の恋』のあらすじ【承】

イールはボウリング場でストライクを連発し、その場にいた人々の喝采を浴びる。イールはそれで報酬を得ていた。刑事はイールに猥褻罪での前科があることを掴む。アリスはアパートに戻ってきたイールの前で大量のトマトを落とし、注意を引こうとする。しかし、イールは何も言わずに部屋に入ってしまう。

イールは娼婦に会い、他愛のない会話をする。しかし、娼婦と関係を持つことだけは避ける。イールの部屋のドアをアリスがノックするが、イールはそれを無視する。アリスとエミールはスケートに出掛ける。アリスのことを尾行していたイールはスケート場で転倒してしまう。

のぞき見をしていたイールはアイロン掛けをしていたアリスと目が合ってしまう。アリスはベランダに出て来て、イールを挑発する。そしてアリスはイールの部屋に入って来る。イールは自分が不審者ではないと告げ、アリスは窓の眺めを確認する。アリスは見られるのは嬉しいと言ってみせ、どの位の頻度で覗いていたのかを聞き出そうとする。しかし、イールは途中でアリスを追い出してしまう。

映画『仕立て屋の恋』のあらすじ【転】

アリスはエミールに会い、結婚を迫る。エミールは渋り、刑事が訪ねて来たことを打ち明ける。刑事がイールの部屋にやって来て、事件現場に残されていたマフラーを見せる。イールは部屋からマフラーを出してきて、自分のものではないことを示す。刑事は玄関口に手紙が届いていることを知らせる。手紙はアリスからで、謝罪とランチの誘いについて書かれていた。

イールはアリスとの待ち合わせ場所に現れる。2人は食事を取り、イールはローザンヌに家を所有していることなどを話す。2人は展望台に行き、景色を楽しむ。そこでイールはアリスになぜ自分に近づいて来たのかを問い詰める。イールは殺人事件が起きた夜も覗き見をしており、エミールが血に染まったコートを隠すためにやってアリスの部屋に来たのを目撃したことを明かす。

イールはアリスが引っ越してきてから目を離せなくなり、娼婦とも関係を持たなくなったことを打ち明ける。そして愛を告白する。だからイールはアリスが共犯になることを恐れてエミールのことを警察に通報しなかったのだ。

映画『仕立て屋の恋』の結末・ラスト(ネタバレ)

アリスはエミールとボクシング観戦に向かい、イールもついて行く。イールはアリスに近づくとアリスの服の中に指を入れて身体に触れる。エミールは刑事が会場に来ていることに気付き、走り出す。アリスは一緒に連れて行くように頼むが、エミールは一人で逃げてしまう。イールは自分と一緒になるようにアリスを口説き、電車の切符を渡す。

イールはロッカーの鍵を入れた手紙を郵送し、ハツカネズミを逃がして旅支度をする。そして駅でアリスを待つが、アリスが現れることはなかった。仕方なくイールが部屋に戻ると、そこには刑事とアリスがいた。刑事はアリスの密告で、イールの部屋から女性のバッグを見付けたと告げる。イールはアリスに恨んでいないと告げ、その場を飛び出す。イールは屋上から屋根伝いに逃げようとするが、足を滑らせて転落死してしまう。

刑事の元にイールの手紙が届き、ロッカーから血に染まったコートが出てくる。エミールが捨てたのをイールが拾っていたのだ。手紙には、アリスと共に姿を消すので捜さないでくれと書かれていた。

映画『仕立て屋の恋』の感想・評価・レビュー

一筋縄ではいかない人間の屈折した感情が描かれた恋愛ミステリーの傑作。イールの変態趣味やアリスの裏切りなど、いずれの行動にも道義的には問題を感じるのだが、なぜかそれぞれの行動に理解を示し、感情移入してしまう。上映時間が80分とこぢんまりとしており、物語のエッセンスが凝縮されていて無駄がない。静かなか語り口とマイケル・ナイマンの珠玉の音楽が格調高い雰囲気を作り出している。(MIHOシネマ編集部)


鳥肌が立つようなまさかの展開で、誰を信じれば良いのか、何を真実だと思えば良いのか分からなくなるような作品でした。
隣人の生活を覗き見るなんて許される行動では無いのですが、その行為に幸せを感じていたイールが可哀想に思えてしまうほどアリスの魔性な部分に驚かされました。
見られているのを分かっていてあんなことをしていたのだと思うと、人間の怖さや危うさを感じます。
短く纏まっているのでとても見やすい作品でした。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー