この記事では、映画『ミッドサマー』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ミッドサマー』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ミッドサマー』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2019年 |
---|---|
上映時間 | 147分 |
ジャンル | サスペンス ホラー ドラマ |
監督 | アリ・アスター |
キャスト | フローレンス・ピュー ジャック・レイナー ウィル・ポールター ウィリアム・ジャクソン・ハーパー |
製作国 | アメリカ スウェーデン |
映画『ミッドサマー』の登場人物(キャスト)
- ダニー・アーダー(フローレンス・ピュー)
- 心理学を学ぶ大学生。クリスチャンの恋人。妹が両親を巻き込み、一酸化炭素中毒の無理心中を図ったばかり。気分転換にクリスチャンたちのスウェーデン旅行に同行する。パニック障害で抗不安剤を服用している。
- クリスチャン・ヒューズ(ジャック・レイナー)
- ダニーの恋人で民俗学を専攻。精神不安定なダニーを心配して寄り添っているが、ホルガ村に着くとダニーそっちのけで、村の研究に夢中になる。村人のマヤから異常なアプローチを受ける。
- ジョシュ(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)
- クリスチャンの友人で人類学を専攻。留学生のペレからホルガ村の夏至祭に招待され、卒業論文のテーマにしようと熱心に取材する。いつもメモを取っている。
- マーク(ウィル・ポールター)
- クリスチャンの友人で、酒とドラッグと女好き。酔っぱらってホルガ村の神木に立ち小便をし、村人の怒りを買う。
- ペレ(ヴィルヘルム・ブロングレン)
- ダニーの大学に留学しているホルガ村出身の大学生。クリスチャンたちをホルガ村の夏至祭に招く。
- ダン(ビョルン・アンドレセン)
- ホルガ村の老人。夏至祭の重要な儀式に選ばれ、住民たちが見守る中、崖の上から飛び降りる。
- マヤ(イサベル・グリル)
- ホルガ村の若い女性。クリスチャンとのある目的を達成させるため、愛情ルーン文字の木彫りを寝床に隠したり、自分の陰毛を混ぜたパイや、生理の血を混ぜたドリンクを与える。
映画『ミッドサマー』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ミッドサマー』のあらすじ【起】
ある冬の日、家族と離れて暮らす大学生のダニーは、妹のテリーと連絡がつかないことを心配する。妹は車の排気ガスを自室に送り込み、寝室の両親も巻き込む無理心中を図っていた。訃報を聞いたダニーは、恋人のクリスチャンの胸で号泣する。
季節は夏に変わり、クリスチャン、友人のジョシュ、マークはスウェーデン人留学生ペレの誘いで、90年に一度開催されるという夏至祭に行くことになり、ダニーも同行することになった。
スウェーデンの空港に到着後、車で4時間走り、人里離れたホルガ村に到着した。ペレは村の手前の草原で、幼馴染みのイングマールと再会する。彼はロンドンから、カップルのサイモンとコニーを連れて来ていた。皆でハッパをキメていると、ダニーは草木と自分の体が一体となる幻覚症状で精神不安定となり、林の中で気絶する。数時間後に目覚めると、日付は翌日となっていたが、白夜のため空は明るかった。
ホルガ村の集落に着くと、住民は同じような白い衣装を着て、共同生活をしていた。誰もが満面の笑顔で旅人たちを歓迎する。長老の男はペレに、見る目があると褒め称えた。
映画『ミッドサマー』のあらすじ【承】
村の広場に住民が集まり、これから9日間続く夏至祭の始まりを祝って乾杯した。老人の男女2人が松明を天に向けて掲げる儀式をした後、村人たちは手をつないで長い列を作り、奇妙な民族音楽で広場を駆け回った。
クリスチャンたちはペレの案内で、村の中を散策する。村には独自のルーン文字があること、黄色い三角の神殿には近づいてはいけないなどの説明に、ジョシュは卒論のテーマにするため熱心にメモに取った。ペレは檻に入った熊の存在をスルーし、彼らを宿舎に案内する。建物の片隅には、奇妙なラブストーリーが描かれたタペストリが掛かっていた。
宿舎となる講堂は男女共用で間仕切りもなく、壁には様々な絵が描かれていた。ペレはホルガの村人は、18歳から36歳までは巡礼の旅に行き、54歳までは労働し、72歳で人生の師となるのだと説明した。
翌朝、昨日の老人の男女が三角の神殿から現れ、乾杯の後、崖の上へ運ばれた。村人たちが見守る中、まず老女が崖の上から身を投げた。続いて、白い髭の老人も飛び降りるが、足から落ちたため死ねずに苦しむ。村人も苦しむ真似をする中、大男がハンマーで老人の頭部を潰して絶命させる。サイモンとコニーは「異常だ!」と、静寂な雰囲気を壊す大声で喚き散らした。
映画『ミッドサマー』のあらすじ【転】
クリスチャンは村への関心が高まり、卒論のテーマにしようと考えるが、ジョシュから真似するなんて無神経だと非難される。老人の遺体は火葬され、灰は神木の周辺に撒かれた。村人のマヤはクリスチャンの寝床に、愛情ルーン文字を彫った木片を置く。マークは広場の神木に立ち小便をしてしまい、村人の怒りを買った。コニーは村を出ようとしたが、サイモンが先に出て行ったと聞かされ、不審に思う。
ダニーは村人たちと一緒に、ミートパイ作りを手伝った。ジョシュは長老からルーン語の聖書ルビ・ラダーを見せてもらい、写真を撮りたいと願うが断られる。夕食の時間、コニーとサイモンの姿はなかった。全員にミートパイが配られるが、クリスチャンのパイには陰毛が含まれていた。マークは若い女性に呼び出され、姿を消してしまう。
その夜、ジョシュは聖書を写真に収めたいという欲求を抑えられず、建物に忍び込んだ。そこへマークらしき男が現れる。しかしそれは、「皮剥ぎの刑」に遭ったマークの皮を被った別人だった。その直後、ジョシュは背後から撲殺される。
翌朝、ダニーは白い衣装に着替え、特製のお茶を飲み、村の女たちと円陣を組んで踊り始めた。激しい踊りで周りの女たちは次々と脱落し、ダニーが最後の一人に残る。これによって、彼女が次期女王になることが決定し、花の王冠が授与された。宴が開かれた後、彼女は女王の儀式のため馬車に乗った。
映画『ミッドサマー』の結末・ラスト(ネタバレ)
一方、離れの建物に呼ばれたクリスチャンは、長老からマヤとの性交を認めると宣告され、強壮剤を飲まされる。聖堂では全裸のマヤが、股を開いてクリスチャンを待っていた。全裸の女たちが取り囲む中、クリスチャンはマヤとの性交を開始。マヤの喘ぎ声に合わせるように、女たちは大きな喘ぎ声を出した。ダニーはその様子を目撃してパニック障害を起こすが、侍女たちが慰めるように、呼吸を合わせて泣き叫んだ。
性交の儀式を終えたクリスチャンは、別の小屋に逃げ込んだ。そこで、片足が埋もれたジョシュ、肺を取り出されて目に花を挿されたサイモンを発見。その直後、クリスチャンは毒を嗅がされて気絶する。
最後の儀式が始まった。ダニーは花のドレスで上座に座る。夏至祭で捧げられるのは9つの命であり、2人の老人、サイモン、ロニー、マーク、ジョシュがすでに生贄となった。残る3名のうちに2名は、村人の志願者に決定。残りの1名を女王が選ぶことになり、クリスチャンと村人の二択で、ダニーはクリスチャンを選んだ。ペレは新たな血と女王と、捧げ者を多く届けたとして、村人から称賛される。
神経が麻痺しているクリスチャンは、熊の皮を着せられて神殿に入れられた後、他の8人と一緒に燃やされた。ダニーは燃え盛る炎を眺めながら、薄っすらと笑顔を浮かべるのだった。
映画『ミッドサマー』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
太陽が沈まない白夜の村で、じわじわと進行していく狂気にゾッとしました。ホラー映画なのに全編が明るいのが逆に不気味で、安心感が一切ありません。ラストでダニーが“メイクイーン”として微笑むシーンは、一見ハッピーエンドのようでありながら、その裏にある彼女の精神崩壊を感じてゾッとします。映像美と精神的な恐怖が絶妙に融合した傑作。(20代 男性)
映像がとにかく綺麗で、夢の中にいるような感覚になりました。でも、そこで行われる儀式のひとつひとつがどれも異常で、そのギャップに頭が混乱します。特に“崖からの投身”の儀式には衝撃を受けました。あんなに明るいのにずっと怖い。終盤、ダニーがクリスチャンを“選ばない”ことで初めて自分を取り戻す様子に、解放感と不安が同時に押し寄せました。(30代 女性)
ダニーの精神状態が環境とともに変化していく描写が非常に繊細でした。家族を失った彼女が、共感と一体化を重視するこの村で“癒やし”を得るという皮肉が効いていて恐ろしい。特に、村人全員で感情を共有する場面は、恐怖と感動の境界線が曖昧になる演出で印象的でした。最初から最後まで、心がざわつきっぱなしの作品です。(40代 男性)
『ミッドサマー』はホラーの概念を覆す異色作だと思います。ダニーが恋人との関係に疲れ果て、村の共同体の中で“受け入れられていく”過程は、実は癒しであり恐怖。終盤、クリスチャンが熊の中に詰められる場面には、怒りと安堵、そして違和感が一気に押し寄せてきました。あのラストシーンの“微笑み”に込められた感情の多層性に震えます。(30代 男性)
アリ・アスター監督の前作『ヘレディタリー』とはまた違った方向で、心理的な恐怖が強かった。最初は白い服に花、儀式の歌と踊りなど、美しい世界観に魅了されるけど、その裏で行われていることはとんでもない狂気。クリスチャンの最期は因果応報のように見えて、でもその感情すら操作されているようで怖かったです。宗教と集団心理の怖さを再認識しました。(40代 女性)
ホラーというより、心理ドラマとして観た方がしっくりくる。ダニーはただ怯えているだけのヒロインではなく、少しずつ変化し、最終的には“選ぶ側”に回る。村の奇習が極端すぎて現実味がないはずなのに、どこかで現代社会の孤独ともつながっていて、妙に納得してしまう自分がいました。美術や衣装、音楽すべてが芸術的で、ただの恐怖映画では終わらない深さがあります。(20代 女性)
彼氏との関係に疲れ果てていたダニーが、異様な村で「自分を大切にしてくれる存在」を見つけていく過程が、恐ろしくも共感できました。表面的には“怖い村”だけど、実は現代社会の冷たさの方が残酷なのかもしれないと思わされる内容です。何よりも最後、あの“微笑み”が美しくも不気味で、何とも言えない余韻が残る…。心の中にじわじわ侵食してくる映画です。(30代 女性)
正直、序盤は退屈かなと思ったけど、中盤から一気に引き込まれました。儀式が始まってからの緊張感と異様さは本当にすごい。明るく美しい世界で、こんなに不穏な物語が展開するというギャップにやられました。終盤の展開も想像を超えていて、何ともいえない快感すら覚えるエンディング。アートと恐怖の融合が見事な作品でした。(20代 男性)
私はホラーが苦手だけど、『ミッドサマー』は不思議と最後まで観られました。怖さの種類が“驚かされる”ではなく、“居心地の悪さ”なので、むしろじわじわと心に迫ってくる感じ。主人公が抱える喪失感と孤独が痛いほど伝わってきて、だからこそあの村にすがりたくなる気持ちも理解できてしまう。とても危うくて、美しい映画です。(50代 女性)
この映画、解釈が何通りもあって本当に面白い。ダニーは被害者なのか加害者なのか、それとも“新しい自分”を見つけただけなのか…。熊に詰められる男、花まみれの女王、焼かれる信者たち…全てが象徴的すぎて、何度も観返したくなります。アートホラーというより、ある種の宗教体験に近い。映画というより儀式を見た気分になりました。(40代 男性)
映画『ミッドサマー』を見た人におすすめの映画5選
ヘレディタリー/継承
この映画を一言で表すと?
家族の“喪失”と“呪い”が交錯する、静かな絶望に満ちた心理ホラー。
どんな話?
祖母の死をきっかけに一家に次々と不幸が訪れる中、母アニーは一族に秘められた邪悪な秘密と対峙していく。家族という閉じられた空間の中で徐々に壊れていく精神の恐怖が描かれる。監督は『ミッドサマー』と同じアリ・アスター。
ここがおすすめ!
不気味な映像美、圧倒的な演技力、静かに積み上げられる不安感が『ミッドサマー』と共通。アリ・アスター監督の特異な演出と、家族関係をベースにした恐怖の描き方に惹かれた方にぜひおすすめしたい1本。
ウィッカーマン(1973年)
この映画を一言で表すと?
異文化の“常識”に侵食される、伝説のフォークホラー。
どんな話?
行方不明の少女を探して孤島を訪れた警官が、そこで出会った異様な風習を持つ村人たちの奇習に翻弄されていく。見えない恐怖と、文化の衝突を描いた70年代ホラーの金字塔。
ここがおすすめ!
『ミッドサマー』のルーツとも言える作品で、閉鎖的なコミュニティや異常な祭儀など、共通点が多数。明るい光の中に潜む恐怖というフォークホラーの醍醐味を知るなら、まずはこの作品から。
ローズマリーの赤ちゃん
この映画を一言で表すと?
妊娠をめぐる不安が、じわじわと恐怖に変わる妄想系ホラーの傑作。
どんな話?
新居に引っ越してきた若い夫婦。妊娠した妻ローズマリーは、隣人たちの過剰な関心や夫の不可解な言動に不信感を募らせていく。次第に妊娠そのものが悪夢に変わっていく恐怖が描かれる。
ここがおすすめ!
女性が精神的に追い込まれていく過程や、周囲の人間が信じられなくなる心理ホラーの構造は『ミッドサマー』に非常に近い。社会的メッセージと巧妙な脚本も魅力のクラシック名作。
サスペリア(2018年リメイク版)
この映画を一言で表すと?
芸術と狂気が融合した、グロテスクで美しい儀式のダンスホラー。
どんな話?
ドイツの舞踏団に入団したアメリカ人女性が、練習中に同僚が失踪したことをきっかけに、教団的な儀式と恐怖の真相に迫っていく。宗教性・ジェンダー・政治的要素を織り交ぜた重厚な構成。
ここがおすすめ!
ヴィジュアルと音楽による不安定な世界観、支配と解放というテーマなど『ミッドサマー』との親和性が高い。原作とは異なる哲学的深みがあり、観終わった後に考察が止まらないタイプの映画。
アンダー・ザ・シルバーレイク
この映画を一言で表すと?
陰謀、暗号、メディアに満ちたLAの迷宮をさまよう不条理ミステリー。
どんな話?
失踪した隣人女性を探す青年が、ロサンゼルスの闇に潜む謎めいた陰謀へと足を踏み入れていく。オカルト、都市伝説、ポップカルチャーが交錯する、夢と現の境界が曖昧なミステリー作品。
ここがおすすめ!
『ミッドサマー』と同様に“何が現実で、何が狂気なのか”を観客に委ねるスタイル。映像的な魅力や、散りばめられた暗号・比喩の数々も、思考型映画ファンにはたまらない。没入感のある不穏な世界観が魅力です。
みんなの感想・レビュー