映画『サンキュー・スモーキング』の概要:タバコ業界のロビイストが道徳観を無視してタバコのPRに奔走する姿を描いた風刺コメディ。ジェイソン・ライトマン監督の長編デビュー作にあたる。脚本もライトマンが手掛け、インデペンデント・スピリット賞に輝いた。
映画『サンキュー・スモーキング』の作品情報
上映時間:93分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ジェイソン・ライトマン
キャスト:アーロン・エッカート、マリア・ベロ、デヴィッド・ケックナー、キャメロン・ブライト etc
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映画『サンキュー・スモーキング』の登場人物(キャスト)
- ニック・ネイラー(アーロン・エッカート)
- タバコ業界のロビイスト。巧みな話術を武器にタバコ業界の広告マンとして情報操作を行っている。ロビイスト仲間と情報交換を行っている。
- ヘザー・ホロウェイ(ケイティ・ホームズ)
- ワシントンの新聞記者。ニックのことを取材するために、セクシーな魅力を振りまいてニックに近づく。
- フィニスター(シャバナ・バフシュ)
- バーモント州選出の上院議員。タバコ業界を敵視していて、タバコのパッケージにドクロ・マークを印刷するためのキャンペーンを展開している。
- ジョーイ(キャメロン・ブライト)
- ニックの息子。両親の離婚により、普段は母親と暮らしている。ニックの仕事を知るためにニックのハリウッド出張に同行する。
映画『サンキュー・スモーキング』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『サンキュー・スモーキング』のあらすじ【起】
ニックはタバコで癌になった少年や保健福祉省の職員と一緒にテレビのパネル番組に登壇する。そして、未成年の喫煙撲滅のために5000万ドルのキャンペーンを行うと表明して、保健福祉省の職員を言いくるめる。しかし、ニックは上司から激怒される。
ニックはジョーイの学校で親の仕事を説明する授業に参加する。ニックは子供達の前でロビイストの仕事について説明し、人の説明を鵜呑みにせずに自分で判断することが大切だと語る。ニックは毎週、アルコールや銃器のロビイストと集まって会食をしていた。3人は冗談を言いながら、助言を与え合う関係でもあった。
ジョーイの宿題の相談に乗っていたニックはテレビに映っていた古い映画を観て、新たな広報戦略を思い付く。一方、フィニスター議員はタバコのパッケージにドクロ・マークを印刷させるための活動をしていた。ニックはフィニスター議員に対抗するため、上司にかつてのように映画で大スターにタバコを吸わせるように提案する。そして上司からタバコ業界の重鎮に会いに行くように言われる。
映画『サンキュー・スモーキング』のあらすじ【承】
ニックは重鎮に会い、上司が映画のアイデアを盗んで売り込んでいたことを知る。重鎮はニックにハリウッドに飛んでお膳立てをするように命じる。一方、フィニスター議員は保健福祉省の職員の失態を叱りつける。
息子に自分の仕事を知ってもらいたいニックはハリウッドにジョーイを連れて行こうと思いつき、元妻に相談する。ニックはヘザーから取材を受けることをロビイスト仲間に相談し、ヘザーに注意するように警告される。取材で饒舌になったニックはヘザーにオフレコでローン支払いのために仕事をしていると話す。ヘザーはニックのアパートを見たがり、2人はそこで関係を持つ。
ニックはジョーイを連れてハリウッドに飛び、ハリウッドの凄腕プロデューサーに会う。プロデューサーは有名俳優を使って宇宙でタバコを吸うシーンを盛り込むことを提案し、ニックを感心させる。ニックはジョーイに対し、ロビイストの仕事に就くには柔軟な道徳観念が必要だと説明する。ニックの元に重鎮から大金が届けられる。そして、かつてタバコの広告塔をしていて肺癌になった男の買収を頼まれる。
映画『サンキュー・スモーキング』のあらすじ【転】
ニックはジョーイを連れて広告塔の男に会いに行く。男はタバコ業界への怒りに満ちていた。ニックはそれでもひるまず、本人の目の前で大金をばらまき、巧みな心理作戦で男にお金を受け取らせる。ジョーイはその様子をこっそり見守る。ニックはフィニスター議員とテレビに出演する。しかし、そこに視聴者から電話があり、ニックのことを殺すと脅迫を受けてしまう。
ニックとジョーイは帰宅し、ニックはヘザーに会いに行く。そしてハリウッドでの出来事を全て話してしまう。ニックは命の脅迫を受けたことで、ロビイスト仲間とどの業界の死者数が一番多いかを競って議論となる。日中に通りを歩いていたニックは突然バンの中に押し込められ、拉致される。そして全身にニコチンパッチを貼られてしまう。
ニックが目覚めると病院の中だった。ニックはリンカーン像の上に置き去りにさられていたのだ。ニックは命が助かったものの二度とタバコを吸えないと宣告される。ニックは被害者のイメージを使い、更にタバコのプロモーションに力を入れる。
映画『サンキュー・スモーキング』の結末・ラスト(ネタバレ)
ヘザーの記事が新聞に掲載される。そこにはロビイスト仲間との会話から広告塔の買収に至まで全ての情報が書かれていた。ニックはヘザーに完全に利用されていたことに気付く。ニックは解雇され、ハリウッドの企画も完全に流れる。
落ち込んでいたニックの元にジョーイが励ましに現れる。ジョーイの言葉にやる気を取り戻したニックはロビイスト仲間に会って謝罪をする。ニックはマスコミの前でヘザーの性愛の罠にはまったと話し、フィニスター議員に向けて挑発的な発言をする。その結果、ニックはドクロ・マークのパッケージに関する公聴会に呼ばれる。
ニックはフィニスター議員の地元バーモント州のチェダーチーズの方がタバコより健康への悪影響が大きいと言いくるめる。そして、タバコの危険性を伝えるのはパッケージではなく教育の役割だと主張し、個人の選択の自由を尊重すべきだと訴える。上司は大喜びでニックを復職させようとするが、ニックは申し出を断る。その代わりに自らの広報会社を設立し、今度は携帯電話業界のために活動を始める。
映画『サンキュー・スモーキング』の感想・評価・レビュー
ジェイソン・ライトマン監督作品には一般の感覚からずれたキャラクターを主人公にしたものが多く、そこが大きな魅力になっている。今作のニックも道徳観が歪んでいながらも憎めないキャラクターに仕上がっている。ライトマン監督がインタビューで作品を通して主人公が成長しない物語に惹かれると語っているのを聞いたことがあるが、まさにニックも最後までロビイストとしての道を突き進んでいるところが頼もしい。(MIHOシネマ編集部)
タバコ業界の広告マンの話かあ…と全く期待せずに鑑賞しましたが、正直めちゃくちゃ面白いです。ニックの話術にかかれば、タバコが魅力的に感じてしまうし、身体に悪いなんて嘘なのかもと、すっかり巧みなテクニックに騙されてしまいました。
しかし、嘘は言っていなくて、彼は真実の良い部分を切り取って、絶妙なニュアンスで話しているんですよね。だから、面白いんです。
こんな広告マンがいたら、タバコじゃなくてもヒットするだろうなと思いましたが、批判的な意見も多いタバコをテーマにしたからこそ、楽しめる作品になったのかも知れません。(女性 30代)
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